文明は発達して 黍は油と成し、
天恩に背反して 未だ羞じざるを奈せん。
人は貧邦に餓して 京兆口、
鯢は大海に驕りて 億千頭。
已に増殖を間にして 捕鯨禁じ、
何ぞ痛まん飢窮 給食休むを。
須らく識るべし旱乾 慈雨は涸れ、
牧草を枯凋させて 肥牛を絶するを。
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・成油: |
車などの燃料。 |
・京兆口: |
京は兆の一万倍。口は人口。 |
・鯢: |
めすくじら。 |
・億千頭: |
実数ではない。 |
・間: |
等間、なおざり。鯨は海洋生物の食物連鎖の頂点にあり、鯨によって本来人間が食べるべき魚が減少することを危惧する。 |
・飢窮: |
貧しい国の飢餓が窮まる(学校給食が取りやめになる)こと。 |
・旱乾: |
ひでり。地球温暖化により五風十雨の温順な気象が消滅すると危惧される。 |
※今般ローマで開催中の食糧サミットに我国の福田首相が出席された報を聞き、現今の食糧事情及びエネルギー事情を詩題に作りました。この問題がまだあまり議論されていない当時の作があります。 
<蛇足>この詩の対句四句は交差句法、すなわちABBAとなっている。この方法が正しいと、以前に石川忠久先生にご教授をしていただきました。ちなみにABABとなっている詩は次にあります。
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