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イクシーの書庫・過去ログ(2002年5月〜6月)

<オススメ度>の解説
 ※あくまで○にの主観に基づいたものです。
☆☆☆☆☆:絶対のお勧め品。必読!!☆☆:お金と時間に余裕があれば
☆☆☆☆:読んで損はありません:読むのはお金と時間のムダです
☆☆☆:まあまあの水準作:問題外(怒)


炎の天使 (ファンタジー)
(ナンシー・スプリンガー / ハヤカワ文庫FT 1997)

ナンシー・スプリンガーといえば、“アイルの書”5部作。読んだのはもう十数年前です。中でも「銀の陽」は、ファンタジーの中でも最高の一品だと思っています。
で、久しぶりのスプリンガーを期待して読み始めてびっくり。
舞台は現代のロサンゼルス。地上に降りた天使(なぜか翼がついたまま)が、ロックスターになってしまうという、どこかでみたようなストーリー。
おいおい、どうしちゃったのスプリンガー!?
天使と歌、というネタだと、R・A・マカヴォイの“魔法の歌”3部作なんてのがありましたけど、“魔法の歌”はルネサンス期のイタリアが舞台。あと吸血鬼とロックというネタもけっこうたくさんあって、かのヴァンパイア・レスタトもロックスターになってます。
そんな、耽美系ロマンなのかと思って読んでいくと、あら不思議。
中盤から後半にいたって、ぐいぐいと引きこまれ、気が付けば「銀の陽」と同じようなすがすがしい読後感に酔っていました。
ここで語られるのは、人と人との絆の素晴らしさ。
やっぱりスプリンガーは、スプリンガーでした。

オススメ度:☆☆☆☆

2002.5.2


トミーノッカーズ(上・下) (ホラー)
(スティーヴン・キング / 文春文庫 1997)

これは、キング版“未知との遭遇”です。
“未知との遭遇”ネタと言えば、クーンツにも「ストレンジャーズ」という大作がありましたが、この「トミーノッカーズ」も質・量ともに双璧といえます。
でも、ネタの調理の仕方が、キングとクーンツでは全然ちがう。
クーンツ作品がある意味、健康的スリラー(って変な表現ですが)なのに対し、キング作品には病的なにおいが付きまといます(結末がどういうふうになるのか予断を許さないし)。ぬるぬるぐちゃぐちゃと、生理的嫌悪感を覚える描写も。でも読み始めたらやめられないのがキングの魔力です。
ちなみに、「トミーノッカー(単数)」というのは、アチラの童謡に出てくる妖精というか妖怪のことだそうで(メガテンに出てきた「ノッカー」が、これですな)。

オススメ度:☆☆☆☆

2002.5.4


グリーン・マイル5 夜の果てへの旅 (ホラー)
(スティーヴン・キング / 新潮文庫 1997)

連作長編『グリーン・マイル』の第5巻。
死刑囚コーフィの手に宿る奇跡の力を信じた看守たちは、不治の病に冒された刑務所長の妻を助けるために、行動を起こします。
そして、奇跡は起こり・・・。
あと
1巻を残すのみですが、キングはどんな結末を用意しているんでしょう?
なんか、5巻目になっても、ずいぶん淡々としてるな、という感じなんですけど。

オススメ度:☆☆☆

2002.5.5


野望の序曲 (ヒロイック・ファンタジー)
(栗本 薫 / ハヤカワ文庫JA 1997)

グイン・サーガ第56巻(う〜ん、やはり読むのが5年遅れてるな(汗))です。
「紅玉宮の惨劇」に始まったクム・ユラニア国境付近での戦乱も、一応今回で終結しましたが、息つく暇もなく、新たな動きが。
やっぱり“陰謀篇”よりは“戦乱篇”の方がすっきりしますね。
ところでグインはどうしてるんだろ? あとマリウスも。

オススメ度:☆☆☆

2002.5.6


殺戮の<野獣館> (ホラー)
(リチャード・レイモン / 扶桑社ミステリー 1997)

こりゃもう、とんでもないホラー小説です。
いわゆる“スプラッタパンク”の代表作で、早い話が悪趣味。とどのつまりがエログロ。
SM趣味は横溢してるは、ロリコンの変質者は出没するわ、解説で風間賢二さんがおっしゃってるように、「良識を欠いたクーンツ」という評がぴったり。
ストーリー展開も強引で、力技で無理矢理押し倒されて(?)読まされてしまう、という感じ。
解説に「ダウンビートな結末」という表現があって、ダウンビートってどんな意味だ?と思って辞書をひいてみました。
downbeat=陰鬱な
なるほど。納得。
実は、
続編も出ています。

オススメ度:☆

2002.5.7


レリック(上・下) (ホラー)
(ダグラス・プレストン&リンカーン・チャイルド / 扶桑社ミステリー 1997)

ん〜、これはなかなかすごい。伝奇SFホラーの快作です。
ニューヨークの博物館で、南米アマゾンの奥地で採取された謎の像が公開されます。それを採取した探検隊は2人が現地で死に、残りも飛行機事故で全滅したといういわくつきのもの。
それと前後して、博物館で謎の連続殺人事件が発生します。被害者は鋭い鉤ツメのようなもので切り裂かれ、脳を食われていました。で、その殺人鬼の痕跡をDNA鑑定してみると、意外な事実が・・・。
というわけで、テンポも快調、仕掛けは上出来、キャラクターも立っています。
思わせぶりなラストも、
続編を期待させて吉。

オススメ度:☆☆☆☆

2002.5.10


ゴースト・トラップ (ホラー)
(ナンシー・A・コリンズ / ハヤカワ文庫FT 1997)

女吸血鬼ソーニャ・ブルーを主人公とするシリーズ第2作。
前作の設定をそのまま生かし、前作よりもストーリーがストレートになっている分、テンポよく読めます。
今回、ソーニャは宿敵であり自分のブラッドマスターである吸血鬼モーガンの根城へと乗り込みます。相棒は、ちょっと抜けてる私立探偵パーマー。
その乗り込む先というのが、遊園地のホラーハウスもかくやという複雑怪奇な迷路屋敷ゴースト・トラップ館。この館って、実在のモデルがあるそうな。
いろいろと楽しい脇役たちが出てきて、ハードボイルドなホラーであると同時に、ダークファンタジーとしての味わいも出ています。
これ、第3作に続きます。

オススメ度:☆☆☆☆

2002.5.10


春の微熱 (コミック)
(清原 なつの / ハヤカワ文庫JA 2002)

本来、こちらの書庫ではマンガは取り上げないのですが、今回は例外。
十代の一時期、少女マンガの「りぼん」にハマッていたことがありました。
中でも好きだったのが、清原なつのさんのマンガ。他のマンガ家さんとは違う、独自のカラーがありました。(個人的には“理系少女マンガ”と勝手に呼んでいますが)
その清原さんのマンガ(発表時期は80年代)が、なぜか早川書房から文庫で刊行されているのを知って、嬉しいと同時に不思議に思いました。誰かが気に入って再刊する気になったんですかね。
これまで3冊が刊行されています。
「千の王国百の城」「アレックス・タイムトラベル」そして本書。先の2冊は、どれも既にコミックスで持っている作品ばかりだったので買っていなかったのですが、今回は見なれないタイトルのものがあったので、迷いなく購入。でも、読んだことがあるやつでした(汗)。
彼女の作品は、歴史ものからSF、学園ものとレパートリーが広いのですが、ストーリーとは離れたところでの作者のお遊びがとっても好きです。

<収録作品>「春の微熱」、「うぶ毛の予感」、「セーラー服の気持ち」、「優しい季節」、「なけなしのラブストーリィ」、「ABCは知ってても・・・」、「今6月の季節の中の」、「俺たちは青春じゃない」、「森江の日」、「群青の日々」

オススメ度:☆☆☆☆

2002.5.11


錯乱の星 (SF)
(ハンス・クナイフェル&クラーク・ダールトン / ハヤカワ文庫SF 2002)

ペリー・ローダン・シリーズも280巻になりました。
今回の2篇は、いずれも展開がマンネリのワンパターン気味で、あまり新味がありません。
まあ、こういう時もあるよね。
この“大群”サイクルも、あと5巻程度で終わるはずなんですが、果たしてどんなふうに収拾がつくのか・・・。

<収録作品と作者>「錯乱の星」(ハンス・クナイフェル)、「タムブー神、グッキー」(クラーク・ダールトン)

オススメ度:☆☆

2002.5.12


ロスト・ワールド ―ジュラシック・パーク2― (冒険)
(マイクル・クライトン / ハヤカワ文庫NV 1997)

あの「ジュラシック・パーク」の事件から6年(いや物語の上でですよ)・・・。
コスタリカの海岸に、謎の死体が漂着し始めたという情報が入ってきます。
そして、とある島に上陸した科学者一行(なぜか中学生2名含む)の目に入ったものとは・・・。
舞台となる島は、周囲を断崖絶壁に囲まれ、まるでコナン・ドイルの「ロスト・ワールド」の舞台(南米ギアナの、他から隔絶された台地)をそのまま海に投げ込んだ、という感じです。これって、やっぱりドイルへのオマージュなんでしょうかね。
プロット、ストーリーとも絶品で、前作を上回る迫力で恐竜たちが描き出されています。ほんと、映画向き(残念ながら映画の方は見てませんが(^^;)
とにかく面白いです!!

オススメ度:☆☆☆☆☆

2002.5.13


致死性ソフトウェア(上・下) (サスペンス)
(グレアム・ワトキンス / 新潮文庫 1997)

ノースカロライナのある病院で、奇妙な患者が見られるようになります。
パソコンの前から離れられず、食事も風呂もそっちのけにして、衰弱して収容される患者たち。
医師たちは「コンピュータ中毒症候群(CAS)」と名付け、原因を探し始めますが、さらに、パソコンの前で痙攣を起こして死んでしまう人たちも・・・。
主人公たちは、患者たちが、あるソフトウェアを使っていたという共通点をつき止めます。しかし、事態はかれらの想像を超えたものでした・・・。
これが書かれたのは1995年ということで、登場する“最新鋭マシン”のスペックが486マシンだったりするところが、時代を感じさせますが、設定は現在でも通用する・・・いや、現代だからこそリアルに感じられるものです。
読み始めた時は、「なんだこれ、メガテンのネタと同じじゃん」とか思ってましたが、そんな単純なものではありませんでした。でもちょっとラストが弱いかな?
でも、よくできたサイバーサスペンスだと思います。

オススメ度:☆☆☆

2002.5.17


恐怖のヒッチハイカー (サスペンス)
(R・L・スタイン / 集英社文庫 1997)

この作者は、ジュブナイル(というか、ヤングアダルト向け)のホラー小説で、全米で人気No.1のベストセラー作家だそうです。知らなかった。
で、この「恐怖のヒッチハイカー」ですが、ジャンルとしては“ホラー”というより“テラー”ですね。スーパーナチュラルな要素もないですし。
(horror と terror の違いは、英語の辞書でひいてみましょうね)
フロリダを車で旅しているふたりのハイティーンの少女が、ひとりのヒッチハイカーを拾います。この青年、すぐにキレる性格で、立ち寄り先のドライブインや親類の家で暴力沙汰を引き起こし、少女たちは不安にかられます。その時、ラジオから、ヒッチハイカーに殺されたと思われる老人が発見されたというニュースが・・・。
テンポはいいし、プロットもよくできているし、職人芸という感じです。ラストの二転三転するどんでん返しもきまってます。
ホラー小説の側面とは別に、フーダニットのミステリとして読んでも面白いかも知れません。

オススメ度:☆☆☆

2002.5.17


グリーン・マイル6 闇の彼方へ (ホラー)
(スティーヴン・キング / 新潮文庫 1997)

キングの分冊式連載長編、「グリーン・マイル」の最終巻です。
ん〜、何を書いてもネタバレになってしまいますので、具体的なことは書けませんが、とにかく、
〜5巻の中で周到に張り巡らされていた伏線が一気に生きて、「え?」「あれえ?」「そうだったのか!?」と嘆息することしきりでした。
キングにしては、最初から最後まで、抑えた筆致で淡々と物語が進んでいくのが異色でした。
もう一度、最初から一気読みすると、また別の感想を持つかもしれませんが、たぶん読まないでしょう。他に読まなきゃならない本が山ほどありますし(汗)。

オススメ度:☆☆☆

2002.5.17


謎の吸血湖 (ホラー)
(クリストファー・パイク / 集英社文庫 1997)

ん〜、なんか、すごいタイトルですね。湖が血を吸うのか?(ちなみに原題は“MONSTER”です。これまたあまり芸がない)
冒頭、いきなりショットガンを持った女子高生がパーティーに乱入し、花形フットボール選手とチアリーダーを射殺します。その理由は「かれらは人間じゃないから・・・」
物語が進むにつれ、SF的な驚くべき真相が明らかにされるのですが、どうも消化不良な気がします。キングやクーンツだったら、このネタなら4倍くらいにふくらませてSFホラー大作に仕上げるのではないかと思うのですが(特にクーンツが好きそうなネタだし)。
いや、面白いことは面白いんですけどね。ラストも味があるし。

オススメ度:☆☆☆

2002.5.17


魔女の隠れ家 (ミステリ)
(ディクスン・カー / 創元推理文庫 1997)

密室ものの巨匠カーの、初期の作品。探偵役ギディオン・フェル博士が初登場する作品だそうです(フェル博士の奥さんも出てます。結婚してたのね。知らんかった)。
カー得意の、怪奇趣味が横溢した作品です。
英国リンカーンシャーにある、<魔女の隠れ家>と呼ばれる絞首台の近くの監獄跡で、謎めいた死を遂げた男。その家では、代々の当主が首を折って死んでいます。呪いなのか?
ということで、暗鬱なイングランドの片田舎を舞台に、暗号ありロマンスあり、そこはかとなくユーモアも漂い、カーらしい一編に仕上がっています。
でも犯人の人物像が、ちょっとわざとらしいかな?

オススメ度:☆☆☆

2002.5.18


千の王国百の城 (コミック)
(清原 なつの / ハヤカワ文庫JA 2001)

えっと、例外その2(笑)。
ハヤカワ文庫版の清原なつのさん作品集の1巻目を入手しました。
解説を、SF評論家で翻訳家の大森 望さんが書いておられるのですが、それを読んでびっくり。
実は、彼のPN「大森 望」は、清原さんの作品
「私の保健室へおいで・・・」に登場する明朗高校生「大森 望」くんから取ったというのですね。
なぜびっくりしたかというと、○にも同じだったから。学生時代から使っているPN「村木 一郎」というのは、清原さんの「村木くんのネコぶるーす」というマンガの主人公にちなんだものだったのです(下の名前は違うけどね)。たしかにこの村木くん、当時の自分と性格も外見もそっくりだったのですよ。
この巻は、SFと歴史もの中心でまとめられており、少女マンガという枠を超えた彼女独特の世界が展開されています。

<収録作品>「お買い物」、「アンドロイドは電気毛布の夢を見るか?」、「千の王国百の城」、「千の王国百の城2」、「真珠とり PATTERN・1 小夜子」、「真珠とり PATTERN・2 華子さーん」、「真珠とり PATTERN・3 まりあ」、「金色のシルバーバック」、「銀色のクリメーヌ」

オススメ度:☆☆☆☆

2002.5.19


幽霊島の戦士 (ヒロイック・ファンタジー)
(栗本 薫 / ハヤカワ文庫JA 1997)

グイン・サーガの、これは外伝の第10巻です。
でもこれまでの外伝とは違います。今までは本当に“外伝”というにふさわしい枝サーガだったのですが、ここから当分は、主人公グインが活躍する、こちらこそメインと呼びたくなる流れになります。
誘拐されたケイロニアの皇女シルヴィアを求めて、グインの探索行が始まります。魔道、怨霊、妖かしの存在が跋扈し、これこそヒロイック・ファンタジー!という展開です。
本編の方は本編として、予断を許しませんし、こちらでのグインの宿敵(?)グラチウスとのからみも目が離せません。

オススメ度:☆☆☆

2002.5.20


天使墜落(上・下) (SF)
(ラリー・ニーヴン&ジェリー・パーネル&マイクル・フリン / 創元SF文庫 1997)

ベストセラーSF量産コンビのニーヴン&パーネルに、今回は新顔フリンが加わって、いやまあ、とんでもない作品を仕上げてくださいました。
舞台は近未来。この時代、科学は環境破壊の元凶として弾圧され、SFも科学を礼賛するものとして禁止されています。でも、SF作家やファンは地下に潜って非合法に活動を続けています(とは言っても、やってることは現在のSFファンと一緒で、大会を開いたりファンジンを発行したり、というだけの平和なものなのですが)。
そんな時、軌道上に残っていた宇宙ステーションの宇宙船が、地上へ墜落。それを知ったSFファンたちは、政府当局を出しぬいて宇宙飛行士たちを救出し、なんとかステーションに返そうと活動を開始します。でも、政府側にも元・SFファンの工作員がいて・・・。
とにかく、SF映画やSF小説に関するお遊びやくすぐりが随所に散りばめられていて、SFおたくにはたまらない趣向が凝らされています。
そういえば、同じニーヴン&パーネルコンビの傑作侵略SF「降伏の儀式」でも、侵略エイリアンに対抗するためにSF作家たちがアイディアを絞るというシーンがありましたが、そこに出てくるSF作家ナット・レナルズとウェイド・カーティスがこちらにも登場します(ちなみにレナルズはニーヴン、カーティスはパーネルがモデルだということは有名な事実)。
確かに“お約束”な展開も多く、「そんなうまくいくわけないだろ!」とツッコミを入れたくなる部分もありますが、いいんです。これは、SFファンのために書かれたファンタジーなんですから。

オススメ度:☆☆☆☆

2002.5.21


輝く永遠への航海(上・下) (SF)
(グレゴリイ・ベンフォード / ハヤカワ文庫SF 1997)

これは、全銀河を巻き込んだ有機体生命とメカ生命との戦いを描いた壮大なSFの最終巻です。
シリーズ第1作「夜の大海の中で」を読んでから、もう十何年も経っています。
最初の2部作は太陽系内とその近辺の近未来が舞台で、後半の4部作は銀河中心のブラックホールの周辺の遠未来が舞台。で、この最終巻では、前半部の主人公と後半部の主人公とが出会って、ついに大団円が訪れるという次第。
内容が壮大で、しかも最新の宇宙知識を下敷きに書かれているもので、読みこなすのは相当に疲れます(ていうか、ベンフォードの作品はどれも疲れるんですが。でも読む)。
シリーズの各タイトルは次の通りです。参考までに。(いずれもハヤカワ文庫SF)
「夜の大海の中で」「星々の海を越えて」
「大いなる天上の河」「光の潮流」
「荒れ狂う深淵」そして本書。

オススメ度:☆☆☆

2002.5.24


ボディ・バンク (サスペンス)
(マイケル・パーマー / 福武文庫 1997)

サスペンス物って、あんまり読まないです。
でも、ひとつだけ例外が。
頭に“メディカル”と付いてしまうと、これがもう大好き。医学がらみになると、見つけたとたんにレジに持って行っちゃいます。ロビン・クックとか。
で、本作品の作者パーマーは、医学博士で現役の救急医だそうです。病院内のシーンがリアルなわけだ。
プロットがちと複雑で、最後まで誰が敵で誰が味方かわからず、ラスト50ページの二転三転する展開は、ちょっとやり過ぎなんじゃないの、という気もしますが。ついやめられず、最後まで読み通してしまいました。
ところで、あの人物が敵の一味だってことは、途中から見当がついてたよ。

オススメ度:☆☆☆

2002.5.25


銀河英雄伝説5 風雲篇 (SF)
(田中 芳樹 / 徳間文庫 1997)

銀英伝、第5巻です。
今回、ついにヤンとラインハルトが実際に対決します!
“お約束”な燃える展開も多いですが、それがまたたまりません。
今回ヤンが残したいろいろな伏線が、いつ効果を発揮するかも、今後が楽しみなところです。

オススメ度:☆☆☆☆

2002.5.27


呪われたビーチハウス (ホラー)
(R・L・スタイン / 集英社文庫 1997)

「恐怖のヒッチハイカー」に続く、スタインの青春ホラー(?)第2弾。
今回は、ニューイングランドのリゾートが舞台で、そこで起こる時代を超えた怪異が描かれます。
40年前に起こった高校生連続殺人と、現代の高校生失踪事件。それを結びつけるのは、浜辺に建つ人気のないビーチハウス・・・。というわけで、ふたつの時代の事件が平行して描かれていくわけですが・・・。
正直言って、オチは子供だまし。「なにそれ!? そんなのあり?」という感じです。
「恐怖のヒッチハイカー」の方が、数倍面白かったよ。(こちらの作品が数倍つまらない、という方が正しいか)

オススメ度:☆

2002.5.28


幻の戦艦空母「信濃」沖縄突入 (シミュレーション戦記)
(山村 正夫 / 講談社文庫 1997)

いわゆる架空戦記もののひとつですが、これはなかなかよく書けています。
極力戦史に忠実に描き、微妙に違うシチュエーションで、「これだったら、実際にあったかも」という思考実験(シミュレーション小説の命ですね)の面白さを存分に味わえます。
志茂田某の荒唐無稽なデタラメ架空戦記と違って、人間ドラマの部分もしっかり書かれているし、とにかくリアルなのがいい(日本が勝ったりしないし)。

オススメ度:☆☆☆

2002.5.28


リメンバー・ミー 私を殺したのは誰? (ホラー)
(クリストファー・パイク / 集英社文庫 1997)

主人公のシャリーは女子高生。
彼女は友人の誕生パーティーで、バルコニーから何者かに突き落とされ、死んでしまいます。
ところが、死んだシャリーは幽霊となり、先輩幽霊(笑)とともに、自分を殺した犯人を突き止めようと捜査を始めます。
この幽霊、ぜんぜん幽霊らしくなくて、ドアの閉まった部屋に入れず、誰かがドアを開けるのを待っていたりします(笑)。
まあ、そんなこんなのドタバタの末に、幾重にも錯綜した謎は解け、事件は解決します。
しかしまあ、これって、決してホラーではなく、オカルト風味のユーモア・ミステリという感じ。けっこう楽しめます。
一応、話はエンディングを迎えているんですが、これ、
続編が2冊あるんですよね。
近日登場。

オススメ度:☆☆☆

2002.5.29


NIGHT HEAD5 (ホラー)
(飯田 譲治 / 角川文庫 1997)

超能力者・霧原兄弟の活躍を描く「NIGHT HEAD」のシリーズ第5作。
映画版NIGHT HEADのノベライゼーションだそうです(映画、見てないんですが(汗)。
秘密結社ARKと霧原兄弟との対決、そしてふたりは・・・。
シリーズの中でも質・量ともにもっとも充実していると思います。ラストも感動的だし。
ちなみにこの「NIGHT HEAD」シリーズ、現在では角川ホラー文庫より全3巻本で発売されています。ご参考まで。
※追記:2006年、講談社文庫から再刊されました。

オススメ度:☆☆☆☆

2002.5.29


NIGHT HEAD6 (ホラー)
(飯田 譲治 / 角川文庫 1997)

「NIGHT HEAD」シリーズ、これが最終巻です。
内容は、3つの独立したエピソードからなっています。時間軸で言うと
1巻以前、霧原兄弟が超能力研究所に閉じ込められていた時代のものが2篇と、第5巻以降のエピソードがひとつ。
かといって、単なるエピソード集では終わらず、特に「最終章」と題されたい1篇は、これなしではこのシリーズが完結したとは言えないような、淡々と語られていますが味のあるお話です。
何はともあれ、これで「NIGHT HEAD」は完結。最初はとっつきずらいな、と思いましたけど、最終的には心が洗われるような、“癒し”の物語でした。

<収録作品>「DEEP FOREST1 直人十九歳 直也十三歳 夏」、「DEEP FOREST2 直人二十二歳 直也十六歳 秋」、「DEEP FOREST3 最終章」

オススメ度:☆☆☆

2002.5.30


妖魔の騎士(上・下) (ファンタジー)
(フィリス・アイゼンシュタイン / ハヤカワ文庫FT 1994)

解説の井辻朱美さんも書かれていますが、「ちょっとひとくちには言えないくらい奇妙な」設定の物語です。ある魔法使い(かなりダーク)が、敵(と勝手に思いこんでいる)の女魔法使いの力を弱めるために、部下の妖魔を使って、女魔法使いを誘惑し、子を宿させます。ところが、当の妖魔が相手に恋をしてしまうという。で、生まれた息子が主人公(だから「妖魔の騎士」ですな)となって、行方知れずになった父親を探して旅に出るという次第。
ストーリーそのものは、“剣と魔法”のベイシックなファンタジーですが、妖魔の設定が出色です。特に主人公の“父親”に当たる妖魔は、普段は14歳の可憐な少女の姿をしているのですが、かっこいい騎士になったり、リスになったりといろいろな姿を見せてくれます(ちなみに妖魔に性別はないらしい)。
前半に登場する脇役のひとりは、青と茶色の異なる瞳を持っています。あ、ケントニス人がここにも(笑)。

オススメ度:☆☆☆

2002.6.2


氷の城の乙女(上・下) (ファンタジー)
(フィリス・アイゼンシュタイン / ハヤカワ文庫FT 1997)

「妖魔の騎士」の続編。前作のキャラクターは全員出てきますが、ストーリーとしては独立しています。
前作の主人公クレイは成長し、母親や妖魔のギルドラムと平和に暮していました。
そんな時、「心の望みを映す」と言われる魔法の鏡の中に、クレイは不思議な少女の姿を垣間見ます。年が経つにつれ、少女の姿も成長していきますが、その正体はわからないまま・・・。
でも、妖魔の手を借りて、クレイはついに少女アライザと出会います。アライザは、氷の城に閉じこもり、氷界を支配する魔法使いでした。
というわけで、少女アライザの謎を解き、同時に彼女の閉ざされた心を解き放つためのクレイの探求が始まります。
なんか、淡々とストーリーが進むもので、いつのまにか読み終わってしまったという感じなのですが、丁寧と書きこまれた、しっとりとしたお話です。

オススメ度:☆☆☆

2002.6.6


花粉戦争 (SF)
(ジェフ・ヌーン / ハヤカワ文庫SF 1997)

しまった。
サイバーパンク系のSFは苦手だから(W・ギブスンの「ニューロマンサー」1冊でギブアップ)避けようと思っていたのに、これはバリバリのサイバーパンクではないですか。タイトルに引かれて買うんじゃなかったな。
舞台は近未来(ですよね)のマンチェスター。でもその世界には真性人間の他、犬人間やゾンビ、ロボットやら、夢の世界を自由に行き来できる種族やらが普通に暮している世界。ある日、犬族のタクシー運転手が、喉から花を生やして死んでいるのが発見されます。時を同じくして、大量の花粉が飛び始め、人々は次々と花粉症に倒れていきます。
ところが、それ(花粉)こそが、異世界である夢の世界の住人からの侵略だったのでした。
ん〜、こういうふうにドラッグの幻覚みたいな世界をあっちこっち引きずりまわされる小説は苦手ですわ。

オススメ度:☆☆

2002.6.8


アレックス・タイムトラベル (コミック)
(清原 なつの / ハヤカワ文庫JA 2001)

えっと、例外その3(笑)。
ハヤカワ文庫版の清原なつのさん作品集第2集。これでとりあえず刊行済みの3冊はすべて入手しました。
しかし、なぜ清原さんの作品集が早川さんから出ることになったのでしょうか?
これはどうも、早川さんの社内に清原さんファンがいて、SFマンガだからということで文庫で出すことを承知させ、そしていずれはSF色のないものも含めて全作品を出版しようとしているに違いありません(←あくまで個人的な想像ですが)。
願わくは、この想像が当たっていて、
「花岡ちゃん」シリーズをはじめとした初期作品も続々と刊行されてほしいものです。
そしてもちろん、新作も、ね。

<収録作品>「未来より愛をこめて」、「未来の園から」、「ロゼ」、「ローズガーデンの午後」、「思い出のトロピカル・パラダイス」、「流水子さんに花束を」、「聖バレンタインの幽霊」、「カメを待ちながら」、「飛行少年モッ君の場合」

オススメ度:☆☆☆☆

2002.6.9


コンテイジョン (サスペンス)
(ロビン・クック / ハヤカワ文庫NV 1997)

タイトルの「コンテイジョン」(Contagion)は“伝染”という意味。伝染病の“伝染”ですな。
作者のロビン・クックは、もう20数冊の邦訳がある、メディカル・サスペンス一本槍の作家です(といってもまだ7冊しか読んでないよ。もっと精進しなきゃ)。
この作品では、マンハッタンの総合病院で、院内感染と思われる患者が発見されます。病名は、なんとペスト。
ところが奇妙な患者はペストに限りませんでした。野兎病、ロッキー山紅斑熱、髄膜炎などを発祥して、次々に倒れていく人々。これを不審に思った主人公の監察医ジャックは、この感染症の謎を追い始めます。
いつもながら、錯綜したプロットを駆使して、ぐいぐいと引きこんでいく手腕は健在。ラストのあまりに意外な犯人には唖然とさせられましたが、そのせいで、途中まで周到に張り巡らされていた(はずの)伏線がいつのまにか消えてしまっているのが、ちょっと残念です。
でも、謎解きとサスペンスは一級品です。

オススメ度:☆☆☆☆

2002.6.10


人体模型の夜 (ホラー)
(中島 らも / 集英社文庫 1995)

ホラー短編集というよりも、古典的な怪談噺という表現の方がぴったりくる作品集です。
前後にプロローグとエピローグを配したところとか、その内容とか、クライヴ・バーカーの「血の本」を意識している感じがうかがえます。
ネタもバラエティに富んでいて、背筋がゾクリとする怪談あり、ブラック・ユーモアあり、と粒が揃っています。
いちばん気に入ったのは「セルフィネの血」という作品ですが、これって、ネタが香山 滋さんの傑作「海鰻荘奇談」と同じなんですよね。

<収録作品>「首屋敷」、「邪眼」、「セルフィネの血」、「はなびえ」、「耳飢え」、「健脚行――43号線の怪」、「膝」、「ピラミッドのヘソ」、「EIGHT ARMS TO HOLD YOU」、「骨喰う調べ」、「貴子の胃袋」、「乳房」、「翼と性器」

オススメ度:☆☆☆☆

2002.6.11


 (ホラー)
(栗本 薫 / 角川ホラー文庫 1997)

男と女がいます。ふたりは恋人同志ですが、男は女をうとましく思っています。
そして、男は女を連れ、車で旅に出ます。どこか遠くの町で、殺してしまうために。
ところが、男の行く手に待っていたものは・・・。
前半の怪異の盛り上げと、不気味な雰囲気作りは、まさに職人芸です。
でも、後半に至って怪異の正体が明らかになってくると、ちょっとトーンダウンしてしまうのが残念。
もっとものすごいオチかと思っていたのですが・・・。

オススメ度:☆☆

2002.6.12


地球空洞説 (オカルト)
(レイモンド・バーナード / ボーダーランド文庫 1997)

1970〜80年代、超常現象やら心霊現象やらのオカルト本(今様に言えばトンデモ本ですな)を大量に出版していた大陸書房という出版社がありました。当時10代だった自分は、図書館で借りては読みまくったものでした。
大陸書房自体はバブルの頃につぶれてしまったんですが、そこが出していたオカルト本を、なぜか角川春樹事務所が復刊しはじめました。それがボーダーランド文庫。
それにしても版元が角川書店じゃなくて春樹事務所だというところが、笑えますね。きっと、商業的には引き合わないと思って書店サイドが二の足踏んだのを、春樹さんが自分の趣味で出版に踏みきったんだろうなあ・・・(笑)。
で、懐かしくてつい買ってしまった「地球空洞説」。昔はすごくわくわくして読んだのに、今読み返してみると、まったく箸にも棒にもかからぬ駄本でした。
要は、「地球の内部は空洞になっていて、北極と南極にその入り口がある。内部には高度な文明が存在していて、実はUFOはそこから来る。アメリカ合衆国政府はその事実を知っていながら隠蔽している」という内容の本なのですが。
同じことを何度も繰り返して言及したり、循環論法に陥っていたり、説得力もありません。トンデモ本としての面白みにも欠けます。

オススメ度:☆

2002.6.14


私の保健室へおいで・・・ (マンガ)
(清原 なつの / ハヤカワ文庫JA 2002)

ハヤカワ文庫版の清原なつのさん作品集、最新刊にして第4巻。
タイトルストーリーの「私の保健室へおいで・・・」も大好きな作品ですが、未読の作品が3つも載っていて、ラッキー♪な気分です。
でも、未読作品だった「空の色 水の青」とか「Children hour」とか、こんな描き方もできるんだ!?と衝撃的です。料理方法を一歩間違えばレディースコミックに堕してしまうネタを、鮮やかな手際でピュアな物語に仕上げている・・・見事です。
解説のとり・みきさんの清原なつの論にも、思わずニヤリ。(そういえば、とり・みきさんも、マニアックなネタの処理のし方が大好きなマンガ家さんです)

<収録作品>「WITHOUT YOU」、「空の色 水の青」、「Children hour―子供の時間―」、「あざやかな瞬間」、「ゴジラサンド日和」、「5時からの咲也」、「8月の森を出て河を渡って」、「私の保健室へおいで・・・」

オススメ度:☆☆☆☆

2002.6.15


ヤーンの星の下に (ヒロイック・ファンタジー)
(栗本 薫 / ハヤカワ文庫JA 1997)

「グイン・サーガ」の第57巻です。
と言いつつ、内容はまんま「イシュトヴァーン・サーガ」なんですけど。グインは当分、
外伝の方でということですな。
今回は、ストーリーはともかく、中原南部観光ガイドともいうべき風景描写がすごいです。
異世界を構築するにはディテールにも凝らねばならぬというトールキンの教えが、見事に体現されています。
あと、今回から口絵のイラストレーターさんが、天野喜孝さんから末弥純さんに代わりました。個人的には末弥さんの絵の方が好き。

オススメ度:☆☆☆

2002.6.17


夢魔の通り道 (ホラー)
(村田 基 / 角川ホラー文庫 1997)

この作家さんは、初めて知りました。
ホラー短編集なんですけど、純粋ホラーとは、ちょっと違いますね。
昔、海外の短編作家さんに冠されていた“奇妙な味”というやつに近いです。ロアルド・ダールとかジョン・コリアとか。
日常風景の中に、ひそかに入りこんでくる不気味な“きしみ”が絶妙です。

<収録作品>「裂け目」、「腐敗都市」、「柱時計のある家」、「すばらしき正義の国」、「植物画」、「悟りの時代」、「つるつる」、「みにくい美女」、「最後の教育者」、「個性化教育モデル校」、「生と死の間で」、「忘れ物」、「覚めない悪夢」

オススメ度:☆☆☆☆

2002.6.18


不思議現象ファイル (オカルト)
(ジョン・A・キール / ボーダーランド文庫 1997)

これも、昔に大陸書房から出ていたオカルト本です。当時のタイトルは「四次元から来た怪獣」(なんともはや〜なタイトルですが、こっちの方が内容に合ってます)。
超常現象の中でも、いわゆる怪動物:UMA(Unidentified Misterious Animal:未確認動物)を中心に扱っています。
ただ、この本のミソは、世の中に言う怪動物は2種類に分かれる、ひとつは実在しているのに未発見の動物、もうひとつは異次元からやってくる、というものです。後者が、元のタイトル「四次元から・・・」の所以です。
肯定的に、しかもセンセーショナルに書いているので説得力には欠けますが、UMA本としては事例が大量に記されているため、興味のある人はチェックする必要があるかもです。
ちなみに科学的・客観的・系統的にUMAを論じている本としてはジャン・ジャック・バルロワ氏の名著「幻の動物たち」(ハヤカワ文庫NF)が絶対のオススメです。

オススメ度:☆

2002.6.20


伝説なき地 (冒険)
(船戸 与一 / 講談社文庫 1997)

う〜む、とにかく長い! 厚い!
文庫本1冊で1057ページあります。厚さ4センチはあろうかという大冊。あまりに厚くてカバンに収まりきりませんでした(笑)。文庫本で1437円(税別)っていうのも記録的かも。
でも、厚さ以上にすごいのは、その面白さです。読み始めると止まらなくなってしまいます。
舞台は南米ベネズエラとコロンビアの国境近く。涸れた油田地帯に貴重な鉱物資源が発見され、それにからんで地主やらゲリラやら難民やらが入り乱れて争いを演じることになるわけですが・・・。
とにかく小手先の技巧に走らず、正面きって堂々とこの男のドラマを描ききっているところがすごいです。途中から「荒野の七人」(いや元祖は「七人の侍」だった)っぽくなるのも燃えます。

オススメ度:☆☆☆☆

2002.6.23


孔明の艦隊2 爆雷埋伏の計 (シミュレーション戦記・・・?)
(志茂田 景樹 / 講談社文庫 1997)

シリーズ物というのは、なかなかに因果なものです。いったん読み始めてしまうと、駄作でも最後まで読み通さないとすっきりしないものですから。
で、デタラメ架空戦記「孔明の艦隊」も、例外ではなく(苦笑)。
副題の「爆雷埋伏の計」とは、水中に投下した爆雷を、孔明の霊が乗り移った山本長官がテレキネシスで誘導して、アメリカの潜水艦にぶつける、というくだらないもの。しかも大成功してしまうのですから、物語のリアリティも何もあったもんじゃない。
前後関係を無視した文章が羅列されているだけなので、読めば読むほどストレスがたまります。
おまけに、相変わらず「イケイケ」だとか「プッツンする」とか「ドカーン!」とか「ドバーン!」とかカタカナ語の嵐。小学生の作文の方がましだぞ。
あと、なぜかメシ食うシーンがやたらと多いんですけど、執筆中にお腹がすいてたんですかね?
このストレス、明日も続きます。

オススメ度:−

2002.6.24


孔明の艦隊3 張飛山口の奮戦 (シミュレーション戦記・・・?)
(志茂田 景樹 / 講談社文庫 1997)

そういうわけで、昨日の続きです。
、2巻に比べて文章はまともになりました(その分ツッコミどころが減ったという説も)。
でも、ストーリーは更にハチャメチャで、どんなものかというと・・・
オーロラや黄砂を呼び寄せて敵の目をくらませたり、風水を使って海底火山を噴火させて潜水艦を沈めたり。
米軍は米軍で、スプルアンス提督が重機関銃をかかえて飛行甲板からゼロ戦に向かって発砲したり、キンケード提督は艦内でトラフグのフルコースを食べてフグ中毒を起こしたり。決してギャグで書いているわけではないようです。処置なし。
決着篇の4巻は、どんな内容になるんでしょうか。こわ・・・。
(読むのはかなり先になりそうですが)

オススメ度:−

2002.6.25


ファウンデーションと地球(上・下) (SF)
(アイザック・アシモフ / ハヤカワ文庫SF 1997)

アシモフの代表作“ファウンデーション・シリーズ”の第5作です。
前作
「ファウンデーションの彼方へ」のラストで、全銀河の未来に関わる決断を下した主人公トレヴィズ。彼は、自分の決断が本当に正しいものだったのか確信が持てず、自分を納得させるために、新たな探索の旅に出ます。その目的は、人類発祥の地であり時の彼方に忘れ去られた惑星“地球”を発見すること・・・。
乏しい手がかりを追ってのトレヴィズたちの探索行は、まるで良質の謎解きミステリを読んでいるような知的興奮にあふれています(そういえば、アシモフ博士は優れたミステリ作家でもあったんでしたね。納得)。彼と相方2人の会話も楽しくて吉。

オススメ度:☆☆☆☆

2002.6.27


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