体質診断 体質をチェックし6タイプから選ぶ
漢方薬を選ぶ際に重要な体質診断を行います。東洋医学では体質を6タイプに選びそこから体質別に漢方薬が処方されます。まずは、自分の体質6つのどこにあてはまるかをチェックします。
「気」「血」「水」のバランスを重視
「気」は体をめぐるエネルギーの一種で、血をめぐらせる原動力でもあります。「血」は体全体に栄養とうるおいを与える存在です。「水」とは体に必要な水分を指します。
この「気」「血」「水」を生み出し、滞りなくめぐらせるのが五臓(脾・肺・心・肝・腎)の役目です。 五臓が協調し合いながら、きちんと役目を果たしているときには、気・血・水は不足もなく、滞りもなく健康な状態を保ちます。ところが、ストレスや食生活の不摂生、睡眠不足、過労などによって、五臓の働きのどこかに狂いが生じると、「気」「血」「水」のめぐりが滞ったり、不足してしまうことになるのです。
漢方では、「気」「血」「水」に問題が起こっているかどうかを、さまざまな兆候からチェックしていきます。
生理の状態や、胃腸の調子、冷えの有無、疲れやすさなど、いわゆる「体調」はもちろん、イライラしやすい、情緒不安定、不安感が強いといった心の問題や、肌や髪などの美容面のトラブルも、重要な兆候のひとつと考えます。これらの兆候によって、、「気」「血」「水」の問題を具体的にチェックし、不足があれば補い、滞っているものはめぐらせ、余っているものは取り除くという方法で、体質改善していくのです。
本来の体質以外に季節、年齢によっても異なる上に当てはまる体質はひとつとは限らない
漢方ではこのような「気」「血」「水」の不足や滞りを「体質」と考えます。体質といっても、生まれ持った体質のことだけを指すのではありません「気」「血」「水」は常に変化しています。 同じ人でも年齢によって体質が違ってきますし、そればかりか、季節や生活が変わっただけでも、体は敏感に反応しているのです。そのため、ここでチェックする体質は、あくまで現時点のものと考えて。そして、ん「気」「血」「水」の状態が変わったなら、それに応じて対処法も変える必要があることを知っておきましょう。
もうひとつ注意したいのが、体質といってもここの挙げている6つのタイプのどれかひとつだけ に当てはまることは少なく、むしろ、いくつかの タイプに当てはまるケースが多いという点です。
気虚と血虚が混じり合っていることもあれば、そこに癒血と水滞が加わるというようなこともあ ります。もし、いくつかの項目にわたって思い当たる症状があるときは、複合タイプと考えて、どちらの 対策も行うようにします。
「血」とは?
「血」は、いわゆる「血液」という意味のはか、気とともに体内を流れて、各所にうるおいと栄養を与える存在でもあります。女性ホルモンとも深い関係にもあります。
中医学では、「血」は身体の栄養源であり、組織や臓器に栄養を供給する重要な役割を果たします。
女性の健康においては、月経や妊娠などの生理現象において血の生成と循環が重要であり、女性ホルモンとの調和が必要です。女性の健康を維持するためには、血の生成と循環を促進し、女性ホルモンのバランスを保つことが重要です。
1.血の巡りが悪い 「 瘀血 」
瘀血は、血がドロドロになり、めぐりにくくなった状態ですも生理痛、冷え、目の下のクマや肌のくすみなど、血行不良による症状がいたるところにあらわれます。子宮内膜症や子宮筋腫など、婦人科系の病気とも深い関係があります。
血液は酸素や栄養素を全身に運搬する重要な役割を担っていますが、瘀血になると、その機能が阻害され、さまざまな不調を引き起こす可能性があります。
- 生理痛がひどく、経血にレバー状の固まりがある。
- 手足がいつも冷たい
- 肩こり
- シミ、くすみ、ニキビ、肌荒れなど
- めまい、耳鳴り、便秘、不眠症など
2.血が不足している 「 血虚 」
血の不足は、女性に多い症状でここに挙げた以外にも、顔色が悪い、肌が荒れやすい、こむら返りをよく起こす、動悸がする、眠りが浅く夢をよく見るといった症状もあらわれやすくなります。
血液は、体の隅々に酸素や栄養を運搬する役割を担っているため、血虚になると、さまざまな不調を引き起こす可能性があります。
- 月経量や日数が以前より少ない
- 貧血
- 抜け毛・薄毛、爪や髪が痛みやすい
「気」とは?
気を巡る一種のエネルギーの一種。消化、吸収、排泄をスムーズに行う。血を巡らせる、体温を保つ、ウィルスや細菌から体を守るなどの体の生理機能を維持する働きがあります。
3.気が滞っている「 気滞 」
体の隅々にエネルギーを運搬する役割を担っているため、気滞になると、さまざまな不調を引き起こす可能性があります。
気の巡りが悪いとイライラしたり、怒りっぽくなるなど、精神的な症状が出やすくなります。また、排卵時や月経前に不調があらわれやすく、イライラ、乳房やお腹の張り、むくみ、だるさなどを強く感じることがあります。
- PMS(月経前症候群)の症状が出やすい
- イライラしやすく情緒不安定気味
- お腹や胸が張りやすい
4.気が不足している 「 気虚 」
気が不足すると、だるい、疲れやすい、低血圧、低体温といった全身症状が出やすくなります。抵抗力も低下し、風邪を引きやすくなったり、また、治りにくかったりするのも特徴です。また、胃腸の機能低下が原因で気が不足する人も多く、胃もたれや食欲不振など消化器系の症状も出やすいのも特徴です。
- 疲れやすい
- 風邪を引きやすくこじらせやすい
- 胃がもたれやすい
「水」とは?
「水」は津液(しんえき)ともいい、体にうるおいを与える物質です。主に、胃液、唾液、リンパ液などの体液を指します。体内でスムーズに巡らなくなると、不要な水分に変化します。
5.水の巡りが悪い 「 水滞 」
水の巡りが悪いと、体が重くむくみます。風呂の前後で体重が増減するのも水滞の特徴です。お腹に水が滞っている場合には、お腹を押すとぽちゃぽちゃと音がしたり、口の中がネバネバして、舌には白いコケがべったりと付くようになります。
むくみや冷え、だるさなどの症状を引き起こす可能性があります。
- 尿量が少なくむくみやすい
- 下半身が重い
- 口の中がネバネバしやすい
水滞には、次のようなさまざまな原因があります。
- 飲食習慣の乱れ:塩分の多い食事や冷たい飲酒の摂取
- 運動不足
- ストレス
- 月経前症候群 (PMS)
- 妊娠
- 慢性疾患:心臓病、腎臓病、肝臓病など
6.水が不足している「 陰虚 」
漢方では、水(津液)などを含めた体に必要なうるおいを「陰」と呼びます。このうるおいが不足した「陰虚」は、まず体のあちこちに乾燥の症状が現れます。ドライアイ、ドライマウスも陰虚の症状です。あた、水には冷却装置のような役割があるので、不足してしまうと相対的に熱症状が出やすくなってのどが渇く、手のひら、足のうらがほてりやすいといった症状が出る場合もあります。
陰は、体を潤し、冷やす責任があるため、陰虚になると、次のようなさまざまな症状が現れます。
- 目や口が乾く
- 手のひら、足の裏がほてりやすい
- 月経量が少なく粘りやすい
- 寝汗
- 動悸
陰虚は、次のようなさまざまな要因によって引き起こされる可能性があります。
- 慢性疾患: 慢性疾患、糖尿病、心臓病など
- 感染症:風邪やインフルエンザなどの感染症
- ストレス:ストレスや不安
- 不健康な生活習慣: 喫煙、過度の飲酒、不十分な睡眠