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イクシーの書庫・過去ログ(2001年10月〜11月)

<オススメ度>の解説
 ※あくまで○にの主観に基づいたものです。
☆☆☆☆☆:絶対のお勧め品。必読!!☆☆:お金と時間に余裕があれば
☆☆☆☆:読んで損はありません:読むのはお金と時間のムダです
☆☆☆:まあまあの水準作:問題外(怒)


ラシャー(上・下) (ホラー)
(アン・ライス / 徳間文庫 1996)

う〜む、これまた長い(←しつこいぞ)
大河“魔女”小説(そんなジャンルあるのか?)『魔女の刻』の続編です。
前作のラストで、ついに肉体を得た悪霊ラシャーをめぐる物語。実体化したラシャーは、人知を超えた染色体構造を持つ“異人類”でした・・・。
そして、さらにその娘が・・・(以下略)

オススメ度:☆☆☆

2001.10.3


千年世紀末の大予言 (ノンフィクション)
(桐生 操 / 角川ホラー文庫 1996)

この本、書かれたのが1996年。で、現時点(2001年10月)で読んでみると・・・。
書いてあること、全部ハズレてますね(苦笑)。
それ以前に、大部分がデタラメとこじつけだらけ。「〜は周知の事実である」と随所に書いてありますが・・・。そんな事実、全然知らないんですけど。
しかも、他の予言研究家(五島 勉氏とか)の著書からの孫引きが多くて、オリジナリティのかけらもなし。
しかし、この著者、確信犯ですね、きっと。

オススメ度:−

2001.10.3


恐怖館主人 (ホラー)
(井上 雅彦 / 角川ホラー文庫 1996)

クライヴ・バーカーの“血の本”、好きですか? サキやジョン・コリアやロアルド・ダールなど『奇妙な味』と呼ばれる小説、好きですか? ブラッドベリは好きですか?
それから、怪獣や特撮ヒーローもの、好きですか? ホラー映画は好きですか?
Yesの答が多い方にとっては、この短編集は格好の贈り物となるでしょう。
ブラックユーモアが横溢し、ある種のグロテスクさも感じますが、それは決して不快感ではなく、“不気味なものを目にする快感”とでも言うべきものです。

<収録作品>「最後の主役」、「フルフェイス」、「黒とオレンジの夜」、「喉の柔らかい肉」、「怪物製造人」、「悪夢街の男」、「電気鬼」、「水族の館」、「妖虫記」、「シャドウ・ボクサー」、「妖怪談義」、「レトロマニア」、「免許皆伝」、「こちらマシーン課」、「とうろう雛」、「似たような趣味」、「キャリア君」、「ベヘモス館」、「ちいちご」、「夜想曲」、「碧い夜が明けるまで」、「空想の市民」、「四台目の馬車」、「トランスファーに着くまで」、「赫い村」、「蒼いワイン」、「耳の長い登場人物」、「マドモアゼル・タッソー」、「デッド・クラッシュ」、「恐怖館主人」

オススメ度:☆☆☆☆

2001.10.5


妖虫の棲む谷 (ホラー)
(ジョン・ソール / 扶桑社ミステリー 1996)

ジョン・ソールと言えば、その作風は大きくふたつ。
呪いやら祟りやら少女の憑依霊やら、陰惨でおどろおどろのホラー(「暗い森の少女」とか「踊る女」とか)か、キ●ガイ科学者がとんでもないことを始めるバイオ・テクノ・ホラーとでもいうべきもの(「クリーチャー」とか
「闇の教室」とか)。
この作品は、後者に属するべきものですが、解説で東 雅夫さんがおっしゃっているように、「ソールもとうとうブチ切れたか!?」というくらい、クーンツばりのモダンホラーしてます。
先がどうなるか、早く知りたくて、一気に読み通してしまいました(寝不足)。
すっごく面白いですけど・・・。
虫の大群がうじゃうじゃというのが苦手な方は、読んじゃいけません(笑)

オススメ度:☆☆☆☆

2001.10.6


白昼夢 (ホラー:アンソロジー)
(集英社文庫 1996)

日本の現代作家さんたちによる、ホラーアンソロジーです。
海外の怪奇・恐怖小説の短編はたくさん読んでいるのですが、日本のホラーまで手が回らないのが現状というところで(だって、読みたい本が多すぎるんだもん)。
「リング」「らせん」も読んでないし、「パラサイト・イヴ」すら未読本の山の中に(汗)
でも、この短編集、どれもひねりが効いていて、面白かったです。

<収録作品と作者>「空部屋あります」(井上 夢人)、「永久保存」(篠田 節子)、「猫恐怖症」(我孫子 武丸)、「ささやく鏡」(今邑 彩)、「夢の島クルーズ」(鈴木 光司)、「上下する地獄」(若竹 七海)、「ヴィタミンBEE」(鳴海 章)、「百グラムのステーキほどの頬肉」(草薙 渉)、「バーバー「やすらぎ」」(三浦 俊彦)

オススメ度:☆☆☆

2001.10.7


ドールの時代 (ヒロイック・ファンタジー)
(栗本 薫 / ハヤカワ文庫JA 1996)

グイン・サーガ51巻。ついに後半に突入ですね。
(ていうか、読むのが5年遅れてるぞ、自分)
あとがきで、ご本人も書いてらっしゃいますが、「そこまでやるかあ!?」という驚愕の展開。
あそこまで、自分が創造したキャラを突き放せるというのは、ある意味すごいです。
いや、ずっと昔に「ぼくらの気持ち」を読んだ時に、十分に思い知らされていたのですが。

オススメ度:☆☆☆

2001.10.7


トンデモ本の世界R (ノンフィクション)
(と学会 / 太田出版 2001)

トンデモ本=「作者の意図とは別の意味で楽しめる本」を紹介するシリーズの最新刊。
末尾の“R”には、どんな意味があるのかと思ったら、深い意味はないそうで。
高橋 克彦さんの
「総門谷R」の“R”の意味も謎ですが(“リベンジ”の“R”か?)。
でも、中身をよく見ると、初期の頃の遊び感覚にあふれたツッコミが減って、マジメな批判が増えて来ている気がします。
それだけ、世の中にしょーもない本が増えているということなのかも知れませんが。

オススメ度:☆☆☆

2001.10.8


永遠なる天空の調 (SF)
(キム・スタンリー・ロビンスン / 創元SF文庫 1996)

えっと。解説で山岸 真さんが、「80年代の英米SFでは五指に入る傑作」とおっしゃってますが・・・。
それほどのもんでもないなあ、というか、単に趣味に合わないというか。
時は33世紀。大統一場理論が確立され、全太陽系に人類が居住する中、この世に1台しかない演奏機械「オーケストラ」(ひとりで全部の楽器を演奏できちゃうという、シンセサイザーのお化けみたいなもの)を繰り、冥王星から水星まで太陽系横断の演奏旅行に出る主人公。そこに怪しげな秘密結社の陰謀がからんで・・・。でもなぜか●星が存在しなかったり。
すべての時空を音楽で表現してしまうという壮大なビジョンにも、哲学的な考察がからんでちょっと疲れます。

オススメ度:☆☆☆

2001.10.10


影なきオベリスク (SF)
(クルト・マール&H・G・フランシス / ハヤカワ文庫SF 2001)

おなじみペリー・ローダン・シリーズの最新刊。
そろそろ“大群”サイクルもクライマックスか? てな感じですが。
(実はそうではないことを知ってる・・・「ローダン・ハンドブック」参照)
例の順番入れ替え事件のお詫びが、巻末に載ってましたが。池田 香代子さん、体調を崩されてたんですね。このあたり、早川書房はフォローがしっかりしてます。
某K川文庫なんか、一時、メチャクチャだったもんなあ・・・。シリーズで出すと言ってながら、やたらと予告なく打ち切るし。(ぶつぶつ)

<収録作品と作者>「影なきオベリスク」(クルト・マール)、「地球へのテスト飛行」(H・G・フランシス)

オススメ度:☆☆☆

2001.10.11


極北が呼ぶ(上・下) (冒険)
(ライオネル・デヴィッドスン / 文春文庫 1996)

極寒のシベリア奥地に作られた、旧ソ連の秘密研究所。そこに隠された秘密を暴くために、若きアメリカ先住民の人類学者が送り込まれる・・・。
という内容紹介を読んで、秘密の謎解きがメインになるのだと思って期待して読んでみたら、違ってました。
接近不可能と思われる研究所に潜入するまでのプロセスと、脱出劇を描くものだったのですね。
なので、ちょっと期待外れ。冒険小説としてみれば水準作だと思いますが。

オススメ度:☆☆

2001.10.14


軌道通信 (SF)
(ジョン・バーンズ / ハヤカワ文庫SF 1996)

なんか、タイトルから見ると、けっこうなハードSFかと思ってしまうのですが。
その実態はまったく違って、ほとんどジュブナイル。
語り手でもある主人公は、小惑星を改造したスペースコロニーに暮らす13歳の女の子。
彼女のクラスに地球からの転入生がやってくるところから、物語は始まります。まさに、青春学園ドラマのノリでスピーディに展開しますが、それだけでは終わらない。
コロニーの常識は地球の非常識。そのまた逆もしかり。
最終的な展開が、J・P・ホーガンのさる作品と同じモチーフになっていることはヒミツです。
文体もみずみずしくて、ちょうど、文章センスのある少女がネットで公開している日記を読んでいるような気分になります。
タイトルにだまされず、とにかく読んでみよう!

オススメ度:☆☆☆☆

2001.10.16


青き薔薇の魔石 (ファンタジー)
(デイヴィッド・エディングズ / ハヤカワ文庫FT 1996)

“聖騎士”スパーホークが活躍するヒロイックファンタジーシリーズ、『タムール記』の第3巻です。
今回、冒険者ご一行様(笑)は、強大な力を秘めた宝石(タイトルの魔石ね)“ベーリオン”を入手します。その旅の帰途、王国で忌避されている“光る魔物”デルフィと遭遇。この謎の種族、古代からいわく因縁ありそうな一族なんですが・・・。
と、思わせぶりなまま
次巻へと続きます。
ほんとにこのシリーズ、キャラは立ってるし、会話は楽しいし、テンポはいいし、さくさく読めますわ〜。

オススメ度:☆☆☆☆

2001.10.18


ゴーサム・カフェで昼食を (ホラー:アンソロジー)
(ナンシー・A・コリンズ、エドワード・E・クレイマー、マーティン・H・グリーンバーグ編 / 扶桑社ミステリー 1996)

副題に「22の異常な愛の物語」と書いてありますが、そりゃもうストーカーありフェティシズムありSMありと、おぞましくてグロいストーリーの連続攻撃。
愛と狂気は紙一重と言いますが、まさにアブナイ話のオンパレードで、読めば不快になること請け合いです(でもそのことは前書きにちゃんと断ってあり、こっちも承知で読んでますから腹は立たない)。
普通の神経の人は読んじゃいけません(笑)。

<収録作品と作者>「ゴーサム・カフェで昼食を」(スティーヴン・キング)、「サイコ」(マイケル・オドナヒュー)、「パ・ド・ドゥ」(キャシー・コージャ)、「きらめく刃の輝き」(ベイジル・コッパー)、「ハンソンのラジオ」(ジョン・ラッツ)、「冷蔵庫天国」(デイヴィッド・J・ショウ)、「ロー・バーグ」(ロバート・ワインバーグ)、「トンネル」(ラムジー・キャンベル)、「隠しておきたい」(スチュアート・カミンスキー)、「プリズム」(ウェンディ・ウェッブ)、「湖の乙女」(リチャード・レイモン)、「僕の事情」(ボブ・バードン)、「ウェーコ」(ジョージ・C・チェスブロ)、「痛悔者」(ジョン・ペイトン・クック)、「追いつめられて」(キャスリン・プタセク)、「バーバラ」(ジョン・シャーリイ)、「膜翅目」(マイケル・ブルームライン)、「すべての終わり」(エド・ゴーマン)、「熱」(ルーシー・テイラー)、「薄い壁」(ナンシー・A・コリンズ)、「ロケットのなかの欲望」(カール・エドワード・ワグナー)、「フィルム」(ダグラス・E・ウィンター)

オススメ度:☆☆

2001.10.20


異形の明日 (ヒロイック・ファンタジー)
(栗本 薫 / ハヤカワ文庫JA 1996)

グイン・サーガの第52巻。前巻「ドールの時代」の続きで、地味な陰謀物語が続きます。
しかし、後半で、ついにさる人物の名が出てきました。
外伝での登場以来、きっと出るに違いないと思っていましたが、こんなところで出てきましたか。
やるねえ・・・

オススメ度:☆☆☆

2001.10.22


ヴァンパイア・バスターズ (ホラー)
(ジョン・スティークレー / 集英社文庫 1996)

一応ホラーにジャンル分けしましたが、これはホラーというよりも、アクションものに近いかも。
かの「ドラキュラ」が「エイリアン」だとすれば、これは「エイリアン2」。
「今度は戦争だ!!」みたいな。
タイトルが「ゴースト・バスターズ」のもじりであることは、この際おいといて。
(現題は、単なる“Vampires”)
会話もシーンの切替もテンポが良くて、映画向けです。
実際、映画化もされてるらしいし(未確認)

オススメ度:☆☆

2001.10.23


ミラー・メイズ(上・下) (ポリティカル・フィクション)
(ジェイムズ・P・ホーガン / 創元SF文庫 1996)

SF文庫になってはいますが、SF的要素はありません。
近未来を舞台にしているとは言え、西暦2000年の米大統領選がメインなので、今の時点では過去のお話(だから買ってからすぐ読めばよかったのに)
真の自由資本主義を標榜する次期大統領。しかし、過去から影で世界経済を牛耳ってきた影の組織はそれをはばむべく、超国家的な二重三重の謀略を仕掛けます。
その渦中に否応なく巻き込まれた男女・・・。
モザイクのように緻密に構築された謎がだんだんと解かれていく中盤までと、終盤のアクションとの調和もよくとれていて、飽きさせません。
それに、ホーガンの作品ですから暗い結末には(まず)ならないので、どんなにハラハラドキドキの展開になっても、安心して読めます。

オススメ度:☆☆☆☆

2001.10.26


月のしずくと、ジャッキーと (ファンタジー)
(チャールズ・デ・リント / 創元推理文庫 1996)

先日(って、いつのことだっけ?)読んだ「ジャッキー、巨人を退治する」の続編です。
前回では見事に巨人を退治して、妖精郷を救う大活躍を演じた主人公のジャッキーですが、今回はいいところなし。
邪な意図を持った魔道師の仕掛けたワナにころっとだまされるわ、せっかく相棒のケイトが助けてくれたのに、のこのこ戻って行って捕まるわ・・・どこが主人公やねん。
前作の方が、面白さでは上でしたね。いや、これも面白いんですけど。
ちなみに、タイトルになっている“月のしずく”は、“冥土みやげ”の材料ではありません。

オススメ度:☆☆☆

2001.10.27


ファウンデーションの彼方へ(上・下) (SF)
(アイザック・アシモフ / ハヤカワ文庫SF 1996)

アシモフのライフワークとも言うべき『ファウンデーション・シリーズ』、その第4作です。
先立つ3部作を読んだのは高校生の時ですから、はるかな昔。でもだいたいのストーリーは覚えてました。
科学力で銀河系を支配する第1ファウンデーション。裏で糸を引く第2ファウンデーション。ところが、更なる第三者の存在が見え隠れしはじめ・・・。
そういや、思い出した。この話、新入社員の時、上司にハードカバーを借りて読んだんだった。
(仕事中にSF用語で会話できる職場って、けっこう珍しかったかも)
先の3作を知らないでも面白く読めるように仕上げてあるところは、さすがです。

オススメ度:☆☆☆☆

2001.10.28


銀の髪のローワン (SF)
(アン・マキャフリイ / ハヤカワ文庫SF 1994)

マキャフリイの新(いや、もう決して新しくはないんですけど(^^;)シリーズ、『九星系連盟シリーズ』の第1作です。
背景となる世界は、太陽系をはじめ、カペラ、アルタイル、デネブ、プロキオンなど、九つの恒星系から成る宇宙統合体。そして、互いに遠く離れた星系を支えるインフラが、“超能力”なのです。
この世界では、超能力は当たり前のものとなっており(もちろん個人差はあるし、超能力がない人もいます)、高い超能力を持つ人々が、星と星を結ぶ通信と輸送を担っています。つまり、送りたい物資(人も含めて)をテレキネシスで宇宙空間へ運び上げ、そこから目的地へテレポートさせるのです。相手方はそれを同様にテレキネシスで受け止め、地上に降ろす・・・というわけ。
超能力は距離による制約を受けませんから(という設定になっている)、何百光年も離れた場所と自由に行き来できるというわけです。
そんな世界を背景に物語られるのは、土石流に襲われた町でただひとり生き残った少女ローワン。
彼女は、惑星随一とも言える強力な超能力者でした・・・。
というわけで、あとはマキャフリイお得意のヒロイン成長物語。外れはないです。
(でも『歌う船』シリーズの方が好き)

オススメ度:☆☆☆

2001.10.31


青い瞳のダミア (SF)
(アン・マキャフリイ / ハヤカワ文庫SF 1995)

“九星系連盟シリーズ”の第2作。今回の主人公は、ローワンの次女ダミア。
でも、序盤の主人公は、前巻でローワンの補佐役として地味ながら活躍していたアフラ・ライアン。
「銀の髪のローワン」のストーリーが、アフラの視点から再び語られます。
そして、満を持して登場するダミア。勝ち気でおてんばで自意識過剰で・・・まあ、マキャフリイが描く典型的ヒロインですな。そのヒロインの成長過程が、ラブストーリーやエイリアンとの遭遇をからめて、いいテンポで展開していきます。
そして、ラストでは“未知との遭遇”が。

オススメ度:☆☆☆☆

2001.11.3


ダミアの子供たち (SF)
(アン・マキャフリイ / ハヤカワ文庫SF 1996)

“九星系連盟シリーズ”の3作目。(シリーズものをこういうふうに続けて読むってことは、自分的には珍しいんですが)
タイトルの通り、前作の主人公ダミアの子供たち(なんと8人の子供のうち、年長の4人。ダミアの血筋は多産系なのです)が、本編の主人公。4者4様のエピソードが語られるので、長編というよりオムニバス連作集のイメージがあります。
前作、前々作で遭遇したふたつの異星文明との関わり合いの中での少年少女の成長物語。
ただ、いろいろと思わせぶりな伏線が張られていますが、謎解きは次回作にて。
最終巻(多分ね)の「ライアン家の誇り」、読むのはもう少し先になります。
(いや、いろいろと順番待ちの事情が(^^;)

オススメ度:☆☆☆

2001.11.4


北人伝説 (冒険)
(マイクル・クライトン / ハヤカワ文庫NV 1993)

「ジュラシック・パーク」の作者クライトンが、1976年に発表した作品。
10世紀のアラブ人がバイキングの戦士たちと共に冒険した手記という形をとって、バイキングと“死者を食らう”邪悪な種族との対決を描いています。
語り手のアラブ人は歴史上の実在人物で、手記も実在のものですが、どこまでが史実でどこまでが虚構なのか、わざとぼかして書いてあるところが、さすがです。
しかし、巻末の「参考文献」のリストに、「ネクロノミコン」が入っているのにニヤリ。

オススメ度:☆☆☆

2001.11.5


暗黒の魔術師 (ファンタジー)
(デイヴィッド・エディングズ / ハヤカワ文庫FT 1996)

“聖騎士”スパーホークが活躍する『タムール記』の第4巻。
前巻の終わりで問題化していた内部対立も、新たな裏切り者の発覚で丸く収まりました。
で、前半は、その裏切り者の化けの皮をいかにして剥すか、というのが見所。
そして、世界を巻き込む陰謀の全体像が明らかとなり、勇者ご一行は、それに対応するために再び旅立ちます。
そんな中、後方に残された人々に魔の手が伸びて・・・。
というところで、次回へのお楽しみ。

オススメ度:☆☆☆☆

2001.11.7


ミステリアス・アイランド(上・下) (冒険)
(ジュール・ヴェルヌ / 集英社文庫 1996)

「海底2万里」とか「八十日間世界一周」で有名なジュール・ヴェルヌの、無人島冒険もの(そんなジャンルあるのか?)。
南北戦争のさなか、南軍の捕虜になっていた5人の男たちが、嵐の中、気球を奪って脱出します。首尾よく南軍の手からは逃れましたが、気球は風に乗って太平洋へ。
たどりついた先は南太平洋の絶海の孤島。かれらの手許には1本のマッチと一粒の小麦しかありませんでした。
しかし、かれらは常に前向きで、次々に試練を乗り越え、生活に必要なものを作り出していきます。それと、奇妙なことに、島にはかれらを助けてくれる、謎の存在が・・・。
結末に明かされるその大ネタなんですが、上巻の紹介文でバラされてしまっているのは、いかがなものかと思います。
そう言えば、このお話、女性がまったく出てきませんな。

オススメ度:☆☆☆

2001.11.10


偽神の霊薬 (SF)
(クラーク・ダールトン&H・G・エーヴェルス / ハヤカワ文庫SF 2001)

ペリー・ローダン・シリーズの275巻。
だいたい、25巻毎にストーリーの節目が来るのが、このシリーズなのですが。
やっぱりありました、新展開。まさかあんなことになっちゃうとは・・・。
これからの展開が、楽しみになってきましたね〜。
あ、ちなみにタイトルの「霊薬」は「エリキシル剤」のことではないです(当たり前)。
・・・と書いて原題を見たら、しっかり“ELIXIER”となっていました(汗)。

<収録作品と作者>「偽神の霊薬」(クラーク・ダールトン)、「西暦2000年への回帰」(H・G・エーヴェルス)

オススメ度:☆☆☆☆

2001.11.11


水晶のピラミッド (ミステリ)
(島田 荘司 / 講談社文庫 1996)

ピラミッドを舞台にしたミステリというと、クリスティの「ナイルに死す」があるし、エジプト学を背景にしたミステリにはヴァン・ダインの「カブト虫殺人事件」があります。クイーンの「エジプト十字架の謎」は・・・ちょっと違うか。
で、この「水晶のピラミッド」は、日本初のピラミッドミステリではないかと思います。ピラミッドの謎に関する蘊蓄も多いし。
なにしろ、序盤はいきなり太古エジプトの王子と純朴な娘の恋と悲劇が描かれ、それと平行して、あのタイタニック号の悲劇が語られます。そして、メキシコ湾の孤島に作られた「水晶のピラミッド」に出没するエジプトの邪神アヌビスという、江戸川乱歩の猟奇ミステリみたいな展開。
これだけの大風呂敷きを広げて、どのように収拾を付けるのか心配するほどなのですが、さすがというか、見事なトリックとどんでん返しの妙を味合わせてくれます。
ちなみに、同じ作者の「暗闇坂の人喰いの木」を読んでから、読む方がいいです。

オススメ度:☆☆☆

2001.11.14


X−ファイル 遺跡 (ホラー)
(クリス・カーター&ケヴィン・J・アンダースン / 角川文庫 1996)

小説版X−ファイルも本作で4冊目となりましたが・・・。
今までの中で、いちばん面白いです。
舞台はメキシコの密林の奥深くに眠る古代マヤ文明の遺跡。
ここを発掘しに来たアメリカの探検隊が行方不明になり、おなじみモルダー&スカリーのコンビが捜索に乗り出します。
古代文明の謎と「古代宇宙飛行士説」、麻薬マフィアと共産ゲリラ、さらに米軍特殊部隊と、役者も多彩。シリーズの中で、最もX−ファイルしてると思える作品です。

オススメ度:☆☆☆☆

2001.11.16


魔性の殺意 (ホラー)
(ジョン・ソール / 扶桑社ミステリー 1996)

根暗ホラーを書かせたら独壇場のジョン・ソールの最新作。
ていうか、この作品以来5年間、ソールの新作が日本では出てませんから、日本語で読める彼の全作品を制覇したことになります。決して大好きな作家ではないんですけど、チェック必須というか・・・。 とにかく暗いし、幼児虐待ばっかり描くし、読後感は悪いし・・・。
この作品は、彼には珍しく大都会を舞台にしており、現代的なサイコスリラー風味。
連続猟奇殺人犯が、死刑執行を前にして、彼を追い続けてきた女性ジャーナリストに謎の言葉を残します。「自分が処刑された後、またすべてが始まる・・・」
それと同時刻、彼女の夫が心臓発作を起こして瀕死の状態に。
そして、一家に忍び寄る魔の手・・・。
ラストの戦慄と後味の悪さは、さすがです(ほめてるんですよ、一応)

追記:ソールの新作は、「妖香」が2002年にヴィレッジブックスから出ています。

オススメ度:☆☆☆

2001.11.17


コールド・ファイア(上・下) (ホラー)
(ディーン・R・クーンツ / 文春文庫 1996)

帯には「これこそクーンツのベストだ!」とか書いてありますが・・・。
それほどたいそうなもんじゃありません(おい)。
いや、相変わらずツボを外さないクーンツ節は健在なんですが、テーマがちょいと小粒というか。プロットが単純というか(なんせ、主な登場人物はふたりだけ)。
それで、最後まで息つく暇なく読ませてしまうところはさすがです。
でも、「そこまで臆面もなくやるかあ!?」というのが、正直な見解(特にラストが)。

オススメ度:☆☆☆

2001.11.20


トリックスター(上・下) (ホラー)
(ムリエル・グレイ / 角川ホラー文庫 1996)

タイトルからは、なんとなくユーモラスな内容をイメージするかもしれませんが・・・。
大間違い。
盛大に吹き上がる血しぶき。容赦なく飛散する内臓。スプラッター全開のホラー小説です。
食事中や食後に読んではいけません。
「トリックスター」というのは、ネイティブ・アメリカン(舞台はカナダですが)の間に太古より伝わる邪悪な精霊のこと。主人公のサムは白人女性と結婚してふたりの子供と幸せに暮らしていたネイティブの青年。
しかし、彼は「トリックスター」と対決し、封印することを運命づけられたシャーマンの血をひいていたのでした・・・。
血みどろシーンが満載の割りには、読後感が爽やかな、変なお話でした。

オススメ度:☆☆

2001.11.23


フェアリー・テール(上・下) (ファンタジー)
(レイモンド・E・フィースト / ハヤカワ文庫FT 1996)

「フェアリー・テール」。訳せば「おとぎ話」。
でもこのお話は、そんな甘いお話ではありません。
ケルトの妖精世界が現代アメリカの農場に侵入し、現実世界が徐々にその基盤を失っていくダークファンタジーです。妖精物語の典型的なモチーフ、「妖精の花嫁」、「妖精の矢」、「取り換えっ子」といったイメージが、悪夢のような幻想世界を現出させます。
テーマも一級、ストーリーも一級。お勧めです。

オススメ度:☆☆☆☆

2001.11.26


星海への跳躍(上・下) (SF)
(ケヴィン・J・アンダースン&ダグ・ビースン / ハヤカワ文庫SF 1996)

これは、まごうかたなき傑作であります。
近未来、地球はアメリカとソ連(!)の核戦争で壊滅し、軌道上のラグランジュ点に建設されていたいくつかのコロニーと、月面基地だけが生き残ります。これは、その生き残った人たちの、人類の尊厳と未来を賭けた熱い物語です。
独裁者が恐怖政治を敷き始めるアメリカ・コロニー。KGBの陰謀が渦巻くソ連コロニー。そして、唯一、食料を自給できるようになっていたフィリピン・コロニー。かれらは、持てる知恵と技術のすべてを使って、互いに連絡を取り(取ろうとしない連中もいますが)、助け合おうとします。
まずは、読んでみてください。

オススメ度:☆☆☆☆☆

2001.11.29


アインシュタイン交点 (SF)
(サミュエル・R・ディレーニ / ハヤカワ文庫SF 1996)

ディレーニは、難解な作家です。寡作でもあり、日本でも本作を含めて6冊しか出版されてません(しかもそのうち3冊が絶版。持ってるけど)。
神話的異世界に、様々な隠喩を散りばめ、深読みすればいくらでも深読みできるという・・・。
表面だけ読んでると、なんか謎は解決されず、物語も終わったようで終わらず、釈然としない思いが残ります。この「アインシュタイン交点」もそう。題名から想像されるハードSF的イメージとは程遠い展開。
決して好きではないけど、気になって、読まずにはいられないというタイプの作家です。

オススメ度:☆☆☆

2001.11.29


吸血鬼エフェメラ (SF)
(大原まり子 / ハヤカワ文庫JA 1996)

日本人が書いた吸血鬼テーマの作品って、あるようで少ないんですよね(知らないだけかも)。
山田正紀さんの「氷河民族」くらいですか? 平井和正さんはゾンビーだし、半村良さんも魔女や人狼や獣人はあるけど、吸血鬼はなかった気が・・・。
で、この「吸血鬼エフェメラ」。スプラッターな吸血鬼テーマでありながら、しっかりSFしてます。そこがすごい。
こういうの、どこかで読んだことがあるな、と思ったら、あれでした。R・マシスンの「地球最後の男」。新たなビジョンの展開が壮大。ストーリーもテンポが良く、さくさく読めました。

<収録作品>「エフェメラ」、「コンビニエンスの霊媒師」、「トーキョー・シー・デビル」、「愛撫」、「時雨」、「夜明けの宴」

オススメ度:☆☆☆☆

2001.11.30


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