Huanying xinshang Ding Fengzhang de zhuye



水調歌頭

    游泳
一九五六年六月


纔飮長沙水,
又食武昌魚。
萬里長江橫渡,
極目楚天舒。
不管風吹浪打,
勝似閒庭信歩,
今日得寬餘。
子在川上曰

逝者如斯夫



風檣動,
龜蛇靜,
起宏圖。
一橋飛架南北,
天塹變通途。
更立西江石壁,
截斷巫山雲雨,
高峽出平湖。
神女應無恙,
當驚世界殊。









                     ******

           游泳

(いましが)た 長沙の水を 飮みしも,
又も 武昌の魚を 食ふ。
萬里の長江を 橫渡し,
楚天の舒
(ひろ)きを 極目す。
風 吹き 浪 打つも 管
(かまは)ず,
閒庭を 歩むに信
(まか)する似(より)も勝(まさ)る,
今日  寬餘を 得
(え)たり。
子 川上に 在りて 曰く

逝く者は斯の如き夫
(か)


風檣  動き,
龜蛇  靜まりて,
宏圖を 起こす。
一橋  飛ぶがごとくに南北に架
(か)け,
天塹を  通途に變ず。
更に 西江に 石壁を立て,
巫山の雲雨を 截斷し,
高峽に  平湖を出だす。
神女  應
(まさ)に恙(つつが) 無かるべきも,
(まさ)に 世界の殊
(こと)なるを 驚くべし。

              *****************

◎ 私感註釈

※水調歌頭:詞牌の一。双調。九十五字。平韻一韻到底。韻式は「AAAA AAAA」。詳しくは「構成について」を参照。

※游泳:遊泳。 *1956年5月末に毛澤東が長沙から武漢に来た際、長江で遊泳したときの作。游泳時の情景から発展して、国土建設に因る壮観を描写している。なお、武昌、漢口、漢陽は、共に長江沿岸で近接しており、併せて武漢三鎮と称されたところ。その折りの行程は、長沙→(列車)→武漢。武漢…(游泳)…漢口。漢陽…(游泳・長江大橋をくぐる)…武昌。漢陽…(游泳)…武昌。

※一九五六年六月:ソ連共産党フルシチョフのスターリン批判に衝撃を受けた毛沢東は、「百花斉放百家争鳴」運動を展開し、共産党に対する多様な意見を求めた。ちょうどその時期の作品。(なお、その後、多くの知識人から共産党の独裁化を批判されると、毛沢東は反右派闘争を展開して弾圧した)。

※纔飮長沙水:たった今…長沙の水を飲んだばかり(なのに)。 *「纔飮長沙水,又食武昌魚。」は、呉・孫皓の遷都の時、遷都に反対する者が流行らせたという童謡の一節「
寧飮建業水,不食武昌魚寧還建業死,不止武昌居。」(寧ろ(暮らしやすい)建業(南京)の水を飲んで(苦難に耐えるとしても、あの不便な地にある新首都の)武昌の魚だけは食べる(気は)ない。…)に基づく。「建業」(南京の六朝時の名称)を「長沙」に換え、「寧飮」(むしろ…を飲むとも)を「纔飮」(いましがた…を飲みしに)という「纔…又」(たった今…したばかりなのに、はやもう)の呼応文にして表現している。 ・纔飮:たった今…を飲んだばかり。いましがた…を飲みしに。 ・纔:たった今。いましがた。現代語では“剛纔(剛才)”という形で、多用される。「纔…又」の呼応文の表現。 ・長沙:湖南省の省都。毛澤東は、ここで青春時代を過ごした。

※又食武昌魚:(ほんの今し方まで長沙にいて、そこの水を飲んでいたばかりなのに)はや又、(武昌に来て)武昌の魚を食べることとなった。 ・(纔…)又食:(たった今…したばかりなのに)はやもう…を食べる。 ・武昌:長江沿岸の都市名。1956年当時、毛澤東が泳いだところ。

※万里長江横渡:万里の長江を橫断す(れば)。 ・横渡:横断する。わたる。

※極目楚天舒:見渡す限り、湖北の空がひろびろと目の前に広がっている。 ・極目:見渡す限り。目の届く限り。 ・楚天:湖北省(武漢)の空。楚の空。作者がその時泳いでいて、目の前に広がって見えた湖北の空。 ・楚:湖北省の別称。湖北省は武漢のある省。 ・舒:のびやかである。ひろびろとしている。

※不管風吹浪打:風が吹き、浪が打ちよせようとも、意に介さない。 ・不管:かまわない。意に介さない。 ・風吹浪打風が吹き、浪が打ちよせ(ようとも)。

※勝似閑庭信歩:(長江での游泳は)静かな庭を足にまかせて(散策すること)よりも勝っている。 ・勝似:…よりも勝っている。…よりすぐれる。蛇足だが「似」は動詞「似る」の意ではなく、「勝於」「勝如」の「於」「如」と同様の働きをする。 ・閑庭:静かな庭。 ・信歩:足にまかせる。

※今日得寬餘:今日は、本当に寛(くつろ)ぐことができた。 ・寬餘:裕福である。豊かである。ゆとりがある。ここでは、のびのびとする。リラックスする、の意。

※子在川上曰:孔子が川上で流水を見て、時間の経過に感じていった言葉に(子 川上に在りて曰く(逝く者は斯くの如きか! 昼夜を舎かず)。 *『論語・子罕篇』「子在川上曰:逝者如斯夫!不舎晝夜。」  などと使われる「川上(せんじょう)の嘆(たん)」。 ・子:ここでは、孔子のことになる。 ・曰-:(…と)言う。

※逝者如斯夫:(子 川上に在りて曰く:)逝く者は斯くの如きか!(昼夜を舎かず) *歳月等の時間の一度去って再び帰らないものの譬え。 ・逝者:ゆくもの。 ・如斯:かくのごとし。 ・夫:…か。

※風檣動:帆船が動いてゆき。 ・風檣:風を受けている帆柱。転じて、帆船。

※亀蛇静:亀山と蛇山は、長江を挟んで静かに(対峙している)。 ・亀蛇:亀山と蛇山。武漢にある長江を挟んで向かい合う山の名。亀山は漢陽側に、蛇山は、武昌側にある

※起宏図:遠大な計劃を起こした。 ・宏図:遠大な計劃。ここでは、国土の改造計劃のことになる。=鴻図。

※一橋飛架南北:(武漢長江)大橋を南北に高々と飛ぶが如くに架けわたして。 ・一橋:ここでは、武漢長江大橋を指す。 ・飛架南北:ここは「一橋飛架南北,天塹變通途。」と意味に従って切っているが、詞譜に従って見ると「一橋飛架,南北天塹變通途。」となる。「一橋飛架南北,天塹變通途。」は、「一つの橋を南北に高々と飛ぶが如くに架けわたして、天塹と謂われた長江を通途に変えた。」となる。格律どおり「一橋飛架,南北天塹變通途。」と見ると、「一つの橋を高々と飛ぶが如くに架けわたして、南北に流れる天塹を通途に変えた。」となり、南北に流れる大河を改造したことになる。南北に流れる大河とは大運河か。ここは、前者の意。

※天塹変通途:長江の天険を、往来(通路)に変えてしまった。 *成語に“天塹通途”があり、それを活用している。 ・天塹:長江。天然の塹壕。天然の要害。(山で謂うところの)天険。長江の比喩としても、屡々使われる。明末/清初・鄭成功の『出師討滿夷自瓜州至金陵』に「縞素臨江誓滅胡,雄師十萬氣呑呉。試看天塹投鞭渡,不信中原不姓朱。」とある。 ・通途:大道。街道。

※更立西江石壁:さらに、川の西の方に石の壁(=ダム)を造り。 ・更:その上。さらに。 ・西江:長江の四川の流れの部分。もっとも、作者は、「川の西の方に」の意味で使う。 ・石壁:石の壁。ダムをいう。

※截断巫山雲雨:巫山の雲雨を断ち切るようにして。 ・截断:遮る。切断する。 ・巫山雲雨:昔、楚の襄王が夢に神女と契った山で、神女は去るときに、「自分は朝には雲となり、夕暮れには雨となる」と言ったことに由来する。 ・巫山:四川省の東端にある山。長江が四川から湖北に流れ出る境界にあり、恰も長江の流れを扼する(かのような)位置にある山。昔、楚の襄王が夢に神女と契ったところ。後出・「
神女応無恙」に続く。

※高峽出平湖:渓谷にダム湖を出現させ(た)。 ・高峽:高い山あいの渓谷。 ・出:(新しい事物を)出現させる。いだす。 ・平湖:ここでは、おだやかなダム湖の意。

※神女応無恙:神女さんも、きっとお元気なことと思いますが。 ・神女:巫山の神女。楚の襄王が夢に神女と契ったといわれる。また、故事に基づいて、巫山に神女峰がある。 ・応:おそらく。きっと。まさに。 ・無恙:建康である。無事である。つつがない。一種の挨拶言葉でもある。
※当驚世界殊:世の中が異なったことに、きっと驚かれていることでしょう。 ・当:きっと。おそらく。まさに。当然…である。 ・殊:異なる。

                *******************





◎ 構成について:

  双調。九十五字。平韻一韻到底。韻式は「AAAA AAAA」。脚韻は「魚舒餘夫 圖途湖殊」で、第四部平聲六魚七虞で通用。


    ○●,
    ●●○○。(韻)
    ●,
    ●●○○。(韻)
    ●,
    ●○○●,
    ●●○○。(韻)
    ○●,
    ●●○○。(韻)


    
    ●,
    ●○○。(韻)
    ●,
    ●●○○,(韻)
    ●,
    ●○○●,
    ●●○○。(韻)
    ○●,
    ●●○○。(韻)

2002.6.10
     6.11

     6.12完
2013.3.23補
     3.24



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