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参加作品
開催:2022年9月
長屋の長老が病に倒れ、ファンタ速報も2018年9月のファンタをご紹介したところで途切れました。その後のファンタは以下のようでした。
2019年は通常開催。2020年からコロナの影響を受け始めます。そして今後は一部の国からの作品が制裁のため暫く来なくなりそうです。
○ 2019年冬: 通常開催で2日。
○ 2019年春: 通常開催で2日。
○ 2019年夏: 通常開催で12日。
○ 2020年冬: コロナの噂は広がっていましたが、通常開催で2日間。
○ 2020年春: コロナのため7月に延期。2日間。
○ 2020年夏: 5日に短縮。しかも手続きミスで不参加。
○ 2021年冬: 中止。
○ 2021年春: 6月に延期。XL として4日間開催。
○ 2021年夏: やや遅れて10月に開催。以前のように8日間。
○ 2022年冬: 中止。
○ 2022年春: 通常の時期に XL として4日間開催。
○ 2022年夏: 通常の時期に8日間開催。
○ 2023年冬: 普段よりやや遅れて1月末開催。2日間。良く分からない理由で先方は一旦入場料を受け取り、その旨連絡も入ったのに、後で排除。そのため見ていません。
○ 2023年春: 通常の時期に XL として4日間開催。冬のファンタも開催されているので、4日間はサプライズ。
○ 2023年夏: 開催の発表があり、通しのパスの販売も始まっています。開催期間、会場はまだ発表になっていません。
今回は2022年9月開催のメインのファンタをご紹介します。
その後時間が取れれば少しずつ2018年に向けて進みます。
2022年は久しぶりに2箇所開催。2018年冬のファンタに出た The Endless をプラネタリウムで再上映。プラネタリウムを会場に選んだのは初めてでしょう。The Endless は地味な作りながら優秀な作品です。
その他の作品は通常の古いビール工場で上映。長編33本と短編10本。
ハンブルク、ケルン、シュトゥットガルトでは1976年制作のブライアン・デ・パルマのキャリーが上映されました。
この年のファンタでは近年で初めて消化不良気味の作品をいくつか見ました。メジャー系の大作から距離を起き、今で言うインディー系の作品に力を入れるようになって以来、新人監督でも充実した作品が多数来ていました。「これがデビュー作か、これがまだ3作目なのか」と驚くほどいい作品が並んでいました。
2022年9月になって初めて、「せっかくいい素材なのに、材料が生かし切れていない」とか、「思想性を前に出し過ぎていて、観客から距離を置かれそう」と危惧するような作品がちらほら。
これまでどれほどいい作品を見ることができていたかという意味でもあります。思想性があっても、上手に消化できていると、そこに思想を見つけて納得する観客と、ストーリーや役者の演技に感心する観客の両方を魅了できます。
他の場所でもちょっと触れましたが、コロナのために制作が難しい時期を経ており、思い通りの作品を例年通りには作れなかったのかなと勝手に理由を探したりしています。
これまではこのコーナーでは作品をざっと説明し、おもしろい作品は別項目で扱うようにしていました。ですが、長老急病、コロナ、その上戦争まで始まってしまい、本職の仕事の方も忙しく、趣味に割く時間が減っています。
なので暫く溜まっていた宿題に主眼を置き、ファンタの場合はその年度のページに一応収めようと考えています。後ほど時間ができたら、その中の作品を個別に取り上げることもあるかと思いますが、取り敢えず2018年の9月までファンタのご紹介を繋げ、後のことはそれから考えます。
なお、この回のファンタですが、前半が仕事が忙しい時期と重なり、その週は4時起きで仕事を終えてから午後会場に駆けつけ、深夜まで映画館という生活でした。そのため、日、時間によってはブラックアウト状態で、席に座り、眼を開けて見ていたはずなのに、記憶が飛ぶということがありました。その場合はその旨コメントしているか、解説がやたら短いです。すみません。
所々です・ます調と、だ・である調が混ざっていますが、ご容赦を。細かい所を直している時間がありません。
オープニング
のっけから躓く作品でした。始まる前に黒装束の怖いおじさんたちに睨まれる観客。ファンタがまだ他の会場で開催されていた頃こういうおじさんたちに観客が怯えるような事態が何回か発生。その後会場が変更になり、私たちはまた静かに映画を楽しめるようになっていました。なぜか今回のファンタの初日、最初の作品にまたそういうおじさんたちが出没。
そのせいではないでしょうが、最初に見せられた作品は不発。
原作: 3人で書いた物語。うち2人はディック・ファン・ダイクの身内。名前を見るとオランダ風ですが、アメリカの芸能一家で、芸能界入り初代のディックは現在97歳。子供、孫の多くが芸能界で活躍。本作の脚本を書いたケーリーとシェーンは兄弟で、俳優をやる傍ら一緒にストーリーを書くことがあります。
ストーリー: 1950年代のカリフォルニアの砂漠地帯に作られたリゾート風の町。ある企業が社員とその妻子だけを居住させています。日本にも企業城下町と言われる所はありますが、ここは社員と家族以外は住んでいません(ということになっています)。食料品や日常品をどこで調達しているのかも不明。全員裕福な生活をし、夫は早朝豪華なアメ車に乗って出勤、妻は自宅で家事、時間によってはスポーツ・クラブでダンスの練習、時々友人たちとパーティー。典型的なアメリカ50年代の専業主婦。
町には規則があります。
1 働くのは亭主、妻は専業主婦。
2 パーティーには夫婦で参加。
3 妻は夫の仕事の内容に関心を持っては行けない。
4 町に留まっていなければ行けない。
この規則の中で皆楽しく過ごしています。
ある日主人公アリスは飛行機が墜落するのを目撃し、助けに走ります。しかし現場は町の境界の向こう側で、行ってはいけないエリア。見たことを他の人に話しても相手にしてもらえません。それがきっかけになり、彼女は時々何かが変だと気付くようになります。答は見つかりません。次第に彼女の考え方が周囲とずれて行って・・・。
実は少数ですが似たような矛盾に気づいている住人がいます。事を荒立てると自分に跳ね返って来るので沈黙しています・・・。ってな具合で話が進行します。
後半に種明かしがあります。
監督: 本職は女優。長編2作目。
トレイラー: 前半は幸せそうなカップルの日常生活の紹介。一瞬主人公が見る悪夢。後半彼女が気づく矛盾のシーンが増えます。
トレイラーとしてはいい出来。画面は非常に美しく、謎を上手にちりばめてあります。
感想: 結末に持って行く手際と時間配分が悪いです。
有名な俳優も連れて来ているようですし、若いスターが主演ですが、使われ方が悪く、その人たちの能力が上手く出ていません。「この俳優、もっとできそうなのに」と思うことが何度かありました。
監督も重要な脇役で出演。元々は自分が主演で企画を始めたようで、英国人女優の演技を見て感心し、主演を彼女に譲り、自分は助演に回ったとか。そこは偉いなあと思いました。
なお、最近の流行に弱い私は全然知りませんでしたが、ハリー・スタイルズは大スターだそうです。本職は歌手だそうですが、演技もかなり行けます。彼ももっと難しい役をこなせそうでしたが、中途半端な使われ方です。
アイディアはマトリックスからヒントを得たようでもあるのですが、プリズナーNo.6、ステップフォードの妻たち(小説1972年、映画1975年)、ステップフォード・ワイフもパクったのではないかと思います。トゥルーマン・ショー、ウエストワールドなどを思い浮かべる人がいるかも知れません。パクるのは構わないです。パクったテーマがうまく使われているか、こなれているかが問題。ワイルド監督はこなし切れていません。
ミステリー性を追求するのなら一定のテンポが必要で、結論(謎解き)に向かってちゃんと進まなければ行けないです。物語を使ってフェミニズムとか、何かしらの思想を強調するとしてもミステリーの進行とのバランスが取れていないと行けないです。ですがそこに偏りがあり、スムーズさが無いです。せっかく面白い、謎の描写に使えるような状況なのに使い切れていない場面があります。
脇役、例えばフランク役の俳優はもっと怖い演技が出来そうですが、適度な所で押さえています。あと一押し行けそうなので残念です。
50年代の家具調度品、ファッション、車を見せるのはいいですが、それに溺れてはだめです。
物語の進行に不慣れな印象を受けました。筋はユニークです。仮に上に挙げた作品のパクリだとしてもです。あと少しで背筋が凍るセンセーショナルな作品になりそうでした。せっかくの素材(人材、物語)なので、残念です。
そして最後謎解きが終わると、「あれはどうなっているの」と思う説明不足な点も出て来ます。上にも書きましたが、いいアイディアがたくさんありましたので、脚本をあと一捻りしたら世界をあっと言わせるような名作になったと思います。
特別上映
久しぶりに特別上映がありました。
ベルリンで1本、一般会場と違う場所で上映。プラネタリウムでした。
もう1本はハンブルク、ケルン、シュトゥットガルトで上映。
2018年冬のファンタに参加。今回の再上映は会場移動の都合で見ませんでした。
地味ですがいい作品です。昨年の夏以来日本で大きな話題になっている宗教事件にも関わるので、参考にもなります。
長く続いている宗教に深くのめり込んだ母親を持った娘の話。伝統が長く、一般に広く受け入れられている宗教でも、信者が懲り過ぎると周囲は苦労します。
ファンタではなく、公開当時普通の映画館で見、その後テレビでも見たような記憶があります。
注目の作品
ミヒャエル・ハネケのファニーゲーム的な作風。
Family Dinner の所にハネケのメモがあります。
ストーリー: 休暇旅行中にデンマークとオランダの夫婦が知り合いました。休暇後にデンマークの夫婦がオランダの夫婦に招待され、オランダの夫婦の家に車でやって来ます。どちらの夫婦にも子供がいます。デンマーク夫婦は一般常識を持った普通の人。オランダの夫婦はモラルや常識をはずれる事をやり、全く気にかけない人たち。齟齬が生じてデンマーク夫婦はオランダ夫婦に言わずに帰国を決めます。
ところが出発と言う時に娘が「ぬいぐるみの人形が無い」と言い出します。状況が状況なので両親はそのまま出発したいのですが、娘はどうしても人形を連れて帰るときかない。で、家に戻ったところでオランダ人夫婦に見つかり、揉めます。「何も言わずに出て行くのか」と言われデンマーク夫婦は躊躇います。オランダ夫婦の行動は非常識さが増し、エスカレート。
監督: 長編3作目。俳優として2015年から活動。長編の監督としては2016年から。
トレイラー: 話の筋を追って紹介しています。キャラクターの紹介も大体できているので、トレイラーとしては合格点。これを見て作品を見たくなるかは観客の好みによるでしょう。
感想: ファニーゲームは独身の若者2人が4人家族を限界まで困らせることで、その時代の社会の常識人と常識外で暮らす人たちの差を強調するのが目的。常識人の欠点も露呈する反面、非常識人の顔色1つ変えず、残忍な表情すら見せない非常識さも表現。 家族を困らせるための方法が意地悪く、観客に嫌悪感を抱かせるのが作品の主題でした。
Speak No Evil はファニーゲームと大体同じコンセプトで話が進みますが、少し違います。デンマーク夫婦にはこれと言った問題、欠点、弱み、落ち度はありません。社会常識に従うことが当たり前と(普通に)考え、目の前であってはならない事が起きても、礼儀正しさ、マナーが優先してしまいます。2人の間では変だと思っても、相手に「おかしいじゃないか」と言うことができません。
オランダ人夫婦は行動が非常識なだけでなく、口が立つので、デンマーク夫婦は言いくるめられてしまいます。平気で嘘もつきます。それはデンマーク夫婦が親、学校、社会からある意味正しく躾けられていたことを証明していますが、そして善悪の判断もつくように教育されていますが、善悪が礼儀に優先するとは学んでいませんでした。時には「おかしい、ダメだ」という状況に遭遇することもあるはずなのに、その準備ができていません。それが命取りになります。
映画の目的ではなかったと思いますがもう1つ教訓がありました。私が渡独して暫くすると海外旅行ブームが起き、ちょうどEUの統合が進んでいたこともあって、それまであまり旅行好きでなかったドイツ人も旅行会社の宣伝に乗せられて近隣の国で休暇を過ごすようになりました。なので行った先で近隣の国の人と知り合う、家族同士で付き合うということは徐々に普通になって行きました。
私は欧州から遠い国から1人で来ており、年齢の関係で「旅先で誰かと知り合ってもすぐ親しくなっては行けない」と躾けられていました。そのため1人旅の宿泊にはユースホステルを使っていました。なのでデンマーク夫婦がいとも簡単に心を許して、一家で訪ねて来ること自体に驚きました。欧州ではスポーンと旅の常識が欠けていると感じることが時たまあります。日本も時代が変わり、私の知らないうちに欧州的になっているのかも知れず、少し心配になりました。
不出来な作品ではなく、一定のレベルに達していますが、注目の作品に選ばれるほどの優秀作とは感じませんでした。
血の滴るコーナー (コンペ)
ストーリー: イネスは会社の勤続17年のベテラン従業員で45歳。法律に詳しく、品質管理ができ、人事や経理も任せられ、秘書としてもお茶くみとしても有能。会社は彼女の能力に慣れ切って頼っているくせに、彼女を全く評価せず、当たり前のようにこき使っていました。レティシアという研修生の面倒も見ることになります。昇給はまだありません。
ある日を機にイネスは静かに切れてしまいます。社内で死人が出始めます。最初の死体をレティシアと一緒に隠蔽。連鎖反応なのか次々に死人が出ます。2人は一生懸命隠蔽。
監督: 劇映画デビュー
感想: : デビュー作のためか今一つ筋が通っていない感じはありますが、それでもかなりいい所まで行っています。
主人公は今風の多文化共生風潮の中、レティシアかと思わせるのですが、実はイネス。フランスの鮫の話もそうですが普段注目が集まりにくい、くたびれた中年女性が主人公。新しい傾向なのでしょうか。話を深刻にせず、コメディーとしてまとめた所もいいです。そして色々な事ができて有能なのに周囲からは評価されないというのも現実によくある話。目の付け所がいいです。次作にも期待。
トレイラー: フランス語はさっぱり分からないのですが、このトレイラーを見ると、作品に興味が湧きます。主人公の俳優の良さが2分で見えます。
感想: 今回のファンタにはちょっと首を傾げる作品もあった中、この作品はするっと期待を外す意外さがありました。
ストーリー: 15歳の少女シミはイースターの休暇で田舎に住む叔母の農場に行きます。叔母は一風変わった栄養士としてメディアで知られていて、本も出しています。シミは太り気味なので叔母の助言に従ってダイエットを始めます。同年代の従弟の様子が何となく不自然。叔母の再婚相手は叔母の言うなり。叔母が一家のルールを決めている様子。携帯の使用もNG。 徐々に変だということがはっきりし、後半従弟は家を出ようとします。シミも協力するのですがうまく行きません。
そしてアッと言うラスト。
監督: 長編デビュー
トレイラー: 主人公のシミが変な家に来てしまったことが良く分かるトレイラー。叔母さん一家が親しみを持てない人たちなのが良く表現されています。なので私はあまり見たくなかったです。
舞台はオーストリアとなっていますが、比較的分かり易いドイツ語でした。
感想: 技術的な面、俳優の演技、撮影場所の選択はいいです。ストーリーもつまらなくないです。
ただ時間配分が悪く、家族の秘密の出し方の手際が悪く、前半見ているうちに退屈し始めます。ラストに向かうストーリーのラインに寄り道が多いです。
このあたりをすっきりさせて驚愕のラストに突っ込むといいですが、デビュー作なので最初からそれを要求するのは酷かも知れません。デビューとしてはいい出来ですが、人に勧めるかと聞かれると躊躇います。
もしかしたら監督はミヒャエル・ハネケを意識し過ぎたのかも知れません。
撮影は田舎の一軒家が中心なので、家の借り賃ぐらいしかお金がかかっていませんが、作品に安っぽさは無く、物語に上手に溶け込んでいます。中央ヨーロッパには今でもこういう感じの家はたくさんあるので、現実離れもしていません。低予算作品と思われますが、安っぽく見えません。
ミヒャエル・ハネケ: 90年代に一時期話題になった監督。
ナチ時代のミュンヘン生まれのオーストリア人。学校はオーストリア、仕事はドイツが中心。成功した後は海外でも制作。
1997年にファニーゲームという作品を作ったことで、業界からは高く評価されます。人間心理の悪い面、弱い面を強調した底意地の悪い、性悪説の作品。殺人犯2人を主人公にしていて、犠牲者は死に、犯人は逃げおおせるという結末もさることながら、犯人のスタンスがあっけらかんとして、図々しいため観客は後味の悪さと共に帰宅する羽目になります。
君はお金を払った観客に嫌な思いをさせるために映画を作ったのか。当時の映画界はまだ勧善懲悪が主流だったのでハネケが話題になったのだろうと思います。
ミステリー・ファンは1950年代からカトリーヌ・アルレイなどを読んでいるので、小説の世界ではいつも善が勝つわけではないことを知っています。しかし映画の世界では長い間「最後に悪は滅びる」式のストーリーが主流でした。例えばアルレイのわらの女も英米で映画化された時には悪が滅びるように結末が変えてありました。
肥満について: 日本ではすらっとした体型ではなく、ガッシリ型でしたが、肥満だったことはありません。欧州に来るとそんな私を痩せていると感じる人が多かったようです。実際体重は欧州標準だとあと10キロあれば普通と言われました。日本では身長から110引きますが(私はそれマイナス2キロぐらいでした)、ドイツでは100引くためです。
私が来た頃のドイツは女性が経口避妊薬を使う時代に入っており、その影響か、太目の人が多かったです。それに合わせたのか、関係ないのか分かりませんがベルボトムのズボンが主流で、太さが目立たないようになっていました。男性は特に太目の人が多いとは感じませんでした。
その後時代が変わり痩せ型の女性がいいという風潮になったり、ダイエットがブームになったり、女性は振り回されています。
今年のファンタにも体型がテーマになった作品がもう1つ参加しています。私見ですが、私は原則として太っていても構わないと思います。唯一私が気にするのは太り過ぎが原因で心臓に大きな負担がかかったり、栄養の偏りが起きて、健康を害する場合です。それは男女に関係なく危険信号。その手前で止まるなら、あとは好みの問題でしょう。
主催者側が力を入れていた作品だと思われますが、疲労困憊でブラックアウト。全く内容を把握していません。どのシーンも、それこそオープニングも記憶がありません。
近年ファンタのスケジュールが仕事の1番忙しい時期と重なり、朝4時起きのまま仕事を済ませ、午後5時頃から真夜中まで映画館、その後夜中も走る電車や地下鉄で帰宅ということが続きます。その時期が過ぎると疲れがどっと出ます。
監督: 長編2作目。本業は俳優。
トレイラー: トレイラーを見る限り、戦争映画のお約束事を網羅してあります。結構お金がかかっている感じ。
元ネタ: メキシコの民話
ストーリー: ヴァレリーとラウール夫妻に子供が生まれようとしています。元々は子供を願っていた夫婦ですが、ヴァレリーは現実に妊娠して見て、あまり喜んでいません。変な幻想に悩まされています。
監督: 長編デビュー
感想: 国によりますが現在でも子供ができることのハッピーな面しか話題にならず、妊婦の現実的な悩みにあまり目を向けない社会も残っています。実際には妊娠するとホルモンのバランスがガラッと変わり、放っておくと精神のバランスを崩す人もいます。ドイツなどでは比較的よく知られていて、担当の医師がそういう点も配慮するようです。妊娠中の鬱などはよく知られています。また、出産直後に子供を殺してしまう例もあるらしいです。大抵は書類送検などで済み、母親が殺人罪で刑務所へ行くことは無いようです。
そういう事情を経験で知っている国もあるでしょう。それでこういう伝説、民話ができたのでしょうか。
ストーリー: どこかの大きな会場で美容師、調髪師の国際的なコンテストが行われています。それぞれが自分のモデルの化粧や髪を作っている最中。準備が出来たら同じ建物の大きなホールでショーが行われる予定。楽屋の化粧室の数も多く、かなり大規模な催しです。
準備中に殺人事件が起きたため警察が出動し、建物を封鎖。関係者は中に閉じ込められます。ショーの準備は禁じられていないので、不自由なのは外出だけ。 多くの関係者があれこれ喋りまくるうちに徐々に犯人が割れて、最後は特定されて終わります。
監督: 長編デビュー。
デビューにしてはよくこれだけの人数、会話を扱えたと感心します。
物語の進行は過去に皆無ではなかったかも知れませんが、珍しい手法で、斬新です。ストーリー・テラーの役割を務める人を置かず、大勢の出演者にそれぞれの場所、主としてショーの準備中の化粧室や、部屋の移動中に自分の話をさせます。数珠を繋いでネックレスを作るように、色々な話を続けて行き、最後に犯人に行き着きます。
この作品で特徴を出しているのはファッション界の人物たち。皆職業柄一般人から見ると奇抜な格好をしており、会社員などとは全然違う交友関係。色とりどりのそういう風情を見せるのもこの作品の特徴。
監督が出したい特徴はかなり出せています。
感想: 私は4桁の数の映画を見ていますが、類似の手法の作品を見た記憶がありません。犯罪物でなければフランスのヌーベルバーグ時代にあったかも知れません。
探偵役の人がおらず、警察の捜査を追うスタイルでもなく、次々リレーのように1人が喋っている時に他の人が来て、その人に繋いで行くという形で話が進みます。なので毎回喋り手の主観で話が進みます。
監督は長編デビューで、まだ交通整理が上手くできていませんが、この手法は今後も使うべきだと思います。
元々ゲイやゲイの恰好をする人が多い業界。登場人物が男性なのに化粧をしていたりするのは今流行りの社会運動に触発されたわけではありません。
ちなみに私の勤務先の向こう隣は全体が80年代頃からそういう感じの場所。ベルリンの人は見慣れているので、「何、今更?」と言った印象です。
余談: 最後に出演者がストーリーとは関係無く出て来て踊るシーンがくっついています。犯人役の俳優は恐ろしくダンスが上手。一見に値します。俳優よりダンサーでお金が稼げそうです。
原作: Janne Teller の小説。
作家: コペンハーゲン生まれ、デンマーク出身。ニューヨーク、ベルリン在住。Nothing - What is important in life で有名になる。オーストリア系ドイツ人。
マクロ経済学者として1988年から1995年まで、ダルエスサラーム、ブリュッセル、ニューヨーク、モザンビークで、EUと国連のコンサルタントとして勤務。1995年から作家活動。ナッシング - 人生で大切なこと(2010年)で国際的な文学界で議論を巻き起こした。2000年デンマーク版が出版されて以来北欧では子供たちの肉体的・精神的な残酷さを描いているとして論争の的になっている。
ストーリー: デンマークの地方の小学校。生徒の1人ピエールは人生に虚無感を覚え、登校拒否を始め、木の上に住み始めます。木の上から訪ねて来たクラスメートに議論を吹っかけます。
常識的な価値観で教育されている子供たちはピエールの挑発に反感を持ち、やっつけることを考えます。20人ほどの同級生は近くの今は使われていない製材所で相談。話がどうねじ曲がったのか、お互いにその生徒が大切に思っている物を提供させる「犠牲ごっこ」を始めます。
信心のある生徒が宗教に関係のある物を要求されたり、女の子が処女をよこせと言われたり、シュールなやり取りが続きます。いずれ音楽で身を立てようと思っていた少年の指まで要求され、少年は一生ギターが弾けなくなります。
騒ぎが大きくなり、親に報告した生徒もいて、メディアが報じるようになりエスカレート。
監督: 長編1、 2作目
トレイラー: ストーリーを追っているだけ。これを見てこの作品を見る気になるかは人によると思います。
感想: 日本ではちょっと考えにくい話の進み方をしますが、欧州では理解され易く、受け入れられるらしいです。日本の子供は何もかもを理論できっちり説明しようとする傾向が少なく、それを実行に移すという発想も珍しいです。
欧州では比較的低学年から時たまそういうことがあり得ます。原作の著者はそれを極端に表現したのでしょう。同調圧力は個人主義が広がっている北部ドイツからスカンジナビアでは本来は珍しいはずです。ですがこの生徒たちは一種の集団ヒステリー状態で、内容が過激であっても同調圧力に屈します。
日本では空気を読むという形で同調圧力は多く、普通の人は慣れています。
アンファン・テリブルの集団版なのでしょうか。アンファン・テリブルの文学作品、映像作品だとすると、50年代からあまり進歩していないような印象を持ちました。しかもあちらの方が作品としてはもしかしたら洗練されていたかも知れません。ナッシング - 人生で大切なことは読んでおらず、映画だけの感想です。
日本人として見ていたので、時々「なんでそんな方向に行くの?」という疑問を持ちました。見ていて楽しい映画ではないです。ハネケの北欧子供版と見るべきなのかも知れません。
ストーリー: 関係が近過ぎる母子。母親が息子の生活の隅々にまで口を挟み、息子は自分というものが育っていません。お風呂にも1人では入らせてもらえません。息子はどう見ても25〜30歳程度には育っています。その2人の関係を美術面で強調した作品です。
息子を完全に自分に依存させている母親。息子は自分が男なのか女なのかもきっちり自覚していません。この母親の所有物だということだけはっきり分かっています。その変なハーモニーが破られる日が来ます。
長年会っていなかった父親が間もなく死ぬということで、2人の生活の中に今までいなかった人たちが割り込んで来ます。果たして息子はそれを機会に自立するか・・・。
監督: 長編2作目・・・とは思えない作品。観客がこういうストーリーを好むかによって賛否が分かれますが、技術的には優秀ですし、俳優も役をよく理解して演じています。
私はこの種の話はあまり好きではありませんが、それでも監督が表現したかった物は上手に描かれていると言えます。
トレイラー: 病気風の雰囲気がぷんぷん漂います。北朝鮮を暗示しているようなシーンも出て来るのですが、主題とどういう関係があるのかは、疲労困憊状態だったので理解できなかったです。
感想: 極端な作品が時たま出るファンタとは言え、発案者が病気かと疑われるような作品は珍しいです。この作品からはちょっとそんな印象を受けました。親子関係の中でしか自分を発揮できない女性を描いており、間接的には反面教師として女性解放運動に寄与するのかも知れません。
日本には戦前までと戦後の最初の10年間ぐらいは古いしきたりが生きており、この種の問題から解放されていました。
古い物はみんなダメということで今では廃れてしまいましたが、
○ 古い習慣は人の孤立を防いでいた、
○ 能力の有無に関わらず年を取るとある程度人から尊敬される、
○ 周囲の目があるのであまり嫉妬で癇癪を起こせないようにブレーキがかかっていた、
○ 親がちゃんとした躾をしなくても、近所の人や学校の先生からある程度教わることができた、
○ 自分で結婚相手を探せない人でも結婚できるようにおせっかいなおばさんが近所にいたなど。
良い面ばかりではなく、能力のある若い人や女性が上に行きにくいといった弊害もありました。いい事を思いついても若かったり、権力の弱い地位にいたりすると、無視されるか、実現に時間がかかると言った不利な面もありました。
日本は戦後ある時期まで弊害部分をゆっくり改善するという形のメンテ(保守点検)をやっていました。ところが70年代あたりから怒涛のように欧米の影響が強まり、若い人はその波に乗って日本社会を欧米風に変えて行きました。結果として、自由恋愛が許されたり、女性が解放された(?)りしましたが、弊害も一緒に入って来ました。
私はその世代だったのですが、女性に取って甘い言葉が飛び交う時代をやや距離を置いて見ていました。女性が社会に出る自由と権利は持つべきと思いますが(用意された物を貰うのではなく、自分で考えて取るべき)、誰もが「その権利を利用しなければ行けない」と強制されるのは変だと感じていました。利用するかを決めるのは女性だと考えていました。
そういう時代に入ってこの作品の母親と似た状態になり、子供(息子をそういう風にすると世間の目が煩いので娘)を完全支配しようと試みる例を見たことがあります。
この作品が英米ではなく、スペイン語圏から来たのは、宗教的な縛りで社会で女性が男性より下となっていたことに関係があるのではないかと思ったりします。英米が経て来たことをカソリック系の社会は後追いしているのかも知れないです。
この作品のテーマは不自由さを味わい、欲求不満を抱えている人物が支配できる対象を探し、それが我が子だったという風に要約できるでしょう。母親・息子以外にも、父親・娘とか年の離れた夫婦とか色々なバージョンが考えられます。上に立つ人物が社会で思ったように活躍できないために、家庭内では自分が圧倒的に優位に立つポジションを作り出すのでしょう。
示唆に富むのは、母親がすでに老人と言える様子を示していることと、息子が少年と言うにはかなり年で、おじさんと呼ばれる年齢に向かっている点。それが2人の関係の不健全性を表わしています。
俳優は役を良く理解して演じていますが、美しい役柄ではないので、これで下手に成功してしまうと後に不健全なイメージを引きずるかも知れません。
アルゼンチンはたまにしか作品を送って来ませんが、個性のある作品が来ます。
リメイク: 2018年の同名の短編(ほぼ同じキャスト)
ストーリー: 精肉店の娘で肥満児のサラをめぐる物語。肥満を学校の同級生からからかわれ、エスカレートした苛めで彼女はプールでおぼれ死にそうになります。人のいない時間に1人で泳ごうと思っていたサラを3人の苛めっ子が狙い撃ち。しかも彼女の衣服を持ち去ってしまいます。そのためサラはビキニだけを身に付けて公道を歩いて帰宅する羽目になります。
サラは気づいていなかったのですがそのプールでは新鮮な土左衛門が出来上がったばかり。誰かが誰かを殺してプールに沈めています。
泣きながらの帰宅中彼女は見知らぬ車に出くわします。リア・ウインドウから苛めっ子の1人クラウディアが必死に助けを求めている様子が見えます。サラでなくても、さっきひどいことをしたばかりの3人組に情けをかけて助けに行くかと聞かれると考えてしまいます。
サラも考えはしますが、行動に出ません。すると車の運転席の男がサラの持ち物を外に投げ出します。なので彼女は服を着て帰宅することができます。
町ではクラウディアが失踪したため、警察が動き始めます。サラは聞かれても事情を話しません。捜索は規模が大きくなって行きますが、サラは沈黙。
色々あってサラは男のアジトを見つけます。中にはクラウディアなど3人が生きて吊るされています。助けるべきか。どうしようか。
監督: 同じ監督、同じ俳優、同じタイトルの短編があり、インターネットで見られます。それを拡大したのが本作ですが、短編を先に見ていても十分楽しめます。
監督は2008年から短編とテレビの仕事を続けていて最近長編を作り始めました。まだ本数は少ないですが、Piggy は良くまとまっています。
主演: 主演女優は36歳で既婚、子供もいますが、Piggy ではしれっと高校生を演じて違和感がありません。太っていると皺ができにくいので得をしたとは思いますが、目線、しぐさなどで、上手に演じており、36歳とは思いもよらなかったです。よく化けました。さすが俳優。
トレイラー: 主演女優は役柄のせいもあってかなり太め。心配なのはこの太り方で健康を害していないかです。
日本に比べると欧州には太目の女性を好む男性が結構います。スペイン、イタリアに多いように思いますが、ドイツにもいます。なので太っていることがすぐ欠点とはなりませんが、心臓や血圧には気をつけていてもらいたいところです。
ストーリー: 若いカップル。トーマスは今売り出し中の家具デザイナー、シグネはカフェで働いています。外からはラブラブのカップルに見えますが、実はお互いに対して内心強いライバル意識を持っています。
トーマスはデザイナーとしてメディアの注目を集めるようになります。トーマスに負けないように人の注目を集めようにも、カフェのウェイトレスをしているシグネには方法がありません。そのため自傷行為に走ります。ある程度人の注目は集まりますが、やがてエスカレートし大怪我。それでも止められません。
最初はデザイナーのソサエティーに招かれ、パーティーなどに出ていた2人なのですが、破滅がやって来ます。トーマスの窃盗(= デザインは彼のものではなかった)がばれて捕まってしまいます。それを機にシグネは自助会に参加するようになります。
感想: 深刻な問題を扱っていますが、さらっと流していて、帰宅する時に後味が悪くなるほどではありません。他の作品が時々えぐいので、この程度にさらっとやってくれると助かります。
2人は共に虚構の上で生活をしており、その上相手に対してライバル意識を持っていたので、こういう結果になってしまいました。幸せそうな若いカップルが根元から方向を間違えていたことを示す作品です。
トーマスは刑務所行きな上に弁償もしなければ行けないでしょうし、新進デザイナーとしては致命的なことになってしまいます。シグネはそこまで巻き込まれる前に自分の間違いに気づいたようで、方向を直したいと自分で思ったようです。
私自身それまで虚言癖だった人が、ある日ぴったり止めた例を複数見たことがあるので、シグネにはまだチャンスがあると思います。自分が何のために嘘の世界に生きていたかに気づくとか、凄いと思って負けじと頑張っていた対象が、実はそれほど価値が無かったと気づくとか、何かのきっかけがあると、虚言はぴたっと止むようです。誰かが話を聞いてあげるとそういうチャンスが巡って来るようです。
ほぼ全編シグネが間違った道を歩いていて、愚かな自傷行為をしていることが描かれていますが、最後に男性も虚偽の人生を歩いていたことが分かり、ガーンと一発食らわされます。シグネが別な道を歩き始めるという、ほっとできるエンディング。
監督: 長編2作目。2作目にしては完成度が高いです。元々音楽ビデオを作っていた人なので、画面はきれいです。
トレイラー: のっけから大怪我をして入院中のシーン。ここまで怪我をすると障害が残る可能性もあるのですが、シグネはそれでもやってしまったようです。
余談: 話は全然変わりますが、病院内のシーンを見て、「ありゃ」と思いました。ドイツの病院とそっくりです。他の映画でも欧州の病院のシーンで同じように感じました。病院を建設する会社が同じ図面で作っているのでしょうか。
監督2人がゲストで来ていて、暫くおしゃべりしました。
ストーリー: ジョーズ、47 Meters Down、47 Meters Down: Uncaged をおちょくった佳作。
働く気があればあと10年ほど働ける公務員待遇の女性海上保安官マヤ。夫と過ごす時間を取るために退職を決心し、署内でお別れ会が行われます。
勤務地はフランスの海岸地方の小さな町。海水浴場で正体不明の何かとボートが衝突するとか、船をこいでいた人が何物かに喰われるなどの事件が起きます。マヤは痕跡からサメの仕業だと判断。しかしこの土地にそんな大きなサメが出没したことはありません。
犠牲者の脚が見つかり、検死官もサメに喰われたことを確認。理由はともかく、危険なサメが海水浴場近くをうろついていることは判明。何とかそのサメを生け捕りにします。
ところが自然保護運動家に配慮してサメを殺さず、囲いの中に生かして置き、後で遠海の生息地に戻すことになります。それが仇になります。サメは囲いから逃げ出します。なので1度解除された警報も元に戻ります。その後マヤと親しい同僚が必死にサメを追うのですが・・・。
監督: 長編2作目。双子。兄弟だとは思いましたが、声が全く同じで、2人の区別がつかなかったので本人たちに聞いてみたら、双子でした。1人は社交的で、来ていたファンと気軽に話をします。もう1人はやや引っ込み思案。1人は右利き、もう1人は左利き。ゆっくり話ができました。
トレイラー: 物語をざっと追っています。ホラー映画となっていますが、コメディー性たっぷりで楽しめます。同じ監督の前作より、コンセプトがはっきりしていて、筋もあまり寄り道せず真っ直ぐ進みます。
感想: 中年の職業婦人の問題をメインに扱っていながら、やり過ぎ女性解放運動のスタイルではなかったので好感を持ちました。ルイ・ド・フュネスを思わせるドタバタ喜劇なのですが、フュネスのようなあくの強さは避けて、いい感じで話が進みます。
田舎町の警官、あり得ない事件、真実を話しても信じてもらえない焦り、強硬手段に出るなど、いいバランスで話が進み、笑いも忘れていません。
同じ監督の前作 Teddy に比べ、独りよがりの面が消え、一般受けすると思われます。
公式プログラム
原作: Alexander Weinstein の短編 Saying Goodbye to Yang、短編集「新世界の子供たち」に掲載。
ストーリー: 異文化、異人種混合家族。夫は欧米系、妻はアフリカ系、養女は中国系。養女の世話をするロボット(アンドロイド)は東アジア系。結構いい庭付きの家に住んでいますが、大金持ちではありません。ある日中古ロボットが故障。修理が難しく、夫は手を尽くしますがうまく行きません・・・。
監督: 長編2作目
俳優: コリン・ファレルはご存知アイルランド人。中国系の娘役の女優はインドネシア系アメリカ人。ヤン役の俳優は韓国系アメリカ人。
トレイラー: 色々な文化をごちゃ混ぜにしたシーンが出ます。アジア出身の私としてはこれでいいんだろうかと疑問を感じる時があります。各国ともそれぞれ個性のある文化でこれまで来ているので、そういうのをごちゃ混ぜにすることに抵抗があります。
一瞬ぞっとするシーンも。ヤンの修理のために親父さんはロボット修理職人の仕事場に出向きます。そこでロボットとして出て来る人形の姿が、一時期欧米で問題になった、人間の剥製とそっくり。
感想: 最近好まれるテーマ。人種、女性、異文化を全部取り入れて、手本になろうと思ったのか、ちょっと極端な設定。監督の責任と言うより、原作がそういう風になっていたからこういう作品になったのでしょう。
異文化の人を受け入れるとか、異人種の間で結婚するとかは無理やりやらせて、他の人にもこういう風にやれと強いるような話ではありません。人種の違う人たちが隣同士になり、時が経てば中には結婚したいと思う人も現われる、その時に邪魔をしない、そう言う風な進み方の方がいいでしょう。
私の知るここ何十年かのベルリンでもずいぶん変わりました。来た頃はトルコ人のボーイフレンドとドイツ人のガールフレンドが結婚したいと言い出すとある程度抵抗がありました。私とトルコ人の組み合わせの方がすんなり行ったかと思うぐらいでした。現在では気にかける人はずいぶん減ったように思います。
そういう風に近くで暮らして見て、慣れて行って、たまには結婚する人も出るというのが平和でいいと思います。社会運動を起こして、やれやれと外から言い立ててるのはどうかと思います。
80年代から90年代にかけて異文化を知ろうという気持ちになる人が結構多くて、日本、中国、韓国などのことを勉強するのが暫くブームになっていました。それを横で見ていましたが、そういうことを勉強している自分が大好きというタイプの人、調べて欠陥を見つけようと必死な人、自分の文化より東洋の文化の方がいいと先に決め付けて取り掛かる人など、おやおやと思うスタンスの人も多かったです。
異文化に触れたからと言って、自分のバックグラウンドになっている文化を否定する必要はありませんし、逆にああいうのは劣っているという先入観で入って行くのもどうかと思います。
疲労のため内容を把握していません。時たま目にしたシーンだけでの判断ですが、技術面はデビューとは思えない高いレベル。ストーリーがどうだったのかは知りたいところです。インターネットで無料配信されたら見ようかと思います。
原作: 監督が思いついた話。
ストーリー: 疲労で内容をつかめていません。なのでネットの記事から拾って書こうかと思いましたが、かなり長くなりそうなので止めます。
この種のSFは観客がまず台本が決めているルールを学ばないとだめです。時間を飛び越えるとか、エイリアンが地球の人間を牢屋に使うなど、荒唐無稽なルールがいくつかあるようです。
監督: デビュー
原作: 監督とその兄弟のアイディア。
ストーリー: まんまと潜り込んでアメリカで幸せに暮らそうと思っていた不法移民が検挙されてしまいます。知事はしかし融和的な若者に条件を示します。老人ホームで介護の仕事をするなら、お目こぼし。そのため何人かの若者が老人ホームで働き始めます。ですが何かが変だと気付き始め・・・。
監督: 長編3作目。フリオとディエゴ・アリヴィスはメキシコ出身の兄弟。ディエゴが監督を担当し、筋は2人で話を考えたようです。フリオはディエゴと一緒に制作をすることが多いようですが、監督はディエゴがやっています。
インタビュー・ビデオを見ると2人は年齢が近く、30歳台から、40歳代前半のように見えます。
ディエゴはメキシコから子供の頃アメリカに移住。大学で映画を勉強し、卒業しています。映画の裏方の仕事を一通り経験し、自分で監督するまでになっています。
トレイラー: かなり深刻な内容なので、コメディー、ゾンビ映画にしてくれて助かりました。この話をマジで取り扱ったら暗い作品になります。
南米の人たちがメキシコを越えてアメリカに入国するようになって、揉めていますが、人種差別と取り違えないようにしないと、勘違いになってしまいます。階級差別と見るべきでしょう。そして南米は豊かな場所で、大きな未来がありますが、政治の腐敗が長く続くと、母国を去って、もっと良さそうな(と語られている)アメリカに行こうと思う人が出て来ます。監督はそのあたりをきちんと分かった上で作ったような感じです。
感想: ドイツの Old People はこの作品に負けています。同じく老人施設を扱っても、アイディアによってこれほど明暗が分かれるものですね。こちらの結末は結構意外で、サプライズ効果があります。
原作: 監督2人で脚本を書いています。
ストーリー: インフルエンサーとしてユーチューブで多くのフォロワーを持っていたショーンが、ドジをやり支持を失います(演じているのは監督)。名誉挽回のために思いついた珍案。そうだ、幽霊屋敷に行き、そこからネット中継をしよう!
選んだ屋敷は過去に死者も出しているので、油断はできません。予想通り幽霊は出て来ますが、対決はそう簡単ではありません。
監督: 長編デビュー。2人で活動することが多いようで、俳優業もやっています。夫婦。ジョセフはマルチ・タレントで、制作、監督、脚本、編集を夫婦でやるほかに、俳優業、音楽も担当。
トレイラー: ファンタが提供するトレイラーには年齢制限がかかっていました。別版で誰でも見られる方を見ました。
冒頭7年前にお馬鹿なことをやってユーチューブでファンを集めている様子が出ます。そして現在。幽霊屋敷で一夜を明かすと宣言。過去に事情があり家が手入れがされないまま放置されていた様子も紹介。主人公のショーンがカメラなど近代的な道具でストリーミング番組の準備。
後半はショーンが幽霊にしてやられるシーン。2分にも満たないトレイラーに作品の重要部分がちゃんと盛り込まれています。トレイラーとしては上出来。
感想: 疲労困憊で集中できませんでした。残念です。
設定が愉快。お化けが本当にいると考えて配信に必要な機材を持ち込み、いざ開始。そして映画の中の設定では本当にお化けがいるんだから・・・。
解説を読む限り、アイディアはブレア・ウィッチ・プロジェクトと似ています。準備段階のシーンはまだ覚えていますが、幽霊との戦いに入って、私はブラックアウト。
インターネットで無料配信されたら見ようと思っています。
ストーリー: 疲労困憊のため把握できませんでした。紹介されている内容によると1983年の韓国。当時の政権は独裁。当局は北のスパイを見つけるのに必死。そのため2つの部署に競争させて二重スパイをあぶりだそうという作戦が採用されます。
監督: 本職は俳優。監督デビュー。
トレイラー: 騒ぎのシーンから始まります。1983年との時代設定。主人公はパリっとしたスーツ姿。実際よりかっこいいかも知れません。対するデモ隊は日本の70年安保スタイル。日本ではあり得ないような武器も登場するのでびっくりします。
アクション映画では最近絶好調の韓国。この作品もそうです。俳優が台詞を叫ぶシーンが多いのが気になりますが、初監督の作品とは思えない完成度です。
感想: 監督の本職は俳優だそうですが、どうもうまくまとめた様子。インターネットで無料配信されたら見てみたいです。
元ネタ: 実際に起きた未解決のモンス屠殺人事件。
ストーリー: 父親がモンス屠殺人事件の犯人、母親が犠牲者という兄妹が大きな屋敷に住んでいます。母親が父親に強姦されて生まれたのが2人。兄は父親のように殺人を続けています。妹は小さな会社で掃除婦をしていますが社内では虐められています。結局2人の子供は親の因果から逃れられないのか・・・。
監督: 先に長編を作り、その後短編も作った人物。過去に少なくとも2本長編を撮っています。音楽ビデオも作ります。美術、ビデオ技術、広告などについて学校で学び、修士。
トレイラー: 禍々しい感じは良く出ています。ストーリーは全然追っていないので、見た人は何が起きるのか想像できません。
感想: この作品も疲労困憊できっちり集中できませんでした。構成が他の監督よりしっかりしていたので、ストーリー・テリングのバランスが良く、大体は疲れていてもついて行けました。
マーターズ 系ハード・コア・ホラーと紹介されてはいますが、マーターズほどひどいシーンは無かったと言うか、上手に物語に組み込まれていて、不自然ではありませんでした。兄妹の住居として使われている家は実在するのか、セットなのか分かりませんが、古くてかなり凝った造り。落ち着きが醸し出されています。
ベルギーで起きる事件: ベルギーでは子供が誘拐され殺されたり行方不明になる事件が多発しています。マルク・デュトルー事件は表沙汰になり、犯人とされる夫婦が捕まりましたが、恐らくは氷山の顕微鏡で見なければ見えないほど小さな一角。組織立った誘拐犯がいて、子供を誰かに提供しているのではないかという疑いが拭えていません。
デュトルー本人は組織に引き渡すために犠牲者を誘拐していることを証言したのですが、証拠不十分扱い。デュトルーの家族や知り合いからも警察に通報が行っていたのですが無視されていました。捕まってから1度なぜかデュトルーが外へフラフラ外出したことがありました。まともな証言が可能な人物が次々死んでいます。ベルギーの上流階級が絡んでいるようで、捜査ができていないと言われています。
ベルギーというのは EU の首都のある国。なのにこの事件に関しては警察は機能していません。NATO 本部もあります。欧州刑事警察機構の本部はオランダ。だから警察はチャランポランなのでしょうか。今時そんなわけは無いと思いたいですが。
なお、マルク・デュトルー事件をヒントにしたザ・ヒットマンという映画が2003年に作られ、ファンタで見ました。非常にいい出来。上層部が隠そうとしても一般国民は不満なようで、こういう映画が作られます。
マーターズとは: 2008年制作のスプラッター系犯罪映画。少女リュシーが長年の監禁、拷問を逃れて脱出し。保護されて、施設で育ちます。施設でアンナという友達ができます。
15年後リュシーはある家を襲撃し、4人家族を殺します。この家族が彼女を監禁、拷問した犯人。リュシーは精神的な苦しみから逃れることができず自殺。呼び出されて現場に来ていたアンナは地下室で現在監禁され、拷問を受けている若い女性を発見し、救出しようとしますが、突然武装兵が現われて殺されます。
兵士たちはカルト集団の老女に率いられています。監禁、拷問を長期にわたって行うと犠牲者には死後の世界が見えることがあるという戯言を信じて犯行を行っている集団。
今度はアンナが新しい犠牲者。全身の皮膚が剥がされ、同じ拷問を受けているうちに死んだリュシーの姿を見ます。その様子を是非知りたいカルト集団。しかしアンナから何かを聞いた老女は具体的な事を他のメンバーに言わずに自殺。
全身の皮を剥がれた状態で人間がそれほど長く生き残れるのかは謎。医者に聞いてみないと分からないですが、そのシーンはファンタの中でも特に残酷です。
当時はニュースも見たことが無く知りませんでしたが、近年人間の剥製の展覧会が問題化しています。そこに展示される人体とマーターズに出て来る生きて皮を剥がされた女性たちの姿は酷似しています。監督はこの展示についてすでに知っていたのでしょうか。・・・となるとエンターテイメントどころではありません。背筋が凍ります。
ストーリー: 小さな町に住む子持ちの女性と考古学者が知り合い、ロマンスかもという仲に。しかしその女性の家族には死が付きまとっていました。子供の頃祖母の死に出くわしていました。事件後父親はアル中に、最近母親は病気になってしまいます。その他にも死人がぞろぞろ。この家は死に取りつかれていて、それは土地の伝説に関連しています。
監督: 長編デビュー
トレイラー: 開催前に見ることができませんでした。後で見ましたが、トレイラーとしては十分にストーリーを追っています。英語の台詞が多いので分かりやすいです。ただ、作品が地味なので、これを見て映画館に足を運ぶ人がどのぐらいいるかは不明。
感想: 選んだ素材はいいのですが、こなれていないという印象。デビューなのでまだ物語の進め方に経験が不足しているのかと思ったりします。逆にデビュー作だと考えると、結構良い出来。
出演者はいい脚本、監督ならちゃんとした演技ができる人たちばかりに思えましたので、ちょっともったいなかったです。撮影した場所も話に良く合っていました。
結末は意外でした。主人公は同棲、あるいは結婚したいと考えている考古学者の申し出を断わり、自分の家族に付きまとう死の運命を受け入れて、これからも両親や子供と生きて行こうと決心します。目立った行動の無い地味なラストなのですが、彼女がこの選択をすることで、一見普通の女性に見えるけれど、本当は力強く生きている人物を描写しています。
表立って派手なパーフォーマンスをする女性解放運動には賛成しかねますが、自分の人生を理解した上で、一定の結論を出すという姿勢には賛成。ここ何十年色々な活動家が色々な運動をしてきましたが、私は成果に注目していたため、賛同できない活動も見ました。本人はまじめにやっていても成果に結びつかない場合もあれば、誰かに利用されている場合もあり、モットーが良くてもついて行けない話も多々ありました。
そんな中いい話が目の前にぶら下がっても、足が地に付いた生き方の方を選ぶ女性を映画にしてくれるのはうれしいです。
ストーリー: 科学研究の結果死後の世界があることが実証される(嘘ばっかり・・・と私は思うけれどそこは映画の世界)。ある博士が希望者を募集し、その人たちに安楽死を提供する。それに応募した男性と女性。車の都合で偶然2人は一緒に同じ車でその研究所に向かうことになる。道中意見が合わず喧嘩ばかり。しかし思い切り気持ちをぶつけて喧嘩をしたため、2人は相手を理解するようになり、土壇場でどうしようかということになる。
監督: デビュー
トレイラー: 短くまとめ過ぎて本編を見る前に見ると内容があまり分からないですが、見終わってから見ると要点は全部入っています。トレイラー全体のトーンは本編より寒々とした印象。
感想: そういう研究の結果死後の世界があるというテーマや、安楽死を提供するテーマは映画の素材としてはいいです。ですが胸糞悪くなるような痴話喧嘩とロードムービーを結びつけ、戦略として成功していないです。若い頃ならそういう喧嘩も見ていられたかも知れないですが、ここまで年を取ると、せっかくの人生なのにあんな喧嘩で時間を潰したらもったいないと考えてしまいます。見ていて観客が「いい加減にしろ」とむかつくようではね。 俳優の選択、あるいは俳優の性格描写も見ていて共感できないです。 長編第1作目なので次回に期待。
元ネタ: オーガ、オーグルなどと呼ばれる欧州の神話や伝説に出て来るキャラクター。
土地によって肉食の怖いキャラクターになっている所と、内気で愛すべきキャラクターになっている所があります。ウィリアム・スタイグの発案でアニメにもなったシュレックもオーガです。
ストーリー: 過去の生活を清算し、新規巻き直しのためにフランスの田舎に引っ越して来た母子。母クロエは教師。村とは少しずつ馴染み始めますがすぐとは行きません。
医師マチューはクロエを口説き始めます。クロエの8歳の息子ジュールはマチューが猛獣(怖い方のオーガ)だと信じています。村では子供がさらわれ、家畜が襲われる事件が起きていました。
監督: 長編劇場映画デビュー
トレイラー: 田舎の景色や家屋の撮影がすばらしい。
感想: オグルというのは欧州の伝説に登場する怪物。地方によって危険な怪獣とする所と、やや間の抜けたところがあってユーモラスと受け取られる所があります。
この作品で微妙なのはジュールが母親を取られることを恐れて、新しい恋人候補のマチューを危険視しているのか、本当にマチューが危険人物なのかが観客にはすぐ分からない点。
予算を抑えるためか、地方でロケをし、家を借りて撮影した様子。その家は話によくマッチしており、俳優は地味な渋い演技で、違和感が無いです。デビュー作としては上手にまとまっていますが、インパクトに欠けます。
俳優とスタッフがゲスト出演。
ストーリー: あって無いような軽いストーリー。老人ホームの入居者を訪ねて来た家族。娘が間もなく結婚の予定。ところが老人の様子が変・・・。
監督: ドイツ系ルーマニア人か、ルーマニア系ドイツ人。ドイツ語と英語が達者。学校で映画関係のことを学び卒業。
Urban Explorer で2011年のファンタに参加していますが、不発。今回も不発。日本もそうですが戦後のドイツは映画作りでは長年苦労しています。一時期いい監督も出たのですが、その後また鳴かず飛ばずです。
トレイラー: 無し。
感想: 過去のファンタにも時たまドイツ、オーストリア映画が参加していますが、ほとんど落第。今回も大勢のスタッフ、俳優を引き連れて舞台に上がって来ましたが、観客はしらけ気味。ゲストは自分で自分を褒めるしか手が無かったようです。外国には「もっと低予算の作品でもずっと素晴らしい作品があるのに、ドイツ映画はなぜこうなってしまうのか」という問の答は見つかりません。
日本は普通の劇映画ではドイツと似たような状況ですが、漫画、アニメの方では力のある作品も出ています。ドイツには日本やフランスのような漫画文化が育っておらず、ドイツ製のいいアニメは少ないです。スウェーデンと組んで制作し、スウェーデンの原作を使った子供向きアニメはとてもいい出来です。やればできるのではないかと思うこともあるのですが・・・。
ドイツでは老人は大切にされていません。親子関係に今もって戦争が影響しており、それに加え68年世代(日本で言う70年安保世代)というのがあって、そこで世代が分断しています。加えてプロテスタントの地域は個人主義が徹底しています。個人生活に他の人が口を出さないということですが、困った時にも放って置かれるとも言えます。
日本では今、60歳より上の世代のジャーナリスト、科学者、コメンテーターなどが若者の将来を心配して懸命に情報を伝えていますが、ドイツにはそういう傾向も見当たらないです。ドイツの首相が今国を戦争に巻き込むまいとして一生懸命働いているのに、評価されていません。と言うか、首相の努力に気づいていない人が多いです。
ドイツの政党は自分とは無関係なのでどこも支持していませんが、一生懸命電力を確保しようとしたり、ドイツを直接戦争に巻き込むまいとしているところは多少評価してもいいと思うことがあります。
ストーリー: 2人組の強盗が女性を人質に取りますが、ドジを踏み、彼女を連れて逃亡する羽目に。道中農場に隠れるのですが、そこでは考えられないような犯罪が行われていて、逃げないと2人組自身の命も危ないことになります。一見穏やかに見える農場は最近の映画では危ない・・・のです。
監督: ファンタに良く来る日本人の監督。色々見ましたが、気に入る作品はほぼゼロ。例外的に良かったのは2008年の ミッドナイト・ミートトレイン。The Price We Pay にはスティーヴン・ドーフが出演しているので期待しましたが、今一つ上手に生かされていません。
トレイラー: 無し。
原作: 監督ともう1人の人が共同執筆。ポー自身の経歴とは直接関係の無い話。
ストーリー: エドガー・アラン・ポーが主人公ですが、彼の小説の映画化ではありません。1830年頃、彼が軍人時代に殺人事件に巻き込まれて解決をしようと試みるという物語。フィクションと思われ、ポーは探偵役。
監督: 長編4作目
トレイラー: いい雰囲気。
感想: 雰囲気的にはジョニー・デップ主演のスリーピー・ホロウの丸パクリ。と言うか、1820年に当時アメリカ北東部に伝わっていた伝説がアーヴィングの手で小説化されているので、その映画化と見るべきかも。そのホロウの雰囲気を使っての映画化ですが、まだ上手にこなれていません。さすがティム・バートンは上手だった。映画にしやすい題材なのでちょっと残念。丸パクリでも私はこういう作品好きです。
コメント: 1830年(1809-1849)、若き日のエドガー・アラン・ポーを含む士官候補生たちが、惨殺幸死体に出くわします。そこから始まる物語ですが、ポー自身の人生も1本映画を撮れるぐらい波乱万丈。
ポーは当時としてはあまり恵まれた家庭に生まれていませんが、アランという裕福な家に引き取られ、学歴もきちんとしています。文学者としても詩が評価されますが、アル中の博打ちという一面もあり、揉め事の果てに大学は中退。軍に新しい道を見つけますが、士官学校でドジをやり退学処分。残った道でもあり、本人も気に入っていた文学の道に専念。後に高く評価される作品を書き始めます。雑誌の編集や批評家としての成功も見られるのですが、お酒に負けます。結婚も現在の価値観からするとややエキセントリック。その大切な彼女を病気で失い、自分もまもなく変死。これだけでも映画になりそう。
そのポーが実生活で軍の士官学校に行っていた頃という設定のフィクション。行った先に妙な出来事が続き、それを調査する探偵役。「軍人だったポー」というところは真実で、「変な村に行き着いた」というところは恐らくフィクションなのでしょう。ティム・バートンに脚本を書かせて監督をやらせたらきっとおもしろい作品になっただろうなあと思いますが、怪しい雰囲気だけは上手く醸し出せたと思います。
ミステリー・クラブの人はポーについて作品名も含め詳しいですが、書き始めると長くなるので割愛。
続編: 「犯罪都市」 (The Outlaws) の続編。
犯罪都市は2004年の実際の事件の映画化で、韓国で幅を利かす中国マフィアの抗争。
ストーリー: 私たちは見ていない第1作の続編。韓国ではお馴染みの俳優が主演。強面で乱暴者のベテラン刑事マ・ソクド刑事が主人公。容疑者引き取りのためにベトナムへ出張。そこで殺人事件にぶつかり、頼まれもしないのに捜査。観光客相手に犯罪を犯す韓国人を追うことになります。犯人は韓国へ密かに潜入。刑事はそれを追います。
監督: 2作目
トレイラー: 主演の刑事の顔には見覚えが。出入りのシーン多数。冒頭にナレーションをしている人の話し方が何となくユーモラス。韓国語は全然分からないので、もしかしたらまじめな話をしているのかも知れませんが。
後で調べたら主演のマ・ドンソクは米国籍で、大学で体育学を学び、フィットネスやボディー・ビルディングのトレーナーの仕事をしていました。芸能界には後から入ったようです。格闘シーンに力が入っているのはそのためかも知れません。
感想: 疲れが祟ってあまりストーリーについて行けませんでしたが、出入りシーンは記憶に残っています。香港映画の指南でも受けたのか、アクション・シーンは立派。インターネットの無料配信があったら、もう1度見たいです。
コメント: コロナにも関わらず最近の韓国の犯罪映画、アクション映画は絶好調。政治では色々ややこしいことになっていますが、芸能界は欧米と比べても見劣りしないどころか、現在は韓国の方が勢いがあります。
原作: 監督のアイディア。
ストーリー: 若い女友達3人組。ヘザーの父親が金持ちなため、3人はヘザーの豪邸に集合。流星群をライブでストリーミングするのが目的。ところが携帯電話が不通になり、敷地に隕石が落ちて来ます。実は石ではなく宇宙生物。3人はその生物を殺さないことに決める。しかしそのために変な問題が起こり始めます。
監督: デビュー
トレイラー: 前半のきれいな場面と後半のおどろおどろしい場面の両方を出し、ホラーらしく作られています。
感想: きれいに撮影してありましたが、嫌いな要素がいくつかあり、良い印象は持ちませんでした。3人のように恵まれた経済環境にいる人が世の中にあまり多くないこと、友人であるはずの3人が喧嘩を始めること(= 表面的な付き合い)、宇宙人のような物が出没するのならまずは自分たちが車で出かけてでも警察か軍に連絡すべき(= 一般人の義務感の欠如)ですが、話はそういう方向に行かないことなど。途中でばかばかしくなり、まじめに見る気を失いました。
近年映画でも、CMでも理想とされている家が登場しますが、私は自分が大金持ちになっても(なるはずはありませんが、笑)こういう家には住みたくないと思います。本当、最近こういう家を舞台にする映画が増えました。
見る予定だったら、読まずに飛ばしてください。台湾語のタイトルはややネタバレ気味。
ストーリー: トレイラーを見た時はあまり期待していませんでしたが、見てびっくり。この日までの6本では1位。トレイラーやネタバレの無い解説では主人公の片面しか描写していません。最後まで見ると全然違う主人公の顔が浮かびます。
主人公の本名はセシリア、苛めっ子は彼女をシシーと呼びます。(ドイツ語圏ではシシーというのは悪い名前ではなく、有名な女優ロミー・シュナイダーは長年、そして死後も、演じた役名からシシーと呼ばれています。)
作品中のシシーは子供の時から学校の友達に虐められていました。ですが、今はインターネットのインフルエンサーとしてかなりの数のフォロワーを持ち、幸せに暮らしています。
ある日買い物中に学校時代の親友エマに出くわします。12年ぶり。エマが友達を集めてやるパーティーにセシリアも呼ばれます。行って見るとそこには子供の頃セシリアをひどく苛めたアレックスも来ています。アレックスはみんなの前で平気でセシリアを批判。友人の別荘に泊り、近くでピクニックをしたりするのですが、事あるごとにアレックスとセシリアは揉めます。他の仲間もどちらの味方をしたらいいのか迷います。
ひょんなことから1人死に、2人死に、最後はセシリア1人が茫然自失のまま生き残ります。彼女は恐ろしい事件の生存者として同情を集め、さらにフォロワーが増えます。
この種の話はミステリー・ファンにはお馴染み。かわいい顔をして微笑むシシーが、怒ると瞬間的に凶暴性を発揮してとんでもない事をやらかします。子供時代シシーはアレックスの顔に切りつけたため、アレックスは頬に穴が空き、大量出血。その後手術で何とか元の顔に戻りますが、アレックスがシシーを露骨に批判するのにはそういう事情がありました。級友もその事件を身近で体験したので、シシーが何を言っても警戒心が解けません。
本人は自分を怒りを抑えられない凶暴な人間とは考えておらず、トレイラーに出るようなかわいい、世の中に出たばかりの女の子と思っています。ところが自分が危ない立場にいると気付くと瞬間的に機転が利き、相手を殺してしまったり、崖から突き落としてしまいます。本能的な反応です。そして最後の1人として人前に出ると同情を引くような発言をし、誰も彼女が数人の友達を惨殺したなどとは思いません。
監督: 監督: Hannah Barlow(長編2作目), Kane Senes(長編3作目)
トレイラー: 前半はシシーの良い点を出し、久しぶりに友達と再会したシーンも出ます。後半は関係者の命が危なくなっているシーンも出ますが、その理由までは明かしていません。
感想: 予測大外れ、優秀な作品。演じた女優は役をよく理解し、こなれた演技を見せます。まだ若いのに素晴らしく自然な演技。この作品は彼女の演技で持っていると言えます。そんな(損な)役で大評判を取ってしまうと、次からそういう目で見られてしまうという問題が起きる可能性はあります。次作で彼女がかわいらしく笑っても、人はシシーを覚えていて、「もしかすると・・・」と考えてしまいそう。それほど上手い演技でした。主演としての役割はきっちり果たしています。
原作: 監督の1人で出演もしているジャスティン・ベンソン。
ストーリー: ジョンが住んでいたLAのアパートの近くにレヴィが引っ越して来ます。レヴィの灰皿が不思議な光を発生させていることに気づき、2人は撮影しようと思いつくのですが、カメラがちゃんと動かなかったり、妙な現象が起き、観客はSFの世界に引きずり込まれます。
監督: 長編3本目。2012年から一緒に仕事を始めています。ファンタに短編も来ています。今回プラネタリウムで上映された The Endless も2人の作品。
トレイラー: ・・・が良過ぎます。実際の作品はもう少し平凡です。
感想: 2人の前作が良過ぎました。ですが2人には才能を感じるので、次回作に期待。
原作: 監督の思いつき。
ストーリー: カナダに住むベンジャミンとドンは親友。ベンジャミンの夢はポルノ・スター。カリフォルニアで成功したい。ドンは事業をやりたい。資金は違法な品を米・カナダ間で運ぶことで賄いたい。ちょっと変な夢ですが、2人はマジ。ドンはベンジャミンをアメリカへの国境まで送って行くことにする。
ところがならず者に公衆トイレで殴られたために、ドンが密輸のために飲み込んだ品物が体内で破裂。ベンジャミンはドンを助けなければならなくなり、ドンが絡んでいた犯罪シンジケートの2人とやりあわなければ行けなくなる。
監督: 長編3本目。
トレイラー: ストーリーをちゃんと追っていますが、これだけではこの作品の本質が掴めません。
感想: ファンタの主催者はファンタと別にポルノ系の映画祭もやっていた時期があります。1991年頃から2011年までは続いていたようです。1、2度見たことがありますが、内容が退屈で(私はミステリー系が好きなので)行かなくなりました。
Swallowed はそちらのフェスティバルにぴったりの作品でありながら、ハード・ボイルド・ミステリーの要素が強く、見ごたえのさある作品です。まだ世の中の厳しさを体験したことの無い、楽観的な若者2人が世の中の厳しさをある程度承知している若い女性、厳しさその物が歩いているような初老の男と出会い、大変な目に遭うという話です。
見る予定だったら、読まずに飛ばしてください。
ストーリー: 幸せな生活を送っていたアメリカ人夫婦が、息子ネイサンを事故で失います。失意の妻レイチェルを慰める意味もあって、夫アンソニーは双子の息子エリオットを伴ってフィンランドへ移住。
しかし移住先の古い住居には秘密が。そしてエリオットは「自分がネイサンだ」と言い始めます。息子の治療を町医者に頼もうとすると、「レイチェル自身が病気だから治療が必要だ」と言われます。考えあぐねてレイチェルはヘレンという女性に助けを求めます。ヘレンは悪魔崇拝の知識があり、「町がそういう事に関わっている」と言います。レイチェルはエリオットと一緒に写っているはずの写真にエリオットの姿が無いことに怯え、ヘレンに相談。ヘレンは「そういうのが悪魔崇拝と関係ある」と言います。
事がややこしくなり騒ぎになったところでアンソニーがレイチェルに「実はエリオットは存在していない」と伝えます。「事故直後にレイチェルが自責に耐えられなくなり息子は双子だったというファンタジーを頭の中で作り出した、アンソニーはレイチェルを精神病院に入れたくなかったので、フィンランドへ移住し、新しくやり直そうとした」と伝えます。しかしレイチェルはその話に耐えられません。アンソニーはレイチェルにエリオットが存在しないことを示そうとしますが、偶然の事故でレイチェルはアンソニーを殺してしまいます。レイチェルはその直後にエリオットを探すのですが見つかりません。そりゃそうだ。
監督: 短編やテレビを経て、劇映画は6本目。
トレイラー: 一応ストーリーを紹介していますが、トレイラーも本編も平凡。同じ設定でもっと劇的な作品も作ることができますし、ずっと地味に作って(俳優にギャーギャー叫ばせずに)精神面を強調することもできますが、本作はどっちつかず。
感想: 子供の視線やレイチェルのようなショックで精神異常を来した人物の視線で描く映画が増えました。面白い視点、発想なので今後もやってもらいたいですが、演出に不慣れて現実と妄想の境目が上手に扱われていない作品もあります。
予算削減のために地方ロケに行き、そこの自然をうまく取り入れているのは歓迎。そういう作品の出演者は有名人でなくても手堅い演技の人が多く、人選に成功している作品が多いです。自分が日本にずっと住んでいてこの作品を見ると、そういうロケ地の良さに気づかなかったかも知れないです。
監督は2人ではなく、同じ人物が2つの名前を使っているようです。
出演者に -cu という名前の人が多いのは、撮影場所がルーマニアだったためと思われます。
アラビアの国が外国人の女性監督に資金を提供して映画を作らせる、監督がアメリカ生まれのおそらく日本人、主たる撮影がルーマニアという珍しい組み合わせです。
ストーリー: アメリカ人夫婦フランシスとジュリアが夫の赴任先ブカレストに引っ越して来ます。夫は仕事、妻は家に。夫はルーマニア語が分かりますが、妻は分からないので家にいるしかありません。
ジュリアは間もなく自分を見張っている男ダニエルに気づきます。ストーキングもやる見知らぬ男出没。
ジュリアは英語が分かる僅かな知人と少しだけ交流。例えばクラブのダンサーのイリーナ。
町は連続殺人犯の事件で持ち切り。ジュリアの周囲が変だということとこの事件を結び付けて考えても見ます。ジュリアが怯えていることに気づいたフランシスは正攻法で解決しようと考え、監視カメラの映像をチェック。ストーキングの事実は判明しますが、理由が不明。
追われて怯えるのを止め、相手に向き合う姿勢に転じたジュリアは迎えの窓から自分を監視している男に手を振ってみます。すると男も手を振ります。ストーカーと向かいに住む男の顔が一致したので警察に通報。しかし逮捕には至りません。
その後イリーナの居所が分からなくなり・・・。
監督: 米国生まれ。長編1作目。
短編を4作作っており、うち1つは、ファンタに出たことのある短編集V/H/S シンドローム(2012)シリーズの後続で、シリーズとしては4本目のV/H/S/94に参加しています(ファンタには来なかった)。
長編デビューですが手堅い作りで、この種のスリラーの常道を行っています。
ヒッチコックなどこのジャンルの有名監督の手法を取り入れ、今ではやや時代遅れの手法でスリラーを作りましたが、成功しています。観客がそういう古い手法を好むかが問題ですが、ファンタに来る人には受けるでしょう。
最初の作品が2013年で、4本目の短編がV/H/Sのシリーズに採用されるのは素晴らしい。2014年から2021年までブランクがあります。現在の国籍は分からないですがアメリカ生まれで、大学もアメリカ。ネットフリックスでも何か試みたようですが、うまく行っていない様子。Watcher の出来栄えはいいので、今後が楽しみです。
トレイラー: 平凡な作りで、これを見て映画館に行こうと思うかは不明。ストーリーはちゃんと追っています。
感想: ストーカーに付きまとわれた時逃げてばかりいないで、相手を見据えるのがいい手段だという点は賛成します。少なくともいわれの無い恐怖心はなくなります。誰、或いは複数のどんな人たちが何の目的でそういう事をやっているのかが分かると、恐怖で麻痺したような状態は終わります。
短篇
疲労困憊で集中力を欠き、画面の記憶はあっても内容がきちんと理解できてないことが多かったです。
ストーリー: まだ科学的にちゃんと解明されていない ASMR 現象という症状がテーマ。主人公がこの現象を利用したビデオを偶然見て夢中になるのですが、同居人や近所の人はいい迷惑。
監督: 短編4本と、音楽ビデオを制作。
トレイラー: 主人公のおばさんがテレビを見て影響を受けているシーンと、近所の人と屋外でバーベキューか何かをやろうとしている時に発作を起こすシーン。
感想: 多分これに類した実際の事件でもあって、極端な形で 映画化したのだと思います。私自身昔仕事の一環で変な語学教授法を手伝わされそうになり、謝礼を申し出られたのですが、断った経験があります。人間の深層心理に働きかける手法は赤信号です。
ストーリー: 電話で客を勧誘する仕事(詐欺?)をやらされている人物。目の前に怖い上司がいて、首尾よく勧誘が出来ず、断わられたら彼の命は・・・。
主人公たちの仕事は、刑務所の看守のような男から与えられた番号に電話をかけて、見ず知らずの電話の相手にハワイ旅行のパッケージの契約を結ぶように勧誘すること。
監督: 短編2作目。
トレイラー: これだけでは何もわかりません。
監督のインタビュー: 2、3年前友達のマーク・デロッティンヴィルが同じ大学に通っていて、最初は話だけだったのが、やってみようということになったそうです。1つの部屋の中だけで起きる話なので、できるかもということになり、やってみたら面白かったとのこと。
感想: ここはロシアの刑務所か、Kirill Sokolov の作品かと思える雰囲気。豪華船の旅行をそんな物に乗ったこともなさそうな囚人のような男たちが勧誘するコントラストはなかなか良いです。
ストーリー: カップルの組み合わせはくじ引きで決まるという未来世界。恋愛感情というのは過去の話。
冒頭野原で戯れるラブラブのカップル。「一生一緒にいたいね」などと話していると、長い卵のような物が現れる。長さは大人の体の半分ぐらいで、2、3メートル先の宙に浮いています。2人は事情が分かっているようで、諦め顔。女性の手首には22という数字が現われます。男性には番号がありません。まだ一緒になるチャンスはあると男性。
次のシーンはソファーに並んで座る2人。アンナ(女性の方)は2度目の関係を始めるところで、近くに母親もいます。恋人のグンナーには別なパートナーを探すようにと勧めます。近くに父親もいて、子供ができればよかったのにと言います。
ここでは7年ごとに国民は新しい配偶者が割り当てられ、アンナの両親もそうやって知り合いました。組み合わせは同姓同士の場合、異性の場合があります。両親も次のパートナーに引き合わされます。
7年目の人たちが集められた会場。ここ7年卵の中で過ごした人物2人も参加。2人は新しく割り当てられたパートナーを選ばず、一緒に卵の中に入ることを自ら選んだようです。今回は新しい番号を受け入れることにしました。好きな人と暮らすことはここでは利己的として糾弾されます。
新しい抽選が始まります。子供がいる人も父親は子供から引き離されます。アンナに当たりたいグンナーでしたが、グンナーは若い男性との組み合わせになります。アンナは父親ほど年の違う人に引き合わされます。新しいカップルにはトレーニングの時間が与えられます。新しいパートナーが気に入らない人は卵に送り込まれます。
2組のカップルが朝食の場で話し合い。トレーニングではセックスのやり方まで指導。カップルの組み合わせは同性もあるのでややこしいです。その上素直に指示に従う人と、内心嫌がっている人がいるので、さらにややこしい。
アンナが初老の新しい男性といよいよベッドインという時に、若い男性パートナーを放り出してやって来たグンナーに止められます。そこにコミュニティーの人たちが集まって来て、2人を即席裁判。アンナは新しいパートナーを受け入れると答え、グンナーは拒否。グンナーは1人で卵に閉じ込められます。
監督: 短編3作目。
トレイラー: ・・・ではなく、全部ネットで見られます。
感想: ファンタで見た時は疲労困憊で集中できず、ネットで改めて見ました。大学時代3年ほどアイスランド語を勉強しましたが、ファンタ会場では全く聞き取れませんでした。改めてネットで見た時はいくつかの単語が聞き取れました。
改めて見ると趣味の悪い作品。世の中の不条理を表現した作品はいくつか見たことがありますが、悪い印象が残ったのはこれが初めてです。
15分ではなぜここでは1人の老女が村人の生活を仕切っているのか、なぜ7年ごとに組み合わせを変えるのかなどの説明まで手が届かず、いきなり「そういう世界なのだ」ということを前提にして、2人の苦しみを描写。見ている方としては説明不足感でいっぱいです。
マトリックスやプリズナーNo.6だと見る人は最初は不条理な世界に放り込まれますが、主人公が長い時間それと戦い、その間に何となくそういう世界が出来上がっているが、抵抗する人間もいるんだという話になっていくので、見ていて納得するのですが、こういう出し方をされると、不満が残ります。
ストーリー: ポップスターのオリバー・シムがトークショーにゲスト出演する。
監督: 短編中心で、ごくたまに長編も作る人。
トレイラー: ・・・を見ても、本編を見ても良く分かりませんでした。
感想: アバターを人間が演じたような感じで、ホラー風のメイクをした人が登場。監督が何を言いたいのか、表現したいのか分かりませんでした。疲労困憊だったためかも知れませんが、後でトレイラーを見ても?????でした。
コメント: ポップスターと言われても全然知らない人。さすがにこの年になると、そこまでは追えません。
原作: 監督2人で思いついた。
ストーリー: 被害妄想の男が農場に住んで、馬の世話をしている。馬とはコミュニケーションが取れる。車でパリっとした格好の弟がやって来て、山ほど携帯電話と電池を見せる。夜眠っている時に弟がナイフを持って襲いに来たように感じる。弟は人間の言葉もしゃべるが馬のようにいななく。どうやら悪夢らしい。
翌日入浴中の弟を兄が襲う。浴槽に弟が持って来た携帯などを放り込み、弟は感電死・・・したのか良く分からない。兄は馬と一緒に湖に出て銃で自殺。
監督: ほとんどの作品を一緒に作っている。短編中心。
トレイラー: ・・・ではなく、インターネットで見ることが出来ます。
感想: まだ完成品ではないような印象。何が言いたいのかが良くわからなかった。
原作: Angela Hanna Goulene(監督)のアイディア。
ストーリー: いつも同じタイプの男性を好きになって、失敗する女性というのがいるが、彼女はいつも連続殺人犯に恋をしてしまう・・・。
監督: デビュー
トレイラー: よく内容を伝えている。画面も非常にきれい。デビューとは思えない。
感想: トレイラーを見ただけでもユーモアが伝わる。
原作: 監督のアイディア。
ストーリー: 戦地を逃れて来た負傷兵が口を利く岩に出会う。そこは温泉地だが、日本のように冷水と混ぜてお風呂に入るなどという施設は整っておらず、火傷をする。岩山なのだが妙に人の気配がする。ふと見るとパイプを加えた顔のように見える岩がある。その岩と喧嘩になる・・・つまり岩は人間の言葉をしゃべれる。
夢でも見ているのかと思いつつも岩と話す。言葉巧みな岩とあまり頭が良くなさそうな兵士は喧嘩になり、兵士が岩に切りつける。兵士は去って行くが、道中に武器や鎧などを捨てる。岩の切れ目に真っ赤なマグマが見える。落ちたら一瞬で死んでしまうことが分かっているのは火山の国から来た私だけではないが、兵士は喜びの表情を浮かべて飛び込んでしまう。他にも何人もそうやって命を落とした兵士がいたらしい。刀が残っている。どうやら彼の肉を火山が消化しているらしい。
監督: 主として短編。
トレイラー: ・・・ではなくインターネットで全部見られます。
感想: 一見の価値あり。
原作: 監督のアイディア。
コメント: 疲労困憊でブラックアウト。
原作: 監督のアイディア。
ストーリー: 疲労困憊で短編特集はほぼブラックアウト状態。その中でいくつか楽しそうなシーンは覚えています。主人公はオートバイでその辺を走り回るやや太目の女の子。
監督: どう見てもドイツ人、オーストリア人、スイス人のいずれかと思える名前。本人が登場するビデオによると、5年前から台湾在住のアメリカ人とのこと。アクセントもかなりアメリカっぽいです。短編2本目。
トレイラー: いくつかのシーンは部分的に記憶に残っていました。
感想: この日の短編集はあまりおもしろくなく、疲労困憊でブラックアウト。その中でいくらか記憶に残っています。
原作: 監督のアイディア。
ストーリー: 父親が事故死。息子のエドゥールは悪夢を見る。
監督: これまで短編と音楽ビデオを制作。
感想: 疲れていたためか、記憶に残っていません。
フィナーレ
大まかなストーリーは分かりましたが、疲労困憊で詳細は不明。力を入れて作ってあるので、惜しかったです。ネットで無料で見られるようだったら、是非見たいです。
ストーリー: ハワイへ向かう120人ほどの乗客を乗せた航空機にテロリストも乗っていました。彼は機内でウィルスをばらまくつもりの生物学者。ベテラン刑事が追っていたのですが、犯人が飛行機に搭乗したことが判明。
機内には色々な人が色々な理由で乗っていました。それに関するエピソードがいくつか紹介されます。
乗客の1人が死んだたため機内にテロリストが乗っていることが知られます。機内はパニック状態。
問題はこの飛行機と犯人をどうするかです。アメリカからは緊急事態の内容を知って着陸を拒否されます。幸い燃料は十分だったので韓国に引き返すことになります。途中日本に着陸という手もあったのですが、断わられます。
監督: 長編5作目
トレイラー: すぐ主演のおっちゃん、ソン・ガンホの顔が見えるので、「見よう」という気になります(笑)。そこへ大都会の韓国をチラッと見せ、あとは機内で事件が発生する様子、パニック、警察などが空港で待機する様子など、上手な見せ方をしています。
感想: カッコいいポスターがありますが、ファンタでは紹介されませんでした。
韓国には異常者を演じる、なよっとした、イケメンではありますが印象の悪い俳優がいます。逆に野暮ったくどっしりした、足が地に着いたベテラン刑事や、金持ちでないけれど子供に愛情を注ぐ父親などを演じられる、しかし見た目ぱっとしない中年俳優もいます。
今回もそういうもっさり型の俳優ソン・ガンホが主演。韓国人俳優で名前と顔が一致する人はいないのですが、ソン・ガンホは例外で、名前がすぐ出て来なくても「ここで見たぞ」という記憶のある俳優です。「ここで」と言うのはシュリ、JSA、復讐者に憐れみを、殺人の追憶、大統領の理髪師、グエムル 漢江の怪物、スノーピアサー。かなりの数の作品を見ました。見ていないですが世界的に有名になったパラサイト 半地下の家族でも主演。映画俳優になる前は舞台俳優だったそうです。韓国の舞台については全く知識がありませんが、映画俳優としてはしっかりした演技です。
タイトルのリスト
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