Stix Hooperのソロ・アルバムを聴く度に脳裏に浮かぶのは、クルセイダーズのドラマーとして
汗みずくになってリズムを刻んでいる躍動的なStix Hooperの姿。
Joe Sampleも、Wilton Felderも、Wayne Hendersonも、なるほどクルセイダーズの面々
ですが、『まさにStix Hooperこそが、まぎれもなく「全身クルセイダーズ」なのです。
Stix Hooperの真骨頂は全てクルセイダーズにおいてのみ開花したのではないでしょうか。』
と、あえて声高に言いたくなってくる。自身に限って言えば、Stix Hooperのソロアルバムに食指が動くのは、ただにクルセイダーズへの
偏愛がなせる業。
アルバム「TOUCH THE FEELING」を最後まで聴いて、試しに気に入った曲を羅列してみると、
3曲から6曲までのStix Hooperの作品ばかりでした。
とりわけ初春の胸のときめきを思わせる軽快な「Feelig Happy」、洒落た夢芝居の「Toched A Dream」、
Stix Hopperのボーカルを
フィーチャーしたバラッド「You're My Spring」などが、クルセイダーズを語るときにはめったに使わない
「すてき」という言葉で形容したくなるほど洗練された心地よさを味わえます。Stacy Rowlesのフリューゲル
ホーンの隠し味が殊のほか効いていて、Stix Hooperのシンガーはだしの甘い歌声が絶品です。
アルバム「LAY IT ON THE LINE」でもボーカルを披露していますが、Stix Hooperのバラッドは
クルセイダーズでも歌って欲しかったと思えるほど魅力的なのです。
Stix Hooperはソロアルバムになると恋心が堰を切ったように
あふれ出ているような気がしてなりません。そういえば、「Rhapsody and Blues」に「スイート・
ジェントル・ラブ」というStix Hooperの曲があったことを思い出し、クルセイダーズでいつもアグレッシブに
ドラムを叩く御仁の内面に、男のナイーブさを垣間見たような気がしました。
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