脚本家がどうしても内輪でロマンスをと考えたらしく、いくつものペアが誕生しては破局。

★　合わないペア、合うペア

☆　クロエ　と　オフマン　−　合わない

クロエがオフマンと関係した時、「止めておけ」と私は画面を見ながら思いました。結果クロエは妊娠、流産。しかしそういう出来事があったにしろ、無かったにしろ、オフマンは関係した一夜は積極的でしたが、その他の時は全く優柔不断。判事などという職についていながら、自分の事では決断ができないタイプに描かれています。

後から何度も電話がかかって来るのに、クロエが出なかったのは正解だと何度も思いました。クロエは自由を愛する女性。オフマンと一緒になったら、彼にくっつかれて迷惑をするのではないかと思ったりもしました。

☆　クロエ　と　スケラ　−　合わない

第3シリーズが終わり、第4シリーズに入ったところで、クロエの前にアンダーカバーの刑事スケラが現われ、猛烈なアタックをかけます。彼は神出鬼没で、第3シリーズでもふっと現われ、さっと姿を消していました。

この男はオフマンと違い、決断力はあるようですが、職業柄嘘をつきまくる男で、そういうのが性格にも合っているように描かれています。かしこいクロエちゃんは彼を信じようとしませんし、彼との安定した生活は無理だろうと始めから判断しています。

時々フラっとクロエの前に現われることを知っているトマも、彼を追っ払いたい様子。正解です。

☆　クロエ　と　マシュー　−　合うけれど、兄妹みたいな関係

2人の関係は喧嘩のようにして始まりましたが、一緒に仕事をしているうちにお互いの性格が分かり、暫くすると信頼感ができました。クロエの警官とは違うメンタリティーが最初理解できなかったマシューですが、徐々に彼女の能力の方に感心するようになり、両親の問題の後人をなかなか信じなくなっていたクロエも徐々にマシューを信頼するようになりました。

なので、マシューがクロエの妹に成りすましたルイーズに殺され殉職してしまった時は大きなショックを受け、1年ほど署から姿を消します。そのぐらいの休養が必要でした。

☆　マシュー　と　フレディー　−　あまり合わない、マシューは死んでしまった

妻に不倫をされてしまったマシューはショックと失意で、クロエの慰めを必要としましたが、心理学を専門にしているクロエにはマシューの状況が理解でき、肉体関係の時期ではないと判断。クロエに振られてしまったマシューはその足でフレディーを訪ねます。

割り切った人間関係に耐えられるフレディーは「いいじゃん」とマシューと一夜を過ごします。その後は妻の元に戻るならそれもよし、戻らないなら自分と付き合うもよしと、幅を持たせた対応。結果マシューは妻の元に戻り、フレディーは同僚、友人の立場を今まで通りキープ。後にマシューの妻とも話がつきます。

万一マシューが離婚したとしても、セックスをレクリエーションのように考えているフレディーと、意外と家庭的なマシューでは長続きしたかは疑問。

☆　クロエ　と　トマ　−　合うけれど、兄妹みたいな関係

マシューとの関係と似て、2人は恋人っぽくはなりません。この2人も最初は喧嘩で始まり、間もなく信頼関係が生じます。トマは本当にクロエの長兄のようになり、変な男がクロエを苦しめるとカッカと怒り、時には「妹に手を出すな」、「野郎、ただじゃおかねえぞ」的なスタンス。

寡のトマには学校に通う息子ルカがいて、ある時は母親代わりに参観日に行ってくれと頼んだりします。ルカとクロエはウマが合います。

☆　トマ　と　蠍毒蛇　−　全然合わない、逮捕されて良かった

ちょっとそれまでの人物描写から考えると合わない感じなのですが、トマは女弁護士バーバラに誘惑されてあっという間に恋人関係になってしまいます。この部分は事件を作るためにやや無理な設定。バーバラは20年近く前に犯罪を犯し、その時の担当刑事だったグレゴワを恨み、彼を陥れるためにトマが抱えていた問題を足がかりにします。トマを篭絡しておいて、グレゴワに近づき、グレゴワを陥れるという計画。

彼女が本当に愛しているティーン時代の恋人のためにグレゴワに復讐をするのですが、バーバラが誰とでも寝る自堕落女風に描かれているため、初恋の少年を20年後の今も愛していて、復讐を企てるというシナリオがしっくり来ません。

脚本は密に書かれているのですが、設定、演じている役の描き方にやや無理があります。

☆　トマ　と　ラ・ドク（検死官）　−　合わない、いい人らしいけれど

グレゴワを罠から救い出すために捜査チームはがんばります。女性検視官も普段と違い、ちょっと積極的。トマたちを助けるために、死体を数日隠したりします。その見返りに彼女はトマに夕食を要求します。それには愉快な理由がありました。

出会い系サイトにトマとぴったりの経歴の刑事がパートナー募集の広告を出しており、その事が署内に知れ渡っています。知らぬはトマばかりなり。そのために検視官もトマに「夕食に誘え」と言い出した次第。

皆はトマが広告を出したと思ったのですが、実は父親を心配したルカが父親に成りすまして広告を出していました。悪気は無かったのですが、トマは皆の笑い者。

☆　フレディー　と　イポリット　−　合う

男っぽく積極的なフレディー、コンピューター・オタクで、おばあさんに気に入られそうなイポリットは憎まれ口を利く間柄。当初はフレディーにコテンパンにやられていたイポリットはシーズンが進むにつれ多少タフになり、現在はからかわれたら言い返すほどになりました。2人は合いそう。

☆　トマと新しい恋人、女警官

一応合いそうだけれど、しっくり来ない。

★　保護者トマ

クロエを傷つけたオフマンにカッカと来ていたトマですが、最近クロエの前をうろつくアンダーカバー刑事のスケラにも頭に来ている様子。「彼女の前をうろつくな」と追っ払ったりします。クロエとスケラは全然合いません。ただ、オフマンと違い、元からスケラは神出鬼没で、嘘は心理学者のクロエにはすぐ見破られてしまいます。クロエが大した期待をしていないのは正解。

マシューの時と同じく、トマとクロエも相性はいいです。視聴者の1人としては「トマなら長続きするし、まともな正義感も持っているからいいんじゃない」と思うのですが、脚本ではどうやら当分兄妹関係路線で行くようです。

★　オフマン　-　新展開

「この男、何考えているの」という印象が続きます。第4シーズンの始めにオフマンの新しい事情が分かります。彼はクロエと関係した時は妻子持ちのお父ちゃん。その上、妻は癌。それにも関わらず、クロエと関係した後夫妻は別居。そして不倫夫オフマンは何度もクロエに電話をかけ、クロエから無視されています。

クロエは苦労して無視していたのですが、そこへ妊娠、流産。オフマンは流産の連絡を受けて（トマが連絡したのか？）ようやくのこのこ現われます。

クロエは色々考え、苦しみますが、オフマンと一緒に暮らしたり、結婚するつもりは無く、仕事に戻り、できるだけオフマンと仕事でも出くわさないようにと思っています。そのクロエを署全体がガードマンのように囲っています。

第4シーズンの冒頭仕事の関係でどうしてもクロエとオフマンは顔を合わせざるを得ず、それをきっかけにようやく2人は気持ちを語り始めます。その時オフマンは娘が非行に走り、妻が癌だと伝えます。子供に妻の病気を伝える勇気が無く、オフマンも妻も現在は子供に事実を秘しています。

オフマンは現在は妻と離婚した様子で、別居しています。クロエはこの話の前にすでにオフマンとの同居を望んでいない自分の気持ちに気づいており、オフマンには子供に正直に病気の事を伝え、家族みんなで病人の近くにいるべきだと助言します。クロエはこの時すっかり客観的になっており、心理学の専門家として話しています。

オフマンは仕事を始めると優柔不断ではなく、決断力があります。私情は挟まず、判事として必要な許可を出し、指図をします。状況判断も正しいです。第4シリーズはテロ的な大量殺人で始まるため、普通の殺人事件より上の人物が決断をしなければならず、オフマンが出て来ます。私生活と公的生活でガラッと変わる人です。