huanying xinshang Ding Fengzhang de zhuye





                     
古詩十九首之十一

                        
廻車駕言邁,
悠悠渉長道。
四顧何茫茫,
東風搖百草。
所遇無故物,
焉得不速老。
盛衰各有時,
立身苦不早。
人生非金石,
豈能長壽考。
奄忽隨物化,
榮名以爲寶。


    **********************
        古詩十九首の十一

車を 廻
(めぐら)して  駕して 言(ここ)に 邁(ゆ)き,
悠悠として  長道を 渉る。
四顧すれば  何ぞ 茫茫たる,
東風  百草を 搖
(うご)かす。
(あ)ふ所  故物 無く,
(いづく)んぞ  速かに 老いざるを  得んや。
盛衰  各
〃(おのおの)時 有り,
立身  早からざるを 苦しむ。
人の生は  金石に 非ず,
(あに)(よ)く  長く 壽考せんや。
奄忽として  物に 隨ひて 化す,
榮名  以て 寶と 爲さん。

             ******************


◎ 私感訳註:

※古詩十九首之十一:第十一は、長く、そして儚い人生の道程で、後に遺すものは何かとうたっている。前半は、道を取り巻く自然の状況を、人の生を示唆しながら詠い、後半は人生そのものをはっきりと詠う。陶淵明は、この作品から強く影響を受けている。

※廻車駕言邁:車の向きを変えて、馬車に乗って、(ここに)進んで行く。 ・廻車:車の向きを変える。車をめぐらす。李白の『洛陽陌』「白玉誰家郎,回車渡天津。看花東上陌,驚動洛陽人。」では、ただ、車の進行方向を変えるだけだが、ここでは、人生の進行方向を変える意味にも使っている。 ・廻:返る。元に戻る。真っ直ぐなものを曲げる。めぐらす。 ・駕:〔が;jia4 両韻〕車に乗り馬を御す。馬車に乗る。 ・言:ここに。語気助詞。助辞。とりたてての意味はない。 ・邁:〔まい;mai4●〕ゆく。過ぎ去る。

※悠悠渉長道:遠く遙かな限りない長い道程を経てゆく。 ・悠悠:〔いういう;you1you1○○〕遠く遙かなさま。限りないさま。長く久しいさま。 ・渉:〔せふ;she4●〕わたる。経過する。通過する。 ・長道:長い道のり。人生の道程のことをいう。

※四顧何茫茫:あたりを見まわせば、何と広々として、果てしのないことだろう。 ・四顧:〔しこ;si4gu4●●〕あたりを見まわす。四方を顧(かえり)みる。また、あたり。まわり。四辺。 ・何:なんと。なんぞ。反問。 ・茫茫:〔ばうばう;mang2mang2○○、●●両韻〕ぼうっとしてはっきりしないさま。広々として果てしないさま。とりとめもなくぼんやりとしているさま。

※東風搖百草:春風が多くの草花に(吹いてきて)揺らして、(新たな年の訪れを告げたが)。 ・東風:春風。 ・搖:揺り動かす。ゆらす。 ・百草:多くの草花。

※所遇無故物:(わたしが)であうところのものは、昔馴染みのものはない。(わたしを置いて、亡くなってしまった)。 *わたしは已に古い存在となってしまい、目に映るもの全て、新たな生命に入れ替わっている。 ・所遇:であうところのもの。〔所+動詞〕で、動詞の名詞化の働きがある。「…ところのもの」。 ・故物:むかしなじみの物。むかしからの物。

※焉得不速老:どうして老いの来るのがぐずぐずとしていると言え得ようか。 *本当に年を取ってしまった。 ・焉得:どうして…となり得ようか。いづくんぞ 得んや。 ・焉得不:二重否定で、本当に。全く。 ・不速:すみやかでない。スピードが速くない。ぐずぐずしている。速度、テンポを表す。なお、後出の「不早」は、おそくなって。後れて。晩期に。時間的な早晩、時期を指す。

※盛衰各有時:人生には、物事が盛んになったり衰えたりするそれぞれの時期が決まっている。 ・盛衰:物事が盛んになることと衰えること。物事が盛んになったり、衰えたりすること。東晉・陶潛の『雜詩十二首』其三に「榮華難久居,
盛衰不可量。昔爲三春,今作秋蓮房。嚴霜結野草,枯悴未遽央。日月還復周,我去不再陽。眷眷往昔時,憶此斷人腸。」とあり、『飮酒二十首』其一「衰榮無定在,彼此更共之。邵生瓜田中,寧似東陵時。寒暑有代謝,人道毎如茲。達人解其會,逝將不復疑。忽與一觴酒,日夕歡相持。」と使われている。 ・各:おのおの。それぞれ。「盛」と「衰」を指す。 ・有時:定まった時期、時運がある。

※立身苦不早:成功して世間に名をあげることが、おそくなっているのを苦々しく思う。 ・立身:世間に認められて栄達すること。成功して世間に名をあげること。 ・苦:にがにがしい。おもしろくない。いとわしい。 ・不早:(時期的に)早くない。早期ではない。晩期になっていること。

※人生非金石:人が生きていくことは、金や石のように堅牢強健なものではなく。 *人の肉体とは、頑健なものではなくて。 ・人生:人が生きていくこと。SV構造。東晉の陶潛『雜詩十二首』其一「
人生無根蒂,飄如陌上塵。分散逐風轉,此已非常身。落地爲兄弟,何必骨肉親。得歡當作樂,斗酒聚比鄰。盛年不重來,一日難再晨。及時當勉勵,歳月不待人。」  ・非:…でない。あらず。否定の助辞。 ・金石:きわめて堅いことの譬え。また、金属と岩石。陶潛は『飮酒 其十一』で、「客養千金躯,臨化消其寶。」とする。

※豈能長壽考:どうしてとこしえに長寿であることができようか。 ・豈能:どうして…できるだろうか。あに よく。 ・長:とこしえに。 ・壽考:〔じゅかう;shou4kao3●●〕長生き。長寿。 ・考:「老」の意。

※奄忽隨物化:にわかに万物の流転(の掟)に従って、死ぬことになる。 ・奄忽:〔えんこつ;yan3hu1●●〕たちまち。にわかに。前漢・李陵の『與蘇武詩』「良時不再至,離別在須臾。屏營衢路側,執手野踟。仰視浮雲馳,
奄忽互相踰。」 や、『古詩十九首』之四「人生寄一世,奄忽若飆塵。」や『古詩十九首』之三「陵上柏,磊磊澗中石。人生天地間,忽如遠行客。」にある。はかなさを感じさせる語である。 ・隨物:万物の流転に従って。 ・化:死ぬ意。陶淵明の『歸去來兮辭』「已矣乎,寓形宇内復幾時。曷不委心任去留,胡爲遑遑欲何之。富貴非吾願,帝ク不可期。懷良辰以孤往,或植杖而耘。登東皋以舒嘯,臨C流而賦詩。聊乘以歸盡,樂夫天命復奚疑。」 や、『飮酒』其十一「顏生稱爲仁,榮公言有道。屡空不獲年,長飢至於老。雖留身後名,一生亦枯槁。死去何所知,稱心固爲好。客養千金躯,消其寶。裸葬何必惡,人當解意表。」に使われている。

※榮名以爲寶:(肉体には、死が訪れるので、千載に遺る)名声や名誉をもって、たからとしよう。 *陶淵明ではこの命題に対して、千載の(後の)身後の名には構うべきではなく、構えない(『己酉歳九月九日』「靡靡秋已夕,淒淒風露交。蔓草不復榮,園木空自凋。清氣澄餘滓,杳然天界高。哀蝉無留響,叢雁鳴雲霄。萬化相尋繹,人生豈不勞。從古皆有沒,念之中心焦。何以稱我情,濁酒且自陶。
千載非所知,聊以永今朝。」)とするが、宋末の文天祥では『過零丁洋』で、「辛苦遭逢起一經,干戈寥落四周星。山河破碎風飄絮,身世浮沈雨打萍。惶恐灘頭説惶恐,零丁洋裏歎零丁。人生自古誰無死,留取丹心照汗。 」と答えている。陶淵明の自然体がよく伝わってくる。 ・榮名:名声。名誉。陶淵明『飮酒』其十一「顏生稱爲仁,榮公言有道。屡空不獲年,長飢至於老。雖留身後名,一生亦枯槁。死去何所知,稱心固爲好。客養千金躯,臨化消其。裸葬何必惡,人當解意表。」にある「身後名」に当たろうか。 ・以爲:もって…となす。蛇足になるが、「おもへらく」の用法ではない。 ・寶:たから。とうといもの。前出『飮酒』其十一の青字部分に同じ。





◎ 構成について

韻式は「aaaaaa」。韻脚は「道草老早考寶」で、平水韻でいえば、上声十九皓(寶早老道考(「道」は現代韻では去声)。次の平仄はこの作品のもの。

○○●○●,
○○●○●。(韻)
●●○○○,
○○○●●。(韻)
●●○●●,
○●●●●。(韻)
○○●●●,
●○●●●。(韻)
○○○○●,
●○○●●。(韻)
●●○●●,
○○●○●。(韻)
2005.1.30
     1.31
     2. 1
     2. 2完
     2. 3補
2007.4.27

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