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雜詩 | |
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無名氏 |
兩心不語暗知情,
燈火裁縫月下行。
行到階前知未睡,
夜深聞放剪刀聲。
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雜詩
兩心語 らざれども暗 に情を知り,
燈火 に 裁縫すれば 月下に行く。
行きて階前 に到れば 知る 未だ睡 らざるを,
夜 深くして剪刀 を放 く聲 を聞く。
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◎ 私感註釈
※無名氏:五代の詩か。
※雑詩:興の趨(おもむ)くままに作った、型にとらわれない詩。
※両心不語暗知情:(男女)双方の心は口には出さないものの、ひそかに内情を通じ合っており。 ・両心:(男女)双方の心。なお、ふたごころ、異心、の意もあるが、ここでは適切でない。 ・不語:しゃべらない。話さない。 ・語:〔ご;yu3●〕しゃべる。話す。かたる。なお、〔ご;yu4●〕告げる。 ・暗:ひそかに。こっそりと。陰で。 ・知情:事情を知っている。内情を知っている。
※灯火裁縫月下行:(女性が)灯火の下で、(男性のための)裁縫をしている(というので)、(男性が)月の照る中を(女性の許へ)出かけて行った。 ・裁縫:(布を裁断して縫い合わせ)服を作る。「裁」は:裁断する。「縫」は:縫(ぬ)う。
※行到階前知未睡:(男性が)(建物の)きざはしの前に辿り着いたら、(女性は)まだ眠っていないで、(……していること)が分かった。 ・知:(…ということが)わかる。 ・睡:ねむる。 ・階前:(建物の)きざはしの前。 ・知:(…ということが)わかる。 ・睡:ねむる。
※夜深聞放剪刀声:(男性が分かったのは)、夜更けなのに(女性は、まだ眠っていないで裁縫を続けているのだろう、)鋏(はさみ)を置く音が聞こええてきた。 ・聞…声:…の音が聞こえる。 ・放:置く。おろす。 ・剪刀:鋏(はさみ)。
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◎ 構成について
韻式は、「AAA」。韻脚は「情行聲」で、平水韻下平八庚。この作品の平仄は、次の通り。
●○●●●○○,(韻)
●●○○●●○。(韻)
○●○○○●●,
●○○●●○○。(韻)
2016.8.25 8.26 8.27 |
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