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C62 2(新)の組み立て その8

2008.9.6

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塗装さえ終わってしまえばもう安心です。今まで作ってきたものとほぼ同じですから経験的に解決できます。ただ、初めての方は動輪の回転調整などがうまくいかず、苦労するかもしれません。

動力ユニット

ギヤの組み込み

あらかじめ、車輪座P-1〜P-4の軸穴を、2.5mmリーマーやヤスリでさらって、車軸が軽く回るようにします。軸穴を傷めないようにご注意!軸穴や軸受けはすごく大事です。

片側のフレーム(K-3)の各部を直角に折り曲げ、下側にK-2をぴったり張り重ね、下側からハンダ付けします。K-3の両端は説明書に従って斜めに削っておきます(片側だけそうなっていました)。

小ギヤ軸は、表側のバリを平らに削っておきます。両ボス回転座には裏表はありません。

車輪座のP-3とP-4は、最近のキットでは張り合わせでしたが、今回は厚い1枚板に戻り、組み立てが楽になりました。このほか、細々したスペーサや取り付け座もばっさり省略されています。これで良かったんですね。

説明書に唯一の誤りがあり、P-3に小ギヤを留めるネジが「M1.4×2.0コサラ」となっていますが「コナベ」が正解です。P-4のほうは正しく書かれています。

ギヤを取り付けたところ

取り付けたギヤと車輪座を上から見たところです。車輪座が左右にぶらぶら首を振ることと、ギヤが軽く回ることを確認します。ネジはしっかり締めないと、あとで緩んでも分解できず、下手をするとそのまま廃車です。

K-2とK-3の合わせ目には、あとで上から絶縁ワッシャが乗るので、ハンダがはみ出さないようにしておきます。

モーターベース側

反対側のフレーム(K-4)を各部直角に折り曲げ、モーターベース(K-1)をハンダ付けします。
下側にはテンダー合体ボス2個をハンダ付けしておきます。以前は1個だけだったので、回転してしまい具合が悪いことがありました。

こちら側の車輪座(P-1、P-2)にはギヤがつきません。回転座を介してしっかりネジ留めしたら、絶縁シールを貼っておきます。

フレーム組み合わせ

両方のフレームを、絶縁ワッシャを挟んで重ね、絶縁ブッシュをはめ込んでネジ止めします。

モーターは説明書のとおり、マークの位置を確認してネジ止めします。本当は、モーターの取り付け配線は車輪の圧入後にやることになっていますが、勢いで付けてしまいました。

モーター配線

モーターの配線K-5をネジ止めし、それぞれの端子にハンダ付けします。モーター端子側はフラックスを使わず、ヤニ入りの電気配線用のハンダを使って手早く付けます。

写真の左側のK-5は、モーターの乗っている側の金属部に触れるとショートするので、根本から上側に立ち上げるか、絶縁チューブをはめてショートしないようにしておきます。

車輪の組み込み

プラ製のギヤ付き駆動軸の片側(車輪座にギヤのついていない側)に車輪スペーサを通し、車輪座の軸穴に置きます。

両側から車輪をはめ込みます。

2箇所だけ、ゴムタイヤ付きの車輪があるので、場所を間違えないようにします。

今回のゴムタイヤには粘りがあり、レールの上で無理に滑らせると抵抗があります。最近のトミックスの電気機関車や、KATOのC62と同じくらい粘りました。
(追記:走らせているうちに失われてきて普通になりました。)

車輪圧入

万力などを使って、両側からゆっくり車輪を圧入します。

1.車輪スペーサが、車軸と中央のギヤの間に挟まれないこと
2.車輪座が、車軸と車輪スペーサの間に挟まれないこと
3.中央のギヤを押しつぶさないこと

などに注意します。

このように動力部の分解修理が簡単にできない構造なので、ネジが緩んだりして破綻しないことを祈るばかりです。分解するとプラ製の駆動軸が曲がってしまい、新しい駆動軸を購入する必要があるからです。

ギヤの取り付け

全部の車輪を圧入したら、本来はここでモーターを取り付け配線し、通電してモーターの回転を確かめます。

両側にウォームギヤを差し込み、大ギヤとの噛み合わせを確認し、具合がよければ少量のエポキシ系接着剤で接着します。モーターの軸受けに接着剤が回らないように注意します。

最終組み込みのとき、モーターのついていない側のフレーム(K-3)がテンダー内側に当たるとショートするので、マスキングテープやセロテープなどを貼って絶縁しておきます。

動輪とロッド

今までのキットとほとんど同じなので、簡単に書きました。

ラジアスロッドの取り付け

ステンレス製のラジアスロッド+加減リンクは、先端を説明書のとおり短くカットしてシリンダーブロックに差し込みます。

後端のネジは他の箇所と違い、1.4mmではなく1.0mmなので、ねじ込み先の穴には1.0mmタップでネジを切っておきます。

動輪

動輪の輪心からタイヤが空回りしていたので、裏側から少量の瞬間接着剤で固定しました。

動輪を軸受けにはめ込み、ブレーキシュー付きの車輪押さえをネジ止めしてから、スムーズに転がることを確かめます。

カーブでも動きを確かめておきます。ここでうまく転がっても、あとでロッド類を取り付けていくと、車輪の挙動が変わり、ブレーキシューに当たって引っかかることがあります。 ブレーキシューを付け根から外側に傾けるように曲げ、車輪から少しでも遠くなるようにしました。カーブでは、想像以上に動輪が左右に大きく動くようです。

サイドロッドの取り付け

サイドロッドは第一動輪と第三動輪にロッドピンで留めます。

輪心への挿入がかなり固いので、飛ばしてなくさないように注意を払い、車輪の表裏から挟みつけるようにして差し込みます。車輪を傾けて曲げないように注意します。

少し余裕を見ておかないと、カーブで動輪が押し出されたときに、回転が渋くなって引っかかってしまいます。ただ、第一動輪ピンはあまり浮いていると、メインロッドに引っかかりやすくなります。

ピストン棒の切断

ピストン棒は、途中についている意味ありげな傷には目もくれず、説明書に従って付け根から7.5mmの長さで正確に切断します。説明書にこういった寸法が記載されているだけでとても組みやすいです。

ピストン棒はまっすぐに修正し、クロスヘッドの内側ともども、目の細かい紙やすりで磨いておきます。

誤って0.5mmでも短く切断してしまうと、シリンダーブロックから抜け落ちてしまい、そこでアウツです。

メインロッド取り付け

メインロッドは、第一動輪ピンに当たらないよう、説明書の図に従って少し曲げておきます。

ピストン棒をシリンダーブロックの穴に差し込み(穴が小さいときは少しヤスり)、メインロッドを下側にしてクロスヘッドをスライドバーに置きます。
メインロッドを後ろ側に回転させ、第二動輪の穴に重ねます。

エキセントリックロッド

エキセントリックロッドの切断長さは特に指定がありませんが、一番長い位置でカットしておき、つっかえるようなら少々カットします。
私の作例では一番長い位置でカットし、そのままでOKでした。

各種ロッドが薄く作られているため、クロスヘッドの位置が安定せず、何となくぶらぶらしているのがいつも気になるところですが、何とか車体外側に出っ張らないように考慮されている構造なので、ある程度はやむを得ないかもしれません。

回転の調整

うまく転がらないときは、一度メインロッドを外し、サイドロッドとエキセントリックロッドだけにして様子を見ます。

クランクピンが第二動輪に深く入りすぎていて、エキセントリックロッドと加減リンクの穴に角度がついてしまうと、摩擦でスムーズに転がりません。また、クランクピンが曲がっていて、エキセントリックロッドがきれいに往復運動しないこともあります。

クロスヘッドとメインロッドを付けて、回転の端のほうで動きがしぶいときは、シリンダーの端にピストン棒がつっかえていないか確認します(切りすぎると抜けます)。次にはピストン棒の曲がり・角度や穴の大きさを調べます。スライドバーの角度を少し調整しただけで直ることもあります。

直線はスムーズなのにカーブで引っかかるときは、ロッドピンの差し込みすぎ、第一動輪ピンの干渉、ブレーキシューとの干渉などが多いです。

コンビネーションレバー

指でポンと押してサーッと転がるくらいに調整したら、コンビネーションレバーを取り付けて完成です。

たまに、どうやってもスムーズに動かないことがありますが、スムーズに動く個体がある以上、必ずどこかに原因があります。 ただ原因が、台枠の軸受けの歪みまで遡るときは、修正は困難だと思います。実は、軸受けはものすごく大事です。これはいくつもキットを組み立てているうちに、身にしみて感じています。

最終組み込み

補助ウエイト

荷重分配装置の補助ウエイトを、可動フレームの上に接着し、さらにネジ止めします。

ボディーをかぶせてみて、ウエイトがスムーズに上下するか確かめます。引っかかるときは、火室の内側に部品の取り付け足などが長く出っ張っていないか、調べて修正します。

上下合体と台車

下廻りを後ろ側から上回りにはめ込み、前後2箇所をネジ止めします。このときに今までの工作の拙さが一気に噴出します。気付かなかった歪みなどが現実のものとなり、左右や前後に傾いてしまってショックを受けたりします。

先台車と従台車は説明書のとおりにネジ止めすればOKです。従台車は先に台枠の下の0.2mm線を穴に通してからネジ止めします。従台車のバネは1巻半くらいカットして使いました。重ね順は説明書の図のとおりですが、L=2.0カラーは従台車の穴を貫通します。

組みあがったら動輪を回転させ、第三動輪ピンがコンプレッサーや給水ポンプに当たらないか、従台車がドロダメや配管に引っかからないかを確かめます。よくあるのはエアタンクとクランクピンの干渉ですが、C62の場合はエアタンクが高い位置にあるので、発生しないと思います。

動力ユニット組み込み

テンダーに動力ユニットを向きを間違えないように差し込み、床板にATS車上子とともにネジ止めします。

このとき、テンダーの床板と、テンダーの側板の角度が直角になっていないと、前から見たときにテンダーが傾きます。傾いていたら面倒でもネジを外して、慎重にテンダー床板の折り目の角度などを修正して付け直します。傾きは必ず修正できると思います。

このあと、部品を1つ付けるたびに線路に置いて通電し、ショートせずに走ることを確かめます。最後まで組み立ててショートしていることに気付いたら、また分解して最初からやり直しです。

台車枠など

左右の底板(Q-1、Q-2)を前後2箇所でネジ止めします。

台車枠の取り付け穴は1.2mmドリルなどで貫通させ、あらかじめ取り付けネジを直接ねじ込んででネジ穴を切ってから、車輪座にネジ止めすると楽です。

動力ユニットを外すときは、まずこれらを全部外さないといけません。

石炭の取り付け

石炭とテンダー蓋を両面テープなどで止めれば完成です。

なお、製品には炭庫の後部の仕切り板も付属しています。これを使うときは、石炭を後ろから数ミリ削り取る必要があります。ちょっと面倒だったので、それは使いませんでした。

完成

比較的スムーズに組み立てられましたが、撮影・ページ制作も合わせて2週間近くかかってしまい、なぜか今までで一番時間がかかりました。
努力はしましたが、全体が正確に組み上がったというわけではなく、実力不足は情けなく思います。もう初めてではないんですけどね。

完成
非公式側
参考までに、旧製品(メーカー完成品)です。
もともとプロポーションはよい模型だったので、新製品に比べて特に見劣りする点はないと思いますが、一番大きく違うのは動力機構です。旧製品には荷重分配装置がありませんでした。
旧製品
前面


走りは調子のよいものができました。R280でも通過するように調整しましたが、何となく無理がかかっているようにも見え、一応推奨曲線半径のR320程度で走らせることにしました。

部品不足・不良はひとつもありませんでした。前回見られた説明書や部品番号の混乱も一掃されており、正常化しています。

視力が衰えており、しっかりピントが合っていても何を見ているのかわからないことがある有様なので、本当はキット組み立てはリタイアして完成品を購入させていただきたいところです。
しかし、最近の完成品は9万円を超えていますから(工数を考えるとそうでしょうね…)、まだしばらく頑張るしかありません。

2005年のC51以来、国鉄型は従来品のリニューアル版しか発売されていないので、そろそろ新しい形式が出ないかなと思っています。

長々と失礼しました。


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