越女呉に来たりて 一国を傾け、
楚郎雪辱して 功臣と作る。
臥薪嘗胆の恩讐尽き、
識らず同舟して 何処にか臻(いた)らん。
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この詩は李白で有名な『越中覧古』 に関連がある。
・太湖= |
五湖ともいう。中国浙江省とその北に接する江蘇省の間にある湖。 |
・寄題= |
その場所に行かないで漢詩を作ること。 |
・越女= |
西施(西子とも書く)。 |
・楚郎= |
范蠡(はんれい)。別の書によれば出自不明とあるが、広辞苑・廣漢和によると楚の人とある。春秋時代の越王勾践(こうせん)の功臣。会稽の戦に敗れた勾践を助けて呉王夫差(ふさ)に復讐させた。しかし早くから勾踐の心底を見抜き、(※狡兎死良狗烹)功績の代償として西施の下賜を願いここ太湖より同舟して北上し、山東省の陶の地にいたり巨万の富を得て、陶朱公と称されたと伝えられる。 |
・臥薪嘗胆= |
復讐などの目的を忘れないために苦しい思いをしながら自分をきたえること。すなわち呉王夫差が越王勾践を討って父の仇を報じようと志し、常に薪の中に臥して身を苦しめ、また、勾践が呉を討って会稽の恥をすすごうと期し、にがい胆を時々なめて報復を忘れまいとした故事。 |
※ 狡兎死良狗烹(こうとししてりょうくにらる)走狗ともいう。兎が死ねば猟犬は不用と
なって煮て食われるように、敵国が滅びた後は、軍事につくした功臣も邪魔者とされて殺される。
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