Nゲージ蒸気機関車>蒸機の紹介>D51・D61
Nゲージの蒸気機関車のファンならどなたでもよくご存知の、KATO製D51です。2010年には最新設計のD51 498が登場し、新たなステージに入りました。
2016-1 D51 498 2010年 | 2016-1
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2016-7 D51 498 2017年 | 2016-7
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2016-2 D51 498 オリエントエクスプレス'88 2012年 | 2016-2
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2016-A D51 498(副灯付) 2022年 | 2016-A
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長らく続いた旧系列製品とは別物のフルリニューアル品です。縮尺が見直されたため大きさが正しくなり、細部表現も格段に進化しました。価格も比較的手ごろです。
新開発のコアレスモーターをボイラー内に装備し、キャブ内が開いており、動輪の上部も向こう側に透けて見えるので軽快な感じです。細かいディテール表現が多く、旧製品よりも丁寧に扱う必要がありますが、ナンバープレートを除き(※注)パーツはすべて取り付け済みになっています。
※注: D51 498シリーズはナンバープレート取り付け済みですが、D51 498(副灯付)のナンバープレートは赤色・黒色の選択式のためユーザー取り付けとなっています。
D51 498(2016-1) | D51 498 オリエントエクスプレス'88(2016-2) |
2012年に追加されたオリエントエクスプレス'88仕様は、テンダー形状のほか、ドーム前手すりの有無・キャブ散水管形状・ATS発電機種類やその配管までも作り分けられています。 ヘッドマークは装着済みで、スノープローのかわりに排障器が表現されています。ナンバープレートは当時形式表記入りだったため、少し上下に大きいサイズになっています(形式そのものはモールドされておらず、その部分はアキになっています)。
オリエントエクスプレス'88の1ヵ月後、待望の標準形が発売されました。
2016 D51標準形 2012年 | 2016
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銅色の空気作用管は目立たぬようよく抑えた表現です。その細い配管留めを黒色で塗り分けるという、Nゲージのプラ完成品では初めての試みもあります。
動力部には初回のD51 498から若干の変更があり、軸受け付近や動輪の裏側の形状が変わっています。相変わらず大変よく走ります。
またD51標準形には、D51シリーズでは唯一、煙突を回してライトを消灯する機構が付いています。
このD51標準形は、2019年の再生産の際に、品番と価格が変わって仕様が微変更されました。
2016-9 D51標準形 2019年 | 2016-9
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一応これでD51標準形の製品仕様は完成したようで、同じ2019年から発売されたスターターセット「D51 SL列車」にもこの製品が含まれており、定番化しています。
話が少し戻ります。2012年に基本となる標準形が出たところで、地域別のバリエーション展開が始まりました。初めは北海道形です。
2016-3 D51北海道形 2014年 | 2016-3
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2016-4 D51北海道形ギースルエジェクター 2014年 | 2016-4 |
トミックスのC57 135と同様、前面と側面のナンバープレートの長さが作り分けられています。機炭間隔はほぼ実物どおりとなっており大変実感的です。
ライトはそれまでの製品よりも明るく光ります。
これら2製品は10年後の2024年に再生産され、先輪・従輪がスポーク抜きされてハンドレールが樹脂製になる小変更がありました。その際品番と価格が変わっています。分売パーツには煙突とヘッドライトも新たに加わりました。
2016-B D51北海道形 2024年 | 2016-B
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2016-C D51北海道形ギースルエジェクター 2024年 | 2016-C |
2014年の北海道形の次には東北仕様がリリースされ、新系列初の「なめくじ」(一次形)も登場しました。
2018-1 D51一次形(東北仕様) 2014年 | 2018-1
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2018-1 D51一次形(東北仕様) 2020年 | 2018-1
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2016-5 D51標準形(東北仕様) 2015年 | 2016-5
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キャブの後部には着脱可能な防寒カーテンが付いています。
一次形は「なめくじ」のドームカバーのほか、前後に短いキャブや、一次形の従台車・テンダー台車などが作られています。ドームカバーの継ぎ目の彫りは旧系列よりもオーバーなものです。
D51はこの東北仕様より、先輪・従輪ともスポークが抜けたものになり、デフも薄型になりました。
2016-6 D51標準形(長野式集煙装置付) 2016年 | 2016-6
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2016-8 D51 200 2018年 | 2016-8
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D51 200は単品に先立ち、まず特別企画品「D51 200+35系<SL『やまぐち号』>6両セット」として発売されましたが、セット中の客車(スハテ35)に車番がずれて印刷されている問題があり、メーカー対応が行われることになってしまいました。
なお2023年のD51 200の再生産より、KATOの蒸機の前部ダミーカプラーは新規パーツに変更され、微妙に小ぶりになっています。
(旧「Z02-0143 D51ダミーカプラー」→新「Z02-3032 D51ダミーカプラー」)
以下は縮尺1/140の旧系列です。新系列のD51 498の登場後も、旧系列の標準形はしばらくの間「SL列車セット」として販売が続いていました。
旧系列の初代は紙製シールのナンバープレートと、プラ製のロッドが特徴です。
まだ「なめくじ」が登場していなかったため、特に「標準形」とは称されていません。
206 D51 1973年 | 206 |
初回は1973年の春先の発売でした。当初の発売予定は前年の12月でしたが、間に合いませんでした。
200号機前後の10数両がプロトタイプと思われます。形態掌握がたいへん上手な製品で、まさしくD51の姿をしています。
1/140というオーバースケールや仕様の古さが指摘される昨今、このスタイルがなければ生き残れなかったかもしれません。
登場時の「鉄道模型趣味」誌の製品の紹介(1973年6月号)でも外観印象については高評価で、「16番ゲージはじめ大きなスケールのD51と同じくらいのディテールと美しさ」とありました。 ちなみにこの年の同誌の関水金属の広告は、1〜2月号を除いてすべてD51でした。
初期製品は何タイプかに分かれていますが、登場時の仕様は最終期と比べて次のような違いがあります。
初期の角型モーター。 | 初期のケース裏。D52・D62が予定されていました。 |
初期製品の加工ネタとしては、先輪の輪心を黒く塗る、バルブスピンドルガイドとモーションプレートを黒く塗るなどが一般的でした。ほか、デフに点検口を開ける工作もよく行なわれていました。その後、通常ラインナップはデフ点検口付きの「D51標準形」に置き換わったため、逆に点検口なしのタイプを作るには工夫が必要になってしまいました。
紙製ナンバー時代の末期には、部分的に各部の仕様が新しくなっているものが存在します。再確認中のものもあり参考までに載せました。
206 D51 1977年 | 206 |
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206 D51 | 206 |
この頃から現在の仕様に近くなり、「なめくじ」が追加されました。
209 D51なめくじ 1981年 | 209 |
ナンバーは紙製シールではなく、プラ製の選択式になっています。ドローバーは通電式となり、リード線が廃止されました。
逆転機は動力式ではなくネジ式のものがモデルになっています。キャブは標準形とは作り分けられていません。
従来の標準形は品番が4桁化され、「2006 D51標準型」となりました。こちらも同様の仕様です。
2006 D51標準型 1981年 | 2006 |
この頃の製品には、テンダー内にモーターのノイズ低減用のコンデンサーがついていました。
コンデンサーは1990年頃の製品からは再び撤去されています。モーター内蔵のバリスターの性能がよくなったためと読んだことがありますが、実際に確認したことはありません。勘違いかもしれません。 中央の集電板押さえにつまみが付いたのもこの頃からです。 |
このグループの通電式ドローバーは作動が確実で、次のグループのように集電線がズレやすいことはありません。
高いフランジにスポーク表現が付いた先輪に変わり、デフ点検口の付いた「2006-1 D51標準形」となって従来品に置き換わっていきました。当初は品番のうえでは先の「2006 D51標準型」と共存していました。
動輪にも少々変更があり、シャフトの先端が動輪の中心から顔を出しています。
後部のモーター押さえも変更され、よりしっかりモーターを支持するようになりました。
2006-1 D51標準形 1988年(写真は1994年生産品) |
2006-1 |
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2006-2 D51標準形ライン入 1988年 |
2006-2 |
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2009 D51なめくじ 1994年購入品 |
2009 |
この仕様の標準形は10年以上にわたり再生産されており、かなり出回っています。なめくじはやや再生産の回数は少なかったと思います。
残念なことに通電式ドローバーの集電線が外れやすくなっており、走行のたびに注意しないと脱線することもありました。
1997年以降の製品では小改良があり、その問題が改善されました。
2006-1 D51標準形 1997年生産品 |
2006-1 |
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2009 D51なめくじ 2000年生産品 |
2009 |
これらは個人的には重要な改良だと思いますが、特に目立つようにアピールされたことはないようです。買ってみたら変わっていました。
黒色車輪になった最終グループです。
2006-1 D51標準形 2007年生産品 |
2006-1 |
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2009 D51なめくじ 2007年生産品 |
2009 |
2007年よりやや光沢のある、もしくは滑らかな塗装となりました。車輪も黒色となり、先輪もタイヤの薄い現行仕様となりました。仕様の古い部分はとことん古く、バルブギヤの合併テコが省略されており、ライトも非点灯のままでした。
このまま大きな動きがないかのように見えた旧系列のD51ですが、2009年になって何とラウンドハウスからバリエーション展開されました。
2006-3 D51 498 オリエントエクスプレス'88タイプ 2009年 |
2006-3 |
前年に発売されたオリエントエクスプレス'88の先頭に立たせるために発売されたものです。
それまでKATOのD51には特定ナンバーを意識した製品はなく、人気者の498も手付かずだったのが不思議でした。
基本は塗装・印刷の追加と小改良であり、復活後のテンダー上部などは再現されていません。
当初はEF58との重連を考慮してゴムタイヤなしとの情報が流れましたが、結局は通常どおりゴムタイヤ付きで発売されました。
2010年に新系列のD51 498が登場してからも、入門セットの「スターターセット・スペシャル D51 SL列車」として、旧D51標準形の発売は継続されていました。
2011年には、そのスターターセットから車両だけを抜き出したセットとして「SL列車セット」も発売されました。
2006-1 D51標準形 2011年生産品(セット品のみ) |
2006-1 |
蒸気機関車に客車3両がついて¥11,800+税という低価格は、もう現在では打ち出せないと思います。入門セット用の普及アイテムとして活躍しました。
単品の2006-1 D51標準形は、2012年以降にカタログの価格表から削除されており、この時点で生産は終了したものと考えられます。
旧系列のD51なめくじは単品しかなく、セットとしての継続はありませんでした。2014年に新系列のなめくじ(一次形)が発売されており、なめくじの旧製品の生産は終了したものと考えられます。
2019年になり、とうとう最後まで残っていたスターターセットも新系列の製品にリニューアルされ、長く走り続けた旧系列のD51は終着駅に到着することになりました。
初期製品では動輪の軸受けの構造が違っており、四角い軸受箱ではなく丸い金属ブッシュでした(赤い矢印)。
また、中期以降の製品では第一動輪がロッド連動になっていますが、初期製品はギヤ連動のため、第一動輪にもギヤがありました(緑の矢印)。
この違いは旧C62(203、2003)でも同様です。
初期製品は丸い軸受けブッシュで、全軸ギヤ連動でした。
途中から四角い軸受けとなり、第一動輪はロッド連動となっています。
先輪は1988年頃から7本スポーク入りに変更され、このときフランジが思い切り高くなりました。2007年発売の最新製品より再びスポーク表現が改良され、タイヤが薄くなってフランジも低くなっています。
また、初代よりバルブスピンドルガイドの前方に目立つ隙間がありましたが、これは後で述べるドローバーの改良のときに修正されています。
初期スポーク先輪は、フランジが高く7本スポークです。バルブスピンドルガイド前方(矢印のあたり)に、初代から続く隙間がありました。
途中でバルブスピンドルガイドが長くなり、隙間がなくなりました。
最終製品はタイヤが薄く、フランジが低い8本スポークです。
初期の角形モーターはダイキャストのフレーム下部からネジ留めされていましたが、丸形モーターはプラ製のモーター押さえで固定されています。
丸形モーターの採用当初は、短い2本のツメでモーター下部のみ引っ掛けられていました。 | 先輪がスポーク化されたあとの製品では、後ろ側のボスをはめ込んで押さえるように変更されています。 |
D51の通電式ドローバーは、テンダーからドローバー沿いに伸びた燐青銅線を、エンジン下部に出ている2本のピンに外側から引っ掛けて集電する構造です。 ところが一時期の製品は、このピンから燐青銅線が外れやすく、気づかずに走らせると動きがぎこちなくなったり、カーブで脱線したりするという困り者でした。線路に置くたびに、テンダーをひねって集電線をピンに引っ掛けたものでした。
1997年頃の生産品から、ドローバーの左右に燐青銅線を押さえつける突起が追加され、ようやく外れなくなりました。
赤い矢印部分を比べてみてください。品番2006-1(初期)では品番2006より従台車の可動範囲を広げるため、従台車の一部が内側から薄く欠き取られています。強度を補うためか、途切れていたドローバーも延長されて前方とつながりました。
欠き取りが付いたため、従台車は品番2006より大きく首を振れるようになりましたが、集電線がその動きに対応できず、外れやすくなってしまいました
改良後の品番2006-1(後期)では、ドローバーの両側の集電線押さえが集電線の浮きを抑えており、問題が解決しています。
2001年3月には、KATOから1/80・16.5mmゲージのD51が発売されました。プラ量産品です。
奥が弟、手前が兄(旧系列)です。 →KATOのD51(16.5mm)はこんな感じでした |
同じ大きさになるように写真を撮ってみました。
9mmゲージの兄(旧系列)。 ※解放テコ・ステップなどのパーツはあとで取り付けたものです。 |
16.5mmゲージの弟。 趣味でやってる人が見れば、兄弟でどこが違うかは一目瞭然ですが、一般の人には両者の写真はほとんど同じに見えるかもしれません。 |
旧系列のD51は、その形のよさと走りの良さ、加工のしやすさから長期にわたって使われてきた製品で、これをベースにした多くの改造作品が模型雑誌の記事をにぎわせてきました。ディテールアップや改造用の各種パーツも、色々なメーカーから多数発売されています。
この製品に育てられたNゲージファンも多いことと思います。
マイクロエースより前に発売されていた、唯一のスーパーなめくじです。
D51 スーパーなめくじ |
スーパーなめくじ(拡大写真) テンダードライブ方式のD51です。ナンバーは22号機・23号機の両方がついていました。 |
ナカセイのD51シリーズは、D51標準型・D51なめくじ・D61・D51スーパーなめくじの4種が予定されていましたが、実際に発売されたのはこのスーパーなめくじだけです。 それまで発売されていたいくつかの形式を合成してまとめられています。上廻りは新製ですが、下廻りはD52、テンダーはC57の流用に見えます。ドローバーは非常に長くなっています。
煙室扉の周囲には丸みがなくて標準型のようになっていますが、煙室扉の上部は欠き取られていて、戦時型の一部のようになっています(実際の22・23号機にこういう時代があったのでしょうか…詳しい方教えてください)。
古いのであちこちが剥がれてきています。写真で見るとそんなにひどくないようですが、これは写真のマジックで実物はボロボロです。今でも走りますが、動輪からキーキーとかすれた音が出るようになってきました。お持ちの方もおそらく、今ではマイクロエースか天賞堂のスーパーなめくじに役目を譲っているでしょう。
→スーパーなめくじ四者比較