Nゲージ蒸気機関車>蒸機の紹介>C57
発売は1999年のことで、同社のテンダードライブシリーズではC55、C62に次いで3つめでした。C55で課題だった牽引力の問題も初めからある程度解消されていました。ただし初回シリーズにはまだ牽引力増強装置はありませんでした。
C57 3次型 1999年 | C57 3次型 1999年 (拡大写真) |
|
C57 1次型 1999年 | C57 1次型 1999年 (拡大写真) 同年には門鉄デフにステンレスの飾りが付いた11号機も限定少量生産されました。 |
|
C57 3次型ロングキャブ 1999年 | C57 3次型ロングキャブ 1999年 (拡大写真) |
|
C57 135号機 2000年 | C57 135号機 2000年 (拡大写真) |
|
C57 4次型 2000年 | C57 4次型 2000年 (拡大写真) |
1999年から2000年にかけて次々に発売されたので、やっと組み終えたと思ったらもう次が発売され、組み立てに追いかけられていました。このほかに特定ナンバー機も発売されています。
基本はキットなので入門者向きではありませんが、車輪のフランジを低く抑え、タイヤの厚みも少なく、特徴ある大きい動輪がよく表現されています。一見旧シリーズのC55と同じ作りですが、動力が改良されていたので当時のC55よりも良く走りました。
この頃動力ユニットは組み立て調整済みでした。動輪や先輪のタイヤが薄いので、比較的大きな半径の線路で走らせたほうが調子がよいです。
特に真横から見たプロポーションが抜群で、客車の先頭に立たせると大きさもピッタリで格好いい編成になります。牽引力は平坦線では十分で、勾配でも5〜6両なら十分使えますから、調子よく走るものを組むことができれば常用することもできます。
当初、ワールド工芸のシリーズではディテールは控えめだったのですが、C57 135号機の頃からは必要なパーツはほとんど全部含まれている構成に変わり、値段も2万円を超えるものになってきました。ただし、ここまでのC57シリーズにはまだバックプレートがなく、後ろから見るとボイラーの中まで丸見えです。
しばらくラインナップが途絶えていましたが、2007年になって全体が新規設計で作り直され、1次型九州タイプが追加されました。
その後の同社テンダードライブ機の規範となったような構造です。
C57 1次型九州タイプ 2007年 | C57 1次型九州タイプ 2007年 (拡大写真) →ワールド工芸 C57一次型九州タイプ |
動力ユニットはユーザー組み立て式に変わりました。モーターの都合で少し長かったテンダーは短くなり、エンジン部の幅も狭くなってボイラー高も下がりました。
各種のパイピングはほとんどがステンレス製のエッチング抜きになり、素組みでもかなり凝ったディテールが表現できるようになりました。限られた面積のエッチング板に、複雑な形態の配管が見事にレイアウトされています。部品の位置決めなどには色々な工夫が凝らされていて、パーツが多い割には簡単に組み立てられます。
主台枠にも実物らしいディテール表現がなされています。台枠内には牽引力増強装置(荷重分配装置)が内蔵されましたが、ボイラーが細いため、サブウエイトの重量はそんなにありません。何となく、努力すれば同じだけの重量を直接テンダーに追加できそうな気もします。
左が初回シリーズのテンダー、右が2代目(1次型九州タイプ)のテンダーです。幅が狭くなり、妻面のディテールもかなり凝ったものになりました。 | 向こう側が長期にわたり再生産されていないKATOのC57門鉄デフです。手前のワールド工芸のほうが1センチ以上短くなっています。 |
これまでは固定された加減リンクの先端をエキセントリックロッドが往復するでしたが、一般的な可動式に変更されました。
このグループはすべて4次形です。
C57 4次 九州タイプ 2009年 | C57 4次 九州タイプ 2009年 (拡大写真) →C57 4次型(新)の組み立て |
|
C57 4次形 重油タンク付北海道タイプ 2010年 | C57 4次形 重油タンク付北海道タイプ 2010年 (拡大写真) |
|
C57 4次形 北海道タイプ 重油タンクなし 2010年 | C57 4次形 北海道タイプ 重油タンクなし 2010年 (拡大写真) |
加減リンクの変更に伴い、バルブスピンドルガイド周辺も変わっています。
|
2009年にトミックスからC57 135号機が登場して話題となったあと、ワールド工芸の135号機もリニューアルされ、洋白フレーム・高精度ギヤの新型動力に変更され、最終形となりました。
C57 135号機 リニューアル 2013年 | C57 135号機 リニューアル 2013年 (拡大写真) →C57 135(新)の組み立て |
|
C57 57号機 2013年 | C57 57号機 |
ほか、同様の模型仕様で次の北海道タイプが発売されています。
C57 144号機 2015年(写真なし)…切詰デフで、最後まで開放キャブだったものです。
C57 38号機 2015年(写真なし)…切詰デフで、同じく最後まで開放キャブだったものです。
2005年に発売されました。同社のNゲージシリーズでは、C62、D52に続いて3作目になります。
21005 C57 11号機「かもめ」時代 2005年 | 21005 C57 11号機「かもめ」時代 2005年 (拡大写真) |
|
21007 C57 135号機 2005年 | 21007 C57 135号機 2005年 (拡大写真) |
今までの製品に比べて改良された部分はたくさんあり、サイドビュー的には格好のいい模型で、細部もほどよく細密化されています。
11号機のデフのステンレス模様は大変上品な仕上がりになっています。
なぜか煙室扉周辺の丸みが作られておらず、煙室扉自体も小さいので、前面の表情はいまひとつ似ていません(ただしC57にも角付きの前面をもつものはあります)。キャブ前方角も丸められておらず、製作の手間は配管類に向けられているようです。
ヘッドライトは今までの導光材むき出し+透明円板ではなく、丸みの強いレンズがはめ込まれる構造になっていて、まばゆいばかりに点灯します。コアレスモーターによる走りは大変静かでスムーズですが、同社のC62やD51と比べて速度が2割ほど遅いようです。
ほぼ同時期に、同じ天賞堂から1/80スケールのプラ製のC57も発売されています。1/80とはいえ、材質や作りの面から、何となく大きいNゲージというような印象のある模型です。
しかし、前面の様子は同社のNゲージよりもはるかに似ています。やっぱり、作り慣れている大きさというのがあるのでしょうか。
マイクロエースのC57は1999年に発売されました。この前に発売されたのは、D51お召指定機と、C59お召指定機です。
いかにもマイクロエースの苦手そうな形態の機関車ですが、ラインナップ的には外せなかったのでしょう。
A9901 C57 177 北海道タイプ 1999年 | A9901 C57 177 北海道タイプ 1999年 (拡大写真) |
|
A9902 C57 180 3次型・ばんえつ物語号 1999年 | A9902 C57 180 3次型・ばんえつ物語号 1999年 (拡大写真) |
|
A9907 C57 1 お召指定機 2000年 | A9907 C57 1 お召指定機 2000年 (拡大写真) |
C57のファンの方にはやりきれないかもしれませんが、こういう形の製品であり、写真の縦横比が間違っているわけではありません。
ボディーが外れて浮いているように見えますが、これで目一杯です。ちゃんとはまっています。
初回品は特にキャブの接着が弱く、すぐに外れてしまうものもありました。造りとしては残念ながら雑な部類です。
「やまぐち号」がラインナップに追加され、お召指定機も同様の仕様で再登場しました。
A9908 C57 1 お召指定機・改良品 2007年 | A9908 C57 1 お召指定機・改良品 2007年 (拡大写真) |
|
A9909 C57 1 やまぐち号・標準 2007年 | A9909 C57 1 やまぐち号・標準 2007年 (拡大写真) |
やまぐち号は黒色車輪、お召指定機は銀車輪です。お召指定機でボイラー上(ドームの前)にあった逆止弁は、ボイラー脇に移されました。キャブの後退角も再検討されて作り直されています。
全体の印象は腰高のままですが、ずっと小さいままだった前照灯の直径がついに大きくなり、その首も短くなりました。せめて直せるところだけでも直そうというのは良いことだと思います。 が、レンズにつけられた縦縞模様が透明度を邪魔して、非点灯時は何かでフタをされているように見え、リアルというより何だか不気味です。ただではすまないところがマイクロエースの作風(芸風?)なのかもしれません。 車体の黒塗装の光沢はちょうど金色とバランスが良く、質感は悪くないので、各部の磨き出しが印象に残っているという方にはマッチすると思います。
テンダー後部のステップは少々取れやすいです。
あのままの格好でまだ続くのだろうかと思っていましたが…そうなりました。細部はこの当時の新しい仕様になっています。
A9905 C57 135 さようならSL列車牽引機 2009年 | A9905 C57 135 さようならSL列車牽引機 2009年 (拡大写真) |
|
A9912 C57 180 門鉄デフ 2009年 | A9912 C57 180 門鉄デフ 2009年 (拡大写真) |
今後も製品化が続くとしたら、「あとは似せてください」というのがささやかな要望です。
いまや、同一形式の模型が複数のメーカーから発売されるのは珍しくなくなりましたが、C57は色々なメーカーからまんべんなく発売されており、たいへん大きなグループの製品になりました。
特急牽引機のように一種気取った感じもなく、庶民の足としても親しまれた機関車ですから、生産されたときの一瞬だけではなく、いつでも手に入るといいですね。
(C57 おわり)