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 【第U章】   ≦歌唱技法≧
 起声

 起声とは文字通り声を起こすことです。「声立て」「唄口」とも言い、英語では「アタック」と言います。起声にはいくつかの種類があります。先ず軟起声、硬起声、HA起声、圧迫起声、胸式・頭声・ファルセットなどがあります。良い歌を唄うにはこれをしっかりと身につけることが大切です。
 頭の中でイメージを作り、それを体(声帯)で自由に表現できるまで繰り返し練習を重ねると良いでしょう。
 横隔膜がせり上がり息が咽頭空から吐き出される時、声帯が閉じることにより振動が起こり声として発声されます。その時声帯が柔らかい状態なのか、硬く閉じている状態なのか等で声の質が変わります。非常にセンシビリティーな感性が必要です。

 
 

起声の種類

硬起声(ハード・アタック)
 これは笑い声のような強い声たてです。「ア」と声を出してみるとよく分かります。喉を閉めて状態から力むような感じでアタックします。喉に力を入れて、爆発するように「ア」と出す声です。
◇一般的には流れの緩やかな感じの曲は軟らかい声の起声になり、アップテンポのリズミカルな曲の場合は硬い声の起声になります。

軟起声(ソフト・アタック)
 甘い囁きや悲しみの込めてメロディーをバラードするときの声で、軟らかい感じの起声です。まろやかなアタックをして、優しい脱力でソフトな母音処理をします。あくびの声(吐息まじり)の感じです。

HA起声(ブレスド・アタック)
 「花」(無声子音)悲しい曲を溜息まじりに息を吐きながら出す声「嗚呼!」などの感嘆詩を歌うときには最適の声です。

圧迫起声
 「うなり」ともいいます。演歌や浪曲など、激しく訴えかける場面などで使われる声です。これらの音色で歌詞の一言一句の持つ語彙・」語感を生かすために、それに適合する声質を選びながら歌うといいでしょう。

声の立上り

 歌い出しの最初の声(起声)は歌唱の中でも大事な部分です。専門家が聴けば、この一声でその人の歌の全てが分かります。声の立ち上がりとは、息を吐いて声帯を閉じることにより振動して音声になる最初の声の事です。4部音符以上の長さの場合は特に大切です。
それは大きく分けて3通りあります。
1)ダイレクト(ストレート)に入る
2)半音くらい下の音から立ち上げる
3)1オクターブ下から深く立ち上げる
◎これを自由にしかも無意識で出来れば上級者と言って良いくらい難しい歌唱技法です。

レガートとスタッカート

 レガートは音と音との間を滑らかに伸ばすことで、歌うときの基本となります。(延母音唱法)スラーをつけるときもあります。なるべく隙間が出来ないように上手く次の音に持っていくことです。音符の上に小さな点がついているところがスタッカートです。このところは実際に書かれた楽譜より短く唄うことです。極端に短くする時はスタッカティッシモと言い、この時はスタッカートのそのまた半分と考えましょう。
 また、レガートとスタッカートの中間、例えば八分音符が続くようなフレーズは、「軽さを伴う」と云うような微妙な歌い方があります。即ち歌い上げるフレーズと語りのフレーズはしっかり区別して歌わないと、メリハリの無い一本調子の歌い方になってしまうという事です。

ビブラート

 ビブラートは声に周期的な揺らぎを発声させる表現テクニックです。上の「発声のポイント」ではロングトーンが上手く出せるようになると、歌の表現力の巾が広がると解説しました。その一つとしてビブラートのテクニックがあります。ビブラートを表現するには2つの方法があります

@声量の大小で表現
Aピッチの上下で表現

   (a) ♪=90
 
       喉で区切らないで、ひと息で滑らかに

   (b)♪=80
   
   
@の場合、声量を横隔膜の上下動、顎の微妙な揺らしなどでコントロールします。最初は揺らぎの周期を2部音符程度の長さからはじめ、徐々に周期を短くしていきます。
Aの場合、ロングトーンから開始して、半音ピッチを上げるか下げるか(自分好みで)して@の場合と同様に徐々に周期を短くしていきます。

ビブラートは表現手段の一つとは言え、その中にはその人の音楽性が凝縮されているといっても良いくらい大切なものです。しかしそれは心を表現するための手段です。例えチリメンビブラートであれノンビブラートであれ、それを越えるだけの表現力があればいいのです。
 ビブラートを聴かせるのではなく、あくまでも聴かせるのは歌心なのです。

テヌート・マルカート・ポルタメント

テヌート         

音符の持つ長さいっぱいに伸ばすということです。音符の下に短い横線を引いて表わします。  
マルカート          
ひとつひとつの音をはっきりさせることです。テヌートよりも、ひとつひとつの音を強調することを特に意識して唄うことが要求されます。
ポルタメント
ある音から次の音へ滑らかに移ることです。

フレージング(小節と節回し)

 3連音符、5連音符、6連音符などの音符は譜面に書き表せる事ができますが、音符では表現できないものがあります。演歌、民謡の小節も、生まれつき持っている人以外は習得するのは非常に難しいものがありますが、練習次第で克服することも可能です。先ず、どんな小節を入れたいのか、好きな歌手の歌いまわしをお手本にして頭の中にイメージしてみる
      

    〔コブシの基本発声〕
 
 
     

 

 音楽を何度も繰り返して聴く事により、脳に指令が行きます。「習うより慣れろ」です。
 

声の押し・引き

 大きな声が出るだけでは歌は上手とは言われません。勿論声の音質によってはそれなりの評価は出るのですが、「がなる」様な声では大きな感動は望めません。出る声を抑える、殺す、引くことによりメリハリがつき、曲として成り立つのです。声を殺す事は出す事より力が必要です。
 洋の東西を問わず、ジャンルを問わず、一流と言われる人の歌を沢山聴いて、聴く耳を肥やし音楽性を高めることです。

 
 

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