2005ミステリ&SFベスト

2006.01.03 by SAKATAM


 2005年に読んだ本(再読を除く)の中から、個人的に面白かったもの(国内新刊・海外新刊・国内旧刊・海外旧刊を3作品ずつ)を挙げておきます。
 題名のリンク先は、もう少し詳しい内容紹介と感想です。

国内新刊
1『扉は閉ざされたまま』
石持浅海
 サークルの同窓会で企てられる密室殺人。扉は開かれるのか……?
 倒叙形式による緊張感と例を見ない趣向が秀逸。
2『交換殺人には向かない夜』
東川篤哉
 交換殺人、なのか……? <烏賊川市シリーズ>の最新作。
 とぼけた味の物語の奥から、突如襲いくる強烈なサプライズ。
3『マヂック・オペラ』
山田正紀
 二・二六事件と江戸川乱歩とドッペルゲンガー。<検閲図書館シリーズ>。
 江戸川乱歩の探偵小説で昭和史を描いた快作。
 第3位は『神狩り2 リッパー』とどちらにするか悩みましたが、全体的なバランスでこちらを。

海外新刊
1『悪女パズル』
P.クェンティン
 離婚寸前で険悪な雰囲気の三組の夫婦。妻たちに迫る魔の手。
 サスペンスと謎解きの見事な融合。
2『斬首人の復讐』
M.スレイド
 <スペシャルXシリーズ>最新作。『ヘッドハンター』事件に決着。
 いつものように無茶苦茶な、スレイドならではの怪作。
3『シシリーは消えた』
A.バークリー
 降霊会で起きた不可解な消失事件。
 バークリーらしからぬゆったりした雰囲気のミステリ。
 例によって新刊はあまり読んでいませんが、第1位は思いのほかよくできた作品でした。<パズル>シリーズのほかの作品もぜひ読んでみたいところです。

国内旧刊
1『紅楼夢の殺人』
芦辺 拓
 中国古典『紅楼夢』に材を採った異色のミステリ。
 さまざまな不可能犯罪と、衝撃的な真相。
2『戻り川心中』
連城三紀彦
 花をモチーフとした連作ミステリ“花葬シリーズ”。
 事件に関わる人々の心の動きを中心とした印象的な物語。そして見事な結末。
3『とむらい機関車』
大阪圭吉
 第二次大戦中に没した幻の本格探偵作家・大阪圭吉のベストコレクション。
 いずれ劣らぬ傑作揃い。
 次点は大阪圭吉『銀座幽霊』

海外旧刊
1『猿来たりなば』
E.フェラーズ
 誘拐されたチンパンジーが無残に殺されてしまった。犯人の狙いは一体……?
 全編とぼけた味のユーモアに包まれた、非常に魅力的な謎と意外な真相。
2『緑は危険』
C.ブランド
 第二次大戦の最中、陸軍病院で手術中に起きた殺人。
 魅力的な謎と巧みなミスディレクション、そして全編に漂う緊張感。
3『あなたの人生の物語』
T.チャン
 錚々たる受賞歴を誇る作品8篇を収録したSF短編集。
 個人的な好みからするとムラがあるのが残念。
 次点はH.セシル『法廷外裁判』


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