「よう、どうしてもちょんまげってのにしねえといけねえのか?」
悟空が鬢づけ油を手に、あっちこっち飛び跳ねる毛を苦労して押さえつけながら言った。なんとか形がついた……と思うと、すぐに彼の毛は引力に逆らって好き勝手な方向に飛び出してしまうのだ。
「悟空さん、いいものがありましたよ」
トランクスがハード用のムースを持って来た。
「おう、サンキュー。おめえは仕度しなくていいのか? トランクス」
「はい。オレの出番はもっと後ですから、その時に」
「そっか。身軽そうでいいな」
悟空は普段着のトランクスをうらやましそうに見てから辺りを見回し、楽屋の隅で着流しに懐手をして所在なげに立っているピッコロに気づくと近寄って行った。
「よお、ピッコロ。おめえはカツラか。いいな〜、楽そうで」
「仕方あるまい。ちょんまげを結おうにもオレには髪がない」
「オラもおめえみてえに、いっそハゲてた方が最初っからカツラにしてもらえてよかったのになあ」
ピッコロは目をむいて反論した。
「言っておくが、オレはハゲではない。そもそもナメック星人というのはだな――」
半分も聞かないうちに、悟空は反対側の隅で同じく退屈そうに突っ立っているベジータを見つけてさっさと行ってしまった。
「よお、ベジータ。おめえは月代《》 |