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2010年
ファンタ速報

参加作品

開催予定:2010年8月

お急ぎの方はこちらへ。

今年もファンタの季節となりました。参加予定の作品が発表になっています。現在のところ50本のタイトルが発表されていて、アジアからは日本の参加が目立ちます。今年も2館3ホールらしく、全体ではまだ20〜30本ぐらい増えると思います。

今年の目玉は鉄男 3 でしょう。ドイツには鉄男シリーズの根強いファンがいます。この日だけは客層ががらっと変わるのではないかと思います。

・・・などと書いてアップするつもりだったのですが、数年前の事故の後遺症らしきものが出て、体を動かすと激痛が走るようになりました。医者だ、治療だとやっているうちにファンタのラインアップはそろいました。 

今年は最近数年に比べると規模が縮小した感じです。これまでが「えええっ!?」と驚くような豪華さだったので、縮小と言うより、やや普通になりつつあると言えるでしょう。去年まで合計で2ホール以上だったのですが、今年は2つ。1つはドイツでも最高の音響設備です。ちょっと不便なのは、2ホールなら1館にしておけばいいのに、なぜかライバル館2軒で各1ホール使用。なので時々大通りをはさんで向こう側に移動しなければなりません。そうなると休憩時間が短くてきつい。

今年は概ね開始が午後1時なので、移動と食事を休憩時間に上手に組み込まなければなりません。日数はなぜか今年もベルリンは1日多くて、火曜日から始まります。その日にすでにオープニングの作品の他にもう1本見られます。

例年とやや違うのは2日目がダブル・プログラムになっていない点。これまではオープニングの翌日から1コマに2本入っていて、1本選ばなければなりませんでした。今年は2日目は各1本なので、1日中同じ映画館に座っていられます。

これが3日目からのスケジュールに大きく影響します。何しろオープニングの日と、2日目に見た作品合計7本はもう1度見る必要がないので、3日目以降のダブル・プログラムではこれを除いた作品を選ぶことになります。というわけで最初の7本がその後見る作品を強制的に選ばせるという形になります。それが凶と出るか吉と出るかは終わってみないと分かりません。

終わって見て考えると今年のファンタはいくつかの点で異例でした。

★ 会場変更

過去にも会場の変更、追加はありましたが、今年は去年も使ったベルリンで最高の設備の2館。異例なのは各館1ホールずつの開催だった点。そのため私たちは例えば1日6本見るのに5回大通りを渡って向こう側とこちら側の館を行き来しなければなりませんでした。8月ということもあってか、現在ポツダム広場は工事現場だらけ。ファンタの会場の1つも館内が工事中で開催に間に合わないかと危ぶまれるほど。館外も工事中なため、大通りを横断するのもちょっと骨。休憩時間は平均15分なので、その条件を合わせるとかなり骨です。去年までは多くの場合同じ館の隣のホールに移動するだけ。真隣なので、1つのホールを出て、すぐ横のドアから隣に入るだけです。休憩中にトイレに行ったり、食料を仕入れたりしながら、ロビーや映画館の前で友人との意見交換もするのですが、今年はそんなのんきな事を言っている時間はありませんでした。

こうやってわき目もふらず通りを横切る黒装束の大行進を2時間ごとにやるのですが、インフラについて言えば、今年の対策は1つ良い点がありました。黒装束については後述。

★ 工事現場で開催

これまで使っていた小さい方のホールは空調が悪く、会場が満員になると酸欠状態。なので眠くなってしまいます。今年はライバル館の1番いいホールを使ったので、空調は良く、小さい方のホールより多めの人数を収容できるのに空気は良い状態。椅子もあまり大柄な人でなければ(ファンタでは190センチを越えた男をちょくちょく見かける)、すわり心地が良くリラックスできます。開催当日にようやく工事が間に合ったトイレもホテル並の豪華さ。これまでのトイレもみすぼらしいわけではなく、一流館に相応しかったですが、今度はそれ以上になりました。

ドイツは日本と違い、デパートの内装工事などでも営業時間終了後でなく、営業中にやります。映画館も同様で、ファンタ開催にはこぎつけましたが、同じ館内ではまだカフェや階段の工事をやっていました。

★ 黒装束の異様な移動

ファンタの参加者は男性が圧倒的に多いのですが、黒装束の男たちというのは、ファンタが10年以上前から通しのパスを予約した客に無料でTシャツを配ったことに起因します。どうやらスポンサーからの支援だったようなのですが、毎年黒い地に恐怖の1シーンをデザインしたシャツが配られます。最初のうちは時々それを着て来る人がいた程度ですが、そのうちに枚数が10枚を越え、ファンタ開催中の8日(9日)間、毎日違うTシャツを着て来るのが伝統になりました。私もその1人ですが、皆が Fantasy Filmfest (通称 3F、または FFF)と書かれたシャツを着てその辺をうろつきまわっているという状態でした。

それが今年はうろつきまわったり、井戸端会議をする暇など無く、1つの作品が終わったら、出演者の名前を見る暇も無く脱兎のごとくホールを抜け出し、大通りを渡ってもう1つのホールへと向かうわけです。その様子を知らない人が見たら、黒装束、大荷物抱えた男たちが一斉に目の色変えて銀座4丁目か新宿の大通りを横断するみたいな状況です。

実はファンタには映画に出て来るような黒装束で危険そうな男たちも多いです。体格が良くて、普段は無口(を装い)、できるだけ鋭い目つきをしようと試みています。中にはオートバイに乗って来る人もおり、「その辺の馬鹿な女には関心も無い」ってな様子です。ところがこういう人に限って、燻し銀のオートバイ・ヘルメットになぜかクマの耳がついていたり、日本のアニメの目の大きな女の子に夢中だったりするのです。無口を装っているのは映画館から100メートル離れた所から先の話で、館内と映画館の前の通りでは積極的に井戸端会議にいそしんでいます。煙草を吸わない人も多く、生活は健康そのもの。

★ 同権社会

今年開催中に知らない女性から話し掛けられたのですが、その女性たちは一般人のおばさん。私をバスで見かけたとかで翌日館内で話し掛けて来ました。ファンタには元々女性の参加者が少ないのですが(女性も黒装束)、その普通に見えるおばさんたちから見ると、黒装束の男たちでは話し相手にならないだろうというので私に目をつけたのだろうと想像しています。私はたまたま健康上の理由で黒でないズボンをはいていました。私はちょっとだけ話して、また黒装束の群れの中に入って行ったのですが、黒装束内の男女同権、年齢同権はその女性たちには思いもよらなかったのか、私が2人との話を切り上げて群れに入って行ったのを見てちょっと驚いた顔をしていました。

大分前にはファンタには強そうに見える男性にくっついて来る女性というパターンもあったのですが、自然淘汰されたのかほとんどいなくなりました。8日、9日の間に40以上50弱のコマ数をこなす上(概ね午後1時から翌日の午前1時、2時頃まで + 映画館への行き来にかかる時間)、通しのパスを買えば安くつくとは言え、大失業時代に3桁(円に換算すると5桁)の大金を払うので、この期間休暇を取って気合を入れて参加するか、参加作品の中から数本だけを選んで見るかの選択を年明け、春が来る頃までに迫られます。

その結果残るのは強そうな男にくっついている女性でもなければ、女をはべらせている男でもなく、映画が好きな人のみ。ファンタ以外でも映画をたくさん見ている人、リメイクの元ネタを知っている人、原作に使われた小説を読んだ人、特定の監督に関心のある人、無名の新人監督を見てやろうという人、理由は何でもいいですが、観客として関心を持った人だけが残ります。オタクの人権も尊重されます。オタクとオタクでない人が対等に話す井戸端会議でもあります。オタクは日頃の豊富な知識を披露、オタクでない人はオタクを生き字引として尊重。言わば歩くデーターバンクですので。

★ グループの縮小拡大

以前はいくつかの対立の無いグループに分かれていたのですが、一時期ハードコアの人数が減り始め、それをきっかけにいくつものグループが横の交流を始めました。それがここ数年の間に井戸端会議の規模を大きくし、ハードコア全体が仲良くなっています。1つの作品を見てそのホールにとどまり次の作品を見る人に、その前の時間別な作品を見る人が座席の確保を依頼するという実際的な面もあります。しかし話はそれだけでは終わらず、自分が見なかった同時上映の作品の感想を聞いたり、その人がこれまで見た作品の情報を仕入れたり、そんなこんなで友達が増えて行きます。私は社会がどんどん孤立化し、人との付き合いの下手な人が増え孤独な人が溢れる様子をずっと見ていたので、ファンタの仲間の逆方向への発展を喜ばしいと思って見ていました。

ラブ・パレードなどにはドラッグを持ち込む馬鹿がいるので、いくら若者の交流だと言っても賛成できなかったのですが、ファンタでドラッグをやっている人は見たことがありません。ビールは売っていますし、飲んでいる人もいないわけではありませんが、ハードコア派はほとんど手を出しません。

なぜか・・・。自明の理なのです。

平均的に見て、午後1時に映画館に来る人は昼の12時半頃家を出ます。それから翌日の午前1時、2時まで映画を見て、帰宅は夜バスなので1時間弱。睡眠、朝食、食料調達などを午前3時前あたりから始め、12時半にはまた会場に向かいます。ハードコアは年齢が高くなり(90年代半ばから参加している人も多い)、職業を持った人が多いので、ドラッグなどやっていたら現在まで続いているはずがありません。それを抜きにしても、1日12時間映画を見て、その内容を理解し、記憶するにはドラッグやアルコールの入る余地がありません。平均年齢が上がったハードコア派は皆10年前と比べ太ってしまいました。そのため今年の会場移動は主催者が「ちょっと運動をして贅肉を落とせ」との気配りをしたのかという冗談もあります。

★ 異例のスケジュール

スケジュールの組み方も異例で、オープニングの翌日は組み合わせプログラムは無く、用意された作品を5本連続で見る形でした。普段はオープニングの日にオープニング作品ともう1本を出されるまま見、翌日からは組み合わされた2本の中から1本選ぶ形式です。今年は2日目にも選択無しで5本見るため、3日目以降の作品選択で強制的に最初の2日に見た作品が抜けます。スタート時にその後見る作品を決められた形になりました。

★ 異例のプログラム

そして何よりも異例だったのは参加した作品のかなりの部分がファンタらしくない作品だったこと。同じ事を感じた人がハードコア仲間にも多く、普段は1作も逃さず見る猛者も今年は何箇所かでパスしていました。私は体調を崩してファンタに突入したので、所々で休養するつもりでいましたが、予定以上の数パスしました。

今年は社会ドラマにいくらか犯罪を交えた物と歴史物が目立ちました。ファンタはどちらかと言えば犯罪内容や犯罪者にスポットライトを当て、時には少し社会情勢にも触れるスタンスでした。今年は社会情勢がよく見えるように作られ、プロットの詰めなどにはあまり気を使っていない作品がいくつもありました。英国系の作品にそういうのが多かったため、結果として英国がどんなに怖い国かという点が表にはっきり見え、英国がわざわざ自分でお金を出して、世界に「我が国にはこんな危険な人物が住んでいるんだよ、我が国の一般市民の社会はここまで崩壊しているんだよ、英国には近づかない方がいいよ」といったメッセージが発せられてしまいました。あのマイケル・ケインも友人を殺されて切れてしまう危険な男を演じていました。私がこんな恐怖心を感じたのですから、俳優はすぐれた人たちだったと思います。映画の内容より、そこに描かれている普通の人の方が怖かったです。これがどこまで英国社会の実情を反映しているのかはそこに住んでいないと分からないでしょうね。

その他を見渡すと、《これこそファンタ》という作品が少なく、《これがファンタに来る必要があるのか》といった作品が目立ちました。ここ数年ずっといい作品を持ち込んでいて、「この調子でどこまで行けるか」と危惧していましたが、今年はそれが初めてはっきりした形になって表われたことになります。業界が斜陽傾向で、主催者がいい作品を見つけられなかったのか、来年が25周年なので、今年は少し弱い作品になったのか、理由は不明です。ハリウッドとは趣を異にする欧州の作品も弱く思えました。私1人がそんな風に考えたのかと思ったのですが、最終日に仲間と話していて、皆同じ意見だったことが分かりました。原因をどれかに絞るには至りませんでした。

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