水調歌
唐・無名氏/張之容
平沙落日大荒西,
隴上明星高復低。
孤山幾處看烽火,
壯士連營候鼓鼙。
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水調歌
(
すゐてう か
)
平沙
(
へい さ
)
の
落日
(
らくじつ
)
大荒
(
たいくゎう
)
の西,
隴上
(
ろうじゃう
)
の
明星
(
みゃうじゃう
)
高く
復
(
ま
)
た低し。
孤山
(
こ ざん
)
幾處
(
いくしょ
)
か
烽火
(
ほうくゎ
)
を
看
(
み
)
れば,
壯士
(
さう し
)
連營
(
れんえい
)
に
鼓鼙
(
こ へい
)
を
候
(
うかが
)
ふ。
****************
◎ 私感註釈
※無名氏/張之容:盛唐の詩人。不詳。
※水調歌:楽府の一。隋の煬帝に始まったという。
※平沙落日大荒西:果てしなく広がっている砂原の遠く離れた西の方に、日が没して。 ・平沙:〔へいさ;ping2sha1○○〕果てしなく広がっている砂原。 ・大荒:〔たいくゎう;da4huang2●○〕中国から…遠く離れたところ。日月の没するところ。
※隴上明星高復低:隴山(甘粛省東南部)に明るく輝く星が、高くまた低くなっている。 ・隴上:〔ろうじゃう;long3shang4●●〕隴山のほとり。=隴頭。 隴山:陝西省と甘粛省の境にある山の名。また、同地方(甘粛省東南部)一帯。『中国歴史地図集』第五冊 隋・唐・五代十国時期(中国地図出版社))61−62ページ「隴右道東部」にある東南部分か。 ・明星:金星。明るく輝く星。 ・高復低:高くなったり、再びまた低くなったり、の意。 ・復:再び。また。
※孤山幾処看烽火:孤山の数ヶ所に烽火(のろしび)が見えた(ので)。 ・孤山:ぽつんと一つだけある山。前出・『中国歴史地図集』第五冊 隋・唐・五代十国時期(中国地図出版社))61−62ページ「隴右道東部」には、地名としては無かった。杭州の西湖畔に孤山があるが、ここでは、関係がない。 ・幾処:数ヶ所。 ・烽火:のろし火。
※壮士連営候鼓鼙:雄々しい戦士は、連なり続いているとりでで、攻め太鼓の様子をうかがっている。 ・壮士:気力の盛んな男。戦士。ここを「戦士」ともする。 ・連営:連なり続いているとりで。連なっている陣営。また、とりでをつらねる。ここは、前者の意。唐・儲光羲(戴叔倫)の『關山月』に「
一雁過
連營
,繁霜覆古城。胡笳在何處,半夜起邊聲。」
とあり、南宋・張元幹の『賀新カ・送胡邦衡待制赴新州』に「夢繞~州路。悵秋風、
連營
畫角
,故宮離黍。底事崑崙傾砥柱,九地黄流亂注。聚萬落、千村狐兔。天意從來高難問,況人情、老易悲難訴。更南浦,送君去。 涼生岸柳催殘暑。耿斜河、疏星淡月,斷雲微度。萬里江山知何處,囘首對牀夜語。雁不到、書成誰與?目盡天懷今古,肯兒曹、恩怨相爾汝。舉大白,聽、金縷」
とある。 ・候:〔こう;hou4●〕うかがう。待ちうかがう。様子をうかがう。 ・鼓鼙:〔こへい;gu3pi2●○〕攻め太鼓。また、戦争、軍事の意。ここは、前者の意。
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◎ 構成について
韻式は「AAA」。
韻脚は「西低鼙」で、平水韻上平八齊。この作品の平仄は、次の通り。
○○●●●○○,(韻)
●●○○○●○。(韻)
○○●●◎○●,
●●○○●●○。(韻)
2018. 9.29
(9.30:台風24号)
10.1
10.2
10.3
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