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   【第T章】   ≦声の出る仕組み≧

声帯の構造

 吸い込んだ空気を声である音のエネルギーに変化させるのは喉の奥にある声帯と言う臓器です。空気力学的エネルギーを音響エネルギーに変える臓器が「声帯」で、音響エネルギーになったものが「声」です。
 先ず、声帯は筋肉でできていると思っている人が多いのではないでしょうか。しかし実際には筋肉があってその上に粘膜が覆い被さっている構造になっています。臓器である声帯は筋肉と粘膜の二重構造になっています。そして音の源になっている「振動」は粘膜が振動しているのであって、筋肉は振動していません。 

声帯のメカニズム

 左右対称、縦長の声帯は(成人女子:1.1〜1.5cm、成人男子:1.7〜2.1cm)くらいで息を吸う時に開き、声を出す時には閉じ、粘膜を振動させて声を出します。人間の低い声では一秒間の振動数が130Hzくらい(Tオクターブ下のドの音)高いほうでは500〜600Hzくらいの音域になりますが、女性のハイソプラノの場合などは1200Hzくらいまでになります.歌う場合は多様にHzを変えなければなりません。このHzという単位は一秒間に何回振動しているかを示す単位のことです。
◎詳細については ヴォイス編(音の高さ)に記述してあります。叫んだり、囁いたり、といろいろな音を出しているので音のボリュームも変えなくてはなりません。そのために声帯の形状を変えているのが筋肉なのです。張ったり、縮んだり、つまり一本の声帯が何十本の弦の代わりをしているので、いろいろな音が出るわけです。輪状甲状筋)音程の高い音を出そうとすると、細く縦長な形になり、逆に音程の低い声では太く短くなります。ここまでは声の源である「声帯のメカニズム」について説明いたしました。

声帯のコントロール

声帯を動かす筋肉、つまり声の質をコントロールしている筋肉は全部で5つあります。
@輪状甲状筋(前筋)
A側輪状披裂筋(側筋)
B甲状披裂筋(内筋)
C披裂間筋(横筋)
D後輪状披裂筋(後筋)
 それぞれの筋肉の役割は@のピッチ(音程)を上げる役割(声帯を細長くする)
AとCが音程(ボリューム)を調節する役割→声帯を絞めて発声の準備をする
Dが呼吸の役割→呼吸に関係する役割
 ここで歌に関係している筋肉は音程をつかさどる@とBそして声のボリュームをつかさどるAとCになります。

音程のコントロール

 声のボリュームは肺からの空気圧を上げる、つまり思いっきり息を吸えば大きな声になると思いがちですが、息の深さと声量は比例しません。確かに思いっきり息を出すことが必要な場合もあります。" しかしそれ以上に声帯がボリュームをコントロールしているということはあまり知られていません。そこで重要なことは、声帯の周りにある内口頭筋(輪状口頭筋)の役目です。この筋肉には二つの役割があります。その一つはピッチ(音程)を作る役割と、もう一つは声量を作る役割です。
 声量を作るには横隔膜の運動が欠かせません。横隔膜の上下運動により空気を出し入れしているのです。横隔膜が突きあがる強い空気エネルギーを声帯が受け止めて(当てる・ぶつける)音声エネルギーに効率良く(無駄な息は吐かない)受け止めることにより声量はアップするのです。
 喉で声量をコントロールしていては、迫力とパワー感のある歌は歌えません。歌の上手さの重要な要素はボリュームのある、そして深い歌声です。弱々しい貧弱な歌声では聴いている方も辛くなります

声域・声種・音色

@声域 ド・レ・ミ・ファ……の音程にしたがって声が出る限りだしてゆくと、しまいにはどうやってもそれ以上の高い声が出なくなります。同じようにド・シ・ラ・ソ……と下に下がっていくといずれ出なくなります。このように自分の出る高さの範囲を「声域」と呼びます。この声域を厳密に分けると、何でもいいから出さえすればいいという分け方と音楽的に美的に出る範囲までを音域と考える分け方があります。前者は「生理的声域」といい後者を「音楽的声域」と呼びます。  
A声種 人間の声は声域の程度や音色などで次のように分けられます。男性の場合は低い声を出すバリトン、高い声を出すテノール、女性の場合は低い声のアルト、高い声 のソプラノ、更に音色や声の高さによってはハイバリ、バスバリトン、リリックテナー、ドラマチックテノール、コントラアルト、リリックソプラノ、コロラチュアソプラノなどに分けることもあります。前者は「生理学的声域」といい後者を「音楽的声域」といいます。
B音色  ところでこれらの声種の差は咽頭の大きさの差と決して無関係ではありません。声帯の長さや幅が小さい人ほど高い声だ出るし、その逆は低い声となります。しかし声の出し方によっても音色が変わります。本来ならソプラノタイプである小さな声帯なのにアルト的な響きを出すことも可能です。小さい声で広い共鳴腔を持つ人は低い声になりやすいのです。これらを総合的にみると声帯の長さは声域に、声帯の幅は声の太さに、即ち音色に関係してると考えられます。

音の三要素 

音楽の3要素は「リズム」「メロディー」「ハーモニー」ですが、音にも3要素と呼ばれるものがあります。それは「高さ」「強さ」「音色」です。  
@音の高さ
 音の高さはドレミファソラシドという音程で表しますが、オーディオの世界などでは周波数で表します。周波数というのは1秒間あたりの音波の数で単位は「ヘルツ」です。例えば1秒間に10回繰り返される波は10Hzということになります。人間の耳に聴こえる周波数には限界があって一応は20Hz〜20kHzの範囲ということになっています。20Hzの音は殆ど耳への圧迫感に近いし、20kHzでは「シーン」という静寂の擬音?に近い感覚です。テレビのスイッチを入れたとき、非常に高い音(信号)が聴こえることのあります。あの音は15.9kHzで 高音域の限界です。
A
音の強さ
 ピアノは強く叩けば大きな音が出て、弱く叩けば小さな音です。このような音量の違いをオシロスコープで見ると、波の高さが異なることがわかります。波の高さを「振幅」といい、振幅の大きいほど大きな音になります。音量を表すのに通常はデシベルやホーンを使います。
B
音の色
 フルートとクラリネットを同じ音程で同じくらいの音量で吹いても同じ音には聴こえません。この様に音量、音程同じでも聴こえ方が違うのが「音色」です。音の高さと強さは機械で測定することは出来ますが音色は機械では測れません。人間の耳でしか測れないので専門家によっても感覚の差が出てしまいます。

日常何気なく使っている声もその機能を調べてみると、実に複雑な仕掛けの上に成り立っています。とりわけ低い声から高い声まで、或いはいろいろな声を巧みに使い分ける人間の声帯がたった2センチ足らずの小さなものと知ったら、驚くべき性能といえます。どうやったらその声が出るのでしょうか、その仕組みを検討してみましょう。

発生のための6つのスキル

@音域〈最も低い声から高い声までの幅のこと〉裏声を作る筋肉と表声を作る筋肉が働くと両方のキャラクターが混ざった声が出てきます(ミックスボイス)そのことで低い音から高い音までスムーズに同じ質感の声で歌えるようになります。つまりいろんな音楽的要求に的確に答えて歌える理想的は発声能力を身に付けられます。
A音量〈微弱な音量から大音量までコントロールして発声できる能力です。強弱をつけ、メリハリのある歌の表現ができるようになります。
B音程
〈ピッチを正確に表現できる能力〉高い音から低い音へ、またその反対など、表現に適した正確な音程で発声できる能力です。
C音化〈声は吐いた息で声帯を振動させて出すので、一息で非常に長く発声できる能力です。空気エネルギーを効率よく音声エネルギーに変えることで長いフレーズも余裕をもって歌えるようになります。”当てる””ぶつける”アタックの練習をすると効果的が出ます。
この
音化は歌唱力を評価する上で非常に大きな意味を持っています。即ち呼吸、声圧のコントロール(上記)などが正しく出来ている結果として表現できるからなのです。歌う醍醐味は高音をいかに聴かせるかにあります。聴く方も高音(サビ)で感動を覚えるのです。またロングトーンを完成させることで歌に自信が持てるようにもなります。1番2番の最後や特に3番の最後の部分のロングトーンを自信をもって歌い切った時、会場には万雷の喝采が鳴り響きます。 「音化はその人の音楽性のすべてが集約されているところなのです」
D発音〈子音や母音を発すること〉はっきりとした発音で、しかもよく響き通る声で発声できる能力です。歌詞の内容をはっきりと伝えられるようになります。(調音)
E音色〈悲しい感じや嬉しい感じを音で表す〉人間の喜怒哀楽の心模様を的確に表現し、曲の雰囲気を上手に表現する能力。

音感を磨く

 筋が良いと言われるような人は、小さいころから必ず音と声を結びつける経験を積んできているものです生まれ育った土地の精神風土などから受けた音楽的環境は後々まで影響されます。自分が興味を示す音楽的ジャンルなどはその最たるものです。幼いころ耳にした音楽が色濃く影響されるのです。
 歌手や演奏家など一流音楽家の
音感は一般の人と比べずば抜けています。音感とリズム感が悪いということはヴォーカリストにとって致命的なのです。こういった欠点を分かりにくくしているのが 「カラオケ」です。多用されているリバーブやディレー、コーラスなどいわゆる「エコー」です。エコーによってカモフラージュ(カラーレーション)されているのです。エコーのかかっている声では正しく音楽的な要素に必ずしもヒットしていない場合が多いようです。トレーニングをする場合はエコーを短くするか、本当はマイクは使わないようにした方が良いでしょう。

 
 

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