映画のページ
まとめ
開催予定:2004年8月
見た物は全作品にコメント入れました。特におもしろかった物は追って記事も入れます。1番下にインデックスも入れました。
全作品のインデックスへ
今年は肉体的にきつかったと感じた人が多かったです。1つには天候が激変して、猛暑になってしまったこと。しかし仲間全員揃って年を取ったという点も認めざるを得ません。主催者の1人、うら若き乙女も今では1児の母親でおばさん。しかしああいう風に美人のおばさんになるのでしたら、年を取るのも悪くないな、とつい思ってしまいます。以前3人いた主催者の1人は裏方に回ったようで、表には出て来なくなりました。しかし映画にかける情熱は衰えていないようで、今年はおもしろい作品がずらっと並びました。ただおもしろいというだけでなく、質の高さには驚かされます。毎年のファンタで、世界各国全部を取り上げるわけには行かないので、年によって《・・・特集》という風にやや国が偏りますが、今年はオセアニアに休憩してもらい、フランスが取り上げられました。
普段フランス嫌い、フランス語嫌いの私は今年がらっとフランスに対するイメージを修正。良質の作品が来ていました。1部はカナダのフランス語作品。以前はうぬぼれた感じの俳優にぺらぺら喋り捲られ辟易していたのですが、今年来た作品にはそういうのは無く、ストーリーが中心。用の無い人はしゃべりません。フランス人がしゃべりたがりなのは相変わらずのようで、監督が来てインタビューに応じていた時、英語からフランス語に切り替わったとたんに、滝のように言葉が降って来ました。しかし作った映画の方ではしゃべりは脇に置いて、動きで表現。それだけ言葉の分からない私は納得の度合いが高まるわけです。それでわけの分からない映画を見せられたという気分にならず、ストーリーに集中できたのです。今年来た作品に自己中心的な話は無く、見た物はどれも気に入りました。
フランスにおんぶして登場したベルギーの作品にはもっとビックリ。映画大国でもなく、有名俳優はほとんどいないベルギーからこんな優秀作品が出たというのも驚きですが、この作品だけを見ると、まるでこの国からは毎年大量の優秀作品が出ているかのような落ち着いた作りです。主演は老人なのですが、オスカーがすぐ飛んで来そうな安定した演技。完成品です。私の評価が高くなったのは、主に使われたのがフラマン語で言葉にあまり不自由が無かったからということではなく、スタッフ、キャストの質です。同じ話を全編フランス語でやられても評価は高かったと思います。
フランス語の映画は一言も分からないので字幕がたより。普段ドイツ語ばかり話しているのでドイツ語の字幕の方がいいだろうと皆さん思うでしょう。ところがそうではないのです。字幕の時は英語でないとついて行けません。なにせドイツ語は1つの単語が長く、接頭語や接尾語が同じで、間だけが違うなどというのが多いのです。geschehen - gesehen - geschworen - geschwollen などといった具合。しかも文法上《彼は人を殺した》か《殺さなかった》かは最後まで読まないと分からない仕掛けになっています。英語ですと《彼は殺した、人を》か《やらなかった、人殺しを》という風になるので、早々と何がどうなったか分かるのですが。ちなみに今年もたくさんスクリーンで死者が出ました。おもしろいのは私は英語の単語を綴りで覚ていたのではなかったという点。どうやら kill とか him などをそういう絵文字として覚えていたらしく、k-i-l-l という左から右へ進む読み方をしないらしいのです。《kill》という絵、《him》という絵で覚えていたようです。日本人が子供の時に単語を覚えるとこうなってしまうのかも知れません。ですから英語だと分かるのが早い。
さて、今年はブロックバスターには隅に行ってもらって、あまり有名でない作品、特に欧州の作品が多かったです。オープニングはなんとハンガリーの映画。これがフェスティバルの中で1、2を争うような素晴らしい出来。こんな作品を持って来てくれた主催者には大感謝。下にも書きましたが、そのすぐ後に上映された作品がこれまた力作。オープニング作品の影に隠れてしまって気の毒ではありますが、この日はコンビを組んだ作品が無かったので、希望者全員が見られたというのは良かったです。
スカンジナビアの作品は最近のベルリンではわりと簡単に見られるようになったのですが、家族ドラマや男女の関係などといったテーマが中心。ファンタはそういうのは避け、人殺しや泥棒中心になっています。コメディーが多く、楽しかったです。この種の映画は恐らく半年から1年ぐらいで一般公開になるでしょうが、ノーカット、吹き替え無し、全部そのままファンタで見たかったので満足。
アジアの作品では韓国が勝っていました。最近ずっとその傾向が強いです。中国からは香港勢が押し寄せ、有名作品もゾロゾロ。私はスケジュールの関係などでパスした物が多いです。というのは名が知れているため、DVD に出る確率が高いからです。韓国の作品はそれに比べるとやや時間がかかるか、下手をすると来ないこともあり得るので、見ておこうと思いました。思惑が外れ間もなく公開が決まっているものもありますが。日本は今年も遅れを取っています。リング系の意味も無く人を恐がらせるだけの作品、学芸会レベルのティーンエージャー映画など。いつも日本は作品を送って来ていますが、これは凄いとうなるような作品を見ていません。ちょっと前にはメジャーでない人の中に身の毛のよだつような恐い作品を作る監督がいたように思うのですけれど。それから刑事物などはどうなんでしょう。テレビでは靴を履き潰して事件捜査にあたる老刑事などという話聞いたことがありますけれどねえ。やる気になれば日本もちゃんとした作品作れるのではありませんか。突然出て来ていきなりトップのベルギーなどという例もあるので、頑張ってもらいたいです。
4日目が終了し、今年の傾向を見ているところですが、これまで書いて来た点に加え、残酷なシーン、肉体的な苦痛を伴うシーンのある作品が増えたような感じがします。私はオセアニア地方から来るようなユーモアの方が好きなので、見ていてしんどいです。組んでいる2つの作品のうちどれにするかはいつもながら難しい決定。ことしもドタキャン、いえ、ドタ変更が続出しています。それでも決め易い方だった前半を終了し、今日からは混乱の後半です。仲間も皆頭を抱え、情報集めに躍起。しかし昨日までにこの10年ほどで何となく自然発生した仲間全員の顔が揃い、そういう意味ではうれしい瞬間です。
すぐ下に書いた偶然が3日目も継続しています。兄妹(姉弟?)の関係が決定的な鍵になる作品が2日目と3日目の1つずつ出ました。不思議な一致です。
きっと偶然だと思うのですが、私の見た作品は謎かけのような展開を見せています。初日見た作品2本で地下鉄、地下のシーンが出て来たのですが、そういう共通項が連続しています。2日目に見た作品で足が1つ切断されてしまうのですが、前日見た作品では手が1本切断。2日目の作品2本で「まだ生きている事を喜べ」という台詞が登場。別な2本では人の腎臓を取ってしまうという話が登場。以前のファンタで妊婦を扱った作品が1度に5本出たことがあったのですが、主催者が遊んでいるんだろうか。
ファンタのカテゴリーが判明したのでそれに合わせて分類します。
取り敢えずどの作品が来るかという情報が出ました。会場によって二、三ズレが出ますが、大体のところこんな様子です。今年は原点に戻るというような雰囲気で、ハリウッド系の大メジャー作品が見られず、その代わりに欧州、極東に力を入れています。オセアニアは今年はやや少なめ。アジア映画は重要スタッフの1人が好んでいるので、近年充実しています。今年は韓国と香港。香港はレトロとして特集を組んであります。
今年の特徴としてはフランス映画が強化された点でしょう。フランスから来る映画はじとっとしていて苦手だったのですが、ファンタではドーベルマンや Vidocq でおやっと思ったことがありました。今年のファンタ・オードブルにもフランス製西部劇が来ています。私はフランス語は苦手なので、いくつ見るかまだ決められませんが、ファンタに合うようなテーマの作品も結構作る国です。
最近ドイツでは北欧の映画は当たり前のようになってしまいましたが、今年も愉快な作品が期待できそうです。ファンタに来る数は多くありませんが、ドイツには一般公開される作品が定期的に来ます。
西部劇マンガの映画化、ドイツ初公開、ドーベルマンの監督と主演。
2004年夏、一般公開。
賭けで生死が決まる連続殺人
ゾンビ映画。
ブレードランナー系クローン映画。
家庭問題ホラー。
8月のファンタで再上映。
参加作品
オープニング
凄い。ファンタのオープニングにふさわしい天才的な作品です。キューブ(1)のナタリ監督が出た時ビックリしましたが、それをしのいでいます。最初ハンガリー語にドイツ語の字幕だったので、乗り遅れ苦労しましたが、やがて話に慣れ、話に引き込まれて行きました。最初《なんじゃ、これは》と思っても15分ぐらい我慢。その甲斐あります。日本で公開される時は日本語字幕でしょうから、観客は最初の所から笑えます。楽しさてんこ盛りの上、ちゃ んとしたストーリーもあります。必見。
注目の作品
Dogme 3 - ミフネ、Dogme 28 - しあわせな孤独
の監督、ドイツではおなじみのスタッフ、キャストです。
最近好調のデンマーク。成功している俳優が揃い、安定した出来。やや笑いを取ろうとして計画し過ぎた感があります。
公開前の上映
Hellboy 2 がある。Blade II の監督、
スペシャル・ゲストが来るそうで、あずみとスケジュール入れ替えになりました。
ブロックバスター系の作品としては珍しい力作。アクションも力強いですが、演技も最高。笑えて、泣けて、欲求不満はアクションで一掃。お薦めの1作。
後記: スペシャル・ゲストは監督、主演の2人。会って話す機会もありました。大感激。
The drowing ghost を止めて仲間全員こちらに決定。気合の入った作品だったので見て損をしたという気分ではありません。ただ気合の入ったファンタ・ファンやミステリー・ファンですといくらか愚痴も出そう。スルースとも比べてある宣伝がありましたが、20年、30年経っても覚えていられるような作品ではありません。その日見てそれなりに満足して帰るというタイプ。
フェスティバルのベスト
アクションなんて嘘っぱち。静かな作品です。主演には即オスカーをあげましょう。フェスティバルのベストというのは嘘ではありません。第1級の作品。
いわゆるホラー映画ではありません。作品自体にはそれほど感心しなかったのですが、アイディアの良さがちらつきます。まだ完成品とは言えませんが、このアイディアをつめて行くと素晴らしい作品に生まれ変わるかも知れません。リメイクの主演にはウィレム・ダフォーを呼びたい。
一応衝撃の作品ですが、オープニングにハンガリーの Kontroll を見せられた後だったのでやや不利でした。これ1本見たらたいていの人はビックリします。そのビックリする部分と舞台に選んだ職場がストーリーの平凡さを目立たないようにしており、ファンタにぴったりの雰囲気をかもし出しています。
ゴッド・ディーバと組んでいたため見られませんでした。
ドイツを代表するミュージッシャンのアンドレアス・ドーラウやドイツを代表する映画監督のデトレフ・ブックが引き合いに出されていたのですが、嘘っぱち。全然見ない予定だったのですが、ちょっと事情があって見ること(はめ)になりました。ファンタ仲間は「こんな作品の券が売り切れるなんて信じられない」と言っていましたが、私も全面的に賛成していました。私は仲間のために自分を犠牲にして1人残ったような形になり、他は全員デンマークのコメディーを見に行ってしまいました。
ところが予想、期待などとは全然違う映画だったので呆気に取られました。10年がかりで大勢の人間が協力して作ったとかで、お金がどこに流れたか良く分かる作品です。残念ながらアイディアはパッとしなかったのですが、作りはかなり手間がかかっていて、そこに作品の重みが出ています。けなすのは気の毒。この種の話は成功しにくいのですが、Die Reise ins Glück
は成功にあと1歩か2歩です。
スニーク・プリヴュー
メジャー系の作品で世界初上映だというので、黒装束の眼光の鋭いお兄さんたちが来て、機械と手で客の荷物を検査。今年の3月にもそういう事があり、ファンタのファンは怒っています。鞄をチェックするのは構いませんが、もう少し普通の雰囲気の人、あるいは本物の警官でも呼んで来てもらいたい。空港のチェックのような機械を持ち込んでくれてもいいですし、イタリアの銀行のような機械を通るのでも構いません。しかしあのお兄さんたちではせっかくの楽しい雰囲気がめちゃくちゃ。後味が悪い。
こういう風に鐘や太鼓で大騒ぎした結果見せられた作品というのが何ともお粗末。ええっ、こんな駄作のためにあんな検査をしたの?と目が点。客が途中で帰ってしまったのはファンタ中この作品だけでした。ほとんどの作品をけなさない主催者もこればかりは誉めるわけに行かず、マイナス評価をしていました。
「ポテンテはもっといい作品に出られる人なのになぜ?」という謎を残して、スニークは終了。
アジア特集
地球を守れ!で疲れ切っていたので、阿羅漢−掌風大作戦は口直しにとても良かったです。カンフー・アクション・コメディーというのは本当で、大昔の話が起源になり、現在も東洋医学やカンフーを使って世に貢献しているグループと、野望を抱く男の対決に巻き込まれた一介の制服警官の話。主人公とグループのミスマッチが楽しく、そういう演出のおかげで個性的な作品になっています。パロディーシーンもあり、楽しいです。
私はパス。見た人ではこのカテゴリーが好きな1人を覗いては、低い評価。ですが、予定変更で例外的にあずみは再上映が行なわれる予定です。
なぜ?
初日のパスに続き、フィナーレの後デザートとして上映されていましたが、それもパス。ロン・パールマンと話ができたのでそれで満足。あとは
もうどうでも良かったのです。この感激を胸に帰途に。
この種の作品は苦手なのでパス。代わりに見た作品はそれほどでもありませんでしたが、ドイツでは滅多に見られないのでこれに決定。日本のホラーは最近ドイツではちょっと待てば DVD が来そうな雰囲気になって来ています。
ジンジャー・スナップスが DVD 店に出そうなので、見る機会が少なそうなこちらに決定。これといって大きな特徴のある作品ではありませんが、一作ぐらいこういう大時代劇もいいです。確か去年も1つそういうのが韓国から来ていたように思います。食べ物、衣類、館の様子などが日本の侍劇とちょっと違うのでそういう興味もありました。
これも韓国の時代劇だったようです。別な作品を見たのでこちらはパス。後で聞いたらこちらの評判はあまり良くありませんでした。もう1つの方を見たのは運が良かった。
これと組んでいたデンマークの作品を開催前から目当てにしていたので、パス。他の人の話だと、まあまあの出来だったそうです。ということはデンマークの作品の方が良かったということ。
ちょっと迷った末にファンタの仲間は全員パス。仲間内には 3D が嫌いな人もいます。主催者からはまだ12枚しか切符が売れていないから代わりのフランス映画を見てくれと頼まれました。そんなことを言われても決してなびく私たちではないのですが、こちらの作品の方がおもしろいとまで言われてしまうと、断れない。で、なびきました。
パス。この決定にはかなり時間を要しました。何と言ってもあの逆噴射家族の石井ですからねえ。おもしろいかもしれない。しかし同時上映のミッシング・ハイウェイ がどうしようもない駄作と聞いていたので、ぜひそちらが見たいと思ってこちらはパス。実は短編 Jigsaw もついていたので、2作見逃したことになります。
パス。フィナーレの作品と組んでいたのでどのみち見られなかったでしょうが、フィナーレもパス。
シリーズ1作目の The EYE 【アイ】には基になる実際の事件(タイで角膜移植手術を受けた少女が自殺)があった。
この作品、軽いスプレッター・コメディーあたりだろうと侮ったのが行けませんでした。写真などを見るといかにも不真面目に作ったスラップスティック・コメディーかなにかに見えます。ところが友達も私も見終わってゲンナリ。凄いエネルギーで作った作品です。全身で恐がってしまいました。悪い作品ではありません。それどころか監督は随分考えて作っています。私たちは恐さに圧倒されてしまいました。タイトルに惑わされては行けません。
どれにしようか迷うことの多い日で、仲間全員頭を抱えていました。私も非常に迷った末、1人こちらに決定。アジアの映画は表現が稚拙な場合や、アジア特有のセンチな表現があるので嫌われる場合もあります。私の目から見ると、救命はまあまあ行けます。主演が良いという誉め方が日本語のサイトにはありましたが、私は二転、三転するストーリーの背景がはらはらフィーリングを長持ちさせたように感じました。脚本が主題にしていた金持ち貧乏人対比はそれほどインパクトがありませんでした。でもそれを抜いてしまうと動機が分かり難くなってしまうのである程度は入れざるを得ないでしょう。
Joint Security Area の監督。
家族楽しく問題無く暮らしている人にはちょっと薦めるのをためらってしまう作品。力作ですが、力が入り過ぎています。Aro
Tolbukhin と共通するテーマが事件の鍵を握っているので、ご用心。復讐劇ですがややしつこい。日本人はこの辺やや蛋白なのかも知れません。
間もなくドイツで公開されます。
上映時間がかなり長く、テーマが深刻なので疲れますが、力作。田舎、あまり動きたがらない役所、冤罪を生むようなずさんな仕事など数々の問 題に正面から取り組んだ作品。おり悪く韓国では今2桁の数の人を殺した犯人が捕まったところ。ドイツではあの事件はあまり知られていませんからいいです が、未解決で犯人がまだうろついているかも知れないというのはホラー。
華城連続殺人事件
・ 事件発生期間: 1986-1991
・ 事件発生場所: 韓国華城市
・ これまでに分かっている犠牲者: 10人、女性、14歳〜71歳
・ 時効成立: 2006年(最後の事件発生後15年経過)
・ 容疑者: 別の殺人事件で捕まった男が捜査線上に浮かぶが、信憑性は低い。
殺人の追憶の素材として使われたが、映画にはフィクションもまじえてある。
迷った、迷いました。しかしパスに決めて、ハイ・テンションに行ってしまいました。ハイ・テンションは珍しく再上映が決まっていましたが、初日に行ったためインファナル・アフェア 無間序曲が犠牲に。
見た人の話ですと、アンディー・ラウが悪人に見えないところが問題だそうで。それにしても才能のある人ですねえ。
後記: 後日、じっくり、ゆっくり、何度も見ましたが、いい作品です。映画館で見られたらもっと感激したと思います。
1 をはずしたので、当然 2 もパス。2 だけでも見た方が良かったかも知れません。
フランス特集
これはとても見たかったのですが、映画館に来る、あるいはDVDを手に入れられる可能性があり、コンビを組んだオールド・ボーイの方にしました。オールド・ボーイは見終わって疲れましたが、気合は入っていました。
ゲストに監督が来ました。本人の説明が無いと誤解を招きかねない作品。質問をしたある女性も腹を立てていたようです。よく聞いてみるとちょっとドイツ人が簡単に陥りそうな解釈とは違う意図があったようです。私も女性がひどく扱われているなあと最初はゲンナリしたのですが。監督があまりはっきり意識していなかったけれど、私の解釈が監督の路線だったなどという発見もあり、短い時間でしたが重要なやり取りがありました。
主催者に拝み倒されて見たような形になったのですが、実は私たち仲間は独自の判断で全員こちらに決めていました。ファンタではホールに私たち以外誰もいない日などというのもたまにあります。
作品は佳作で、退屈するなどということはありませんでした。フランス人は大金を狙うギャングの話が好きですが、去年見た Sweat
よりずっと感じのいい仕上がりです。話に納得できます。
1日猛暑の中で色々な作品を見て興奮した後、その日最後としてはいい作品を持って来ました。静かな雰囲気の中で、地味な女刑事が事件の解決にあたり、子供を亡くしたという自分の悩みとも立ち向かうという筋。
これと組んでいたのがハイ・テンションの再上映。前日の評判を聞いてか常連100人近くも含めほとんど全員がもう1つのホールに行ってしまいました。私と知り合いの女性、その他に数人がドイツで1番音響の良い、近代的な映画館の1番大きなホールにポツンと座っていました。あまり人が少なく、寒くなったので私はセーターを取り出して着なければなりませんでした。
そこへ登場したのがマトリックスでメロヴィンガーを演じたランバート・ウィルソン。私はフランス語が全然だめな上、彼はおしゃべり・ウィルソン(ラーバー・ウィルソン)とあだ名がついているので、これはきっとぺらぺらまくし立てられるだろうと恐れていました。ところが全然違います。彼は嫌々仕事を押し付けられる精神分析医の役。担当するのが世間を騒がせた連続殺人鬼。裁判に耐え得るほどの責任能力があるかを鑑定する役目です。佳作どころか優秀作です。それを見たのがあれっぽっちの人。もったいない話だ。
この作品のどこがホラーだと言いたい。確かに人は死にますが、何か他の名前をつけられないものでしょうか。タイトルはぴったり。テンションはかなり高いです。その上びっくりの結末がついています。すっかり騙された。必見。フランス語が分からなくてもついて行けます。日本だと日本語の字幕サービスもあるし。ぜひ見てふるえて下さい。
・・・なんて言ってしまいましたが、これはドイツで公開される予定ゼロ。DVD も危ぶまれてのはそのせいもあります。おかげで次の日の再上映では他の優秀作品も見られ、喜んでいます。
後記: ・・・などと言っていましたが、ドイツで DVD が出ました。
1人見た人がいたのですが、あまりにひどいので説明する気がしないそうです。スニークと組んでいたのでほかの仲間は全員スニークに。そのスニークも同じぐらいこけました。この時間帯は完全パスしても良かったかも知れません。
カオマと組んでいた作品。カオマにしたのでこちらは見ませんでした。仲間は「静かな作品だが失望はしなかった」との感想。バンパイア映画だそうです。
私ならホラーでなくオカルトと言うかも知れませんが、このジャンルとしては成功作。安っぽくならず、それなりの品位を保っています。事件が過去にさかのぼるので推理小説的な興味も満たされます。私にはオーメンやエクソシストより良く見えました。大スターは出ません。
真夜中の狂気
体力的にかなり限界に来ていたので、所々居眠りやブラックアウトが入ります。しかしそういう風に間が抜けても目が覚めてまた参加するとちゃんと楽しめるようにできています。随所にびっくりシーン、キャーというシーンがあり、あまり深く考えなくていいようにできています。キャラダイン家から2人出演。叔父さんはほど無く退場しますが、気の効いたシーンもあります。
Henry: Portrait of a Serial Killer, Part 2 の監督
この作品を見た人がいたのかは大いに疑問。私は当初あずみと重なったので見る予定にしていたのですが、あずみがヘルボーイと交換になってしまったので、あっさりヘルボーイに行ってしまいました。
韓国の佳作が入ったのでパス。
組んでいたのが短編集だったのでパス。しかし今年の短編はあまり良くなかったので、これを見た方が良かったかも知れません。
興味はあったのですが、組んでいた作品の方にもっと興味があったのでパス。
Evil words に行ったためパス。後で聞いたらさほど良くなかったという話。
2004年春のファンタで1度上映。
公式プログラム
ちょっと事情があってもう1度見ないと行けないのですが、表面的な面だけで話をすると、美術面が素晴らしいです。画面を見ているだけでうっとり。レトロ SF の好きな方にお薦め。そしてウド・キアーのファンにもお薦め。彼が上手に生かされている作品です。彼のユーモアのセンスは年を追うごとに磨きがかかって来ます。
どういう作風の作品かあまり予想がつかず、ドラマというふれこみなのでそれほど考えずに見ました。していなかった期待が良い方に裏切られました。非常にまじめな作り、まじめ過ぎるほどですが、退屈する暇もなく主人公の長い歴史が無駄なく展開されます。まるでドキュメンタリー映画のようです。大勢の監督が作っているので、ばらばらになりそうなものですが、上手にまとまっています。見る価値あり。
悪い評価を見ていたので止めるつもりだったのですが、ジンジャー・スナップスを断念する決心をしたので、期待ゼロで見ました。ところ が・・・時々こういうビックリがあるんですねえ。おもしろかったのです。予算をかけていない、ローカルなフレーバーなどという点ではファンタズムを思わせ る作品。雰囲気はややカンパニーマンにも似ています。スッキリ、あっさりまとまっていて、最後には拍手してしまいました。
8月中に一般公開になるので見なかった人がほとんど。そのためかスターが出る作品なのに会場が交換になり、小さい方のホールに移動しました。代わりに大きい方になったのは Nothing。ファンタらしい決定です。
最初から見る予定に入っていた作品。写真を見てハードだろうと思っていましたから驚きませんでしたが、それでもチャーリーが手下にやらせる拷問はかなりハード。殺し屋 1 のようなマンガではなく、実話だと言うところが恐い。ただ、今年はハードなシーンのある作品が多く、すでにいくつか見ているので、・・・しかし慣れませんねえ、ああいうのは。全体は俳優が頑張っていて、見る価値あります。テンションが高い。しかし警告しておきます。ハードな拷問が苦手な方は止めた方がいいです。
我々ももう10年選手に近く、皆年。去年に続き今年も無理をするのは止めようということで、この回はパス。
続編あり(スピーシーズXX 寄生獣の誘惑)
なぜか当日のプログラムから忽然と消え、ハイ・テンションが再上映。おかげで私は助かり優秀作品迷宮の女を見ることができたという次第。迷宮の女を見逃した人は気の毒。聞くところによると予定していたフィルムは手に入らなかったそうです。ファンタにはアクシデントがつきもので、空港から開演3分前に届いたなどという話もありますし、開演が15分遅れたなどということもあります。今年はアクシデントは少ない年でしたが。
後記: 主催者はこの作品を取り寄せるつもりだったようですが、2004年には間に合わず、粘って次の年に入手し、上映しました。こういうアクシデントが時々ファンタでは起きます。そちらも大ドラマでおもしろいです。
ジンジャー・スナップスを見なかったのでこちらも断念の予定。
後で DVD を借りられるかなどの可能性をかんがみ、断念。
ゲット・ザ・マネーの監督。
見る予定だったのですが、仲間との調整で私が犠牲になる番。で、パス。
当初見る予定だったのですが、ライアン・フィリップだったら映画館に来るだろうということで、パス。見る機会がないかもという韓国映画に行きました。ところが、後で聞いたらライアン・フィリップの映画はお蔵入り寸前なのだそうで、来るかどうか怪しくなって来ました。逆に韓国映画は来月ドイツで公開。Scheiße、あっ、失言。
有名な俳優が参加していますが、実写映画とはほとんど言い難いぐらいアニメが出ます。全部アニメでないところが個性になっています。色々な SF を思い出させ、パクリかと思わせますが、実はこれを他がパクった可能性もあります。元がかなり古いフランスのマンガ。かなり骨太にできています。私はアニメにはそれほど大きく心を動かされませんが、この作品にはストーリーとは関係無く、視覚的におもしろいシーンや、見ていて快いシーンが出ます。そこだけをポスターにしても行けそう。
ポランスキーのテナント 恐怖を借りた男風かと思っていましたが、全然違い、時代は現代ですが、アガサ・クリスティーやエラリー・クイーンの頃のようなクラシックな仕上がり。登場人物が古典的探偵小説風で、皆怪しい。そして古典的な結末へ。監督と話す機会があったので聞いて見たら、特に古典的な探偵小説は読んでいないが、そういうスタイルにしたかったとのこと。読んでいないわりにはそれらしく仕上がっています。
どうも私は大作アニメが苦手のようで、毎年そういうのに遭遇すると居眠りしてしまいます。小さ目の作品、大金をかけない作品の方が結果的には好きで、そういうのは居眠りせず最後まで見ます。ケイナには声の出演にスターが参加していましたが、その甲斐も無く眠ってしまいましたもう遅かったし。
パス
ニュージーランド的というか、アメリカの南部的というか、保守的な地元の人とウィークエンドにサーフィンをしに行こうというよそ者の若者2人との対立・・・のはずだったのですが、どうも話が違って来て・・・。
キューブの監督。
バタフライ・エフェクトと組んでいて一人を覗いて全員がナッシングに決定。見た人は全員満足。大笑いです。私がナタリ監督に感心するのは、小規模の特殊効果やセット、毎回全く前と違うアイディアを持ち込んで来て、最大限の効果をあげている点。特にキューブと ナッシング
では、《以前にこんな作品を見た事が無い》という印象が強く、天才監督だという評判に恥じないと感じました。映画に《イントロ賞》というのがあるとすれ
ば、今回の映画祭では Kontroll とナッシングの冒頭が賞に値します。イントロだけでなく全体も必見。
ザ・シャドー 呪いのパーティの監督。
Dead End Run と競合。それがひどい作品だという評判だったので、こちらに決定。あまりひどいので見るに値するという評でした。仲間全員同じ決定。ストーリーの飛躍があったり、無茶苦茶ですが、処刑人の1人が出演するというのもこちらに決まった理由。私の印象では、主演女優を1人置き換えれば、全体はB級作品として調和が取れたように思えます。正しく作られたB級作品ですとファンタでは尊重されます。処刑人も話は無茶苦茶でしたが、大評判取っていますからね。
いやあ、驚いた。組んでいた作品を見る気がないというだけで選んだのですが、こんなにいい作品だとは思いませんでした。一緒に見た仲間もみな感激。ケヴィン・ポラックのファンの方は絶対にお見逃しなく。
もっとおもしろい他の作品をいくつか知っているので、私個人の評価はあまり高くありませんが、推理小説的なひねりもあり、ユーモアもたっぷりのど田舎失踪事件。ど田舎を舞台にした犯罪コメディーはこれまで見たものは皆楽しめました。
ソウに行ってしまったので内容不明。
調教師の監督。
どういうわけか Pour le plaisir は来ませんでした。調教師のように変態っぽい作品なのでしょうか。
短篇
去年もそうでしたが、今年も短篇の出来は悪かったです。以前は2コマ取ってあり、良い作品が目白押しだったのですが、さびしい限りです。
ゾンビと現地人の対立。何のために作ったのか分かりませんでした。つまらない。
どうやら Destino という曲があるらしく、全編で流れていました。ムードを出したつもりなのでしょうが、伝えるメッセージが分からず、作った本人が満足するだけ。
後記: ところが驚いたことにオスカーにノミネートされています。
短篇集の枠でなく、短めの長編に組み合わせての登場。テーマから言うと同じ日上映のフィナーレのオープン・ウォーターに引っ掛けてあります。
後記: ドイツの一般の劇場映画はできの悪い物や、独りよがりの作品が多いのですが、短編のアニメ、クレイ・アニメには優秀作が多いです。Das Floß もその1つ。ユーチューブで Плот という検索を入れると見ることができます。その他に ritterschlag というキーワードで過去にファンタに出た別な作品も見ることができます(2012年現在)。
短篇の良さは短い時間にピリリと辛子を効かせた作品を作る点。説明の手際が悪いのは致命的。
ゾンビ映画。長さのバランスが悪くつまらない。
いかにもドイツ的な悪い面が出てしまった作品。ドイツ人で短篇を作る人皆がだめというわけではないのですが。
カメラの効果がおもしろいです。目がくらむのですが、そういうシーンなのでくらんで構わないのです。テーマを視覚的に分かり易く表現しているのもいいです。監督の頭の中でアイディアがはっきり組み立てられていたため、見ている方もはっきり理解できます。
石井聰互の Dead End Run と組んで上映。そのため見逃しました。詳細は分からないのですが、Chris W. Mitchell 監督で、オランダ映画かも知れません。
だめな作品が並んだ中で目立って良い作品。描写がはっきりしていて分かり易いです。短篇では時間が限られているので、はっきりしていないと作る意味がありません。その点は問題無し。その上演じている人が役を上手にこなしているのでユーモアが倍増。短篇の中で最優秀。
あまりおもしろくありませんでした。皮肉っぽいコメディーのつもりだったのでしょうが。
お金と時間をかけて作るほどのテーマではありませんでした。
テーマはちょっと政治的な上、それほど大きな効果は出ていません。しかしアニメの登場人物がかわいらしくて好感が持てます。
後記: 2008年のファンタに長編が出ました。 → Terra
ドイツの映画人の悪い面が前に出てしまった作品。テーマは古臭く、新味も工夫も無い上、撮影した場所がストーリーと合っておらず、安上がりという印象が拭えません。顔洗って出直して来いと言いたい。
2004年だけの全体を見るとまだまだという感じですが、ドイツ映画はそれでも短編の方が長編より希望が持てます。上にも少し書きましたが、アニメ部門には才能のあるドイツ人監督が時々見え隠れします。
レトロ
パス
後記: 後から見る機会がありましたが、楽しい作品です。
パス
パス
パス
パス
パス
残念ながらこのコーナーはパス。カンフー映画はドイツでも好かれていて、DVD 屋さんへ行くと結構古い作品も見つかる時があります。
フィナーレ
スリラー、ほとんど新人。
フィナーレをパスしたのは後にも先にもこの年だけ。一緒に上映した他の作品もパスしました。
タイトルのリスト
あ |
い |
う |
お |
か |
け |
こ |
さ |
し |
す |
そ |
た |
ち |
つ |
て |
と |
な |
は |
ひ |
ふ |
へ |
ほ |
ま |
み |
め |
り|
ろ |
わ |
A |
B |
C |
D |
E |
F |
G |
H |
I |
J |
K |
L |
M |
N |
O |
P |
R |
S |
T |
W |
Z |
数字 |
漢字
この後どこへいきますか? 次の記事へ 前の記事へ 目次 映画のリスト 映画一般の話題 映画以外の話題 暴走機関車映画の表紙 暴走機関車のホームページ