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 【第T章】   ≦歌唱技法≧
 曲の構成と演奏計画

 歌を唄うという行為は自分をさらけ出すことです。しかしたださらけ出すということではなく、そこには表現者として相手に伝わらければ意味がありません。それにはガッチリとした構成力と緻密な演奏計画(歌うことも演奏)が要求されます。
 曲の構成とはAメロ、Bメロ、Cメロなどからフレージングや歌い上げたり語ったり、強弱、メリハリ、こぶし回しなど、「歌唱技法」は歌を表現するうえで大切な意味を持っています。一つの作品は歌う人の解釈の仕方や表現の方法により歌の世界が大きく異なってきます。先ずはその大きな流れをしっかりとつかむところから始めましょう。

 
 

選曲

 歌を唄うとき最も大切なのは選曲です。特に大会などでは一曲勝負ですから選曲のミスは大きな失敗を招きます。自分が好きな歌と自分に合っている歌は必ずしも一致しません。では、どんな歌が自分には合うのか。一つ目安として考えられることは、まず、好きな歌手の歌、それから声の質が比較的似ている歌手の歌を選んでみましょう。そして、その歌手から声の出し方、発音の仕方、フレージング(節回し)感情の入れ方など良く学ぶことです。あのひばりさんでさえ、笠置シズ子さんの真似から始まり、自分の歌を作り上げたのです。
 「学ぶ」という言葉は「真似ぶ」が語源です。真似ができないようではいい歌は歌えません。プロの良い部分をお手本にしたり、友人など客観的な意見も聞くなどして、感性を磨き上げ、それを自分なりにカバー(焼き直し)すれば、自分の歌になり、良い表現者になれます。

曲の構成をつかむ

 選曲をした後は楽譜を見て、曲がどのような形式で作られているのかを考えてみましょう。まず曲を聴きながら詩を1番、2番、3番と構成を考えます。詩は起承転結の4行が基本ですが、最近の詩は5〜6行が普通で、「川の流れのように」など、10行を越える詩も珍しくありません。
曲調もそれに伴い、語り調やアップテンポにもなります。従って長い詩はA-A’-B−Aというような曲の構成になります。特に演歌の場合は5〜6行の詩が多く、1〜2行がAメロ3〜行がBメロで曲のサビの部分にきます。ここは語り調で低く入るか、中音または高音で歌い上げるよう入るか、そして、その曲の一番高い部分(サビ)が来ます。ここは声を大きく張って身体全体を使って感情を表現します。余韻を残しながらCメロへと入ります。ここは音が低くなりますから少し抑えて最後は歌い上げるという形式が多いようです。勿論これは楽譜上の構成でしかありません。歌にはさらに詩の世界があります。譜面からそれを学ぶには何年ものキャリアが必要です。そこでお手本となるヴォーカリストの歌い方から、感情の起伏などを参考に、曲の構成を学ぶとといでしょう。

イントロダクション(前奏)

 前奏が流れだしたら心のスイッチをオンに切り替え、体全身でリズムを感じながら構えを作ります。すでにボーカリストは歌の世界に入っていなくてはなりません。その曲のイメージを膨らませ、歌を唄う心持になることです。
観客の前に出る以前から、ステージは始まりまっています。歌い手の表情や立ち振る舞い、イントロのイメージなどで歌の枠組みは決まります。そして、そこからどんな声で歌いだし、一つのドラマをどう展開させていくのかが問われるのです。ここでは曲の情景、モチーフを浮かべ、曲の雰囲気、リズム、呼吸、言葉を整えます。
 歌う曲のイントロは完全に身体に叩き込んでおきましょう。出だしの音程や歌詞への不安は、余計な緊張感をもたらします。自信を持って歌に入るのが勝負です。

曲の流れとメリハリをフレーズで表現する

 歌の上手い人は、歌の中で流れとメリハリを大きくつかんでいます。楽譜に表わせない音の世界、あるいはそれを超えた感覚での流れを感じ取っています。そして、その流れを保ちながら、一つ一つの言葉(音節)を丁寧に感情を込めて伝えます。音符を正しく伝えるのではなく心の思いを伝えることを忘れないことです。

詩の朗読とイメージトレーニング

 自分の歌いたい曲を1曲用意し、その曲をBGMに流して、その詩を朗読して下さい。詩の内容を理解しないで歌に入ってしまうと、リズムや音程にとらわれ、言葉や感情が乱れてしまうので、その前に歌の内容を煮詰めておくためです。
いろいろな解釈を試みながら、歌詞を大きな声で、できる限り感情を込めて読んでください。この時は役者のように、その役になりきり、一時一句を大切にその歌の心を掴んでみてください。

イメージを膨らませる

歌をイマジネーションで解釈する
 詩や曲を作った人の世界を踏まえ、ヴォーカリストはそれを自分の音の色で鮮やかに客観的に伝えるわけです。そのためにはどんな曲も自分なりにカバー(焼き直し)しなくてはなりません。そして、誰が作った作品でも、自分に持っているものをそこを通して表現していくという気持で歌うことです。
歌に必要なイマジネーション
 歌の中にその人なりの世界が出来たら、音楽性を加え、それらをすべて1つの歌に込めるわけです。歌はドラマと同じく虚構の世界の中でのリアリティーが命です。
嘘でも、未体験のことでも、真実味を持って人の心に訴えることができればよいのです。想像力を働かせ、その世界を表現できるかが、人に感動を与えるには必要です。

詩をイマジネーションで解釈する

歌に必要なイマジネーション                  

 歌の中にその人なりの世界が出来たら、音楽性を加え、それらをすべて1つの歌に込めるわけです。歌はドラマと同じく虚構の世界の中でのリアリティーが命です。嘘でも、未体験のことでも、真実味を持って人の心に訴えることができればよいのです。想像力を働かせ、その世界を表現できるかが、人に感動を与えるには必要です。
さまざまな歌のテクニック
 歌を上達させるための最もよい方法は、上手な人の歌をたくさん聴くことです。どの分野でも一流のものに接することが上達への近道です。自分の歌おうとするジャンルだけでなく、今まで知らなかったヴォーカリストの歌、初めて聴くジャンルの歌を聴いてみたりすると、非常に良い勉強になります。

 
 

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