春の微熱 (コミック)
(清原 なつの / ハヤカワ文庫JA 2002)
本来、こちらの書庫ではマンガは取り上げないのですが、今回は例外。
十代の一時期、少女マンガの「りぼん」にハマッていたことがありました。
中でも好きだったのが、清原なつのさんのマンガ。他のマンガ家さんとは違う、独自のカラーがありました。(個人的には“理系少女マンガ”と勝手に呼んでいますが)
その清原さんのマンガ(発表時期は80年代)が、なぜか早川書房から文庫で刊行されているのを知って、嬉しいと同時に不思議に思いました。誰かが気に入って再刊する気になったんですかね。
これまで3冊が刊行されています。「千の王国百の城」と「アレックス・タイムトラベル」そして本書。先の2冊は、どれも既にコミックスで持っている作品ばかりだったので買っていなかったのですが、今回は見なれないタイトルのものがあったので、迷いなく購入。でも、読んだことがあるやつでした(汗)。
彼女の作品は、歴史ものからSF、学園ものとレパートリーが広いのですが、ストーリーとは離れたところでの作者のお遊びがとっても好きです。
<収録作品>「春の微熱」、「うぶ毛の予感」、「セーラー服の気持ち」、「優しい季節」、「なけなしのラブストーリィ」、「ABCは知ってても・・・」、「今6月の季節の中の」、「俺たちは青春じゃない」、「森江の日」、「群青の日々」
オススメ度:☆☆☆☆
2002.5.11
千の王国百の城 (コミック)
(清原 なつの / ハヤカワ文庫JA 2001)
えっと、例外その2(笑)。
ハヤカワ文庫版の清原なつのさん作品集の1巻目を入手しました。
解説を、SF評論家で翻訳家の大森 望さんが書いておられるのですが、それを読んでびっくり。
実は、彼のPN「大森 望」は、清原さんの作品「私の保健室へおいで・・・」に登場する明朗高校生「大森 望」くんから取ったというのですね。
なぜびっくりしたかというと、○にも同じだったから。学生時代から使っているPN「村木 一郎」というのは、清原さんの「村木くんのネコぶるーす」というマンガの主人公にちなんだものだったのです(下の名前は違うけどね)。たしかにこの村木くん、当時の自分と性格も外見もそっくりだったのですよ。
この巻は、SFと歴史もの中心でまとめられており、少女マンガという枠を超えた彼女独特の世界が展開されています。
<収録作品>「お買い物」、「アンドロイドは電気毛布の夢を見るか?」、「千の王国百の城」、「千の王国百の城2」、「真珠とり PATTERN・1 小夜子」、「真珠とり PATTERN・2 華子さーん」、「真珠とり PATTERN・3 まりあ」、「金色のシルバーバック」、「銀色のクリメーヌ」
オススメ度:☆☆☆☆
2002.5.19
アレックス・タイムトラベル (コミック)
(清原 なつの / ハヤカワ文庫JA 2001)
えっと、例外その3(笑)。
ハヤカワ文庫版の清原なつのさん作品集第2集。これでとりあえず刊行済みの3冊はすべて入手しました。
しかし、なぜ清原さんの作品集が早川さんから出ることになったのでしょうか?
これはどうも、早川さんの社内に清原さんファンがいて、SFマンガだからということで文庫で出すことを承知させ、そしていずれはSF色のないものも含めて全作品を出版しようとしているに違いありません(←あくまで個人的な想像ですが)。
願わくは、この想像が当たっていて、「花岡ちゃん」シリーズをはじめとした初期作品も続々と刊行されてほしいものです。
そしてもちろん、新作も、ね。
<収録作品>「未来より愛をこめて」、「未来の園から」、「ロゼ」、「ローズガーデンの午後」、「思い出のトロピカル・パラダイス」、「流水子さんに花束を」、「聖バレンタインの幽霊」、「カメを待ちながら」、「飛行少年モッ君の場合」
オススメ度:☆☆☆☆
2002.6.9
私の保健室へおいで・・・ (マンガ)
(清原 なつの / ハヤカワ文庫JA 2002)
ハヤカワ文庫版の清原なつのさん作品集、最新刊にして第4巻。
タイトルストーリーの「私の保健室へおいで・・・」も大好きな作品ですが、未読の作品が3つも載っていて、ラッキー♪な気分です。
でも、未読作品だった「空の色 水の青」とか「Children hour」とか、こんな描き方もできるんだ!?と衝撃的です。料理方法を一歩間違えばレディースコミックに堕してしまうネタを、鮮やかな手際でピュアな物語に仕上げている・・・見事です。
解説のとり・みきさんの清原なつの論にも、思わずニヤリ。(そういえば、とり・みきさんも、マニアックなネタの処理のし方が大好きなマンガ家さんです)
<収録作品>「WITHOUT YOU」、「空の色 水の青」、「Children hour―子供の時間―」、「あざやかな瞬間」、「ゴジラサンド日和」、「5時からの咲也」、「8月の森を出て河を渡って」、「私の保健室へおいで・・・」
オススメ度:☆☆☆☆
2002.6.15