Huanying xinshang Ding Fengzhang de zhuye



                     
                    

        澳亞歸舟雜興

                     
清・梁啓超

拍拍羣鷗相送迎,
珊瑚灣港夕陽明。
遠波淡似裡湖水,
列島繁於初夜星。
蕩胸海風和露吸,
洗心天樂帶濤聽。
此遊也算人間福,
敢道潮平意未平。




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澳亞よりの歸舟にての雜興(ざっきょう)                
拍拍(はくはく)たる羣鷗(ぐんおう)は  ()送迎(そうげい)し、
珊瑚(さん ご )灣港 夕暮(せき ぼ )  明るし。
遠波(ゑん ぱ )は (あは)きこと  裡湖(りこ)の水の(ごと)く、
列島は 初夜(しょや)の星より (しげ)し。
胸を()かす海風は  露に和して吸ひ、
心を洗ふ天樂(てんがく)は  (なみ)を帶びて聽く。
()(いう) また(かぞ)へん  人間(じんかん)の福とも、
()へて()ふ:「(うしほ)(たひら)けくも  意 未だ(たひら)かならず」と。

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◎ 私感註釈

※梁啓超:清末・民国初期の政治家・思想家。1873年(同治十二年)~1929年(中華民国十八年)。字は卓如。号は任公、飮冰室主人。広東省新会の人。康有為に師事し、立憲君主制を主張、維新を目指し戊戌変法に参与したが百四日で失敗(戊戌政変)、日本に亡命した。日本語文献を通じて西洋ブルジョアジーの新しい社会・政治・経済・哲学・歴史などの理論を紹介した。民国時代は、司法総長などを歴任した。

※澳亜帰舟雑興:オーストラリアからアジアを周遊して、戻る船路での感興。 *作者が19011年にオーストラリアから日本に戻る時に作ったもの。光景、とりわけ波濤に自らの憂国の心情を托して詠った。 ・澳:オーストラリア。(
(ào)大利亞(dàlìyà) )の最初の字。 ・亜:アジア。 ・帰舟:本拠地に戻ってくる船路。夕刻、家に戻る小舟。 ・雑興:さまざまな事物に感じて感興を述べた詩題。

※拍拍群鴎相送迎:ぱたぱたと群をなすカモメが送迎をして(くれる)。 ・拍拍:〔はくはく;pai1pai1●●(pai1pai1かpo4po4か、新民体の主であれば当然前者)〕ぱたぱたと打つさま。鳥の羽音などにいう。 ・相-:…てくる。…ていく。動詞の前に附き、動作が対象に及んでくる表現 「…てくる」「…ていく」の意。「相互に」の意味はここではない。白居易の『勸酒』「昨與美人對尊酒,朱顏如花腰似柳。今與美人傾一杯,秋風颯颯頭上來。年光似水向東去,兩鬢不禁白日催。東鄰起樓高百尺,題照日光。」 李白に『把酒問月』「靑天有月來幾時,我今停杯一問之。人攀明月不可得,月行卻與人。皎如飛鏡臨丹闕,綠煙滅盡淸輝發。但見宵從海上來,寧知曉向雲閒沒。白兔搗藥秋復春,娥孤棲與誰鄰。今人不見古時月,今月曾經照古人。古人今人若流水,共看明月皆如此。唯願當歌對酒時,月光長照金樽裏。」や、陶潜の『飮酒二十首』其一「衰榮無定在,彼此更共之。邵生瓜田中,寧似東陵時。寒暑有代謝,人道毎如茲。達人解其會,逝將不復疑。忽與一觴酒,日夕歡。」 、陶淵明の『雜詩十二首』其七の「日月不肯遲,四時催迫。寒風拂枯條,落葉掩長陌。弱質與運頽,玄鬢早已白。素標插人頭,前途漸就窄。家爲逆旅舍,我如當去客。去去欲何之,南山有舊宅。」や張説の『蜀道後期』「客心爭日月,來往預期程。秋風不,先至洛陽城。」杜甫の『州歌十絶句』其五に「西一萬家,江北江南春冬花。背飛鶴子遺瓊蕊,趁鳧雛入蒋牙。」とある。李煜『柳枝詞』「風情漸老見春羞,到處消魂感舊遊。多謝長條似,強垂煙穗拂人頭。」 、范仲淹の『蘇幕遮』「碧雲天,黄葉地,秋色連波,波上寒煙翠。山映斜陽天接水,芳草無情,更在斜陽外。   黯鄕魂,追旅思,夜夜除非,好夢留人睡。明月樓高休獨倚,酒入愁腸,化作思涙。」 前出・韋莊の『浣溪沙』「夜夜思更漏殘とあり、 盛唐・王維の『竹里館』に「獨坐幽篁裏,彈琴復長嘯。深林人不知,明月來相照。」とあり、盛唐・李白の『古風五十九首』の其十一に「黄河走東溟,白日落西海。逝川與流光,飄忽不。春容捨我去,秋髮已衰改。人生非寒松,年貌豈長在。吾當乘雲螭,吸景駐光彩。」や顧夐の『訴衷情』「永夜抛人何處去,絶來音。香閣掩。眉斂。月將沈。怎忍不。怨孤衾。換我心爲你心。始知相憶深。」など、下図のように一方の動作がもう一方の対象に及んでいく時に使われている。
B
もっとも、李白の「古風」「龍虎相啖食,兵戈逮狂秦」、「遠別離」の「九疑聯綿相似,重瞳孤墳竟何是。」「長相思」「相思,在長安」や王維の「入鳥不相亂,見獸相親。」などは、下図のような相互の働きがある。
B
勿論、これらとは別に言葉のリズムを整える働きのために使っていることも詩では重要な要素に挙げられる。

※珊瑚湾港夕陽明:珊瑚湾の港の夕日は、明るい。 ・珊瑚湾港:オーストラリアを発して、ハワイ、シンガポールなどの、どこかにコーラルベイ・ポートなるところがあったのだろう。オーストラリア東部の珊瑚海に面した港なのか、不明。

※遠波淡似裏湖水:遠くの小波は、陸地の奥まったところにある湖水のように穏やかであり。 ・淡似:あわくて…のようだ。 ・裏湖:内湖。陸地の奥まったところにある湖。

※列島繁於初夜星:連なる島々は、宵の口の星よりも多い。 ・繁於:…よりも多い。「…[形容詞(A)]+於B」で、「…は、Bよりも Aい」「…は、…よりも □い」という比較を表す。例えば、「甲大於乙」では、「甲は、乙よりも大きい」という意味になる。中唐・白居易の『楊柳枝詞』に「一樹春風千萬枝,嫩於金色
。永豐西角荒園裏,盡日無人屬阿誰。」とあり、晩唐・杜牧の『山行』に「遠上寒山石徑斜,白雲生處有人家。停車坐愛楓林晩,霜葉二月花。」とあり、唐/蜀・韋莊の『菩薩蠻』に「人人盡説江南好,遊人只合江南老。春水,畫船聽雨眠。   爐(壚)邊人似月,皓腕凝雙雪。未老莫還鄕,還鄕須斷腸。」とある。 ・繁:多い。たくさんである。盛んである。“繁星”:〔fang2xing1〕たくさんの星。 ・初夜:宵の口。戌の刻で、現在の午後八時頃。六時制の一で「日没」と「中夜」の間。

※蕩胸海風和露吸:胸をまどわしとろかす海からの風は、露と一緒に吸い込み。 ・蕩胸:胸をまどわしとろかす。≒蕩心。 ・蕩:〔たう;dang4●〕水が漂い流れる。ゆらゆらする。動く。 ・和露:露とともに。露と一緒になっての意。

※洗心天楽帯濤聴:心を洗う天上界の音楽は、大波とともに聴く。 ・洗心:心を洗う。 ・天楽:〔てんがく;tian1yue4○●〕天上界の音楽。宮中の妙なる音楽。 〔てんらく;tian1le4(yao4?)○●〕自然に合致した楽しみ『莊子』。「帯濤
」と表現されているので前者の意。 ・帯濤:大波をおびる。 ・聴:耳を傾けて聴き入る。きく。

※此遊也算人間福:今回の旅行は、世間では幸福なことと謂われていよう(が)。 ・此遊:今回の旅遊の意。 ・也算:…ともいえる。…だとも思う。 ・也:…もまた。文語の「亦」に近い働きをする。 ・算:…と推測する。…だと思う。…の方に数えられる。…ということになる。 ・人間:〔じんかん;ren2jian1○○〕人の世。俗世間。浮き世。

※敢道潮平意未平:敢えて言おう、「海の潮は穏やかでも、(わたしの)心の中は、まだ穏やかになってはいない」と。 ・敢道:あえて言う。 ・意:心。 ・未平:まだたいらかではない。まだ穏やかになってはいない。


               ***********




◎ 構成について

作品全体の韻式は「AAAAA」。韻脚は「迎明星聽平」で、平水韻下平八庚。この作品の平仄は次の通り。
   

●●○○○●○,(韻)
○○○●●○○。(韻)
●○●●●○●,
●●○○○●○。(韻)
●○●○○●●,
●○○●●○○。(韻)
●○●●○○●,
●●○○●●○。(韻)
2011.5. 9
     5.10

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