Huanying xinshang Ding Fengzhang de wangye

                            


和張矩臣水墨梅五絶 其三
両宋・陳與義        


粲粲江南萬玉妃,
別來幾度見春歸。
相逢京洛渾依舊,
唯恨緇塵染素衣。





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張矩臣の水墨の梅に和す           
粲粲(さんさん)たる 江南  萬の玉妃,
別れ(きた)って 幾度か  春の歸るを見る。
京洛(けいらく)に ()ひ逢ひ  (すべ)(きう)()る,
()だ 恨むらくは 緇塵( し ぢん)  素衣(そい)を染めたるを。

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◎ 私感註釈

※陳与義:南宋の詩詞人。字は去非。号して簡斎、無住。洛陽の人。また、汝州葉県の人。ともに現・河南省。1090(元祐五年)〜1138年?(紹興八年?)。政和三年に進士に及第するが、靖康の変に遭って南遷する。襄漢、湖湘へと移るが、召されて兵部侍郎となり、臨安に到着し、中書舎人に掌内制を兼ねた。

※和張矩臣水墨梅五絶 其三:張矩臣の『水墨梅』に和して五首の絶句(を作った)。これは其の第三首。 ・和:韻を合わせて詩を作る。和韻。また、答えて詩を作る。 ・張矩臣:陳与義の従兄。迪功郎・南都幕掾となった。詩をよくして、常に陳与義と唱和した。張規臣ともする。 ・水墨梅:水墨画の梅。 ・五絶:五首の絶句。これは其の第三首。

※粲粲江南万玉妃:色鮮やかな江南の白梅は。 ・粲粲:〔さんさん;can4can4●●〕いろどりが多く、鮮やかなさま。美しいさま。朗らかに笑うさま。また、賢い女。ここは、両者の意で使われる。 ・江南:長江の(中流・下流域の)南岸一帯を指し、江蘇省の長江南岸・安徽省の長江南岸の地域及び浙江省の北部一帯。 ・万玉妃:白い梅の花。雪。 ・玉妃:唐・玄宗の寵姫・楊貴妃(楊玉環)のことであり、梅の花に喩えられる。また、雪。仙女。ここは、前者の意。

※別来幾度見春帰:(故郷の江南に)別れを告げてよりこのかた、何回春を過ごしたことだろうか。 ・別来:別れてよりこのかた。中唐・李益の『喜見外弟又言別』に「十年離亂後,長大一相逢。問姓驚初見,稱名憶舊容。
別來滄海事,語罷暮天鐘。明日巴陵道,秋山又幾重。」とある。 ・幾度: ・見:会う。また、見える。目にふれる。 ・春帰:春が過ぎ去ることを謂う。中唐・白居易の『送春』に「三月三十日,春歸日復暮。惆悵問春風,明朝應不住。送春曲江上,拳拳東西顧。但見撲水花,紛紛不知數。人生似行客,兩足無停歩。日日進前程,前程幾多路。兵刃與水火,盡可違之去。唯有老到來,人間無避處。感時良爲已,獨倚池南樹。今日送春心,心如別親故。」とあり、現代・毛沢東は『卜算子 詠梅 讀陸游詠梅詞,反其意而用之で「風雨送春歸,飛雪迎春到。已是懸崖百丈冰,猶有花枝俏。   俏也不爭春,只把春來報。待到山花爛漫時,她在叢中笑。」と使う。

※相逢京洛渾依旧:都(=洛陽)で(白梅に)出逢ったときは、全て、昔ながら(の姿)であった(が)。/江南から旅立った玉妃に都で出逢ったときは、ほとんど、昔ながら(の姿)であった(が)。 ・相-:「相」は、動作が対象に及んでくる時に使う。「…てくる」「…ていく」の意。また、「相互に」の意。白居易の『勸酒』「昨與美人對尊酒,朱顏如花腰似柳。今與美人傾一杯,秋風颯颯頭上來。年光似水向東去,兩鬢不禁白日催。東鄰起樓高百尺,題照日光
。」 李白に『把酒問月』「天有月來幾時,我今停杯一問之。人攀明月不可得,月行卻與人。皎如飛鏡臨丹闕,拷喧ナ盡C輝發。但見宵從海上來,寧知曉向雲陝刀B白兔搗藥秋復春,娥孤棲與誰鄰。今人不見古時月,今月曾經照古人。古人今人若流水,共看明月皆如此。唯願當歌對酒時,月光長照金樽裏。」や、陶潜の『飮酒二十首』其一「衰榮無定在,彼此更共之。邵生瓜田中,寧似東陵時。寒暑有代謝,人道毎如茲。達人解其會,逝將不復疑。忽與一觴酒,日夕歡。」 、陶淵明の『雜詩十二首』其七の「日月不肯遲,四時催迫。寒風拂枯條,落葉掩長陌。弱質與運頽,玄鬢早已白。素標插人頭,前途漸就窄。家爲逆旅舍,我如當去客。去去欲何之,南山有舊宅。」や張説の『蜀道後期』「客心爭日月,來往預期程。秋風不,先至洛陽城。」杜甫の『州歌十絶句』其五に「西一萬家,江北江南春冬花。背飛鶴子遺瓊蕊,趁鳧雛入蒋牙。」とある。李U『柳枝詞』「風情漸老見春羞,到處消魂感舊遊。多謝長條似,強垂煙穗拂人頭。」 、范仲淹の『蘇幕遮』「碧雲天,黄葉地,秋色連波,波上寒煙翠。山映斜陽天接水,芳草無情,更在斜陽外。   黯ク魂,追旅思,夜夜除非,好夢留人睡。明月樓高休獨倚,酒入愁腸,化作思涙。」 前出・韋莊の『浣溪沙』「夜夜思更漏殘 など、下図のように一方の動作がもう一方の対象に及んでいく時に使われる。
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もっとも、李白の『古風』「龍虎相啖食,兵戈逮狂秦」、「遠別離」の「九疑聯綿相似,重瞳孤墳竟何是。」や『長相思』「相思,在長安」や王維の「入鳥不相亂,見獸相親。」などは、下図のような相互の働きがある。
B
これらとは別に言葉のリズムを整える働きのために使うことも詩では重要な要素の一。 ・逢:出逢う。(思いがけなく)逢う。でくわす。 ・京洛:みやこ。ここでは、洛陽を指す。 ・渾:〔こん;hun4●(hun2/hun4◎)現代語ではhun2〕すべて。まったく。また、ほとんど。 ・依旧:昔ながらに。昔と変わることなく。唐・韋莊の『金陵圖』に「江雨霏霏江草齊,六朝如夢鳥空啼。無情最是臺城柳,依舊烟籠十里堤。」とあり、馮延巳の 『鵲踏枝』に「誰道閑情抛擲久,毎到春來,愁悵還依舊。日日花前常病酒,不辭鏡裡朱顏痩。   河畔青蕪堤上柳,爲問新愁,何事年年有?獨立小樓風滿袖,平林新月人歸後。」とあり、孫光憲の『後庭花』其二に「石城依舊空江國,故宮春色。七尺絲芳草碧,絶世難得。」とある。

※唯恨緇塵染素衣:ただ、残念なことに、洛陽の(世俗の)黒い塵が、白絹の着物(玉妃の衣/白梅の花瓣)を染めていることだ。(水墨画では白梅も墨で表現するために、黒っぽく表現され、また、実際に洛陽の埃が黒っぽかったことを謂う)。 ・唯:ただ。 ・恨:残念に思う。 ・緇塵:〔しぢん;zi1chen2◎○〕ちり。けがれ。世俗のけがれ。 ・緇:〔し;zi1◎〕黒い。黒色。黒絹(くろぎぬ)。 ・素衣:〔そい;su4yi1●○〕白い着物。また、白絹の着物。 ・素:〔そ;si4●〕白。無地の。

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◎ 構成について

韻式は、「AAA」。韻脚は「妃歸衣」で、平水韻上平五微。この作品の平仄は、次の通り。


●●○○●●○,(韻)
●○●●●○○。(韻)
○○○●◎○●,
○●○○●●○。(韻)
2013.6.16
     6.17
     6.18



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