LiQingzhao liqingzhao李清照
題八詠樓
千古風流八詠樓,
江山留與後人愁。
水通南國三千里,
氣壓江城十四州。
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題八詠樓
千古の 風流 八詠樓,
江山 留め與ふるは 後人の愁ひ。
水は通る 南國 三千里,
氣は 壓す 江城 十四州。
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◎私感訳註:
※題八詠樓:八詠樓についての詩作。八詠樓とは、玄暢楼のこと。南朝・斉の沈約の玄暢楼を詠んだ詩作に八首に基づく名。現。浙江省金華市(杭州市の西南120キロメートル)にある。彼女が五十二歳のとき(紹興五年・1134年)、金軍が臨安に迫ったために、臨安の西南にある金華に避難したが、そのときの作になる。
『歴代絶句類選』二
卷之二 第十八葉
天明六年
※千古風流八詠樓:昔からの風雅なたたずまいである玄暢楼。 ・千古:昔。悠久。昔からの。蘇軾の念奴嬌(大江東去)に「
千古
風流
人物」
がある。 ・風流:風流、風雅、風韻。ここでは、本来的な意味での風流。蘇軾の「千古
風流
人物」
の「風流」とは意味が異なる。 ・八詠樓:玄暢楼のこと。南朝・斉の沈約の玄暢楼を詠んだ詩作に八首に基づく名。浙江省金華にある。
※江山留與後人愁:(祖国の)山河が後世の人々に愁いの種を残す。このとき李C照は攻め入る敵兵のために、第四の故郷・臨安を追われ、金華へと落ち延びてきた、そのような状況下の作である。 ・江山:山河。(祖国の)山河。 ・留與:(白話)残す。伝える。留め与える。 ・後人:後世の人々。後代。
※水通南國三千里:川や運河は江南の広い地域を通っている。江南の地の広がりをいう。この「
三千
里」や、次に出てくる「
十四
州」は、単に数字上の問題ではなく、前者は
○○
(
●
)であり後者は
●●
(
○
)となり、発音もなめらかで美しいことなどでも使われる。白居易の「晩春重到集賢院」では、「前時謫去
三千里
,此地辭來
十四
年
。」また、貫休の「獻錢尚父」では「滿堂花醉
三千
客
,一劍霜寒
十四州
。」など。 ・水通:川は流れている。 ・南國:江南。中華の南部。華南。 ・三千里:極めて広い範囲ことをいう。
※氣壓江城十四州(憂国の)気概は川沿いの都市(江南一帯の)十四州を圧倒している。 ・氣壓:(憂国の)気概は(辺りの……)を圧倒している。 江城:川沿いの都市。 ・十四州:ここでは、江南一帯。広い地域の意。数字に基づいて考えれば、当時、八詠楼のある金華は、両浙路に属し、二府十二州に区劃されていた。即ち十四州である。全国四百余州には及ばないが、江南両浙路の広いところをいう。『中国歴史地図集』第六冊 宋・遼・金時期(中国地図出版社)59−60ページ「南宋 両浙西路 両浙東路 江南東路」の婺州(杭州市の西南120キロメートル)のこと。
◎ 構成について
七絶。転句、結句が対になっている。平声韻一韻到底。韻式は「AAA」。韻脚は「樓愁州」で、下平十一尤。この作品の平仄は次の通り。
○●○○●●○,(韻)
○○○●●○○。(韻)
●○○●○○●,
●●○○●●○。(韻)
2001.12.29
12.30
12.31完
2011.11. 5補
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