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< 遺言事項とは >
遺言事項:
法律上遺言としての効力が認められている事項のことで、民法上は16項目に限定されています。法定事項以外のことを遺言しても、法律上の効力は発生しません。但し、遺言自体が無効になるわけではなく、その部分のみが無効となります。
法定遺言事項:
法定遺言事項の主なものは、次のとおりです。
1)身分に関するもの(認知)
遺言による認知は、法律上、遺言執行者が届出をしなければ ならず、他の相続人による届出はできません。つまり、遺言で 認知をするには、遺言執行者を定めておく必要があります。
2)相続に関するもの
− 推定相続人の廃除又は廃除の取消
推定相続人を廃除又は廃除を取り消すには、家庭裁判所に 申立をしなければなりません。この申立は、遺言執行者の みが行えます。
− 相続分の指定
遺言により、法定相続分とは異なる相続分を指定すること ができます。
− 遺産分割方法の指定
相続人が遺産分割協議をする際のガイドラインを定めてお きます。
− 特別受益の持ち戻しの免除
相続人のうち特定の者に生前贈与があった場合には、それ を財産の前渡し(特別受益)とみなし、相続分の算出にあ たり贈与を受けた者の相続分を減少させる(持ち戻し)こ とにより相続人間の公平を計ります。
持ち戻しが免除されると、特別受益はないものとして相続 分が算出されます。詳細は、セクション2「相続(寄与分 と特別受益)」を参照ください。
− 遺産分割の禁止
遺言により、5年を限度として遺産分割を禁止することが できます。また、禁止の理由には特に制限はありません。 相続人は、禁止された期間内は、一切の遺産分割ができな くなります。
− 遺留分減殺方法の指定
兄弟姉妹を除く法定相続人には、最低限度の割合の遺産 (遺留分)が保証されています。しかし、遺留分を侵害する 遺言をしたとしても無効となるわけではなく、遺留分取り 戻しの請求(減殺請求)がされて初めて減殺される(取り 戻される)ことになります。
詳細は、セクション2「相続(遺留分の侵害と減殺請 求)」を参照ください。
3)遺産処分に関するもの(遺贈)
− 遺贈とは、遺言により財産の全部又は一部を処分すること で、遺留分を侵害しない限り自由に行うことができます。 遺贈を受ける者(受遺者)は相続人でも、それ以外の第三者 でもかまいません。つまり、受遺者イコール相続人とは限り ません。
− 通常、相続人に財産を与える場合には、「相続させる」とし それ以外の第三者に場合には、「遺贈する」とします。
− 遺贈には、次のものがあります。
・ 特定遺贈とは、特定の具体的財産を遺贈することです。
・ 包括遺贈とは、遺産の全部又は一部を一定の割合(1/2,1/3 など)で遺贈することです。
遺贈には、条件又は期限を付けることもできます。
− 「相続させる」と「遺贈する」では、特に不動産を与える 場合に大きな違いが生じます(所有権移転登記)。
・ 第三者に対して所有権を主張する(対抗要件)場合には、 「遺贈」では、登記をしないと対抗できませんが、「相 続」では登記なしで対抗できます。
・ 所有権移転を登記する場合には、「遺贈」では他の相続人 全員と共同で申請しなければなりませんが、「相続」では 相続人が単独で申請できます。
・ 登録免許税の計算において、平成15年4月1日以降の登記 については、「遺贈」では不動産価額の20/1000(平成 18年3月31日までは10/1000)ですが、「相 続」では 4/1000(同、2/1000)とされています。
4)遺言執行に関するもの(遺言執行者の指定)
遺言事項の中には、遺言執行者しか実行できないものがあり ます。つまり、遺言で認知及び推定相続人の廃除又は廃除の 取消をするには、必ず遺言執行者が必要となり、遺言で指定 されていなければ、利害関係人が家庭裁判所に選任を請求する ことになります。
遺言執行者は、相続人の代理人とみなされ、相続財産の管理・ 処分について一切の権限を有します。つまり、遺言執行者がい る場合には、相続人は相続財産を処分できなくなり、もし勝手 に処分したとしても、その行為は絶対無効とされます。
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