huanying xinshang Ding Fengzhang de zhuye



  

漢詩 陸放翁   山南行
            

            
        南宋 陸游

我行山南已三日,
如縄大路東西出。
平川沃野望不盡,
麥隴靑靑桑鬱鬱。
地近函秦氣俗豪,
鞦韆蹴鞠分朋曹。
苜蓿連雲馬蹄健,
楊柳夾道車聲高。
古來歴歴興亡處,
擧目山川尚如故。
將軍壇上冷雲低,
丞相祠前春日暮。
國家四紀失中原,
師出江淮未易呑。
會看金鼓從天下,
却用關中作本根。

    **********************

         山南行
           
我れ 山南に行くこと  已
(すで)に三日,
縄の如き 大路  東西に出づ。
平川 沃野  望めども盡きず,
麥隴
(ばくろう) 靑靑として  桑 鬱鬱たり。
地 函秦
(かんしん)に 近くして  氣俗 豪にして,
鞦韆
(しうせん) 蹴鞠(しうきく)  朋曹(ほうさう)に分(わ)かつ。
苜蓿
(もくしゅく) 雲に 連りて  馬蹄 健かに,
楊柳 道を 夾
(はさ)みて  車聲 高し。
古來 歴歴たり  興亡の處,
目を擧
(あ)ぐれば 山川  尚ほ 故(もと)の如し。
將軍壇 上  冷雲 低
(た)れ,
丞相祠 前  春日 暮
(く)る。
國家 四紀  中原を 失ひ,
師 江淮
(かうわい)に出ださば  未だ 呑み易からず。
(かなら)ずや 金鼓の  天 從(よ)り 下るを 看んとせば,
却って 關中を 用
(も)って  本根と 作(な)すべし。

             ******************

◎私感訳注:

※山南行:山南の歌。「…行」は楽府に付く「詩・歌」の意。『代朗月行』、『前有樽酒行』、魏・曹操『短歌行』、魏・曹操『蒿里行』、唐・李白『客中行』、唐・白居易の『琵琶行』など。ただ、この作品の場合、「我行山南已三日」と始まり、後出「旅行」の意、紀行の感じも強い。

※我行山南已三日:わたしの終南山の南・南鄭(漢中)への旅は、すでに三日目になった。 *陸游詩の『望江道中』「吾道非邪來曠野」と歌い出しが似ている。 ・行:旅行する。旅する。 ・山南:終南山の南。南鄭(漢中)の位置するところ。 ・已:すでに。とっくに。

※如縄大路東西出:縄のようにぐにゃぐにゃと曲がった大きな道が、東西にのびている。 ・如縄:縄のように(うねった)。なわのようにぐにゃぐにゃと曲がった。 ・大路:大きな道。大道。 ・出:のびている。外へやる。離れ去る。

※平川沃野望不盡:平原と肥沃な原野が見果たす限りである。 ・平川:平原。平野。必ずしも川が流れているところとは限らない。平川広野。また、(川が流れている)平原。「川」は、詞では、平原、曠野の意で、取り立てて川を指さない。また、川のみなもと。川源。 ・川:はら。原(はら)。平原。広野。広々として人影のないところ。平川広野。一川。王維の『臨高臺送黎拾遺』「相送臨高臺,川原杳何極。日暮飛鳥還,行人去不息。」、張孝祥の『六州歌頭』に「長淮望斷,關塞莽然平。征塵暗,霜風勁,悄邊聲。黯銷凝。追想當年事,殆天數,非人力。洙泗上,絃歌地,亦羶腥。隔水氈鄕,落日牛羊下,區脱縱橫。看名王宵獵,騎火一川,笳鼓悲鳴,遣人驚。」や、賀鋳の『青玉案(凌波不過横塘路)』の「若問閑情都幾許?一川煙草,滿城風絮,梅子黄時雨」(一川煙草:一面に茂れる草)や呂本中の『滿江紅』東里先生の「東里先生,家何在、山陰溪曲。一川平野,數間茅屋」や、杜甫『秦州雜詩二十首』其三「鼓角縁邊郡,川原欲夜時。秋聽殷地發,風散入雲悲。抱葉寒蝉靜,歸來獨鳥遲。萬方聲一概,吾道竟何之。」 などがある。沈期の『臨高臺』では「遠望河流緩,周看原野綠。」 に該ろうか。などがある。「かわら」ではない。また、川のみなもと。川源。ただし、王維は、川の水源を描写したもの「行到水窮處,坐看雲起時。」、「落日山水好,漾舟信歸風。玩寄不覺遠,因以縁源窮。」を幾つか遺している。 ・沃野:肥沃な田野。よく肥えた原野。 ・望不盡:見おおせない。見ても尽きない。果てしもないさまをいう。

※麥隴靑靑桑鬱鬱:麦畑は、青々としており、桑は鬱蒼と繁っており、(それを見ると『麥秀歌』や『黍離』が思い出され、亡国の歎が湧き上がってくる)。 ・麥隴:〔ばくろう;mai4long3●●〕麦畑。或いは、『史記』にある(殷末)周初の箕子の『麥秀歌』「麥秀漸漸兮,禾黍油油。彼狡僮兮,不與我好兮。」を暗示していようか。更には『詩經・王風・黍離』「彼黍離離,彼稷之苗。行邁靡靡,中心搖搖。知我者,謂我心憂,不知我者,謂我何求。悠悠蒼天,此何人哉。」 と、亡国の悲嘆に耽っているのか。 ・隴:〔ろう;long3●〕畑。畝(うね)。丘。 ・靑靑:青々としている。古詩によく詠われる。『古詩十九首之二』「
青青河畔草,鬱鬱園中柳。盈盈樓上女,皎皎當窗。娥娥紅粉妝,纖纖出素手。昔爲倡家女,今爲蕩子婦。蕩子行不歸,空牀難獨守。」や、漢・古樂府『長歌行』「青青園中葵,朝露待日晞。陽春布德澤,萬物生光輝。常恐秋節至,焜黄華葉衰。百川東到海,何時復西歸。少壯不努力,老大徒傷悲。」 などがある。 ・桑:くわ。葉は蚕の重要な飼料。クワ科の落葉喬木。果実はキイチゴの実に似ており、食べられ、木材部も多様に活用される、農村に必須の樹木。 ・鬱鬱:〔うつうつ;yu4yu4●●〕樹木のこんもりと生い茂っているさま。

※地近函秦氣俗豪:(ここは)函谷関から咸陽一帯に近く、その気風には、猛々しいものがあある。 ・函秦:函谷関から咸陽一帯。咸陽は秦の都。陝西省一帯を指す。 ・氣俗:気風。気風や習俗。 ・豪:すぐれる。強い。猛々しい。

※鞦韆蹴鞠分朋曹:ぶらんこ遊びとボール蹴り遊びとに、(子どもたちが)グループに分かれている。活溌な遊びには、元気な男の子がグループになって集まっているということ。 *「鞦韆蹴鞠分朋曹」の句は二通りに考えられる。その一は、「ぶらんこ遊びとボール蹴り遊びとに、子どもがグループに分かれている」つまり「ぶらんこ遊び(おとなしい子の遊び、女子の遊び)とボール蹴り遊び(活気のある子の遊び、男子らしい遊び)とに分かれて遊んでいるということ。男らしい子は、積極的に元気の良い遊びをしている。解のその二は、「ぶらんこ遊びでも、ボール蹴り遊びでも、それぞれでグループを作っている」後者の解だと、「『函秦』の気風は分裂主義」となって、苦しい。 ・鞦韆:〔しうせん;qiu1qian1○○〕ぶらんこ。女子、女性の遊戯。  ・蹴鞠:ボールけり。句中の対で「鞦韆」に対して使われており、「蹴鞠」は男子の遊びになるのか。 ・蹴:ける。 ・鞠:皮で作ったまり。 ・分朋曹:仲間(ごと)に分かれる。グループに分かれる。 ・分:分かれる。 ・朋曹:〔ほうさう;peng2cao1○○〕ともだち。なかま。

※苜蓿連雲馬蹄健:うまごやし(の草)は、地平線の彼方まで続き、馬のひづめの運びは元気がよい。 ・苜蓿:〔もくしゅく:mu4xu0●●〕うまごやし。マメ科の多年生草本。 ・連雲:地平線の彼方まで続くさまをいう。雲に(まで)連なる。≒連天。 ・馬蹄:馬のひづめ(の運び)。馬の足取り。 ・健:すこやかである。元気がよい。

※楊柳夾道車聲高:ヤナギは道をはんで(並木状に生えているので、)馬車の音が高らかに(響く)。 ・楊柳:ヤナギ類の総称。「楊」:カワヤナギ、ネコヤナギ。「柳」:シダレヤナギ。 ・夾道:道をはさむ。並木状に生えているさまを謂う。 ・車聲:馬車の音。

※古來歴歴興亡處:(人の世では)昔から次々と興亡が繰り返されているところである(が)。 ・古來:昔から。 ・歴歴:〔れきれき;li4li4●●〕次々と連なるさま。明らかなさま。はっきりとわかるさま。整然とならぶさま。 ・興亡:(興っては)亡ぶこと。単語の意は、滅ぶという方に重点が懸かっている。悠久の時の流れの中で、興っては亡び、興っては亡んでいった国や王朝の命運、歴史を謂う。同様の用例に白居易の『感月悲逝者』「存亡感月一潸然,月色今宵似往年。何處曾經同望月,櫻桃樹下後堂前。」がある。この「存亡」も「亡」の意。辛棄疾の『南鄕子』・『登京口北固亭有懷』「何處望神州?滿眼風光北固樓。千古
興亡多少事?悠悠。不盡長江滾滾流。年少萬兜。坐斷東南戰未休。天下英雄誰敵手?曹劉。生子當如孫仲謀。」 とある。また、興隆と滅亡の意。

※擧目山川尚如故:目の届く限りの山や川(といった自然)は、なお以前通り(である)。 ・擧目:〔きょもく;ju3mu4〕目の届く限り。目を挙げて見る。 ・山川:山や川といった自然。この地での人の営みは「古來歴歴興亡處」であって、よく変化を遂げた。しかしながら、山川といった自然は、昔ながらであり、変化していないということ。 ・尚:なお。まだ。 ・如故:以前通り(である)。昔のまま。

※將軍壇上冷雲低:漢の高祖・劉邦が、韓信を大将として拝した將軍壇の上には、(恰も韓信が憂慮しているが如き)冷ややかな雲が立ち籠めており。 ・將軍壇:漢の高祖・劉邦が、韓信を大将として拝した時に築いた3メートルほどの壇。現・陝西省漢中市の南よりにある。拜將臺ともいう。南北二つの高台からなり、南台の上には「漢大將韓信拜將壇」の碑がある。胡世將の『江月』「秋夕興元使院作,用東坡赤壁韻」「神州沈陸,問誰是、一范一韓人物。北望長安應不見,抛卻關西半壁。塞馬晨嘶,胡笳夕引,得頭如雪。三秦往事,只數漢家三傑。   試看百二山河,奈君門萬里,六師不發。外何人迴首處,鐵騎千群都滅。
拜將臺,懷賢閣杳,空指衝冠髮。欄干拍遍,獨對中天明月。」 とある。 ・冷雲:冷たい(秋の)雲。作者の韓信大將軍を出した過去の時代と、現在とに対する思いが籠められていよう。 ・低:(雲が)垂れ籠める。

※丞相祠前春日暮:『出師表』を遺した忠臣・諸葛亮の祠(ほこら)の辺りには春の日が暮れかかっている。(暮れかかっているのは、祖国の前途を暗示しているかのようである)。 ・丞相祠:(忠義あふれる臣下である)諸葛亮のほこら。武侯祠。成都市の西南にあたる南郊公園にある。唐・杜甫の『蜀相』に「
丞相祠堂何處尋,錦官城外柏森森。映碧草自春色,隔葉黄空好音。三顧頻煩天下計,兩朝開濟老臣心。出師未捷身先死,長使英雄涙滿襟。」 とある。 ・丞相:〔じょうしゃう(しょうじゃう)cheng2xiang4◎●〕天子を輔けて政治を行う最高の官。宰相。ここでは蜀の宰相であった諸葛亮をいう。 ・祠:ほこら。たまや。霊を祀ったところ。 ・暮:(日が)暮れる。ここでは、国家の命運をもぼんやりと指している。

※國家四紀失中原:(漢民族の)国家が(その故地である)中原を失ってから四十八年(が経ち)。 ・國家:ここでは、宋を指す。(北)宋が靖康之変で、京を陥され、華北華中を失い、(南宋として)江南半壁に安住し臨安を首都とした経緯を謂う。 ・四紀:四十八年。一紀=十二年。蛇足になるが、日本語では年齢などは名詞であるが、(中国語でもそうではあるものの)動詞、形容詞的な働きもしているのが実際の用例から考えられる。 ・失:中原を金に取られたことをいう。 ・中原:黄河中流域の平原地帯をいう。漢民族の故地。

※師出江淮未易呑:長江、淮河の間の南宋と金の戦力頡頏の地域に出兵しても、併呑し難い。(中原暗部の江淮の間に出兵(北伐)させても、金の軍事力のために、失地を恢復することは難しい。それよりも、陝西省に立てこもって、そこから攻撃すべきである)。 ・師出:出兵する。軍隊を派遣する。 ・江淮:〔かうわい;Jiang1Huai2○○〕長江、淮河の間。長江と淮河との間は南宋と金の戦力頡頏の地域。淮河以北は金の領土となっていたため、長江以北、淮河以南の地は、両国の係争の地となっていた。現代風に謂えば華北平原(≒中原)南部。 ・未易呑:併呑し難い。中原暗部の江淮の間に出兵(北伐)させても、金の軍事力のために、失地を恢復することは難しい。それよりも、陝西省に立てこもって、そこから攻撃すべきである、ということ。蛇足になるが、この作戦は後世、1930年代半ば、毛沢東が中原を通過しての北上をやめ、チベットよりに西遷して、陝西省の呉起鎮、延安に到ったことに符合する。

※會看金鼓從天下:必ずや皇軍が天より舞い降りるさまを見かけることができるようになろうが。 ・會:きっと。必ず。副詞。また、…できる。 ・金鼓:(軍中で用いる)鉦(かね)と太鼓。進むのに太鼓を用い、留まるのに鉦(かね)を用いたことによる。ここでは、南宋の軍勢の威容を指す。李白の『塞下曲』「五月天山雪,無花祗有寒。笛中聞折柳,春色未曾看。曉戰隨
金鼓,宵眠抱玉鞍。願將腰下劍,直爲斬樓蘭。」とある。 ・從天下:天より下る。天兵天将が天よりくだる。

※却用關中作本根:(そのためには、)むしろ反対に、関中平原を以て本陣の根拠地とすべきであろう。 ・却:かえって。反対に。むしろ反対に。 ・用:…で。…にて。…を以て。古語の「以」に似た働きをする。 ・「用…作…」:…を以てして…とする。 ・關中:〔くゎんちゅう;Guan1zhong1○○〕函谷関以西の関中平原。陝西省中南部。そこの中心地が前出「函秦」になる。 ・作:…となす。…とする。 ・本根:根本。もと。最も基礎になるもの。





◎ 構成について

韻式は「aaaBBBcccDDD」。韻脚は「日出鬱 豪曹高 處故暮 原呑根」で、平水韻入声四質、下平四豪。去声六御等、上平十三元。次の平仄はこの作品のもの。

    ●○○○●○●,(a韻)
    ○○●●○○●。(a韻)
    ○○●●◎●●,
    ●●○○○●●。(a韻)
    ●●○○●●○,(B韻)
    ○○●●○○○。(B韻)
    ●●○○●●●,
    ○●●●○○○。(B韻)
    ●○●●○○●,(c韻)
    ●●○○●○●。(c韻)
    ○○○●●○○,
    ◎●○○○●●。(c韻)
    ●○●●●○○,(D韻)
    ○●○○●●○。(D韻)
    ●◎○●○○●,
    ●●○○●●○。(D韻)
2006.8. 5
     8. 6
     8. 7
     8. 8
     8. 9
     8.10完
2008.3.24補

漢詩 唐詩 漢詩 宋詞


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