鬼見愁
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鬼の 見れば 愁ふ
(上聯:) 老子
(おやぢ)
が 英雄ならば 兒は 好漢
(下聯:) 老子
(おやぢ)
反動ならば 兒は 混蛋
(たわけ)
(横批:) 基本
(的には)
此くの如し
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◎ 私感註釈:
※この作品は六六年七月北京航空学院の附属中学(“中学”:日本の中学、高校に当たる)の幹部の子弟が出した対聯である。これは、物議を醸した。「親が良ければ、子も良く、親が悪ければ、子も悪い」という考えであるが、これは、一種の血統論、世襲制の発想であり、思想を改造して身を翻して、全人民が社会主義建設をするという国是に反するものである。もっとも、この対聯は、広く幹部の子弟(文革発動時の社会の上層部。現在では“高幹子弟”と呼ぶ)の支持を得た。これに強く反感を持ったのが、都市の零細庶民層である。社会の主人公であるとされた労働者(“工人”)、貧しい農民(“貧下中農”:貧農・下層中農)も遠回しな批判をし出した。問題は広がっていった。
燃え上がったこのトラブルを解決するため、中央文革小組の組長である陳伯達は、妙案?珍案?を出してき。曰く:
“(上聯:)
父母革命兒接班,
(接班:〔口頭語〕仕事の引き継ぎ人。後継者。)
(下聯:)
父母反動兒背叛。
(横批:)
理應如此
”
としては何如と。たしかにこれは「血統」から「思想状況」が中心となっている。この作品は『青春的浩劫』
より採録した。
※鬼見愁:“鬼”がこれを見れば愁しくなる、という対聯。“鬼”とは“牛鬼蛇神”(妖怪変化:文革で批判された側を指すことば)のこと。
※老子:〔口頭語〕おやじ。
※英雄:(建国過程や革命事業で)功績のあった人物。英雄。
※兒:こども。
※好漢:立派な男。
※反動:革命事業に反対する(立場の者)。中国では、貶義詞である。
※混蛋:〔口頭語〕ばか。たわけ。罵語である。
※基本:大体において。一応。この語は、日本語と同様の「基本的には」という意味もあるが、前記の用法も多い。
※如此:このようである。 ・基本如此:まあ、こんなところさ。
◎ 構成について:
対聯形式。押韻はしない。しかし、あるようにもみえる。無理にしていると見れば、韻式は「aa'」。韻脚は、おそらく「漢動」。「漢:-n」「動-ng」で、南方方言から見れば、似たようなもの。この作品の平仄は次の通り。
●●○○○●●,
●●●●○○●。
○●●●
2002.10.6
10.7
10.8
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