カクテルに使うお酒

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ベースになる酒類

リキュール Liqueur

リキュールとは混成酒のことで、スピリッツ(蒸留酒)に薬草、果実などの香味成分と甘味料、着色料などを配して創ったものをいいます。ただし、日本では醸造酒をベースにしたものも含め、酒類と糖類その他のものを原料とした酒類で、ほかの酒類に分類されない、エキス分(糖度)が2度以上あるものをリキュールとしています。したがって、カンパリのように欧米ではリキュールに分類されていないものも、ここではリキュールに含めています。

リキュールは、原料の違いから、次のの4つに分類されます。@ハーブ、スパイス系 Aフルーツ系 Bナッツ、種子、核系 C特殊系 リキュールの製法には、蒸留法、浸漬法、エッセンス法の3種類があり、1つの製法だけで造られるリキュールはほとんどありません。したがって、製法による分類は難しくなります。また、リキュールにはクレームドカシス、クレームドカカオのように「クレームド」と冠されたタイプがあります。これはエキス分(糖分)がアルコールより多いものにつけられます。たとえば、カカオリキュールとクレームドカカオを比べると、クレームドカカオの方がエキス分が多いことが普通です。ただし、「クレームド」のつくエキス分の数値が厳密に決められているわけではありませんから、銘柄によってはクレームドがついても一般のリキュールよりエキス分の少ないものもあります。リキュールの種類は非常に多いので、すべてを用意しておくわけにはいきません。また、ベースとなる酒類と違って、1回に必要ななのは、ほんの少量です。一度にそろえるのもたいへんなので、まずは自分の作りたいカクテルによく使用するものからそろえればいいでしょう。使用頻度の低いものは、ミニチュア瓶を求めるという方法もあります。特にフルーツ系のなかには変色しやすいものもあり、フルボトルでは使いきる前に変質してしまうこともあるからです。前記の分類順によく使われるリキュールを簡単に解説していきます。

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@ピーチリキュール Aシャレトリューズ Bメロンリキュール Cクレームドカカオ Dチェリーブランデー Eアプリコットブランデー Fアマレット Gコーヒーリキュール Hフランボワースリキュール Iカンパリ Jグリーンティリキュール Kペパーミント Lオレンジキュラソー Mスロージン Nホワイトキュラソー Oブルーキュラソー Pクレームドカシス Qガリアーノ Rパルフェタムール

ハーブ、スパイス系

アロマチックビタース ラムに、リンドウの根から採取する苦味成分などを配したもので、苦味の強いのが特徴カクテルでは、苦味をつけるときに、ほんの数的使用する。<アンゴスチュラビタース>が代表的な製品。→オールドファッションド

オレンジビタース オレンジ果皮の苦味成分を原料にしたリキュール。

ガリアーノQ アニス、バニラなど、40種類以上の薬草や、香草から造られる透明な黄色のリキュール。→ゴールデン・キャデラック

カンパリI イタリアを代表するリキュール。食前酒の代表で、そのままでも飲み物として親しまれている。鮮紅色で、ほどよいほろ苦さと甘味が特徴。ビター、オレンジ、キャラウェイ、コリアンダーなどが使用されているが、製法は秘されている。→カンパリオレンジ

キュンメル キャラウェイという香辛料を主原料に、砂糖とアニス(アニゼット)、クミン、コリアンダー、シナモンなどの香辛料を加えたリキュール。

グリーンティ・リキュールJ 日本茶の味と色、香りをつけた日本産のリキュール。

シャルトリューズ 18世紀の半ばすぎ、フランス南東部グルノーブル山中のシャルトリューズ修道院で最初に製造されたもの。修道院リキュールと呼ばれるものの代表格だが、現在は民間企業で製造されている。多数の薬草が配合され、樽でじっくり熟成されてできあがる。<ヴェール>(グリーン)<ジョーヌ>(イエロー)の2種類がある。<ヴェール>は、スパイシーでアルコール度が55度と高い。<ジョーヌ>Aはヴェールよりまろやかで、ハチミツ風味を持っている。リキュールの女王といわれ、女性に人気が高い。最近はそれぞれに長期熟成を意味するフランス語の頭文字を冠したVEPと呼ばれる上級品が出ている。こちらは8年以上樽熟成させたもの。→クリーンアラスカ

ドランブイ スコッチモルトに、各種のハーブ、ハチミツを配合したリキュール。→ホットドラム

パルフェタムールR スミレの花、レモンの果皮、コリアンダーなどから造られる。美しいスミレの色と香りを持ったリキュール。バイオレットリキュールのこと。→アジアンウェイ

ブラックサンブーカ エルダーベリー(ニワトコの実)を香味、色づけの主原料とした黒紫色のリキュール。透明なサンブーカよりハーブの香りが弱く、柑橘香がある。→ブラックレイン

ペパーミント 清涼感のあるリキュールで、無色透明なホワイトペパーミントと、着色料を加えたグリーンペパーミントがある。<ジェット27>Kは、フランスのグリーンペパーミントの代表的銘柄で、日本では一般に<ゲット27>と呼ばれて親しまれている。なお、<ジェット31>はホワイトペパーミント。→ミントフラッペ

フルーツ系

フルーツ系のリキュールでは「キュラソー」が代表的です。オレンジ果皮を香味の主原料にしたフルーティな持ち味のリキュールで、次の5種類があります。@ホワイトキュラソー Aオレンジキュラソー Bブルーキュラソー Cグリーンキュラソー Dレッドキュラソー このうち、ホワイトキュラソー、オレンジキュラソーブルーキュラソーの3つは、下記で解説します。「ブルー」「グリーン」「レッド」は、ホワイトキュラソーに着色したものです。

アプリコットブランデー アンズの果肉をブランデー、スピリッツなど漬け、スパイス類を加えたリキュール。アプリコットリキュールともいう。アプリコットブランデーのクレームドタイプは、「クレームドダブリコ」と発音さる。ブランデー色をしたものが多いが、ルジェ社のクレームダブリコEは、ブランデー色より淡く、美しい色合いで香味もすばらしく、カクテル作りに適している。

ウォーターメロン・リキュール スイカ風味のリキュール。

オレンジキュラソー オレンジ果皮の色と樽熟成で、淡いオレンジ色が特徴。代表銘柄に<グランマニエ>Lがある。「オレンジリキュール」の名で売られているものもある。

クレーム・ド・カシスP カシス(黒スグリ)のリキュールで、リキュールのなかでも人気が高い。ただし、変質しやすいのが難点。創製メーカーとしては、ルジェ社が有名。写真はニュージーランドのメーカーのもので、ワインをベースとし、着色料と香料を添加してないことが特徴。

ココナッツ・リキュール ココナッツ風味のリキュール。代表的なブランドの<マリブ>は、カリブ産のライトラムにココナッツの果肉を加えたもの。

シャンボール・リキュール ラズベリー、ハチミツ、フルーツ、ハーブなどをスピリッツに溶かし込んだもの。

ストロベリー・リキュール イチゴのリキュールで、美しく透明なイチゴ色が特徴。リキュールタイプは「リキュールドフレーズ」、クレームドタイプは「クレームドフレーズ」の商品名で販売されている。フレーズとはフランス語でイチゴのこと。

スロージンM スモモの一種であるスローベリーのリキュールで、抑えた甘味にほのかな苦味がある。

チェリーブランデー サクランボの香味と色が特徴のリキュール。サクランボをブランデーやキルシュ(サクランボのブランデー)、ウオッカなどに漬けたのち、香料や糖分を加えて造る。トップブランドとして、デンマークの<チェリーヒーリンク>Dがある。

パンペルムーゼ ウオッカに、グレープフルーツ果汁とシロップを配合したみずみずしい果実味のドイツ産リキュール。ソルティドッグに使用できる。

ピーチ・リキュール モモの果実を漬け込むか、あるいはモモの香味成分を添加したリキュール。あわい黄橙色のもの、赤色系のもの、無色透明なものの3タイプがある。ピーチツリー@は、無色でモモの風味、特に香りを重視した製品で、世界的なピーチリキュールのブームに火つけ役ともなった。色つきのタイプでは、濃いピンク色で、モモの香味が十分に生かされたドイツ製の<オルデスローエフィルジッヒ>などがある。

プオルッカ ラップランド地方に産するコケモモの一種、リンゴンベリーのリキュール。

フランボワーズ・リキュール ピーチリキュールとともに人気上昇中の、木イチゴのリキュール。無色のものとフランボワーズの実の赤い色をしたものがあるが、色の美しい赤いものに人気が集まっている。リキュールタイプHとクレームドタイプがある。リキュールタイプのエキス分がかなり低く、いま流行の、甘くなく低アルコールのカクテルを作るにはうってつけ。

ブルーキュラソー ホワイトキュラソーに着色したもの。オランダのリキュールメーカー、ボルス社のものOがよく知られている。→シティコーラル

ホワイトキュラソー オレンジの果皮を香味の主原料にしたもの。フランスのコアントロー社の<コアントロー>Nがホワイトキュラソーの逸品として定着している。カクテルでは非常に多く使用されるので、ぜひそろえたい。他社製は「トリプルセック」の名前で売られていることが多い。→マルガリータ

ミラベル ミラベルとは黄色をした西洋スモモのことで、これを主原料にしたリキュール。ドイツ産の<オルデスローエ>が有名。

メロンリ・キュール メロンの香味がするリキュールで、緑色をしたものから淡い黄橙色のものまである。ミドリBは、世界中で愛用されている日本産の本格的リキュールで、鮮やかな色合いとフルーティな味わいが特徴。

ナッツ、種子、核系

アマレット アンズの核中の実(杏仁)を原料にした、アーモンド風味のイタリア産リキュール。<アマレット・ディ・サローノ>Fは、アマレットの元祖で、トップブランド。

クレーム・ド・カカオ カカオ豆から造られるクレームドタイプのリキュールで、ココアやチョコレートのような風味を持つ。デ・カイバー社のクレームドカカオCは、エキス分48%、アルコール分24度。

コーヒー・リキュール コーヒー豆から造られるリキュールで、コーヒーの色と風味を持つ。<カルーア>Gは代表的銘柄で、メキシコ高原特産のアラビカ種の豆を使用している。

特殊系

アイリッシュクリーム 技術の進歩によって、新しいタイプのリキュールが登場している。その代表がクリームリキュール。各種のスピリッツにクリームを融合させることで、数々の優美なリキュールを生み出している。アイリッシュクリームは、アイリッシュウイスキーにフレッシュクリームを配合したもの。<ベイリーズ・アイリッシュクリーム>が最初の製品。→B52

Liquer Liqueur Base