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秋夜曲 | |
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唐・王維/王涯 |
桂魄初生秋露微,
輕羅已薄未更衣。
銀箏夜久殷勤弄,
心怯空房不忍歸。
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秋夜の曲
桂魄 初めて 秋露の微 かなるに生じ,
輕羅 已 に薄くして 未だ衣 を更 へず。
銀箏 夜久 くして殷勤 に弄 するは,
心 空房に怯 えて 歸るに忍びず。
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◎ 私感註釈
※王維/王涯:・王維:盛唐の詩人。701年(長安元年)?〜761年(上元二年)。字は摩詰。太原祁県(現・山西省祁県東南)の人。進士となり、右拾遺…尚書右丞等を歴任。晩年は仏教に傾倒した。/・王涯:字は広津。太原(山西省の中央)の人。貞元年間に進士となり、翰林學士…戸部尚書、塩鉄転運使となる。
※秋夜曲:秋の夜の(恋人のいない寂しい夜(/天子の訪れない夜)を過ごす)うた(を女性の身になって詠う)。
※桂魄初生秋露微:月光が秋の露がかすかに、はじめて出来たのを照らし出した。 ・桂魄:〔けいはく;gui4po4●●〕月の別称。月の中にかつらの木があるとの伝説に因る。=桂輪、桂月。 ・微:かすか。
※輕羅已薄未更衣:軽やかなうすぎぬでは、もはや薄着となってしまったが、まだ衣(ころも)更(が)えをしていない。 ・輕羅:軽やかなうすぎぬ。女性の衣裳を謂う。 ・已薄:もはや薄着となってしまった、の意。 ・薄:「うすい」意であるが「薄倖」「薄情」「薄命」の「薄」であり、「少ない」ことでもある。 ・未更衣:まだ衣(ころも)更(が)えをしていない意。
※銀箏夜久殷勤弄:(寝ることが出来なくて、)銀の箏(こと)を夜更(よふ)けになっても、心をこめて念入りにいじりもてあそんでいるのは。 ・銀箏:銀のこと。 ・筝〔さう;zheng1○〕十三弦琴。唐・李端の『聽箏』に「鳴箏金粟柱,素手玉房前。欲得周郎顧,時時誤拂弦。」とある。 ・夜久:夜更(よふ)け。夜が深い。 ・殷勤:〔いんぎん;yin1qin2○○〕心をこめて念入りに。礼儀正しく。極めて叮嚀に。鄭重に。ねんごろに。副詞。=慇懃。 ・弄:いじる。もてあそぶ。
※心怯空房不忍歸:(詩の主人公=女性の)心が気後れして、女性の一人暮らし空き家に帰ることには耐えられない(からだ)。 ・怯:〔けふ;qie4●〕気後れする。おびえる。おじける。おじる。 ・空房:空き家。女性の一人暮らし。 ・不忍:耐えられない。忍びない。前出・李端の『聽箏』に「鳴箏金粟柱,素手玉房前。」とある。
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◎ 構成について
韻式は、「AAA」。韻脚は「微衣歸」で、平水韻上平五微。この作品の平仄は、次の通り。
●●○○○●○,(韻)
○○●●●◎○。(韻)
○○●●○○●,
●●○○●●○。(韻)
2013.6.3 6.4 |
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