書燈佛火影淸涼, 夜半層樓看海光。 蕉颭暗廊蟲弔月, 無人知是半閒堂。 |
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秋葛嶺 の涵靑 精舍 に宿 す
書燈 佛火 影淸涼 ,
夜半層樓 に海光 を看る。
蕉 暗廊 に颭 ぎて蟲 月に弔 ふ,
人の 知ること無からん是 れ半閒堂 なり。
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◎ 私感訳註:
※厲鶚(れいがく):清代中期の詩人。康熙三十一年(1692年)~乾隆十八年(1753年)。字は太鴻。号して樊榭。また、南湖花隱。銭塘(現・浙江省杭州)の人。生家は貧しく、父親を幼くして亡くしたため、兄が葉たばこを販売して育てた。やがて、詩に興味を示し、後、郷試に及第。詩名は都であがったが、落第が続く。やがて、各地に寄寓。後に、『宋詩紀事』百巻を編集。
※秋宿葛嶺涵青精舍:秋に葛嶺の涵青精舍(寺院)に泊まって。 ・宿:とまる。やどる。 ・葛嶺:現・浙江省杭州市宝石山西、西湖の北岸にある。 ・涵青精舍:涵青寺。寺院の名。 ・涵青:(かんせい/かんしゃう;Han2qing1)「あおあおとした水がたまっている。水や空などが一面に青く見える」意か。 ・精舍:僧が仏道を修行する所。寺院のこと。サンスクリット語より。
※書灯仏火影清涼:読書用の灯火(ともしび)や仏壇の火影(ほかげ)は、さわやかですがすがしい。 ・影:灯火(ともしび)や月の光。かげぼうし。 ・清涼:冷たくてすがすがしい。さわやかで涼しい。
※夜半層楼看海光:夜半に、高楼から海の光るさまを看る。 ・層楼:幾重にも高く造った建物。高楼。 ・海光:夜、海面が夜光虫や漁火(いさりび)などで光ることをいうか。
※蕉颭暗廊虫弔月:芭蕉は、暗い廊下でそよいで、虫は月明りの下で悼(いた)む(かのように鳴いている。そのわけは)。 ・蕉:〔せう;jiao1○〕芭蕉。きあさ。雑草。 ・颭:〔せん;zhan3●〕そよぐ。そよがせる。波立てる。 ・廊:堂下の建物。ひさし。脇部屋。廊下。わたどの。 ・虫弔月:虫が月明(げつめい)の下(もと)で悼む(かのように鳴く)、意。 *虫が「弔う」対象は、月ではなく、後出・半閑堂主人の賈似道である。
※無人知是半閒堂:誰も知らないだろうが(これは権勢をほしいままにした権臣・賈似道の栄華の夢の跡の)半閑堂(半閒亭)なのだ。 ・無人知是:誰も知らないだろうが…なのだ。…ということであると、分かっている人は、誰もいない。誰も…ということを知らない。御存知あるまいが、…だ。人の 知ること 無からん 是れ…なりと。「無人 知 是〔……〕。」という句の構成になる。 ・無人:……という人はいない。だれも…は、いない。蛇足だが、その反対の「有人」は、「…とした人がいる」「と或る人が」になる。 ・知+是:…ということを 知っている。 ・無人知 + 是:…ということであると、分かっている人は、だれもいない。誰も知らない。 ・是:…は…である。これ。主語と述語の間にあって述語の前に附き、述語を明示する働きがある。〔A是B:AはBである〕。晩唐・杜牧の『過華清宮絶句』に「長安回望繍成堆,山頂千門次第開。一騎紅塵妃子笑,無人知是茘枝來。」とある。元・戴表元の『感舊者歌』に「牡丹紅豆艷春天,檀板朱絲錦色箋。頭白江南一尊酒,無人知是李龜年。」
とある。 ・半閒(/閑)堂:南宋末の宰相・賈似道の建てた別荘の名。半閒亭(?)。その別荘・半閑(閒)堂で賈似道は、権勢をふるった。いわば、奸臣、権臣の栄華の夢の跡。
◎ 構成について
2020.7.15 7.16 7.17 |
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