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分断されているコソヴスカ・ミトロヴィッツァの橋 |
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イスラム過激派組織が人間の歴史で一番残酷なテロを起こし、それに対してアメリカ率いる西側諸国が起こしたタリバンへの復讐的な攻撃が、アフガニスタンを席捲しています。 |
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パレスティナ人とユダヤ人は、その故国で衝突し、カシミールでもインド人とムスリムの間で同様なことが起こっています。 |
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スーダンでは「ジャンジャウィッド」と呼ばれる政府の支援を受けた民兵が民族浄化作戦を推し進めていますが、国際的には大虐殺とみなされ非難されています。 |
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チェチェン人がロシア連邦の中にイスラム教徒の独立国家を創るために闘い、クルド人もトルコやイラクで同じような闘争をしている一方で、イスラム系のウイグル族とチベットの仏教徒は中国からの独立を要求しています。 |
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また、インドネシアでは、イスラム教徒のアチェと、キリスト教徒あるいはアニミストのイリアン・ジャヤ(西パプア)がジャカルタからの分離を目指しています。アンボン
(マルク諸島)では、キリスト教徒とイスラム教徒の党派間の争いが絶えません。 |
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さらに、アメリカが国連の示す解決策に反してイラクを攻撃し、イラク国内では北部のクルド人やスンニ派の人たちと、南部のシーア派の人たちとの間で、民族対立が激化しています。また、テロリストによる無差別攻撃が、バリ島、マドリッド、カサブランカ、リヤード、イスタンブール、バグダッドなどで起こっている一方、反米暴動により20.000人を超える死者が出ています。 |
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国際化と、部族化と |
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20世紀が終わり、新千年紀の幕開けを迎えたこの世界は、部族・民族・宗教・文化・文明が衝突する世界です。 |
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ヴォルネオ島ではダヤク族がマドゥラ系移民を大量に虐殺し、インドのアッサム州ではボド人とサンダル人が、スリランカではタミル人とシンハリ人が戦っています。ルワンダではフツ族がツチ族を大量虐殺し、ミャンマーとタイ北西部ではカレン族が分離・独立のために闘っています。ナイジェリアでは、キリスト教ヨルバ族とイスラム教ハウサ族の間の衝突は恒常化し、フィリピンでは、イスラム教徒とキリスト教徒が最南端の島ミンダナオで対立しています。
世界には戦争の要素がまだ残されていて、平和な時代に入るのには程遠い状況にあるのです。 |
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長い間、野蛮な戦争が地球上の各地で行われてきましたが、未だに国際社会の注意は向けられてはいません。意図的に無視されているスーダン、シエラレオネ、アルジェリア、コンゴ、スリランカでの紛争は、国連の承認無しにNATOが行った軍事介入の100倍以上の大量の死者と難民を出しています。
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さらに、文明の平和的共存を脅かす深刻な状況が生まれつつあるのも事実です。ロシアの利害に影響を与えるNATOの軍事的拡大、イスラム勢力の人口増加、中国の経済的・文化的主張の強まり、アジアの核保有国(インドとパキスタン、おそらくイランと北朝鮮をも含む国々)の間の核競争、南アジアの経済振興諸国の軍事力競争… |
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国連によると、世界には1200万人の国外難民(refugees)と1000万人の国内難民(IDPs
= internally displaced persons)がいるといわれています。 |
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多くの国で起こっている民族のアイデンティティーのための闘いや、戦争によって民族国家を創ろうとする試みに加えて、経済のグローバル化、文化的な国際化が進むにつれて、外国人嫌い(xenofobia)や人種主義、宗派対立、差別などが深刻化しているように見えます。
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この世界は、もうファシズムや共産主義とは対決していませんが、21世紀が平和な世紀になるという保障はないのです。 |
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部族・民族・文明の再構成が行われる世界で、国際化とそれに伴って必然的に生じる移民が増加する時代に、中立な非政府組織の役割がさらに重要になるでしょう。 |
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