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イクシーの書庫・過去ログ(2002年7月〜8月)

<オススメ度>の解説
 ※あくまで○にの主観に基づいたものです。
☆☆☆☆☆:絶対のお勧め品。必読!!☆☆:お金と時間に余裕があれば
☆☆☆☆:読んで損はありません:読むのはお金と時間のムダです
☆☆☆:まあまあの水準作:問題外(怒)


内なる宇宙(上・下) (SF)
(ジェイムズ・P・ホーガン / 創元SF文庫 1997)

ホーガンの代表作、『巨人たちの星』シリーズの第4作。
でも、ここで内容を語るとシリーズ全体のネタバレになってしまうので、ご紹介できません(汗)。本書の解説にも、「本書にかかる前に、まず、シリーズ前3作をなるべくお読みください」と明記してあります。
シリーズ第1作は、ホーガンの処女作で、月面で発見された宇宙服姿の謎の死体(その死体は実は5万年前のものだった!!)を発端に、太陽系と地球人類文明の歴史を壮大に描き出すハードSFでした。ひとつ謎が解けると、すぐに次の謎が出てくるという、マニア好みの展開。SF好きにもミステリ好きにもお勧めです。
ということで、シリーズ作品の書名を挙げておきますので、ぜひ第1作からお読みください〜。
「星を継ぐもの」「ガニメデの優しい巨人」「巨人たちの星」そして本書。

オススメ度:☆☆☆☆

2002.7.3


聖なる血 (ホラー)
(トマス・F・モンテルオーニ / 扶桑社ミステリー 1997)

これは、世紀末を舞台に、キリスト教をテーマにしたホラーです。
主人公は若いカトリックの司祭。彼は、ニューヨークの下町でジョギング中、強盗に襲われます。今にも強盗が銃を発射しようとした時、司祭の右手から電光がひらめき、強盗は黒焦げの死体となってしまいます。
“奇跡”を現出させた主人公は、バチカンに呼び出され、自分の出生の秘密を知らされます。彼は、なんと●●●●の・・・。
主人公以下のキャラクターは生き生きと描き出されていますが、ストーリーは後半ちょっと強引な展開になります。ああいうオチになるとは思っていませんでしたが。なんとなくメガテン風。
続篇
「破滅の使徒」が出ています。

オススメ度:☆☆☆

2002.7.9


フォーリング・エンジェル (ホラー)
(ナンシー・A・コリンズ / ハヤカワ文庫FT 1997)

パンクでハードボイルドな女吸血鬼ソーニャ・ブルーが主人公の“ミッドナイト・ブルー”3部作の最終巻です。
とうとう、ブラッドマスターでもある宿敵モーガン卿との抗争に決着が着きます。同時に、ソーニャの内部に潜んでいた別存在との葛藤にもケリが。
前巻でモーガン卿の秘密実験で生み出された謎の少女レーテの正体も明かされ、最後は壮大なビジョンが示唆されます。その分ちょっとストーリー展開が強引になってしまい、描き込み不足な気もしますが。(続編書くネタはいろいろありそう・・・って、続編出てます)
自然死(?)した吸血鬼がどうなるかという謎解きは面白かったです。

オススメ度:☆☆☆

2002.7.11


虚無への追放 (SF)
(ウィリアム・フォルツ&クルト・マール / ハヤカワ文庫SF 2002)

ペリー・ローダン・シリーズの281巻。6月は刊行がない月だったので、2ヶ月ぶりです。
そろそろこの“大群”サイクルも終わりに近付いているはずなのですが、ストーリー上はあまり大きな進展はなく・・・。
今回、後半のお話はマールさんの作品。最近のローダン作家さん(ローダン・シリーズは複数作家のリレー式小説です、念のため)の中では、彼の作風がいちばん好きです。気合入ってる気がするし(別に名前がクルトさんだからってことではないです(^^;)。
しかし、これだけ数が増えてくると、タイトルのネタがなくなって来やしないかと、他人事ながら心配になってきますな。「虚無への探索」という似たようなタイトルが以前ありましたが(48巻だったっけ?)。

<収録作品と作者>「虚無への追放」(ウィリアム・フォルツ)、「太陽系捜索」(クルト・マール)

オススメ度:☆☆☆

2002.7.12


潜水艦戦争1939-1945(上・下) (ノンフィクション)
(レオンス・ペイヤール / ハヤカワ文庫NF 1997)

“潜水艦”ものというと、小説では「レッド・オクトーバーを追え」、マンガでは「沈黙の艦隊」、映画だと「眼下の敵」というあたりが印象に残っています。どれも面白かったし。
で、この「潜水艦戦争」ですが・・・。
第二次世界大戦における、各国の潜水艦を使った軍事作戦や戦闘について、網羅的に書かれています。太平洋、大西洋、地中海から北極海まで。
ただ、作品の性格上、ドラマ性は薄いです。元より潜水艦自体が、戦争の中では地味な存在ですし。物語としての面白さを期待してはいけません。貴重な戦争記録集としてなら評価できるのですが・・・。
とにかく、つまらなかったよぉ・・・。

オススメ度:☆

2002.7.18


宇宙のランデヴー4(上・下) (SF)
(アーサー・C・クラーク&ジェントリー・リー / ハヤカワ文庫SF 1997)

地球に謎の巨大物体(実は円筒形の宇宙船)が近付いてくることから始まった大河SF(どなたもそういう表現はしておられませんが)、『宇宙のランデヴー』シリーズ完結篇です。
第1作では、「ラーマ」と名付けられた謎の物体が、結局謎のままで終わったのですが、
第2作以降は、再来した「ラーマ」に乗せられて宇宙を旅する人類の小グループを主役に、様々な異生物との遭遇、謎解き、冒険といった、SFの王道を行く展開を見せます。
そして、ついにクライマックスでは「ラーマ」を作った謎の種族について解き明かされるのかと思って、わくわく読み進んでみたら・・・。
ん〜む、そういう終わり方って、あるんかい!?(ちょっと期待外れ)
でも、それ以外にどんな終わり方があると言われると、答えに窮するんですが。

オススメ度:☆☆

2002.7.23


怪奇の国ニッポン (ノンフィクション)
(荒俣 宏 / 集英社文庫 1997)

「週刊プレイボーイ」誌上で、96年〜97年に連載されていた「新日本妖怪巡礼団」を文庫化したものです。だから厳密に言うと著者が荒俣さんというのは正しくないかも。
とはいえ、荒俣さんを先頭に日本中に伝わる怪異や妖怪伝説を訪ねて歩こうというこの企画。
図版も満載で、なかなか楽しめる作りになっています。
人魚のミイラとか、地獄めぐりとか、中でも面白かったのは「稲生物怪録」の話。稲垣足穂(←漢字あってましたっけ?)さんの小説で読んだことがあったのですが、なるほど、元ネタはこれだったのね。

オススメ度:☆☆☆

2002.7.25


ミレニアム1 新たなる一千年へ (ホラー)
(エリザベス・ハンド / 徳間文庫 1997)

タイトルだけ見ると、なにやら壮大なSFっぽい内容を想像してしまうのですが・・・。
大ハズレです。
なんでも「ミレニアム」というのは、異常犯罪に対処するために結成された民間組織で、主人公はその組織に属する超能力者。彼が毎回、猟奇犯罪の謎を解いていく・・・というお話。元々はアメリカのTVシリーズで、「X−ファイル」を製作したクリス・カーターが2匹目のドジョウを狙って作ったシリーズだそうな。それのノヴェライゼーションというわけですな。
肝心のお話の内容は・・・見るべきところなし。ストーリー展開は強引だし謎解きも面白くも何ともない。次回に向けての“引き”もわざとらしいですし(かなり「X−ファイル」を意識してるけど失敗してる)。
これ、シリーズ
3作目まで徳間から出てるんですよね。買っちゃってるんですよね。ちょっと後悔・・・。

オススメ度:☆

2002.7.26


聖徳太子の叛乱 (歴史)
(豊田 有恒 / 徳間文庫 1997)

えっと。聖徳太子が叛乱を起こす話です。
と言っちゃあ身もフタもない話なので、ちと補足しますと・・・。
これは、歴史の「if・・・?」を扱っているのですな。
実際の歴史では、蘇我氏が物部氏を倒して仏教を奉じた国家が建設されるわけですが、この物語の歴史ではそれが反対になっていて、別の天皇が即位し仏教は弾圧されています。
それに叛旗を翻したのが厩戸王子=若き日の聖徳太子ということで。
正史をもっと詳しく知っていれば、より楽しめるのでしょうけれど、日本史苦手だったんだよね・・・。
それと、仏教徒が残虐な手段で処刑される刑場のことを「殺庵」と書いて「ころしあむ」と読ませるのは、ちとやり過ぎなんじゃあ・・・こういう古語って、あるんですか?

オススメ度:☆☆

2002.7.28


グランド・バンクスの幻影 (SF)
(アーサー・C・クラーク / ハヤカワ文庫SF 1997)

時は西暦2012年。
タイタニック沈没百周年を記念して、大西洋に沈んだタイタニック号を引き揚げようという大プロジェクトが開始されます。
その流れを(計画から実施まで)、様々な登場人物の短いエピソードを積み重ねながら、いろいろな科学知識を散りばめて淡々と語っていきます。
「西暦2000年問題」も取り上げられているし、「フラクタル理論」とかも(いまいち理解しきってませんけれど)、「海底の巨大生物」とか。
最後まで淡々としているところが、いいと言えばいいし、ちと盛り上がりに欠けるという気もしますし。

オススメ度:☆☆

2002.7.29


クトゥルー10 (ホラー:アンソロジー)
(大瀧 啓裕編 / 青心社文庫 1997)

20世紀アメリカが生んだ暗黒神話体系“クトゥルー神話”のアンソロジー第10巻。
さすがに10巻目ともなると、原書のネタも尽きてきたのか、箸にも棒にもかからぬ駄作も混じっています。編者の大瀧さんも、苦労してるんだろうなあ。
今回、全体の7割弱を占めているのが、ラヴクラフト最大の(唯一の?)長編小説「チャールズ・デクスター・ウォード事件」。以前、創元推理文庫版で読んだ時には、これが“クトゥルー”に属するという意識はなかったんですが、今読み返してみると、ちゃんと“クトゥルー”ですね。

<収録作品と作者>「ファルコン岬の漁師」(H・P・ラヴクラフト&オーガスト・ダーレス)、「妖術師の宝石」(ロバート・ブロック)、「クラーリッツの秘密」(ヘンリイ・カットナー)、「クトゥルーの眷属」(ロバート・シルヴァーバーグ)、「グラーグのマント」(フレデリック・ポール&H・ドクワイラー&R・A・W・ロウンデズ)、「アルハザードのランプ」(H・P・ラヴクラフト&オーガスト・ダーレス)、「チャールズ・デクスター・ウォード事件」(H・P・ラヴクラフト)

オススメ度:☆☆

2002.8.1


X−ファイル 呪われた抗体 (ホラー)
(クリス・カーター&ケヴィン・J・アンダースン / 角川文庫 1997)

「X−ファイル」のオリジナル小説版、第5巻目です。
今回は、ガンの新しい治療法を研究していた研究所が爆破され、その焼け跡を警備していたガードマンが不審な死を遂げます。その死体は、なんらかの異常な病原体に冒されていました。
研究所長の妻子も失踪し、おなじみFBI捜査官のモルダー&スカリーコンビはその謎を追います。
つい最近、同じクリス・カーターがプロデュースする
「ミレニアム」の小説版を読んで、とほほな気分になっていましたが、今回は素晴らしい出来。やはりネタの優劣というか、作者の力量の差がもろに出ていますな。
結末も鮮やかで、すがすがしい読後感が残ります。

オススメ度:☆☆☆☆

2002.8.3


水の都の王女(上・下) (ファンタジー)
(J・グレゴリイ・キイズ / ハヤカワ文庫FT 1997)

以前に取り上げた「氷の城の乙女」と酷似したタイトルですが、別に何の関係もなく、まったくの別作家・別作品です。
でも、この「水の都の王女」、面白いです〜。
いわゆる異世界ファンタジーなんですが、世界観が秀逸。特に系統だって紹介されるわけではないので、序盤はついていくのがちょっとしんどいですが、中盤以降は一気呵成。
プロットは二重構造になっていて、一方は、大河の神の血をひく王が支配する都市国家(これがタイトルの「水の都」ですな)の12歳になる王女が、自分の血にまつわる謎を解こうとする物語。もう一方は、北の大地に住む蛮族の青年が、冒険の末に神の宿る剣を手に入れ、さらに神に導かれて大河を下って来る。そして、このふたりの運命が交わる時・・・という筋立て。
どのキャラも存在感十分で、読んでてわくわくします。特に都の「図書保管室」にいる老司書のガーンさんが、いい味出してます(ポストさんみたいだ・・・)。
クライマックスの“燃える展開”は圧巻。
ファンタジー好きな方、必読です。
続編も出ています。

オススメ度:☆☆☆☆

2002.8.7


世界の謎と不思議百科 (オカルト)
(ジョン&アン・スペンサー / 扶桑社ノンフィクション 1997)

タイトル通り、世界中の超常現象について百科事典的にコンパクトにまとめたもの。全部で82項目あって、以前から知っていたものから今回はじめて知ったものまで、いろいろです。
著者は肯定派でも否定派でもなく、超常現象に対してバランスの取れたスタンスを取っているので、内容に説得力があります。
項目の中には、読んでて思わず背筋がゾッとするようなものもあって(「ヘクサムの頭像」とか)、夏向きかも。

オススメ度:☆☆☆

2002.8.10


殺戮のキャンパス (ホラー)
(リチャード・レイモン / 扶桑社ミステリー 1997)

前作「殺戮の<野獣館>」で日本デビューしたリチャード・レイモンの日本紹介第2作。
前作と同様、B級スプラッターのノリで、最初から飛ばします。50ページにひとりの割りで、死にます。
今回は、舞台が学園都市、主人公は女子学生と警官・・・ということで、青春学園ものの雰囲気もうまく出ています。
怪物の正体が、前半のかなり早めで割れてしまうのですが、それ以降が本筋。怪物の視点と被害者の視点、双方から描かれるために、緊迫感がいや増します。(でも、この怪物のネタって、あのハインラインの侵略SFと同じだよな・・・)
前作のように救いのないラストになるんじゃないかとハラハラして読み進みましたが、とりあえず今回はまともな終わり方でした。一安心。
怪物ホラーがお好きな方は、要チェックかも知れません。

オススメ度:☆☆

2002.8.13


怪物狩り (SF)
(H・G・エーヴェルス&エルンスト・ヴルチェク / ハヤカワ文庫SF 2002)

ペリー・ローダン・シリーズの最新刊。282巻です。
ん〜、たしかにそれなりに面白いんですが、ここ数巻、話の展開がワンパターンっぽくなってる気がします。
そろそろ次の展開を期待したい・・・。
今回、後半で出てきた謎の存在が、鍵になるのでしょうか・・・?

<収録作品と作者>「怪物狩り」(H・G・エーヴェルス)、「時間、変異す」(エルンスト・ヴルチェク)

オススメ度:☆☆☆

2002.8.15


リメンバー・ミー2 さまよえる美女霊 (ホラー)
(クリストファー・パイク / 集英社文庫 1997)

女子高生の幽霊が主人公の「リメンバー・ミー」シリーズの第2作です(ちなみに第3作で完結らしい)。
前回、バルコニーから転落死して幽霊になった主人公シャリーが、自分を突き落として殺した犯人を見つけ、その顛末を兄に乗り移って原稿に仕上げるというところで終わっていましたが・・・。
今回は、シャリーが別の女子高生に転生します。相手の女子高生ジーンは、シャリーがロサンゼルスの上流階級の娘だったのに対して、スラムに住むヒスパニック系の少女。シャリーと同じようにバルコニーから転落したところで、シャリーが転生するという形になります。
転生前の霊界でのエピソードとジーンの物語が平行して語られ、伏線も周到で、結末ではなるほどとうならせられます。
でも、ちょっと霊界でのお話がお説教じみていて、ううむな感じ。第3作へのつなぎの回といった感じですね。

オススメ度:☆☆

2002.8.17


フェラーラの魔女 (ヒロイック・ファンタジー)
(栗本 薫 / ハヤカワ文庫JA 1997)

グイン・サーガ外伝の11巻目。
前作「幽霊島の戦士」にて、誘拐されたケイロニアの皇女シルヴィア(やっぱり“皇女のドレス”着用なんだろうか(^^;)を探し、単身旅立ったグイン。
今回は黄昏の国を越え、謎を秘めた東方の国キタイへ舞台は移ります。
人と妖魔が普通に入り混じって生活している神秘の町フェラーラ。このあたりの描写は、まさに妖かしの美というにふさわしく、鬼気迫るものがあります。
サーガ本編の方でも存在がほのめかされている、キタイの竜王(その正体は、外伝第1巻を読んだ人にはおなじみのヤ●●●・●ッ●!)や黒魔道師連合に関しても言及があり、これからのグインの運命に対する興味がいや増します。

オススメ度:☆☆☆☆

2002.8.18


 (ミステリ)
(エラリイ・クイーン / ハヤカワ・ミステリ文庫 1993)

クイーンのミステリを読むのは久しぶりです。
思えば、中学1年の春、初めて読んだ本格ミステリがクイーンの「Yの悲劇」でした。
あれから幾星霜(遠い目)。
創元推理文庫版は中学の3年間でほとんど制覇し、ハヤカワ・ミステリ文庫版も高校時代に7割方読破して、今は読み残したのをちょこちょことチェックしては読んでいるわけですが。
この作品「顔」では、犯人も犯行方法も、ほぼ最初から読者の前に暗示されてます(というか明示に近い)。でも、なぜか解けない謎がある、というクイーンらしいプロット。
被害者が残したダイイング・メッセージの謎解きは意外とあっさりめですが、ユーモアとペーソスが入り混じったクイーンらしい佳品です。

オススメ度:☆☆☆

2002.8.20


リメンバー・ミー3 私は二度死ぬ (ホラー)
(クリストファー・パイク / 集英社文庫 1997)

幽霊女子高生(ちと誤解を招きそうな表現ですが)が活躍する『リメンバー・ミー』3部作の完結篇です。
舞台は
前巻から3年後。前巻で別の女子高生ジーンに転生したシャリーは、売れっ子作家になっていました。自作が映画化されることになり、ハリウッドに乗り込みます。そこで出会った俳優ロジャーには、謎めいた魅力があって・・・。ロジャーに触発されたシャリーは、新たなSF小説を書き始めます。でも、そのストーリーには彼女自身も知らない秘密が・・・。
プロットは複雑に見えるけど底が割れてるし、登場キャラも盛り沢山なのですが、ストーリーは追いかけるのが精一杯で、書きこみが不足しているような気がします。輪廻転生やらカルマやらというネタは、日本では常識(?)ですが、向こうでは目新しいんでしょうね。
このシリーズ、第1作がいちばん面白かったです。

オススメ度:☆☆

2002.8.21


銀河英雄伝説6 飛翔篇 (SF)
(田中 芳樹 / 徳間文庫 1997)

5巻からかなり間が空いてしまいましたが、すぐにこれまでのストーリーを思い出し、のめりこむことができました。
前巻でいったん落ち着いた銀河の情勢は、再び動き始めます。
ラインハルトは暗殺されそうになるし、結婚・引退したヤンの周辺には、なにやらきなくさい空気が漂い始めます。
そして、事態は急速に動きます。
これまで周到に張られていた伏線が次々と生きてくる燃える展開、痛快です。
また更に今後へ向けた布石もいろいろと打たれているみたいで・・・今後がますます楽しみです。

オススメ度:☆☆☆☆

2002.8.21


死の扉は二度ひらく (ホラー)
(タナナリヴ・デュー / 角川文庫 1997)

主人公は黒人で、7歳の時に海でおぼれ、生死の境をさまよったことがあります。
現在では妻とふたりの子供に恵まれ、幸せに暮していたのですが・・・。
人種差別者からの脅迫状が届き始め、それとともに主人公は自分や家族が死ぬという内容の悪夢を見るようになります。悪夢の謎を解くため、催眠療法を受けた主人公は・・・。
という具合で、最初から最後まで暗鬱な雰囲気のホラーです。怪異の真相は読者には暗示されるのみで、やや唐突に物語は終わります。でも一応これでもハッピーエンドなんだろうな。

オススメ度:☆

2002.8.23


名誉のかけら (SF)
(ロイス・マクマスター・ビジョルド / 創元SF文庫 1997)

うわ〜、久しぶりのビジョルドだよ〜! ヴォルコシガン・シリーズだよ〜!!!
・・・・・。
え〜、のっけから興奮してしまって、失礼しました(汗)。
今回、シリーズ主役のマイルズは出てきません。これは、彼が生まれるずっと前のお話。
なんと、マイルズの両親の馴れ初めの記なのです。
ベータ植民惑星の天体調査隊長コーデリア(後のマイルズのお母さん)は、原始惑星を探査中、バラヤー帝国軍の襲撃を受け、捕虜になります。ところが、彼女を捕らえたバラヤー軍の指揮官アラール(後のマイルズのお父さん)も、実は部下に造反され孤立してしまいます。力を合わせて艦を奪還する中で、ふたりの間に友情めいた感情が芽生えてきます。でも、それは新たな戦いの始まりに過ぎませんでした・・・。
いつものことながら、錯綜したプロットを見事に紡ぎあげ、波乱万丈驚天動地熱烈感激の燃える展開(わーい)。
これまでのシリーズ作品の中で、出番は少ないけれど圧倒的な存在感を持っていたコーデリアが、知的で勇敢、繊細で行動力のある魅力的なヒロインを演じています。
後のバラヤー機密保安庁長官イリアンの若き日の姿や、マイルズの初恋の相手エレーナの出生の秘密などが描かれ、シリーズファンにとっては嬉しい限り。
それにしても、何ですね。面白い作品ほど、あっという間に読み終わってしまうんですね・・・。

オススメ度:☆☆☆☆☆

2002.8.26


幻の特装本 (ミステリ)
(ジョン・ダニング / ハヤカワ・ミステリ文庫 1997)

「死の蔵書」に続く、古本屋探偵が主人公の人情ミステリ。
古本屋探偵というと、日本では紀田順一郎さんの一連のシリーズがありますが、この作品の主人公は元警官だけに、単なるディレッタントでなく、白兵戦も銃撃戦も辞しません。
主人公クリフは、元同僚からある仕事を依頼されます。それは、莫大な価値があると言われるポオの「大鴉」の特装本を持ち逃げした女を捕まえて連れ戻すこと。
興味にかられたクリフは事件の渦中に身を投じますが、やがて今回の事件は過去に起こった連続殺人事件に関連があることに気付きます。別々の場所で起こった何の関連もないと思われた殺人事件には、実は共通点があったのです・・・。
ハードボイルド風味も良いのですが、本好きにとってたまらないのは、作中で語られる本への愛情と薀蓄です。
でも、「本に自分の名前を刻印するようなやつは地獄に落ちろ」みたいな記述があって、どきりとしました。読み終わった本に蔵書印を押してる自分って・・・(汗)

オススメ度:☆☆☆

2002.8.28


人類狩り (SF)
(ディーン・R・クーンツ / 創元SF文庫 1997)

これは、創元さんの復刊フェアで入手可能となったものです(ビバ! 復刊!!)。
以前は「ビーストチャイルド」というタイトルで出ていたもので、なんと、あのクーンツが大ブレイクする遥か前に書いていたSF作品です。「デモン・シード」や「悪魔は夜はばたく」よりも以前の作品。
人類は星間戦争に敗北し、地球は爬虫類型のエイリアンに占領されていました。地球人は、発見され次第、殺される運命にあります。
ところが、ある都市の残骸で地球人の男の子と出会ったエイリアンの隊長は、不思議な衝動に襲われ、その子を助けてしまいます。しかし、その行動はそのまま種族への裏切り行為であり、男の子とともに逃げ出した彼は、遺伝子操作され全身が殺戮兵器と化した<追跡者>に追われることになります。
追いつ追われつの緊迫感あふれる追跡劇は、クーンツのお得意とするところで、後の「ウォッチャーズ」や「戦慄のシャドウファイア」を彷彿とさせる場面が連続します。
でもまあ、やっぱり後年の、全盛期のクーンツに比べれば、構成が甘いところも数々。結末もあっさりし過ぎている感がありますが、これもクーンツだからという期待感の裏返しでしょうか。

オススメ度:☆☆☆

2002.8.30


運命のマルガ (ヒロイック・ファンタジー)
(栗本 薫 / ハヤカワ文庫JA 1997)

グイン・サーガの第58巻です。
読む前は、もしかしたらこの巻が今までの中で一番地味かな〜、とか思っていたのですが。
なんせ登場人物4人だけだし。
でも、そんな予想は見事にくつがえされました。
確かに、平たく言えば「イシュトヴァーンがアルド・ナリスと密談するお話」というだけなのですが、その内容がものすごい。
まさに、全巻のターニング・ポイントとなるようなエピソードなのでした。
それにしても、ここで決断しちゃうとは・・・。
ますます続きが(と言っても、もう80何巻まで出ちゃってるんですけど)楽しみです。

オススメ度:☆☆☆☆

2002.8.31


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