井古綆過白川郷　碇豊長の詩詞　来信・投稿

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　これは井古綆先生の詩で、読みも井古綆先生のものです。　 ******************

過白川鄕
山繞閑村事事悠、潺湲澗水副途流。數莖黄菊搖籬角、萬樹紅楓染杪秋。擧店慇懃遇羈客、粗餐倏忽作珍羞。雖推遺産只風土、不若芳情拂旅愁。

山は閑村を繞めぐりて　事々悠いうに、
潺湲せんくゎんたる澗水は　途に副うて流る。
数茎すうけいの黄菊は　籬角に揺れ、
万樹の紅楓は　杪秋べうしうを染む。
店を挙げて　慇懃いんぎんに　羈客きかくを遇ぐうすれば、
粗餐そさんは倏忽しゅっこつ　珍羞ちんしうと作る。
遺産に推さると雖も　只風土のみ、　　
若しかず　芳情の旅愁を払へるに。

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・過：　　よぎる。立ち寄る。
・潺湲：　水が流れるさま、またはその音。
・杪秋：　晩秋。
・羈客：　旅人。
・遇：　　もてなし。
・粗餐：　昼食のソバだったと記憶する。
・遺産：　世界遺産。

・事事悠：

杜甫の『江村』

では『事事幽』と詠じているが、当詩では『閑村』としているので、偓促した都会に反して『事事悠（ゆったり）』とした。