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    【第V章】 ≦発声のポイント≧

発声のメカニズム

 私たちの声は普通小学校のころまでに子供の声として完成し、第二次成長期によって声変りが起こります。男性の場合これで1オクターブくらい下がります。この頃の声の扱いは慎重にしなければなりません。というのも二十代の全般でも声はまだまだ安定しておらず、十代というのは基本のトレーニングにも早いくらいなのです。そして、声自体の可能性は四十代前半くらいまで上向きになります。つまり何歳であろうとヴォーカルを始めるのに遅すぎるということはありません。ただ、音楽的な感覚が頭でっかちになるとなかなかつかめなくなります。理屈であまり早く仕上げようとするあまり、かえって身につかなくなることがあります。
 いくつから始めても遅いということはないのですが、心を白紙に戻すことが求められます。この時声帯は緊張して、声門が狭く閉じています。
そこに呼気(吐く息)が通る時に振動が生じ、声となります。単純に言うと大きな声を出すには強い息を強く閉められた狭い声門に通せばよいわけです。
 ただし、トレーニングにあたっては、このようなメカニズムを意識して行うのではなく、身体から声を出るように全体のイメージをつかむようにしてください。腰から胸を中心に抜けるようなイメージを持つと良いsでしょう。原理を知ることは大切ですが、実践するとなるとなかなかうまく出来ません。。発声器官そのものは操作出来ませんから、声がうまく出ている時のイメージをもってトレーニングを重ねてください。

声圧のコントロール

 さて、歌心と関係していることに「声圧のコントロール」というポイントがあります。出るけど出さない、出さずに溜めたり、我慢したりすることで歌に表情ができ、感動が生れるわけです。酔っ払ったおじさんが、ちょっとかじった声楽で「マイ・ウェイ」など歌ったりすると、場がしらけてしまいます。つまり、歌の上手下手は発声ができているからではないのが分かりますよね。オペラの場合「声を聞かせる」事が基本ですが同時に物語りも伝えなければなりません。その物語の内容を声そのもので表現しているのが声楽家なのです。それに対して大衆音楽は、「歌の心を聴かせる」事が基本です。
 自分の可能性は限りなく広げておいて、歌う時はそれをひけらかすのではなく、むしろ抑えて歌心を聴かせる、それこそ上手い歌い方で味があるのです。

 
 

タイム感

 歌の世界では「タイム感」と言う言葉が良く使われます。意味は読んで字のごとく時間の感覚です。時間と言っても、今何時何分と言う感覚ではなく、リズム感に共通する感覚で、リズムには2拍子、(2ビート)3拍子(ワルツ)4拍子(4ビート)8拍子(8ビート)16拍子(16ビート)など、いろいろ有ります。歌う場合も演奏する場合もリズムにあわせるのが基本です。ところが、アップテンポの曲になると、どうしても走りがちになって、曲全体を把握できなくなってしまいます。
 こうした曲に乗れる感覚を身に付ける事によって、歌を一定のフレーズの中で自由に変化させることも可能になります。それが「アドリブ」「フェーク」にも通じてくるのです。ですから「タイム感」は歌を唄う人にとって大切な感性なのです。
@タイム感を養う実践練習  
 タイム感を身につけために最も役立つ練習は、4ビートを感じながら、「楽譜」を読むことです楽譜は小節ごとの縦線(バー)で区切られています。4分の4拍子であれば、4部音符が4個分で1小節になります。歌の楽譜を見てみましょう。小節ごとに
ろいろなメロディーが音符として記載されていますよね。その楽譜を見ながら、常に「1、2、3、4」「1、2、3、4」とカウントすることです。特にフレーズの頭にあたる「1」のリズムには意識を集中してください。このような練習をすることで、リズム感が養われる以外に「長いフレーズのタイム感」を養うことができます。最初は「そんな面倒くさい」と感じるかもしれませんが、このタイム感を身に付けるとつけないでは後の歌の上手さに雲泥の差が出てきます。
ポイント
 身体でリズムを感じるようになるために、とても良い練習方法があります。先ず、右手を頭の位置まで上げ、両足を肩幅くらいに開き、手と口でリズムを刻みながら、左右のステップを繰り返すことで身体にタイム感とリズム感を覚えさせます。4分の4拍子では「1、2、3、4」で往復します。例えば最初に左にあった重心を「1、2」で右へ、次の「3、4」で元の左へ移動します。これがワンストロークになります。その時手で「1、2、3、4、1、2、3、4と叩いたり」声を出したりします。それが出来たら今度は3連符で4部音符を3ッつに分けた「タタタ、タタタ、タタタ、タタタ」を練習します。最低でも8部音符までは刻めるように練習しましょう。
A歌詞を声に出して読む
 次は、歌詞を楽譜に書いてある通りのリズムで読みます。必ず声を出して読まなくてはいけません。言葉として声に出すことで、感情移入がスムースになります。この練習を続けることで、今まであった恥ずかしさもなくなってきます。そして、自分の中のいろいろな感情の種類が増え、心から感じられる力が自然と強くなります。先ず、歌の心を理解することです。この時メロディーはつけなくてもいいです。とにかく楽譜通りにリズムを刻んで下さい。
B均等にリズムを打つ練習
 楽譜を見ながら、符割りどおりに声を出します。この時音程はつけなくてもいいので、リズムにはめる練習をします。メトロノームがあれば、そのテンポに合わせることがポイント。均等にリズムが打てるようになりましょう。最近では、音が「ピッ、ピッ」と鳴るだけのメトロノームがあります。出来れば昔ながらの振り子のついたメトロノームをお薦めします。視覚と聴覚の両方でリズムを感じると言う効果があります。

まとめ

 声帯から出ている音は「ブー」という特徴のない声です 声帯原音)声帯では「あ」とか「い」とか「う」という音は出ていません。それが声道を通って、口腔や鼻腔で響き、共鳴して声を発しています。だから、声に個人差が生れます。声に個性がることから、指紋と同様に声紋というものが研究されてきました。これは、声に社会的な注目が集まるきっかけにもなりました。

 昔から日本では、腹芸で分かってくれるという習慣がありました。つまり、話をして意志を伝達するのではなく、黙っていても意志が通じ合うということが美徳とされていたのです。しかし最近は論理的に話し合い、しかもわかりやすい言葉で人を説得することが、コミュニケーションには重要であると理解されています。

 アメリカでは、声が悪い人、タバコを吸う人、肥満の人はエグゼクティブになれないと言われています。今の大統領にしても必ず専属のボイストレーナーがついているほどです。これからの時代日本でも「美しい声」「通る声」「人をひきつける声」でコミュニケーションを円滑に図るこがとても大切なファターになります。
声の良さがコミュニケーションを形成するための要素になることでしょう。声の健康、衛生、維持を考えて、声帯を大事にしください。そして、歌を健康的に楽しんで下さい。

 
 

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