哭田漢吾師
廖沫沙
巫咸不下問冤情,
上帝深宮閉九
!
縱有安仁能作誄,
門生何處可招魂。
******
田漢吾師を哭く
巫咸 下らず 冤情を 問ふに,
上帝 深き宮に 九
を 閉ざす!
縱
(たと)
ひ 安仁の 能く 誄を作す 有るも,
門生 何處にか 招魂す 可
(べ)
き。
**********
◎ 私感註釈:
※この作品は李商隱の「哭劉
」に基づいて作られている。李商隱の作品は「
上帝深宮閉九
,巫咸不下問銜冤
。廣陵別後春濤隔,
浦書來秋雨翻。只有安仁能作誄,何曾宋玉解招魂。平生風義兼師友,不敢同君哭寢門。」という七言律詩で、その首聯を活用している。廖沫沙は、呉�ヨ、�ケ拓と共に『三家村札記』を表している。それらの言論活動に対しての批判「『三家村札記』と『燕山夜話』の批判について」という風に批判が起こり、彼ら「三家村」を批判することが、事実上の文革発動の口火となった。文革の口実を引き出させただけのことはあって、他の人に多く見られる朦朧としたところは些かもなく、はっきりとした明瞭な詩である。この時期、第一句、第二句を書いたということも凄い。文革初期は“牛鬼蛇神”“反革命”とされたところへは、紅衛兵が“抄家”(家捜し)に行き、「証拠」を見つけ出していた。そのことを思えば、この詩には全く驚く。少しでもこの作品は『名人與冤案−中國文壇档案實録』第三巻
の中の「廖沫沙的風雨歳月」の中から採録した。
※哭田漢吾師: ・哭:泣き声を出して死者を悼む礼儀。 ・田漢:中国建国以前からの広く文芸方面で活躍した人物。
※巫咸:古の神の巫女。神の使い。人の禍福や寿命を知ると云われる。ここでは、最高指導者と、現場の間を取り持つ者。『楚辞』『招魂』
では、上帝が巫陽に命じて、巫陽が魂を招くために「魂兮歸來」(魂よ、帰ってこい。)と、計十回以上繰り返して言っている。結句から推測して巫陽をも指していよう。
※不下:(古の神の使いである巫咸が人の世に)降下しようとしない。最高指導者と、現場との間を取り持つ者が現れない。
※問冤情:冤罪がある情況を把握(しようとしない)。
※上帝:天の神。造化の神。天帝。ここでは、暗に毛澤東を指してもいよう。
※深宮:奥深い宮殿。
※閉:(宮門を)閉ざす。
※九
:極めて多数の宮門。 ・上帝深宮閉九
:。最高指導者は、実情を把握しようとしないで、宮殿の奥深い処に潜んでいるのか。
※縱有:たとえ…のように…があっても。たとえ(潘岳)のように(上手に哀悼の文章が作れ)ても。
※安仁:人名。三世紀後半、西晋の詩人 潘岳の字。
※能作:作ることができる。
※誄:しのびごと。死者の生前の功徳を褒め連ねた文。るい。 ・縱有安仁能作誄:たとえ潘岳のように上手に哀悼の文章が作れる者ものがいても。
※門生:門下生。
※何處:どこで。いづこに。
※可:できる。可能である。
※招魂:死者の魂を招き返す。また、その儀礼。ここでは、後者。田漢の嘗ての地位にふさわしい葬礼ができない、ということになろうか。前出『楚辭』『招魂』
をも指す。
◎ 構成について:
七言絶句。一韻到底。韻式は「AA」。韻脚は「
魂」:平水韻上平十三元。「情」は、はずれている。「巫咸不下問冤情」の句を元のままの「巫咸不下問銜冤」としていれば「冤」で問題はなかったのだが、「情」字は、押韻上大いに不都合とは分かっていても、なおも作者は「冤情」を使いたかったのだろう。この作品の平仄は次の通り。
○○●●●○○,
●●○○●●○。(韻)
○●○○○●●,
○○○●●○○。(韻)
2002.10. 4
10. 5
10. 6完
10. 8補
2004. 4.16
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