木口木版画は、ツゲなどの固い材の木口(こぐち=輪切りにした版木)に繊細な刀で彫る手法で、緻密な、陰影ゆたかなモノクロの小世界をつくりだします。
18世紀末イギリスで確立されて以来、イギリスの木版画の主流となりました。19世紀に黄金時代を迎え、書物の挿絵としても重宝されますが、その後一時衰退。20世紀に入って、写実的にも幻想的にもなり得る芸術的可能性が見直され、現代アートとしてリバイバル。
現在もますます多くのアーティストが、伝統を受け継ぎ、あるいは新境地を開拓して、意欲的に制作しています。
〈あ・り・す〉では、1991年に設立以来、ずっとイギリスの木口木版画を紹介してきました。また、日本の作家たちを、世界の木口木版画家を網羅した大著 A Engraver's Globe(『世界の木口木版画集』)に紹介することを通して、日本の木口木版画を世界に向けて発信し、また日英の作家の合同展を企画するなど、木口木版画を双方向に紹介することに努めてきました。 |