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ノミネートが発表された時期:2010年12月
受賞が発表された時期:2011年1月
結果が発表になりました。今年はフィンチャーの当たり年。テレビは Glee に賞が集中しています。
今年映画部門で1980年前後に生まれた若手スターにノミネートが多い、伝記、実話が多いという特徴があります。
個々の作品を見ると、スターのデフレが目立ちます。去年も「1人で主演を張れる人が共演をするようになった」と時々書きましたが、今年はその傾向がますます強くなっています。
作品賞・ドラマ
作品賞で落ちてもまだ監督賞のチャンスがあります。互角の勝負ができそうだったゴースト・ライターは落選
5本中3本が伝記。
ゾンビランドの主演のアイゼンベルクが主演。ゾンビランドはとても面白かったです。ダメ男の役には向いていると思います。
フェースブックの創始者の伝記。元ネタはノンフィクションの本。
バレーの映画だというのでネイヴ・キャンベルのような作品かと思ったら、スリラーだそうです。しかしバレーのシーンは本格的だそうで、そちらの楽しみもありそうです。構想は10年ほど前から練っていたとか。
マーク・ウォールバーグ、クリスチャン・ベイル共演。ボクサーとその兄の伝記。
ジャンルは好きですが、ずっといい作品を見たことがあります。同じプロットでももう少し良くできたのではと思います。特に、ノーランが監督だったので失望。カプリオが時々ノーランに見えて来るのがご愛嬌。
ブリジット・ジョーンズの夫コリン・ファースと、実際にティム・バートンの奥方のヘレナ・ボナ・カーター主演。
ジョージ6世(現エリザベス女王の父親)の伝記。
王室物には欠かせないジェフリー・ラッシュも出演。今回は庶民の役。
その他にオーストラリア、英国の有名俳優共演。
王室の話をあまり映画にしたがらない国も多い中、英国はせっせと作品を作っています。
ここにノミネートされた作品を見渡すと英国王のスピーチとゾンビランド、失礼、ソーシャル・ネットワークの一騎打ちになるのではと思います。
主演女優賞・ドラマ
友達がバレーを習っていたこともあり、子供の頃白鳥の湖を見る機会が何度かありました。なので練習がとても大変なこと、子供自身の意思でやっている人が少ないことなどは知っていました。まだ幼児のような年齢で始めるので、親の意向が大きいのは何となく分かります。
ストーリーの方は日本のパーフェクトブルーと比べて見るとおもしろいそうです。パーフェクトブルーを見た時にはプロットが凝っていたので、「ええっ、これがアニメ?」と驚いたものです。
ポートマンの嫁入り先が決まりました。
70年代の黒人ゴーゴーダンサーの伝記。小学生の年齢の子供と、白人の人種差別女性に人格が分裂することで、困難な人生を送った人物。
ベリーの全盛期は10年ほど前。オスカーが2002年、グローブが2000年受賞。オスカーを貰った後暫く引っ込む人が多いようですが、彼女は最近あまり目立った活躍がありません。Xメンの演技では賞に届きません。
今回は入念にリサーチをし、本人とも会い、手作りの作品。ブロック・バスターに出演してギャラを貯めて、こちらにつぎ込んだのかも知れません。裏方の人選は彼女自身。今度オスカーやグローブを取ったら、下駄を履かずの受賞。本人が取らずともスタッフが取ればそれも彼女の功績。
オスカー受賞直後、ラジー賞の授賞式に出向き、オスカーと同じように泣いて見せたという鷹揚な心の持ち主。
子供を失った夫婦の感動と涙のドラマ。
キッドマンもハル・ベリーと同じ頃大活躍で、一度ベリーに賞を譲り、確か次の年に取ったように記憶しています。確かそれも2002年頃の話。グローブは8回ノミネートされ、3回受賞。オスカーを貰った人が少し引っ込むのに加え、結婚して子供が生まれたためか最近は出演数が減っています。
今年はベリーの蓄積の勝利かも知れません。
親の因果が、罪の無い子供に来てしまうという厳しい境遇のドラマ。子供を作っておきながら、きちんと世話をしない親と、まだ人生を楽しむ年齢なのに家族の面倒を見なければ行けないティーンの女の子のストーリー。
主演は90年生まれの若手。話を聞くと何かしら賞をあげたくなってしまいますねえ。
新婚時代からかなり時間が過ぎ、冷めてしまった夫婦の物語。・・・と聞くと思い出すのはレボリューショナリーロード-燃え尽きるまでですが、ああいう厳しい結末が待っているのでしょうか。
ウィリアムズはシャッター アイランドの中で焼死した人で、実生活ではヒース・レジャーの子供の母親。オスカーは1度ノミネート、グローブは今年が2度目のノミネート。
後記: ポートマンは何となくありかと思っていました。何しろ肉体労働だったので努力賞。しかしそうなると気の毒なのが、ネイヴ・キャンベル。彼女もかなり努力してバレーの映画作ったから。
主演男優賞・ドラマ
英国では有名。外国ではブリジット・ジョーンズの夫として知られていますが、これと全然違うイメージの役の方が多いです。近年一年の出演本数が非常に増えています。
ドイツによくある苗字で、ドイツではアイゼンベルクと発音します。意味は《鉄山さん》。
ゾンビ・ランドを見る限り立派に主演を務められる人ですが、こんな大きい賞にいきなり出るとは思いませんでした。
サスペンス含みの登山家の伝記。監督はダニー・ボイル。
フランコは若手スターとしては順調な出世をしています。本人がやりたい役が入っているかは疑問。
今年はこの世代のノミネートが多いです。ゴスリングも順調に出世中。
作品の構想は10年以上前からあったそうです。主演を決めたのも数年前。
人選で紆余曲折があったようですが、めでたくゴールデン・グローブにノミネート。
彼の苗字もドイツ語。ヴァールベルクと発音します。意味は《選択の山》さん。
ウォールバーグを積極的に応援する集団があるようで、主演が多い人。最近は制作にも関わっています。
後記: 作品を見ていないのですが、意外な結果でした。若手はまだ早いということなのでしょう。解説を見ただけですが、作品の重量もファースの作品は重そうですし。
作品賞・ミュージカル&コメディー
同性愛のカップルをめぐる群像劇。ワシコフスカはノミネート2作に出演。主演は強そうな女性2人。コメディー。
ティム・バートン、ジョニー・デップのコンビ。ヘレナ・ボナ・カーターがまた悪役で出ています。スター多数出演。
19歳になったアリスが不思議の国に戻って来たという話で、ルイス・キャロルの話を勝手に発展させたストーリー。バイオハザード (1)と比較するといいかも知れません。
ミュージカルなので音楽関係者も出演。歌手の出世物語。
漫画の映画化。アクション・コメディー。オスカーを貰った人も含め大スター共演。CIAで知り過ぎた男たちの物語。
監督はドイツ人。主演のウィリスも半分ドイツ人。買い物に出られる程度のドイツ語はできるという話。前に見たフライトプランはつまらなかったです。
ジョニー・デップ他スター共演。
2005年のアントニー・ジマーのリメイク。
オリジナル版の雰囲気を出せるか。ストーリーを知っているので、サプライズは無し。
トム・クルーズとアンジェリーナ・ジョリーは最近因縁の仲の様子。
後記: アントニー・ジマーのリメイク、ツーリストが大コケしたそうです。アントニー・ジマーは筋が単純で、本来ならほとんど見せ場の無い作品。それを良いロケ地と俳優の出す雰囲気でかろうじて持たせるという趣向。それが上手く行ったので、《意外と良い》結果になっています。そこを承知して取り組まないとこける作品です。デップはニック・オブ・タイムでとてもいい演技をしていたので、行けるかと思いましたが、ジョリーにある種の上品さが欠けることもあり、ミスマッチになるか、あるいは2人で別なイメージを作り出すかなどと興味を持っていました。ところが何かトラブルも起きたらしく、ゴシップ欄を賑わすようになっています。いずれDVDでも借りて見ようかとは思っています。
主演女優・ミュージカル&コメディー
大ベテラン。オスカー3回ノミネート、グローブは7つノミネートされて1回受賞。よく知られているアメリカン・ビューティーでは受賞できず、あまり知られていない作品で受賞しています。
大きな賞のノミネートはオスカー1回、グローブ2回。フィギュアースケートの選手のような美貌の持ち主。彼女の役はパーキンソン病の強気の女性。
ここに何人も出た若手スターより半世代年上。そろそろベテラン風になって来ました。オスカーは初ノミネートで受賞。その後もう1度ノミネート。グローブも先に3回受賞して、その後3回ノミネート。初受賞は98年。ついでにブラッド・ピットも取ってしまった。かなり強運の人です。
彼女は年齢的には大ベテラン。初受賞は40人ほどで一緒に貰った特別賞。その他にグローブのノミネートが6回。オスカーのノミネートは2つ。
ここに出た若手よりもっと若い88年生まれ。ゾンビランドではアイゼンベルクと共演していました。男性には好かれそうなタイプ。まだ若いので、今回のグローブ・ノミネートが1番の出世。過去にはティーンに与えられる賞などを貰っています。ゾンビランドはあほらしい与太話ですが、出演者のバランスが良くてとても楽しめました。
Easy A は本来の自分と違うイメージを自分で作ってしまい、後で状況をコントロールできなくなってしまう高校生の話。
この作品を見る前に予備知識としてホーソンの緋文字にチラッと目を通しておくと便利です。しかしホーソンの緋文字をも笑い飛ばしてしまうアメリカ人のエネルギーには驚きます。
主演男優賞・ミュージカル&コメディー
彼は歌も上手。4回ノミネートされ、1回受賞。オスカーはノミネート1回。
グローブのノミネートは合計10回。貰ったのは1回。デップがアッタルの役でしょう。2人はが全然違うので、新しいイメージを作れるかも知れません。
同じ部門で2つノミネート。票が割れます。
コメディー仕立てのビアグラを売る男の回顧録。彼もゴスリングなどと同じ世代のスター。出世中。グローブのノミネートは初めて。
オスカー獲りのベテラン。2回ノミネートされ、受賞2回。グローブは6回ノミネートされて受賞無し。逆のイメージですが・・・。
務所入りになった大物(極悪)ロビイスト、ジャック・エイブラモフの伝記。スペーシーにぴったりの役かも知れません。この役でオスカーでも取ったら、3つ目。
監督は作品完成直後に40歳代で急死。普通の原因。
後記: 歌もコメディーも行けるジアマッティー氏。確か2度目の受賞と思います。
外国語映画
助演女優賞・ドラマ
長い間テレビ方面で活躍したベテラン。
ジョリー、ベイルと同じ世代。オスカー2度ノミネート、グローブは3回。
今年はバートン、デップにも運が向いていますが、彼女もついている年です。オスカーはノミネート1回。グローブは6回。
ウクライナ人若手。10代から出演歴あり。そのため出演本数はけっこう多いです。左右対称で整った顔の美人。ヨボビッチを思わせるきれいな目をしています。
長い間テレビ方面で活躍したベテラン。
助演男優賞・ドラマ
主演でなく、今回は助演。なんだかんだと言いながらベイルの作品はたくさん見ました。オスカーやグローブには縁のない人で、グローブが初ノミネート。オスカーは全く無し。その代わり面白い作品のオファーが次々入るようです。その方が俳優にはありがたいかも知れません。彼はジョリーと同じ世代。
2作目のウォール・ストリートだけを見ました。なのでノミネートに値するようには思えません。1作目と合わせて見ると違う意見になるかも知れません。
お父さんもかなりの年ですが、彼も戦前の生まれ。それにしては若いと感じます。
オスカーは2度ノミネートされて2度受賞。その1つがウォール・ストリートの1作目です。グローブは8回ノミネートで2回受賞。1回は名誉賞のような賞です。
80年代生まれの若手。・・・とは言え Red Riding 3部作の主演。エディー役はそれほど上手いと思いませんでしたが、ベテラン英国人俳優を相手にがんばっていました。
71年生まれ。28週後・・・のドイル役。去年がオスカー、今年がグローブのノミネート。順調なキャリアのようです。
名前が挙がっていませんがザ・タウンはベン・アフレックの主演、監督作品。またボストンを舞台に作品を作ったようです。
チャック・ホーガンの小説の映画化。
海外に出て来るなりいきなりオスカーを取った人。オーストラリア人で、英国系の演技をします。オスカーは初ノミネートで受賞。その後2回ノミネートされています。グローブもオスカーと同じ作品で初ノミネート、初受賞。その後さらに4回ノミネートされ、1回受賞。コメディーも行ける人です。
監督賞
ゴーストライター落選のためポランスキーも落選。仮にポランスキーが通っても授賞式に来ることはまず無理。
ジョージ・マイケル、マドンナなどミュージッシャンのビデオを作る監督。
劇映画では特にエイリアン3、セブン、ファイト・クラブ、パニック・ルームが有名。
普通は犯罪映画を作る人ですが、オスカーはファンタジー映画でノミネート。その作品は13個オスカーにノミネートされ、裏方のスタッフが3つ受賞。ゴールデン・グローブは5つノミネート。ソーシャル・ネットワークはグローブで6つノミネート。
π の監督。なのでつまらない作品だと思いたいのですが、レクイエム・フォー・ドリームの監督でもあり、まだ見ていないレスラーの監督でもあるので、ブラック・スワンは見ようかと思っています。
彼自身の大きな賞へのノミネートは初めてですが、レスラーはオスカーのノミネーション2つ、グローブは3つノミネートされ、2つ受賞しています。とは言っても1つは音楽。
90年代前半からテレビ、ビデオ方面で監督業。珍しく劇映画を作ったらノミネート。ヘビー級のテーマ、俳優なのでノミネートは当然ですが、これまでテレビ方面ばかりで働いていた人をいきなりこういう作品に使える層の厚さに驚きます。
オスカーはメメントの脚本で兄弟同時ノミネート。グローブもメメントでノミネート。
インセプションでは今回は脚本と監督でノミネート。ちょっと意外です。
メメント、インソムニア、プレステージのような作品の方が凝っているのになぜインセプションなのか不思議です。
スリー・キングスの監督。大きな賞は初ノミネート。
後記: ノミネーション収集家だったフィンチャー、初受賞。
脚本
テレビの仕事が主。
ボイルはテレビの仕事から始め、劇場作品のデビューに当たるシャロウ・グレイブですぐ名を成した人。ここに出ていた男優はその後(大)成功しています。
その次のトレインスポッティング からは国際スター続出。
その次の普通じゃない ではキャメロン・ディアスの協力を得て面白い作品に仕上げています。
ユアン・マグレガーが何度も使われ、彼はどんどんスターに育って行きます。
その後も面白い作品を作り続け、まだ絶好調。
オスカーとグローブはなぜかそれほど面白くない作品で取っています。その時は両賞とも一発一中。
サイモン・ボーフォイはボイルのオスカー、グローブ受賞作品で一緒に執筆した人。
ノーランは自分の作品は全部脚本も書く人。監督にはクリストファーの名前が使われ、脚本は兄弟一緒に書くことも多く、ジョナサンは多くの作品で裏方を手伝っています。今年は監督賞もノミネートされているので票が割れるかも知れません。
ブルームバーグはドイツ語系の名前。《花山さん》。
ブルームバーグはエミー賞を取ったことがあります。大きな映画の賞は今年が初めて。とは言っても日本では2000年に既に評価されています。
チョロデンコの本職は監督。アメリカの大きな賞は今年が初めて。ベルリンでは去年テディー賞を取っています。
ザイドラーもドイツの名前。彼も監督同様テレビの仕事が長く、劇映画は少ないです。
音楽(オリジナル)
2人とも初ノミネート。
ダニー・ボイルの作品で既にオスカーもグローブも受賞。
アメリカ人。エルフマンもドイツ語の名前。意味は妖精男。
恐ろしい数の有名な作品を手がけています。ノミネートはオスカーもグローブも少なく、受賞は無し。
フランクフルト a.M. 生まれのドイツ人。ジマーはドイツ語ではツィンマーと発音し、部屋という意味。
エルフマンと並びもの凄まじい数の有名作品を手がけています。
オスカーは8回ノミネート、受賞1回。グローブは10回ノミネートされ、受賞2回。
英国王室の話なのにフランス人。
フランス映画界は薄利多売なのか彼も恐ろしい数の作品を手がけています。ファンタに出た Largo Winch も彼の作品。
フランス以外の国の有名作品もたくさん手がけています。オスカーはノミネート3回、グローブは五発一中。
音楽(オリジナル・ソング)
アルコール問題からの再起物。主人公はカントリーの女性歌手。献身的な夫や新人男性に助けられるという、50年前と逆の設定。
滅多に歌ってくれないパートロフが歌手の役で主演なので、声は聞けそう。演技がだめだったのか、俳優としては全然ノミネートされていません。予告などを見るとすっかりカントリーの歌い方になっているのでびっくり。デュエットの時とは別人のような歌い方です。歌手のように上手に歌える俳優は時々いますが、歌の性質を嗅ぎ分けて、きっちり演じ分けられるので私はパートロフをすっかり見直してしまいました。
アニメ作品。ベースはグリムのラプンツェルらしいのですが、かなり変えてあるようです。その原作もグリムが民間から集めて来たバージョンを大巾変更。
それでも曲のタイトルが「光を見る」なので、もしかしたら王子は本当に視覚障害者になるのかも知れません。
後記: 同じ作品から複数候補が出たので票が割れるかと思いましたが、それでも受賞。
長編アニメ
後記: シリーズ3作目が受賞。業界疲弊の現われか。
TVシリーズ・ドラマ
TVシリーズ主演女優賞・ドラマ
TVシリーズ主演男優賞・ドラマ
後記: ファーゴ以来注目している俳優ですが、華やかな賞には縁の無い人で、グローブもノミネートが2回。今回の受賞で打率50%になりました。
TVシリーズ・ミュージカル&コメディー
TVシリーズ主演女優賞・ミュージカル&コメディー
TVシリーズ主演男優賞・ミュージカル&コメディー
TVミニ・シリーズ&テレビ用に製作された映画
主演女優賞・TVミニ・シリーズ&テレビ用に製作された映画
主演男優賞・TVミニ・シリーズ&テレビ用に製作された映画
後記: オスカー・ノミネーション8回、受賞1回、グローブ・ノミネーション15回、受賞4回という数えるのも疲れるパシーノ。今年で5回目の受賞になります。
助演女優賞・TVミニ・シリーズ&テレビ用に製作された映画
助演男優賞・TVミニ・シリーズ&テレビ用に製作された映画
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