Huanying xinshang Ding Fengzhang de zhuye
玉台体


     
                     柳永

蝶戀花


佇倚危樓風細細,
望極春愁,
黯黯生天際。
草色煙光殘照裏,
無言誰會憑欄意。


擬把疏狂圖一醉,
對酒當歌,
強樂還無味。
衣帶漸寬終不悔,
爲伊消得人憔悴。


******

蝶戀花
                 
危樓に 佇み倚れば  風 細細(さいさい)
望極すれば  春愁,
黯黯
(あんあん)として  天際に 生ず。
草色 煙光  殘照の裏,
言 無く 誰
(たれ)か 欄に憑(よ)るの意を 會せん。


疏狂せんと 擬把
(ほっ)して  一醉を 圖(はか)る,
酒に對して  當
(まさ)に歌ふべし,
(し)ひて 樂しむは  還(な)ほ 味 無し。
衣帶 漸
(やうや)く 寬(くつろ)ぐも  終(つひ)に 悔いず,
(か)の爲  人の憔悴するに 消得(あたひ)せん。

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◎ 私感註釈

※柳永:北宋の詞人。生没年不詳(971年頃~1053年か)。字は耆卿。初名は三変。崇安(現・福建省崇安県)の人。進士ともなるが、世俗民間で世を送り、作詞を専門とするようになった。慢詞(長篇の詞)が多く、繊細な男女の情愛や、都市の風光、旅情を描くなど、典型的な婉約詞詞人。詞彙も感傷的で典雅なものが多い。唐詩に慣れた眼でみれば、浅、易、俗…となるが、典雅でもあり、蘇軾出現前の北宋前半を代表する詞人。

※蝶戀花:詞牌の一。ここは『鳳棲梧』ともする。

※佇倚危樓風細細:高殿(たかどの)(の窓辺)にたたずみよりかかると風が微かに(吹いてくる)。 ・佇倚:〔ちょい;zhu4yi3●●〕たたずみよりかかる。 ・倚:(欄干に)よりかかる。 ・危樓:高楼。 ・危:高い。 ・細細:かすかなさま。軽いさま。細かいさま。

※望極春愁:春の愁いを見極めようとすると。 ・望極:見はるかす。見極める。果てを眺めやる。韋荘の『淸平樂』に「春愁南陌。故國音書隔。細雨霏霏梨花白。燕拂畫簾金額。   盡日相望王孫,塵滿衣上涙痕。誰向橋邊吹笛,駐馬
西望消魂。」 とある。 ・春愁:春の愁い。春になって、何となく気が鬱(ふさ)いで、物憂くなること。

※黯黯生天際:暗く傷ましいものが、空の涯(はて)から生じてきている。 ・黯黯:〔あんあん;an4an4●●〕暗く傷ましいさま。失意のさま。王昌齡の『塞下曲』に「飮馬渡秋水,水寒風似刀。平沙日未沒,
黯黯見臨。昔日長城戰,咸言意氣高。黄塵足今古,白骨亂蓬蒿。」 がある。 ・天際:天のはて。天涯。李白の『黄鶴樓送孟浩然之廣陵』に「故人西辭黄鶴樓,煙花三月下揚州。孤帆遠影碧空盡,惟見長江天際。」とある。

※草色煙光殘照裏:(近くの)草の色や、(遠くの)靄(もや)のかかった景色。 ・煙光:霞んだ光景。霞(かすみ)や靄(もや)がかかった景色。 ・殘照:入り日。沈みかかった夕日。 ・裏:…のなかで。…で。

※無言誰會憑欄意:何も声に出さないが、誰も欄干に寄りかかって(遠くを眺めていた)気持ちは理解できまい。 *後世、辛棄疾に『水龍吟』登建康賞心亭「楚天千里淸秋,水隨天去秋無際。遙岑遠目,獻愁供恨,玉簪螺髻。落日樓頭,斷鴻聲裏,江南游子。把呉鉤看了,欄干拍遍,
無人會,登臨意。   休説鱸魚堪膾,儘西風、季鷹歸未。求田問舎,怕應羞見,劉郞才氣。可惜流年,憂愁風雨,樹猶如此。倩何人、喚取紅巾翠袖,英雄涙。」がある。 ・無言:声に出すことはなく。言葉無く。 ・誰會:だれが分かろうか。(だれも分かるまい)。反語表現。 ・會:理解する。分かる。陳亮の『念奴嬌』登多景樓「危樓還望,嘆此意、今古幾人?鬼設神施,渾認作、天限南疆北界。一水橫陳,連崗三面,做出爭雄勢。六朝何事,只成門戸私計。因笑王謝諸人,登高懷遠,也學英雄涕。憑却江山,管不到、河洛腥無際。正好長驅,不須反顧,尋取中流誓。小兒破賊,勢成寧問強對。」の「今古幾人曾會」に見られる。 ・憑欄:(高殿(たかどの)の窓辺の)手すりに寄りかかって(遠くを眺めやりながら物思いに耽る)。婉約詞ではこの表現が極めて多い。家族や恋人といった待ち人を待ち望む気持ちや、故郷を懐かしみ想う気持ちや、祖国の行く末を心配する気持ちの時、この表現のような行動をとる。 ・意:意味。心。思い。

※擬把疏狂圖一醉:はめを外して狂いまくろうと思って、酒に酔うことを考えた。 ・擬把::(詞語)つもり。きっと。…しようと思う。…したいと思う。つもりである。≒擬待。≒欲。 ・疏狂:〔そきゃう;shu1kuang2○○〕そそっかしく、気違いじみている。 ・圖:はかる。ねらう。望む。 ・一醉:少し酔っぱらう。

※對酒當歌:酒を前にしては、まさに歌って(愉しむ)べきである。 *曹操の『短歌行』に「
對酒當歌,人生幾何。譬如朝露,去日苦多。  慨當以慷,憂思難忘。何以解憂,唯有杜康。  青青子衿,悠悠我心。但爲君故,沈吟至今。  鹿鳴,食野之苹。我有嘉賓,鼓瑟吹笙。  明明如月,何時可輟。憂從中來,不可斷絶。  越陌度阡,枉用相存。契闊談讌,心念舊恩。  月明星稀,烏鵲南飛。繞樹三匝,何枝可依。  山不厭高,水不厭深。周公吐哺,天下歸心。」とある。 ・對酒:酒を前にして。 ・當歌:歌うべきである。歌って愉しくすべきである。

※強樂還無味:無理をしての娯楽は、味気がない。 ・強:しいて。無理をして。 ・樂:たのしみ。 ・還:やはり。なお。なおまた。ここは、前者の意。蛇足になるが、これは現代語に通ずる。 ・無味:面白味がない。味気ない。興味がない。

※衣帶漸寬終不悔:(悩みのために身体が痩せ衰えて、そのたために)衣服が緩(ゆる)く大きくなっても、決して後悔はしない。 ・衣帶:衣服のベルト。この表現は、漢代の『古歌』「秋風蕭蕭愁殺人,出亦愁,入亦愁。座中何人,誰不懷憂。令我白頭。胡地多飆風,樹木何修修。離家日趨遠,衣帶日趨緩。」に基づく。漢魏晋の『古詩十九首』之一(行行重行行)にも「行行重行行,與君生別離。相去萬餘里,各在天一涯。道路阻且長,會面安可知。胡馬依北風,越鳥巣南枝。相去日已遠,
衣帶日已緩。浮雲蔽白日,遊子不顧返。思君令人老,歳月忽已晩。棄捐勿復道,努力加餐飯。」とある。 ・漸:だんだんと。 ・寬:(身体が痩せたために衣服が)(衣服が)大きくなる。緩(ゆる)くなる。蛇足になるが、現代語でも同じ表現“寛”を使う。 ・終不悔:後悔はしない。後になってぐずぐず言わない。かまわない。後悔しない。文句を言わない。 ・終:ついに。 ・不悔:後悔しない。

※爲伊消得人憔悴:(あの)愛しい人のためならば、この人(=わたし)を憔悴させるだけの値打ちがあるものだ。 ・爲:(…の)ために。 ・伊:彼女。彼。あの人。人称代名詞。ここでは、離れ去っている愛しい人のことになる。 ・消得:ねうちがある。…に値(あたい)する。ひきあう。 ・人:ここでは、「作詞者・我・わたし」のことになる。 ・憔悴:〔せうすゐ;qiao2cui4○●〕痩せ衰える。やつれる。

                  ***********




◎ 構成について:

◎ 蝶戀花鳳棲梧、鵲踏枝、一ともいう)六十字 (双調)  仄韻の一韻到底。韻式は「aaaa aaaa」。韻脚は「細際裏意 醉味悔悴」で、詞韻第三部去声。


   
●○○○●●(仄韻),
   
●○○+●○○●(仄韻)。
   
○○●●(仄韻),
   
●●○●(仄韻)。


   
○○●●(仄韻),
   
●○○+●○○●(仄韻)。
   
○○●●(仄韻),
   
●○○●(仄韻)。(一字目はの方がベター)


 
2007.3.20
     3.21
     3.27完
2012.6.28補

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