2010Stix Hooper Enterpries |
2010年、Joe Sample、Wilton Felder、Wayne Hendersonがジャズクルセイダーズとして再集結し、ライブ活動を再開しましたが、
「Rural Renewal」でドラムにカムバックしたStix Hooperの姿が見当たりません。
私生活では元気にドラムを叩いていると伝え聞くStix Hooperですが、いまだにクルセイダーズライブには姿を見せません。
もはや公然とドラム活動をすることからは引退したのかも
しれないと憶測していた矢先、半斤八両さんからStix Hooperが何と3枚もの新譜を発表していることを知りました。
調べると確かに3枚のCDが2010年のほぼ同時期に発売されていました。ということは、2010年「Joe Sample、Wilton Felder、Wayne Hendersonが
ジャズクルセイダーズとして再集結し、ライブ活動を再開」した時、時を同じくしてStix Hooperもひそかに爪を研いでいたのでした。
まるでジャズクルセイダーズに影(ソウルシャドウズ)のように寄り添いながら・・・やはりStix Hooperは「全身クルセイダーズ」だったのです。
早速CDbabyから3枚のCDを取り寄せ、一気に通読ならぬ「通聴」しました。
3枚の中では、「MANY HATS」が一番気分が乗ったので、今度はじっくり耽溺して聴くタイミングを見計らっていました。
しかしなかなかそのチャンスが訪れません。でも「機が熟す瞬間」がきっと訪れるだろうという気がしていました。
クルセイダーズサウンドとの縁とはそういうものなのです。
たまたま10月21日金曜日の夜10時、これも偶然ですがwowowの番組表で、ジャン・レノ主演の
クライムムービー「バレッツ」に食指が動き、スイッチオンしました。ちょうど映画でジャン・レノを襲撃したギャングの一人を裸にして暗殺の真相を突き詰める
シーンあたりで、試しに「MANY HATS」でも聴きながら映画鑑賞してみようなんて気になり、すぐさまCDカセットにセットしヘッドホンを付けました。
音量を11くらいにして聴き始めたのですが、これが、まさに機が熟した劇的瞬間でした。
大袈裟な表現ですが運命的な縁と思えるほど映画にぴったりマッチし、「MANY HATS」がこの「バレッツ」の映画音楽と錯覚するほどでした。
残虐非道な殺戮シーンに「DON'T MAKE ME」の乾いたトランペットが淡々と流れ、つかのまの家族愛の場面に哀愁の「EL SOMBRERO FLAMENKO」のセレナーデがかぶさり、
銃撃や乱闘で大量に流れる真紅の流血を
「ELEGANT EVENING」のバラッドの白布がぬぐい、裏切られた友情に「RUM OR TEQUUILA??」の祝杯が奏でられる。
映画終了するまで「MANY HATS」が1回転半し、エンドシーンには「GOTTA GET IT ON」が重なり血が騒ぎました。奇跡的と思えるほどでした。
クルセイダーズサウンド、そしてクルセイダーズの面々の作り出す音楽はなぜにかくもアクション映画やクライムムービーにマッチするのでしょう。
今回の体験であらためてその相性の良さ、男気のマッチングに快哉を叫びました。血縁です。
今回、「短編集」のようなアルバムのなかで、とくに幻聴のように耳についてはなれず、口ずさむほど気に入ったのは、新しくアレンジされた「ELEGANT EVENING」で、
やるせないまでのソプラノサックスの音色が殊のほか秋の夜長に良く合います。胸熱くなりお猪口をかたむけました。
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