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「在」と「不在」としての自分自身?
夢の中に突然あらわれてくるものといつのまに
かなくなってしまうものがある。
そのあらわれ方は実に唐突であり、その出現の必然性がどこにあるのか
気づかないまま夢を語るのが普通ですね。
また何の理由もなく消えていくものがあることに特別な注意を払うこともありません。
どうしてだろうとは思うけど・・・でも、そこまでです。
それが夢の曖昧さであり、脈絡のなさであるとだれもが思っている。
たいていの場合、「そこにあること」と「そこにないこと」の意味を夢の中からつかみだすことは難しい。
一度登場したものが、次の瞬間には消えてしま
う。
または別のものに置き換わってしまうという夢の現象は頻繁にあります。
たとえば、部屋に戻ったら、自分のベッドに誰か知らない裸の女が寝ている。突然の出現です。
そのことを電話で友達に知らせようとしたら、もう、そこにはいない。理由のない消滅ということ。
よくよく見てみると、ベッドの下に兄の死体があった。別のものへの置き換えであり、交代となります。
このように夢の中で頻繁に「在」と「不在」を
繰り返す対象は何を表しているのでしょうか。
それは夢を見ている人にとって、「自分がそれになりたいもの」あるいは
「自分がかつてそうであったはずもの」を表していると、うららと考えます。
夢の二面性から見ると、それと対比の位置にあ
る「自分がなりたくないもの」
あるいは「自分はなりたくないが、そうならざるを得ないもの」を表しているかもしれません。
この場合、ベッドに寝る裸の女であり、ベッドの下の兄の死体がイメージするものです。
ベッドに寝る裸の女も、ベッドの兄の死体も、すべて夢を見ている人自身の姿ということです。
ベッドに寝る裸の女は成熟していくことへの不安を表しているのかもしれません。
したがっていつのまにか消えてしまう。
ベッドの下の兄の死体は、シンボルとしての兄
の不在を意味します。
それが象徴するのは異性の目からの逃避ということ。
女として成熟していくことを意識しながらも、それを不安視するかつての自分であったと振り返っているのです。
同時に、そのことを悟られまいとし、異性の注目を避ける過去の自分を見つめる現在の自分がいるのかも?
そして現実の自分を捉えなおしているということになります。
夢の中に突然出現し、そして消滅し、あるいは別のものに置き換わるもの・・・それは、かつての自分自身である。
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