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敕勒川,
陰山下。
天似穹廬,
籠蓋四野。
天蒼蒼,
野茫茫,
風吹草低見牛羊。
敕勒の歌
敕勒の 川,
陰山の 下。
天は 穹廬に似て,
四野を 籠蓋す。
天 蒼蒼として,
野 茫茫たり,
風 吹き 草 低(た)れて 牛羊 見(あらは)る。
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◎ 私感註釈
※敕勒:〔ちょくろく;chi4le4〕勅勒。少数民族の名。北朝の北齊の時代、朔州 (現・山西北部一帯) にいた部族名で、高車、丁零、鐵勒とも謂った。古代の匈奴の一部族の後裔名。この作品は、『樂府詩集・雜歌謠詞』にある。本来は、鮮卑語で作られていたものを斛律金が齊語(漢語)に訳したものという。
※敕勒川:勅勒民族が住んでいる原野は。 ・敕勒川:勅勒族が遊牧生活をしている草原。固有名詞ではない。 ・川:平原。詞で「一川」と言えば、「平野一面に」になる。
※陰山下:(蒙古近くの)陰山の麓では。 ・陰山:山脈の名。陰山山脈で、現・内蒙古自治区の境界線内にある。
※天似穹廬:空は、円いドーム状のテントのようで。 ・穹廬:〔きゅうろ;qiong2lu2〕弓なりに張った円いドーム状のテント。蒙古包(パオ)。遊牧民の住居。匈奴の住居。漢の烏孫公主劉細君の『悲愁歌』に「吾家嫁我兮天一方,遠託異國兮烏孫王。穹盧爲室兮氈爲牆,以肉爲食兮酪爲漿。居常土思兮心内傷,願爲黄鵠兮歸故ク。」とある。
※籠蓋四野:四方の原野に覆いかぶさっている。 ・籠蓋:フタをするように覆い被さって。四野:四方の原野。
※天蒼蒼:空は青々としており。
※野茫茫:原野は広々として果てしが無く。
※風吹草低見牛羊:風が吹いてきて。草がなびくと牛や羊が現れて見えてきた。 ・草低:草が(風で)なびく。 ・見:あらわれる。
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◎ 構成について
換韻。韻式は、「aaBBB」。韻脚は「下野」「蒼茫羊」で、平水韻去聲二十二(下)上聲,二十一馬(野)と下平七陽。次の平仄はこの作品のもの。
●●○,
○○●。(a韻)
○●○○。
●●●●,(a韻)
○○○,(B韻)
●○○,(B韻)
○○●○●○○。(B韻)
2003. 3. 7 3. 8完 2004. 2.28補 2007.12.28 |
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