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C59の組み立て(10)-動輪とバルブギヤー〜完成

個人的には一番楽しいロッド回りの組み立てです。うまく動かないと実に憎いのですが…。
そして期待の牽引力向上の新メカの効果を早く確認したいものです。

今回予想される失敗
・動輪の回転が悪く、どこが引っかかっているのかよくわからない
・ピストン棒やエキセントリックロッドを切り過ぎてしまう
・クロスヘッドのカシメ部分を壊してしまう
・ロッドピンやネジを飛ばしてなくしてしまう
・ドライバーやタップの先で塗装面に傷をつけてしまう

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動輪押さえ修正

プラ製の動輪押さえ板をよく見て、ブレーキシューが内側に曲がっていないか確認します。
曲がっていたら修正しますが、意外に折れ曲がりやすいので壊さないように注意します。

動輪の取り付け

動輪をメインフレームにはめ込み、よく転がることを確認してから、動輪押さえ板をネジ止めします。

■注意■
左右の動輪の間隔が、3軸ともバラバラなことがあります。一応確認しておき、あとで走行に支障があるようなら、修正しておきます。動輪の間隔が広すぎて、ブレーキシューに当たってしまうこともあります。

転がりチェック

線路に乗せて、前後にはずみがついて軽く走るかどうか確かめます。
(何だかわからない写真ですが、転がしているところです)

車軸がきついようなら、耐水ペーパーなどで軽く軸受けを磨いて少しずつ削ります。
広げすぎると3つの動軸がバラバラな方向を向いて、まともに走らなくなってしまいます。こうなるとフレームの内側に別な板で新しい軸受けを作るしかありませんが、今回のC59では内側にぴったりサブフレームが入るので、それも難しいです。とにかく広げすぎないことです。

ボイラーふさぎ板の取り付け

上回りの下側に、ボイラー下部ふさぎ板を取り付けて、下回りに乗せて転がしてみます。
ここで引っかかる原因としては、次のような原因があります。

・コンプレッサー、給水ポンプの取り付けピンが内側に出っ張っている
・第三動輪が、ドロダメの配管に当たっている(自分で配管を追加した場合)
・第三動輪が、左右の火室をつなぐステーに当たっている
・ボイラー下部ふさぎ板や、ボイラー下部開口部のフチ、空気溜めが動輪に当たっている
 

※第三動輪のほか、サブフレームにも当たりそうだったので、私は左右の火室をつなぐステーを切り取ってしまいました。本当は切り取らなくても大丈夫なのかもしれませんが、わかりません。強度を考えると、つけたままにしておきたいところです。

◆C60 100番代では、火室ステーは切り取りませんでしたが、やはり第三動輪に当たるので、フランジに当たる部分を少し削りました。

サイドロッドの取り付け

サイドロッドを第一動輪と第三動輪の穴に合わせ、ロッドピンを差し込んで動輪に圧入します。
このとき、左右の動輪を両側からはさむようにすると、車輪が曲がってしまいます。写真のように、ひとつの動輪を表と裏からはさんで慎重に圧入します。ロッドピンはなくすと予備がありません。

あまりぴったり差しこみすぎると、特に曲線で動きがしぶくなりますが、浮かせすぎると第一動輪ピンがメインロッドに当たってしまいます。

◆C60 100番代ではピンがゆるかったので、ニッパーでピンに軽く斜めのキズを付けました(説明書にも記されています)。

転がりチェック 再び線路に乗せて、動きが損なわれていないことを確認します。
まだメインロッドを取り付けていないので、第二動輪のボスとサイドロッドが引っかかるかもしれませんが、これはメインロッドを取り付けると直るので心配ありません。
エキセントリックロッドのアンラッキー

エキセントリックロッドを取り付けて長さを確認するのですが…。
あ〜っ!またも部品不良。公式側のロッドがなく、非公式側のものが2本ついています(油壷の位置が両方同じです)。これはひねって直すような力技はできません。

これで3回連続、付属のロッドのどこかに不良がありました。本当にうんざりします。何だかキットに嫌われているようです。

エキセントリックロッドの整形 どうしようもないので、公式側のロッドの油壷は削り取ってしまいました。油壷が下についているよりはマシだと思います。
ラジアスロッド

順序が逆になりましたが、まずラジアスロッドを取り付けます。固定式の加減リンクも一体になっています。

加減リンクの折り曲げ

加減リンクの折り線は山折りにして折り重ねます。この金属は材質的に折れやすいので注意します。折れてしまったら接着して張り合わせてしまえば問題ありません。
エキセントリックロッドが入る穴は、内側に90度曲げます。

ラジアスロッドの取り付け

先端(バルブスピンドルガイドの表現があるほう)をシリンダーのスリットに差し込み、加減リンクの部分をモーションプレートの裏側に差し込み、1mmネジで止めます。
バルブスピンドルガイドの部分は、プライマーを筆塗りし、そのあと黒を塗っておきます。

エキセントリックロッドの動きチェック

長さ調節と回転チェックのため、リターンクランクとエキセントリックロッドを取り付けてみます。
エキセントリックロッド先端は、加減リンクの穴(矢印)に差し込まれます。
リターンクランクを正しい角度にセットしたら、動輪を回転させてみます。エキセントリックロッドが一番前に来たときに、モーションプレート先端に当たらないような長さでロッド先端を切断します。

もちろん、エキセントリックロッドが一番後ろに来たときに、穴から抜けてはいけませんから、両方を確認してから切断します。

転がりチェック

取り付けたら線路の上で転がしてみます。線路を左右に傾けたりして何度も確認します。もし引っかかることがあるようなら、車体の角度によってエキセントリックロッドの先端が当たっているのかもしれません。
走らせたい曲線と同じ半径のレールでチェックすると確実です。絶対に引っかからないようになったら、非公式側も同じようにして調整します。

調整が終わったら、慎重にリターンクランクのピンを第二動輪から引き抜いて、いったん外しておきます。

ピストン棒の切断

クロスヘッド〜メインロッドを取り付けます。
最初にピストン棒を切り離します。この切断はきわめて重要です。矢印のあたりに良く見ると目安のキズがついていますが、あまりはっきりしません。,念のためこのキズから最低2mmは長めにして(この写真では左寄りの位置から)切断します。ここで短く切り過ぎるともうおしまいです。

ピストン棒を磨いておく

■おすすめ■
クロスヘッドの取り付けの前に、スライドバーとクロスヘッド裏側の溝を、1000番くらいの耐水ペーパーで磨いてツルツルにしておくとよいです。引っかかりをなくすという程度にし、本当に削ってしまわないように注意します。

磨いたら、ピストン棒をシリンダーブロックに差し込み、メインロッドを下に回して、クロスヘッドをスライドバーに引っ掛けます。

クロスヘッドの取り付け

そのままメインロッドを水平に回転させると、クロスヘッドがスライドバーから落ちなくなります。

なお、クロスヘッドとメインロッドのカシメが甘かったり、裏側に出ている支えの板が曲がっていて、クロスヘッドが落ちてしまうこともあります。カシメが甘いときは、ヤットコでピンを表裏からギュッと挟んで締め直しますが、力を入れすぎるとガッチリ固定されてしまうので慎重に行います。もし固定されてしまったら、だましだましメインロッドを左右に動かしていると、しだいに直ることがありますが、部品請求と背中合わせの行為なので慎重に…。

ピストン棒の長さチェック

メインロッドと第二動輪の穴を合わせながら、クロスヘッドが一番後ろに来るようにし、ピストン棒の長さにどの程度余裕があるか(あとどのくらい切断しても抜け落ちないか)を確認しておきます。

次に、ピストン棒が一番前に来るときに、シリンダー後蓋にぶつからないような長さに切断します。

■注意■
長さは意外に微妙です。長すぎるとつかえますが、ちょっとでも短く切り過ぎると抜け落ちてしまいます。たとえ何十分かかってもいいので、少しずつ削って調整することをお勧めします。
また、一見つっかえていないように見えても、機関車の角度が変わるとぶつかってしまうことがありますから、試走のときに調子が悪いときは、一応ピストン棒の長さも疑ってみるのがよいです。

1番ピン干渉

取り付けたメインロッドは、回転位置によっては第一動輪ピンにぶつかってしまうことがあります(矢印の位置)。
ワールド工芸の蒸機は、クロスヘッド〜メインロッドの位置が不安定なので、写真のようにメインロッドを曲げて当たりを避けるのが一番いいようです。

一見ぶつからないように見えても、機関車の傾き方によってたまにぶつかることもありますから、機関車を色々な方向に傾けて車輪を回し、絶対に引っかからないようにします。

合併テコの取り付け

うまく回転するようになったら、合併テコをバルブスピンドルガイドに引っ掛け、下側を結びリンクの穴にはめ込みます。はめ込んだら取れないように、両側からはさんでかしめておきます。

走行テスト

回転がスムーズなことを十分確認し、テンダーと連結して走行テストします。
今回は珍しく、一発でうまくいきました。

牽引力増強装置取り付け

牽引力を増すため、新規導入されたサブフレームを取り付けます。
モーションプレート台座の取り付け部にネジ止めしますが、第一動輪と干渉してしまい、うまくネジ止めできません。一度動輪押さえ板をゆるめて、動輪を浮かせてから取り付けました。
また、取り付けてからもネジの頭が動輪と接触するかもしれません。頭が出っ張らないように注意します。

取り付けたサブフレームは、このネジを支点として上下に軽く動くように調整します。

◆C60 100番代ではすでに取り付けられているはずですね。

補助ウエイトの取り付け

サブフレームの上に補助ウエイトを載せ、下側からネジ止めします。◆C60 100番代では接着になります。
このウエイトは、火室の内部にすっぽり入り込みますから、火室内側に余計な出っ張りがあると、上下を組み合わせることができません。特にATS発電機の足に注意します。

補助ウエイトをつけたところ

結構な重さがあるので、そのままではしりもちをついてしまいます。

連結

サブフレームの下側から、テンダーのドローバーピンを差し込んで連結します。
すると補助ウエイトの過重がテンダー側にもかかり、粘着が増す…という原理のようです。

あとは説明書に従って上回りをネジ止めし、先台車・従台車を取り付けるだけです。前後から見て、機関車が傾かないように注意します。

フレームや上回りが曲がっているときは、手で少しひねると直ることがありますが、うまく走らなくなってしまうかもしれません。ハンダがパカッと取れてしまうこともあります(無論経験済みです…何も考えていなかったので)。

完成

ようやく完成です。必ずしも実物そっくり…とはいえないかもしれませんが、最初のC59よりはうまくできました。高いキットをパァにせずにすみました。

完成

伸び伸びしたスタイルでなかなか良い感じです。色々な客車を引かせて活用できます。

気になる牽引力ですが、新機構ははっきり効果があるようです。
今までのワールド工芸のC59でも、平坦線では十分走ってくれましたが、今回のものは勾配でも大丈夫です。8〜10両編成なら速度調整をすれば4%勾配でも使えます。平坦線なら15両引かせても大丈夫です。
プラ製品のエンジンドライブ蒸機には及ばないとはいえ、実用には十分です。あの転がらない旧マイクロエースの10系客車(非冷房・茶)も、平坦線で10両以上引くことができました。


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