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詩詞を作る心構え
in my case:蛇足の頁)

※ このページは、「唐詩格律(拗救)」の続きです。もし、トップページから直接このページを御覧になった場合は、「唐詩格律」(作詩法)の方から順に御覧下さい。

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※「唐詩格律」の一章として書いていますが、ここでは、特に格律について述べません。「味わいもある詩を目指して」とでもいうべき筆者の感想ともいえるページで、蛇足のページです。笑って跳ばして下さって結構です。独断で好き勝手なことをいっているところもありますが、笑ってお許し下さい。

 
  (1)何を詠いたいかを明確に
  「説文解字」等に「詩志也,……」「詩者志之所之也,……」と、詩は志のおもむく所のことであると述べられています。「志」が大切なのでしょう。詩を作る場合やはり、「何を詠みたいか」という中心になる「志」=感情や内容をしっかりと事前に持っておくべきだろうと思います。詩語が合わさっていく中に偶然に出来るのもまたいいでしょうが、何を訴えたいかという点は絶対に忘れてはいけないと思います。さもなければ、きらびやかな詩ができても、何をいいたいのか分からない詩になりかねない場合があり得るからです。


  (2)先人の作品を重視して
  詩は一つの形式に則って、感情や意志を表明するものでしょう。そのためには、優れた形式=先人の作を十分に味わっておくべきだろうと思います。李白や杜甫等、詩仙・詩聖と謂われた人の作品、または自分の好みにあった詩人の作を暗唱する等して、それらの短詩形式の持っている雰囲気を把握しておく必要があるでしょう。


  (3)基礎を大切に
  平仄をはじめとする規則・格律は原則通りに従って作った方が美しい詩が出来るのではないでしょうか。
  但し、わたしたち日本人は、異国のものであった詩詞を日本語で読み下して、本来の詩の持っている雰囲気を味わいながら翻訳するという文化を持っているわけです。よく考えれば、これはすばらしい文化であります。残念ながら平仄などの音韻を味わうことはできませんが、現代中国人の定型詩でも平仄を顧慮していない詩が多くありますので、日本国内で味わうだけとすれば、平仄などの格律に顧慮しなくともいい詩はできるでしょう。
  ただ、明治期の(詩人ではない)知識人の作品を見ると、実に平仄や用字が正確で、この時代の指導者層の漢学の素養の深さを伺い知ることができます。すごいものだなと感嘆します。やはり、出来うる範囲で規則を守っていくのがよいでしょう。そのためには、好い参考書がいりますが、現在は書店でそれらも容易に手に入る時代なので、大きな書店に行くと好いでしょう。また、詩韻、詩語に関する書としては「詩韻○○」「詩韻○○」等を古書店で探されるとよいでしょう。比較的廉価で手にはいると思います。

 
  (4)語法を重視して
 漢語は語順で意味が決まります。詩詞の場合は、例外として、平仄から来るための転倒や強調があるとはいうものの、やはり語彙の配列順序は極めて重要です。語法からずれると意味が分からない詩になる可能性があります。
 和習(和臭)というのではないのですが、日本語の文法に牽かれてしまい、失敗しないようにしたいものです。 例えば、日本語では「日 将に没っせんとす。」でも「将に日 没せんとす。」でもどちらの言い方をしても正しく、「将に」は「没する」にかかっていきますが、これはあくまでも日本語の事であって、漢語は「日将没」としか言えません。もし「将日没…」などとすれば、(このような言い方は、しないと思いますが)「日を没っさせ…」というような変な意味になってしまい、意味が通じなくなります。
  わたし個人の考えでは、わたしたち日本人は(中国古詩の形式を借りながらも)日本の事象にまつわる日本人としての感懐を大いに詠い込む必要があります。当然そこからは(詩としての雰囲気を壊さない範囲でで)日本語の影響を意図的に受けることもあるでしょう。しかもその詩は、中国人が見ても理解できるような、基本的な語法はしっかり踏まえておく必要があるでしょう。語法についての手近な参考書は、大学受験用の漢文参考書が入手しやすいでしょう。


  (5)作詩の規範は
  ずっと以前「台湾万葉集」を繙いたことがあります。わたしは、そこで珠玉の作品にふれ、息をのむ思いをしました。感動し、驚きました。台湾の人が、かようにも和歌を詠むこと、そしてそれが詩歌として読む者をして感動させる高い水準にあること等についてです。 日本における漢詩の位置も、ちょうどこれと同じではないでしょうか。
  私個人の考えですが、詩詞の規範はやはり唐代・宋代の詩詞にあるでしょう。日本人の詩も勿論すばらしいものがたくさんあります。大いに味わって感動に浸るべきです。しかし、作詩する際の規範は唐詩に求めるべきでしょう。わたしたちは、唐詩の形式を借りて思いを詠っているわけですから。 


        (続く  2000.1.7)


     

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2000. 1. 5
      1. 7
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