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秋瑾詩詞



  
秋雨秋風愁殺人
         巾幗英雄鑑湖女侠

                


日本留学時代の秋瑾。和装で日本刀(小刀)を擬している。刀剣愛好家でもあり、千金を惜しまずに日本刀を手に入れ、それを詠った慷慨の詩も多い。

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 1.秋瑾とは
  秋瑾−清朝末期の民族主義者、美貌の革命家。その情念を詩歌に託した。満洲民族の王朝・清朝を打倒し、漢民族の国家を再興しようとした。しかし、事敗れ、刑死する。時に、三十一歳であった。古い伝統に抗した、女性解放の闘士でもあった。巾幗の英雄・鑑湖女侠とも云われたように、英豪の気概溢れる才媛である。
満州
  彼女は短い生涯で多くの詩文を残しており、その生命の凝結した詩詞を味わっていきたいので取り上げた。

 2.秋瑾の略歴
   秋瑾、本来の名は閨瑾だが日本留学時代に閨字を取って秋瑾とし、以降、これで通す。字は卿。時に競雄とも号し、鑑湖女侠とも呼ばれた。彼女は、光緒元年(一八七五年)十一月八日(陰暦十月十一日:異説五種あり。)福建省侯県の官吏の家に生まれた。秋氏の本籍は、陸游と同じ浙江山陰(現紹興)。四人兄妹の二番目で、父は専門の家庭教師を子供達に付け、秋瑾の成績は、兄妹中で最も聡明であったという。そのため、父は彼女をとりわけ可愛がり、自ら唐詩、宋詞を教えた。結果、十一歳で詩を作ったという。
  一六,七歳の頃、故郷の紹興へ帰ったが、そこで彼女は学業の余暇に親戚の者より、拳法、棒術、剣術、短い棒術、騎馬等を積極的に修得していった。これも彼女らしさの萌芽であろう。
  一八九六年、四月(異説三種あり)、二十二歳の時、王家に嫁いだ。しかし、秋瑾は婚家と夫・王廷鈞が吝嗇であるばかりか、薄情でもあり、守銭奴の様相を呈していたという。もっとも、彼女の夫が実際にその通りだったか、どうかは別として、秋瑾は、そのように感じていたことは事実である。彼女の結婚生活は、不満と鬱屈と憤りの日々であった。その日々の情景を詩・「梅」(本是瑶臺第一枝)では、よく表している。恐らく価値観に大きな差異があったのだろう。
  日清戦争を経て、一九〇〇年、北清事変(義和団事件)で、列強への宣戦布告。それに伴う八ヶ国聯合軍の北京占領と、秋瑾は、自分の祖国へも目を向けることとなった。
  このころ、夫との間も冷え、夫の古い因習的な女性観にも反撥を感じていた秋瑾は、先ず叛逆の第一歩として、世の男が三寸金蓮と呼んで尊んでいた纏足からの解放を実行することであった。纏足からの解放は、やがて自分だけではなく、「天足会」(自然の足の会=反纏足の会)を通じて、外の女性へも働きかけていった。そればかりではなく、女の装いをする事を嫌い、男装して背広、革靴、鳥打ち帽という姿をし出した。男装の麗人の出現である。この頃、自ら競雄と号しているが、その思想と行動がよく理解できる号である(競雄:男と雄[雄々しさ]を競う)。
  やがて、秋瑾は常に男装をして過ごすようになったが、その一年ほど後、夫との結婚生活も終局を迎えた。この頃、京師学堂の日本人教師の服部博士の夫人である服部繁子や知り合いの妾の日本人女性から、日本の富強の原因や経過の状況を聴き、また、日本の女子教育の現状を知るに従い、救国のため、、自己の自立のため、女性解放のため、日本に留学して、先進的な知識と学問技芸を身につける必要を感じた。これはひとり秋瑾のみではないことは、北清事変当時(1900年)の日本留学生数が、四年後の秋瑾渡日の(1904)年には、約十倍になっていることでも分かる。このころの詩に「寶刀歌」「寶劍歌」があり、その軒昂たる意気と愛国の至情が伝わってくる。「寶劍歌」の「世無平權祗強權,話到興亡眦欲裂。千金市得寶劍來,公理不恃恃赤鐵。死生一事付鴻毛,人生到此方英傑。」 を見ても分かるとおり、武力で以て、国家を倒すことを謳っている。
  やがて、日露戦争の年に日本に渡った秋瑾は、日本留学の中国人学生の間に広まっていた民族主義の革命運動(現在の社会主義革命とは別物。天命を革(あらた)めて、漢民族の国家を復活させること)に触れ、革命組織に加わることになる。そこで秋瑾は、本来の名である閨瑾から「閨」字(「閨」は婦人の意)を取り、瑾とした。つまり、女を取り去った。日本には二年しか居なかったが、ここで秋瑾は、革命家として大きく成長する。帰国後、革命家としての彼女の人生は、ここから始まった。光復軍を組織し、武器を蓄え、武装蜂起の準備をしていた。
  彼女の人生は、その末期に苛烈に燃え上がり、その一年半後には、紹興の軒亭口にて若くして燃え尽きた、とも謂える。

  彼女の歩んだ道をまとめると、

・少女時代、種々の武術を習い、
・結婚後、纏足をやめ、女性の因習からの解放を目指し、
・自ら競雄と号して、男と雄を競い、
・男装して過ごし、
・日本に游学しては、満洲民族王朝覆滅、漢民族復興を目指す革命組織に参加し、
満州民族
・自分の名から閨字をとって女と訣別し、日本刀を愛し、
・帰国後、革命活動をし、爆薬製造、武装蜂起を支援し、
・共に光復軍を作り、武装蜂起を進め、
・紹興の軒亭口に刑死する。

この生きてきた時代を全て、百数十首の詩歌、数多くの書信や雑文にまとめている。
  
  シラノ・ド・ベルジュラック風に云えば、

革命家たり、女權論者たり、
詩人、劍客、女侠客、
(はたま)た東海の留學生たり、
打てば響く填詞の名人、
さてはまた私の心意氣の−−民族革命の殉ヘ者!−−
巾幗英雄鑑湖女侠擲閨競雄秋卿赤鐵居士光復義軍總帥龍泉化碧大漢烈士此處に眠る、
彼女は全てなりき、而して亦空なりき。


我心匪石,不可轉也。我心匪席,不可卷也。


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  このページの底本は「秋瑾集」(中華書局上海編輯所編輯:中華書局1965年出版)である。 上記の秋瑾の略歴などは陶成章の「秋瑾傳」、徐自華「鑑湖女侠秋君墓表」、 呉芝瑛「記秋女侠遺事」、「秋瑾」(平慧善著:江蘇古籍出版社)等に基づいた。
  どの書も 秋瑾の詩詞の注釈は一切していないので、注釈の根拠は「漢語大詞典」十二巻、(漢語大詞典出版社)  「大漢和辞典」十二巻(大修館)、「中日大辞典」(大修館)、「中国大百科全書」 (中国大百科全書出版社) 「 中国詞学大辞典」(浙江教育出版社)に拠った。

  なお、このホームページでは各時期の詩詞の形式や平仄等を確認したり、鑑賞したりすることで、自然と民族呼称に触れることがありますが、民族問題や政治体制については、論うことを本旨と致しません。ご了解下さい。



秋瑾の作品は基本的に、文語調に訳しています。
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一番上の「寶刀歌」を選びますと、各詩を一巡します。
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漢詩 唐詩 漢詩 宋詞 漢詩 唐詩 漢詩 宋詞 漢詩 漢詩 唐詩 漢詩 宋詞 漢詩 唐詩 漢詩 宋詞 漢詩 漢詩 


寶刀歌  (漢家宮闕斜陽裏)
寶劍詩  (寶劍復寶劍)
寶劍歌  (炎帝世系傷中絶)
     (本是瑤臺第一枝)
闕題    (黄河源溯浙江潮)
日人石井君索和即用原韻
(漫云女子不英雄)
秋風曲  (秋風起兮百草黄)
對酒    (不惜千金買寶刀)
日本服部夫人屬作日本海軍凱歌
(狡俄陰鷙…)
黄海舟中日人索句並見日俄戰爭地圖(萬里乘風…)
柬徐寄塵 (祖國淪亡已若斯)
感事     (竟有危巣燕)
日本鈴木學士寶刀歌(鈴木學士東方傑)
紅毛刀歌 (一泓秋水淨纖毫)
赤壁懷古 (潼潼水勢嚮江東)
感懷    (莽莽~州嘆陸沈)
人憂   (幽燕烽火幾時收)
失題    (登天騎白龍)
      (鐵骨霜姿有傲衷)
寄徐寄塵 (不唱陽關曲)



鷓鴣天  (祖國沈淪感不禁)
昭君怨  (恨回天無力)
臨江仙  (把酒論文歡正好)
踏莎行  (對影喃喃)
滿江紅  (小住京華)
満江紅  (塵寰)
如此江山 (蕭齋謝女吟《愁賦》)
望海潮  (惜別多思)
菩薩蠻 寄女伴(寒風料峭侵窗戸)


   

讀警鐘感賦(此鐘何爲鑄)
支那逐魔歌(四鄰環繞欲逐逐)
勉女權歌 其一(吾輩愛自由
勉女權歌 其二(舊習最堪羞)

  
斷句

絶命詞(秋雨秋風愁人)     
觀瀑布(英雄キ付浪淘沙)



聯語

題動石夫人廟(如斯巾幗女兒)



雜文

普告同胞檄稿(革命論)
警告我同胞(我於今有一大段感情)
(日本語のみ)
致徐小淑絶命詞(痛同胞之醉夢猶昏)
光復軍制稿(軍職等級分八軍)
(日本語のみ)

彈詞

              (抄録)

牙ハ石  序(余也處此過渡時代)



秋瑾傳

滿江紅 感懷,作於秋瑾就義後(歳月如流)徐自華

秋瑾傳(陶成章)(未着手)
鑑湖女侠秋君墓表(徐自華)(未着手)
記秋女侠遺事(呉芝瑛)(未着手)



關聯年表

Li Qingzhao
宋代詞人年表
Li Qingzhao歴代詩歌一覧表


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’99.10.23
    10.24
    12.22
’00. 1.13
    12.11
    12.21
    12.22
    12.24
’01. 1.21
      2. 5
     2.12
     2.15
     
qiujin      2.25
     2.26
     2.28
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    10.20
    11.24
’02. 1.14
     1.15
     8.15
    10.22
    11.26
’03. 1. 4
     8.20
’12. 1. 4
         




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