Huanying xinshang Ding Fengzhang de zhuye





                     
白頭吟

          
                        漢 卓文君


皚如山上雪,
皎若雲間月。
聞君有兩意,
故來相決絶。
今日斗酒會,
明旦溝水頭。
御溝上,
溝水東西流。
淒淒復淒淒,
嫁娶不須啼。
願得一心人,
白頭不相離。
竹竿何嫋嫋,
魚尾何
男兒重意氣,
何用錢刀爲。


    **********************        


白頭吟

(がい)たること  山上の雪の 如く,
(けう)たること  雲間の月の 若(ごと)し。
聞く 君 兩意 有りと,
(ことさら)に 來たりて  相(あ)ひ 決絶す。
今日  斗酒の會,
明旦  溝水の頭
(ほとり)
御溝の上に  
(せふてふ)すれば,
溝水は  東西に 流る。
淒淒
(せいせい)として  復(ま)た 淒淒たり,
嫁娶
(かしゅ)に  啼(な)くを 須(もち)ゐんや。
願はくば  一心の人を 得て,
白頭まで  相
(あ)ひ 離れざらん。
竹竿  何ぞ 嫋嫋
(でうでう)たる,
魚尾  何ぞ 
(しし)たる。
男兒は  意氣を 重んず,
何ぞ  錢刀を 用ゐるを 爲
(な)さんや。

             ******************


◎ 私感訳註:

(この作品は『先秦漢魏六朝』のページにも載せています。そちらのほう
gushi24)が、より詳しくなっています。)

※卓文君:前漢時代、臨の大富豪である卓王孫の娘。司馬相如と恋に落ちて駆け落ちをする、愛情溢れる女性。『史記・貨殖列傳』に卓文君の実家の家系のことが載っている「蜀卓氏之先,趙人也,用鐵冶富。秦破趙,遷卓氏。…致之臨,即鐵山鼓鑄,富至僮千人。田池射獵之樂,擬於人君。」と、大金持ちとして青史に名を留めている。夫は司馬相如で、『史記』、『漢書』に殆ど同じ内容で記録されている。司馬相如と卓文君のことは、『史記・司馬相如列傳』では、「會梁孝王卒,相如歸,而家貧,無以自業。素與王吉相善,吉曰:『長卿(司馬相如の字)久宦遊不遂,而來過我。』於是相如往,舍都亭。臨令繆爲恭敬,日往朝相如如初尚見之,後稱病,使從者謝,吉愈益謹肅。臨中多富人,而卓王孫家僮八百人,程鄭亦數百人,二人乃相謂曰:『令有貴客,爲具召之。』并召令。令既至,氏客以百數。至日中,謁司馬長卿(司馬相如の字),長卿謝病不能往,令不敢嘗食,自往迎相如相如不得已,彊往,一坐盡傾。酒酣,令前奏琴曰:「竊聞長卿(司馬相如の字)好之,願以自娯。」相如辭謝,爲鼓一再行。是時卓王孫有女(卓)文君新寡,好音,故相如繆與令相重,而以琴心挑之。相如,從車騎,雍容閒雅甚都;及飮氏,弄琴,(卓)文君竊從戸窺之,心悅而好之,恐不得當也。既罷,相如乃使人重賜文君侍者通殷勤。文君夜亡奔相如相如乃與馳歸成都。家居徒四壁立。卓王孫大怒曰:『女至不材,我不忍殺,不分一錢也。』人或謂王孫王孫終不聽。文君久之不樂,曰:『長卿第倶如臨,從昆弟假貸猶足爲生,何至自苦如此!』相如與倶之,盡賣其車騎,買一酒舍酒,而令文君當鑪。相如身自著犢鼻褌,與保庸雜作,滌器於市中。卓王孫聞而恥之,爲杜門不出。昆弟諸公更謂王孫曰:『有一男兩女,所不足者非財也。今文君已失身於司馬長卿長卿故倦游,雖貧,其人材足依也,且又令客,獨奈何相辱如此!』卓王孫不得已,分予文君僮百人,錢百萬,及其嫁時衣被財物。文君乃與相如成都,買田宅,爲富人。」と、しっかり記録されている。
……(司馬相如は梁の孝王の客人たなっていたが、)梁の孝王が亡くなったため、帰ったが、家は貧しく生活が出来なかった。彼は臨の県令の王吉と知り合いであったため、県令は司馬相如のために、一計を案じた。それは司馬相如を立派な者に見せるという演出をし、彼を県令の賓客として待遇することだった。やがて、県令に賓客がいるとの噂を聞いた臨の大富豪である卓王孫らが催した招宴に、勿体を付けて出席をした。その席で、琴を奏でることとなった。卓王孫には、寡婦となって戻っていた娘・卓文君がおり、彼女は音楽が好きなので、王吉と司馬相如は計略を案じて、琴の演奏で卓文君の心を捕まえようとした。そのため、司馬相如は、威儀を正した乗り物に典雅な容儀で現れ、やがて琴を演奏した。彼女をトリコのする作戦は成功した。その夜、司馬相如は、恋文を人づてに渡し、二人は駆け落ちをした。司馬相如が連れて行った先の成都の家は、四方にただ壁があるだけの何一つ無い貧しい住まいだった。ことの次第を知った卓王孫は、大いに怒り狂い、親子の縁を絶ってしまった。二人は成都での生活苦に耐えかねて、卓文君の兄弟の縁を頼って、臨に戻ってきた。臨での二人は、卑しいとされる仕事に精を出した。この二人の行為を恥じた父親の卓王孫は、家に閉じこもって出てこなくなった。やがて、周りの者の取りなしで、卓王孫は財産を分けてやったので、二人は成都へと戻っていって、お金持ちの生活を始めた……。
こういう次第である。
なお、彼女の言が前出『史記』に「相如既病免,家居茂陵。天子曰:『司馬相如病甚,可往從悉取其書;若不然,後失之矣。』使所往,而相如已死,家無書。問其妻,對曰:『
長卿固未嘗有書也。時時著書,人又取去,即空居。長卿未死時,爲一卷書,曰有使者來求書,奏之。無他書。』」と残されている。これを見ると、司馬相如の姿は前半の策謀家から恬澹としたものに変わっているのが判かる。ここでの司馬相如の変わりようの激しさについて伊勢丘人先生は、或いは卓文君の陰の功労があると看られる。

※白頭吟:駆け落ちをして、「家居徒四壁立」という中で苦労を共にし、やがて妻の卓文君の父から財産を分けてもらって成功の基礎ができたにもかかわらず、晩年、茂陵に住んだ時、夫の司馬相如が妾を持ったので、この詩を以て夫を諫め、詰め寄ったといういわくつきのもの。女性から男性に突きつけた離縁要求の詩になる。これを突きつけられた後は、元の鞘に収まったという。ただ、『史記』『漢書』の司馬相如列伝には、この『白頭吟』に関わるような女性関係のことは載っていない。この作品は『玉臺新詠』、『樂府詩 集』卷第四十一・相和歌辭』『古詩源』にはあるものの、それ以前にはないようだ。樂府題。「共白髪」の意の愛憎の歌である。

※皚如山上雪:(わたし=卓文君の心は)真っ白いことは山上の雪のようであり。 *わたし=卓文君の心は高潔であるのに、どうしてあなた(=司馬相如)は、そのような汚いことをするのか!「文君夜亡奔相如,相如乃與馳歸成都。家居徒四壁立。」といった情熱の時代や、「相如與倶之臨,盡賣其車騎,買一酒舍酒,而令文君當鑪。相如身自著犢鼻褌,與保庸雜作,滌器於市中。」とした、あの苦難の時期を忘れたのか。 ・皚如:〔がいじょ;ai2○○〕白いさま。霜や雪の白いさま。 ・皚:〔がい;ai2○〕白い。霜や雪の白さをいう。 ・如:同じだ。…のようだ。≒若。 ・山上雪:山上の穢れない純白の雪。

※皎若雲間月:真っ白いことは雲間の月のようである。私の心は清らかであるのに、どうしてあなたの心は、そんなに汚いのか。 *前の句を繰り返して卓文君の心の高潔さを強調している。 ・皎若:〔かうじゃく;jao3ruo4●●〕白いさま。月光の白いさま。 ・皎:〔けう、かう;jao3●〕白い。月光の白さをいう。 ・若:同じだ。…のようだ。≒如。 ・雲間月:雲間に輝く清らかで澄んだ白い月光。

※聞君有兩意:あなた(=司馬相如)は、浮気をして、わたしを裏切る心を抱いているということが聞こえてきている。 *異説によると、退隠して住んでいる茂陵で、やはり茂陵に住んでいる女性を妾としたことを指す。 ・聞:〔wen4●〕耳に入る。聞こえる。…噂がある。風聞がある。 ・君:あなた。夫である司馬相如を指す。 ・有:ある。持っている。所有している。 ・兩意:裏切りの心。ふたごころ。二心。ここでは、浮気心になる。魏・曹植は『種葛篇』に「與君初婚時,結髮恩意深。懽愛在枕席,宿昔同衣衾,竊慕棠棣篇,好樂如瑟琴。行年將晩暮,佳人懷
異心,恩紀曠不接,我情遂抑沈。出門當何顧,徘徊歩北林。下有交頸獸,仰見雙棲禽。攀枝長歎息,涙下沾羅衿。良馬知我悲,延頸對我吟。昔爲同池魚,今爲商與參。往古皆歡遇,我獨困於今。棄置委天命,悠悠安可任。」と使っている。それに同じ。

※故來相決絶:(わたし=卓文君は)わざわざ(あなた=司馬相如に)永久の別れを告げにやって来たのだ。わざわざあなたに離婚を告げにやって来たのだ。 ・故:わざと。ことさらに。ゆゑ。わけ。普通でない事柄。 ・來:くる。ここでは、卓文君が夫の司馬相如の許にやってきて、の意になる。「文君夜亡奔相如」と同様に、卓文君が積極的に動いている。 ・相:…ていく。 ・決絶:永久の別れをする。永別する。動詞として使っている。

※今日斗酒會:今日は二人にとっての最後のお酒を飲む機会だ。今日は二人にとっての最後の出会いだ。 ・斗酒:わずかな酒。この「斗酒」について、伊勢丘人先生より次のように御教示いただいた。酒の量が多いときは、「一樽」、次は「一壺」で、「一斗」は少量の意味になるという。「斗酒をも辞せず」の斗酒も、本来は「斗酒尚不辭」で、「貴方が、お注ぎ下さったお酒は、心から頂きます」という意味で、一杯の酒という意味になり、時代や用例によって異なるものの、一斗(=十升)もの多量の酒の意ではないということである。陶淵明『雜詩十二首』其一「人生無根蒂,飄如陌上塵。分散逐風轉,此已非常身。落地爲兄弟,何必骨肉親。得歡當作樂,
斗酒聚比鄰。盛年不重來,一日難再晨。及時當勉勵,歳月不待人。」や『古詩十九首之三』「青青陵上柏,磊磊澗中石。人生天地間,忽如遠行客。斗酒相娯樂,聊厚不爲薄。」の斗酒=些かの酒、に同じ。 ・斗:ます。少しばかりの量。 ・會:あつまる。よりあう。しる。とき。おり。しお。さかもり。ここでは、訣別の宴の意になる。

※明旦溝水頭:明日は小川の流れの中だ。流れて別れ行くのだ。明日は離別の時だ。 ・明旦:明朝。対句ほどではないが、前出の「今日」にあわせて使っている。 ・溝水:都市の中の小川の水。 ・頭:ところ。畔。

御溝上:小川の畔に行き。 ・:〔せふてふ;die2xie2●●〕行く。行くさま。 ・御溝:宮殿の周囲の掘り割り。 ・上:ほとり。そば。ところ。

※溝水東西流:東と西に別れて流れゆこう。 ・東西流:東と西に別れて流れゆく。訣別してゆくことをいう。謝の『金谷聚』「渠碗送佳人,玉杯邀上客。車馬一
東西,別後思今夕。」 など多い。

※淒淒復淒淒:冷ややかな上にも冷ややか(であっても)。 ・淒淒:寒く冷ややかなさま。寒く厳しいさま。ぞっとする。ここの「淒淒」は、結婚生活での両者(夫?)の心の形容か。 ・復:また。ふたたび。その上。

※嫁娶不須啼:嫁入りは、必ずしも啼き(悲しむ)ものではない。結婚とは、別段、悲惨なものではない。 ・嫁娶:〔かしゅ;jia4qu3●●〕嫁入り。縁談。結婚。 ・不須:必要はない。もちいず。 ・啼:泣く。

※願得一心人:願わくば、嘘をつかないで愛し続けてくれる人(=男性)を見つけて。愛情深い男性を見つけて。 ・願:ねがわくば。願望「得一心人,白頭不相離」をいう。 ・得:える。 ・一心人:嘘をつかない男性。愛し続けてくれる人。一つ心の人。

※白頭不相離:白髪頭になるまで添い遂げ(たいものである)。 ・白頭:白髪頭。老齢、老人をいう。 ・不相離:離れてはいかない。離れはしない。 ・相:(対象に向かって)…てはいか(ない)。ここでは、「相互に」の意では使われていない。

※竹竿何嫋嫋:釣り竿は何としなやかなことではないか。夫は妻のことを思うべきである。釣り竿は、釣った魚を思うべきである。あなたは、妻のことを忘れたのか。 *『詩經・衛風』『竹竿』「
竹竿于淇。豈不爾思,遠莫致之。」に基づく。『詩經・衛風』『竹竿』は、夫婦関係、夫婦愛を歌うもので、「竹竿」=釣り竿⇒男性側、夫の意になり、「魚」⇒女性側、妻、になる。撓(しな)る竹竿は、(女性(魚)の故郷である)淇の川で釣りをするものである。どうしてあなた(夫・男性=釣り竿)を思わないことがあろうか。(しかし、こんなにも)遠ざけられていては、夫婦の道を致すことができない、ということによる。 ・竹竿:ここでは、釣り竿のことになる。 ・何:何と。疑問、感嘆を表す。 ・嫋嫋:〔でうでう;niao3niao3●●〕しなやかでゆれるさま。

※魚尾何:魚は何とピチピチとしていることか。女性(妻)は、こんなにも生き生きとしてすばらしいのに。妻のすばらしさに気づかないのか。 *前出『詩經』によって、女性側(妻)が本当に生き生きとしているさまをいうことになる。 ・魚尾:魚。また、魚のシッポ。 ・:〔しし;xi3xi3●●〕動くさま。ピチピチとしている。

※男兒重意氣:(夫に向かって)男とは、心意気を重んずるものだ。男は、(金銭ではなくて)情義を重んずるものだろう(だのに)。 ・男兒:おとこ。 ・重:おもんじる。動詞。 ・意氣:心意気。気概。ここでは、真実の愛情の意で使われている。 *後世、唐の魏徴の『述懷』に「中原初逐鹿,投筆事戎軒。縱橫計不就,慷慨志猶存。杖策謁天子,驅馬出關門。請纓繋南越,憑軾下東藩。鬱紆陟高岫,出沒望平原。古木鳴寒鳥,空山啼夜猿。既傷千里目,還驚九折魂。豈不憚艱險,深懷國士恩。季布無二諾,侯重一言。人生感
意氣功名誰復論。」と使われている。

※何用錢刀爲:どうして、銭金(ぜにかね)で解決しようとするのか。どうして金銭を(わたし=卓文君に)使おうとするのか。 ・何用:どうして用いるのか。 ・錢刀:ぜに。かね。銭貨。 ・爲:なす。





◎ 構成について

韻式は「aaaBBCCCCC」。韻脚は「雪月絶 頭流 凄啼離爲」で、平水韻でいえば入声六月他、下平十一尤、上平四支他。次の平仄はこの作品のもの。

○○○●●,(韻)
●●○○●。(韻)
●○●●●,
●○○●●。(韻)
○●●●●,
○●○●○。(韻)
●●●○●,
○●○○○。(韻)
○○●○○,
●●●○○。(韻)
●●●○○,
●○●○○。(韻)
●●○●●,
○●○●●。(韻)
○○●●●,
○●○○○。(韻)


2004.9.10
     9.11
     9.12
     9.14
     9.15
     9.16
     9.18完
     9.25補
    10. 7



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