夢フォルム  ■02■ TOP 01■02■03■04■05■06■07■08■09■10■   感覚→感情→意識・非意識


winea2.gif     感情の役割って・・・いったい夢の何なの?


1 どうして感情があるのだろう?

 

 感情より先に行動がありました。感情をともなわない行動があったのです。
 感情は、刺激とそれに対する反応が結びついた「記憶」のパターンです。
 感情は最初から、いまのように豊かだったわけではありません。
 少しずつ、感情が進化して、区別がつくようになったものだと思われます。
 さまざまな感情をもつことが、生き残っていく上で役にたったからでしょう。

 

2 感情があるとどんな利点があるのだろう?

 

 感情があれば、環境からの特定の刺激に対し
 「記憶」に基づいて、特定の行動をするか・・・しないかを決定することができます。
 つまり、環境に応じて、自分で選んで行動ができるということになります。

 その特定の行動を積極的にしようとする感情が「快」
 刺激を受け、特定の行動をしないとする感情が「不快」という原始的な感情です。

 その「快」と「不快」の感情を微妙に組み合わせて、新たに感情を作り出してきました。
 最初は「快」で、途中から「強い不快」という組み合わせは・・・「怒り」という具合に。
 それが感情の進化です。感情が増えれば、いろいろな刺激に対する反応のバリエーションも増える。
 環境からの刺激に・・・いろいろな行動ができる。環境に柔軟に適応できるということにつながります。
 柔軟さは「生き残り」につながりますから・・・・進化にとって好都合なのです。

 

3  感情は行動のパターンを生み出し、それが遺伝子に組み込まれる。

 

 最初の感情は「快」と「不快」でしたね。
 ある刺激があると・・・それを「避ける」あるいは「接近する」という行動を引き起こす感情です。

 最初は意識しないで、それらの行動を本能的に感じ取っていたのでしょうが
 特定の刺激に対する反応が生き延びることにつながれば、その行動のパターンは遺伝子に残されることになります。
 いくつかのパターンのうち、いくつかが残っていくこと・・・それを自然淘汰といいます。
 残っていくときに、感情と行動がセットになるわけです。遺伝子にも組み合わせとして残されます。
 行動の結果として・・・感情が生じ、やがて感情が行動に先行するようになります。
 感情が・・・「比較センサー」の役目をして・・・行動をコントロールするということです。
 感情は、行動する前に、感情の種類と量をもとに、行動の結果を予測するわけです。
 感情が行動をするか、しないかを決めます。
 行動するなら・・・どれくらい行動するのかもコントロールします。

 「怒り」が生じたとき、相手を殴ってもいいと判断して、強く殴るか・・・弱く殴るかを決めるのです。
 感情には量があって、それは行動の量につながっていきます。
 ある一定の感情の量が感じられると・・・行動を起こします。
 つまり、感情は微妙に行動をコントロールすることができるようになります。
 微妙にコントロールする・・・それはある意味で「理性」ということになるかもしれません。

 

4 状況に応じて、感情が生じ、行動が起こる。これが一連の記憶を作ります。

 

 どの感情要素も遺伝子に組み込まれています。環境の作用を受けて感情が成長します。
 成長には偏りが生じるので、感情のいくつかは敏感になり、他は鈍感ということになります。
 感情のそのような偏りのセットがある傾向を示します。それが「性格」になるのです。

 環境からの刺激で、感情は形成されるのですが・・・形成されるのは「記憶」でしたね。
 刺激と行動との結びつきとその結果の記憶は、非意識が担当しているのです。
 実際に行動して環境にはたらきかけ・・・その結果を自動的に・・・そのまま「記憶」します。
 つまり、「はたらきかけて、その結果を得る」・・・それに「快・不快」の感情の組み合わせを付加する。

 一連の記憶は「最初の出来事の記憶」や「印象の強い出来事の記憶」によって決定されるでしょう。
 感情は・・・そのように・・・出来事の記憶として残されていきます。
 特定の感情が生じたとき・・・ある出来事を思い出すのは、そのためです。

 

5 感情が生じたとき、行動すると・・・それは強化されます。

 

 怒りという感情が生じたとき,相手を殴れば・・・「怒り」という感情が
 あなたの脳の中で大きな位置を占め、強化されることになります。
 夢において・・・「怒り」の感情が生じて・・・それが夢の中で行動として実行されます。
 でも、実際には行動していませんから・・・「感情」があるのに・・・行動しなかったということになります。
 したがって、感情と行動が一致しなかったということになり、強化されなかったことになります。

 強化されなかったのですから・・・その感情と行動の結びつきは弱くなります。
 また、視点を切り換えて、夢において他の誰かの行動をすることにより
 同じ出来事でも,別の感情を行動として体験することができます。
 感情はあっても、行動しないのですから・・・その結びつきも弱くなります。

 夢において、あなたが実際の行動と矛盾する行動をするのは
 特定の感情と行動の組み合わせを夢で実行することによって、その結びつきを弱めたいからです。
 ここに、夢の効果があります。感情と行動の調整をしているということです。

 「イライラした気分」のときに、攻撃したくなりますが・・・
 攻撃することによって「ある種の喜び」の感情が引き出されます。
 つまり、イライラした気分と攻撃の気分は類似しているのですが
 イライラした気分を減らそうとして攻撃気分を持ち込み
 その結果として、違う感情「喜び」が引き出されるというような現象です。
 感情が別の感情に切り換えられるのです。
 夢において、特定の感情をリセットするために、類似の感情を夢に持ち込み
 実際には、そのことで違う感情が引き出されてくることで解消されるのです。それが夢のやり方です。