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 1.革命の原因  

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1.革命の原因
  1. 旧制度の危機絶対王政を誇っていたときにはそれほど目立たちませんでしたが、産業が発達していく内に、現体制が本質的に持っていた制度上の矛盾が露呈し始めました。
  2. 階級制度の矛盾 この時代の階級は、特権者である「貴族」「高級僧侶」平民である「民衆」「下級僧侶」の二つに大きく分かれていました。重い税金に苦しみながら、何の権利もない「平民」の怒りは爆発寸前です。
  3. 経済危機相次ぐ戦争、またアメリカ独立への莫大な投資によって国家は破産状態になっていきました。よく言われていることですが、「赤字夫人」マリー・アントワネットの浪費などこれらに比べれば微々たるものでしかありません。
  4. 啓蒙思想「三権分立」「自然に帰れ」など旧体制を鋭く批判する思想家が活躍し、貴族を含めた当時の人々に受け入れられました。これらの思想がフランス革命の精神になったのです。

ii. 階級制度の矛盾

一言で説明すると…この時代の階級は、特権者である「貴族」「高級僧侶」平民である「民衆」「下級僧侶」の二つに大きく分かれていました。重い税金に苦しみながら、何の権利もない「平民」の怒りは爆発寸前です。

社会階級

社会階級は大きく三つに分かれます。

第一身分:「僧侶」(14万人)は土地全体の10%以上を所有していました。僧侶の中にも、貴族と上層のブルジョワ出身の上級僧侶と、第三身分出身の下級僧侶がいて、頂点に立つ枢機卿から村の司祭さんまであり、この中にも厳しい階級がありました。

第二身分:「貴族」(40万人)は土地全体の25%以上を所有していました。この中には、宮廷貴族、法服貴族、地方貴族がいます。

第一身分と第二身分を合せてを特権階級と言い、このふたつの階級は合わせても全体の1%に満ちませんが国土の40%を所有し、政治に参加したり税金を支払わなくてもいい(この特権を奪われるのがいやで貴族は国王に反抗し、それが続く革命の引き金となった)など、数多くの特権を持っていました。

第三身分:「平民」は大きく商工業を営む市民(450万人)農民(2000万人)に分かれます。

なお、人口の数字ですが、資料によってまちまちです。ここでは平均的な数量を取ってみました。おおざっぱに見て、人口の1.5%にしか満たない特権階級が全土の40%の土地を所有していたと見ればよいでしょう。


第一身分の「僧侶」

「僧侶」は文字通り国家の第一の階層で、政治・司法・租税上の重要な特権を持っていました。国土の約10%を保有し、保有地からの所得は莫大なもので、さらに十分の一税からは土地所有料以上の収入があり、その経済的勢力は巨大でした。

しかしながら、これらの富を全ての「僧侶」が堪能しているわけではありませんでした。大司教、司教、僧院長、司教会員などの高級僧侶たちは貴族からのみ採用され、司祭や修道士などの下級僧侶はほとんど全て平民出身でした。

したがって、「僧侶」は「第一身分」というひとつの階級を構成しているのではなく、この中には社会全体と同じ階級が存在していたのです。すなわち、特権者である貴族(高級僧侶と貴族)とそれ以外の(下級僧侶と民衆)平民です。

平民出身の下級僧侶は、1789年6月に特権身分から分離して第三身分と結びつき、革命への大きな勢いをつけることになりました。 「第一身分内の人口比」はこちら→


第二身分の「貴族」

貴族には次のような特権がありました。「特権の詳細」はこちら→

しかしながら、貴族の中にもさまざまな種類がありました。大きく分けると、帯剣貴族法服貴族です。
帯剣貴族--旧来からの貴族
法服貴族(ノブレス・ドゥ・ローブ)
旧来からの貴族ではなく、国王の売る官職を買うことによって貴族に任ぜられた人たち。
貴族の人口は研究者によって8万人から40万人までの開きがあります。要するに、貴族と平民の間には、私達が想像するほど明確な境がありませんでした。


第三身分の「平民」

第三身分は国民の大多数であり、全ての生産者でした。彼らは過酷に働き、生産していながら特権階級を養うための重い負担に苦しみ、何の政治的権利も持っていませんでした。裕福な金融業者から、その日暮らしの労働者まで幅広い人々がいましたが、彼らは特権に対する反対という点で一致していました。

第三身分も大きく分けると、市民と農民に別れました。

市民(450万人)--都市に住み、政治には参加できず重税を課されていました。大きく4つに分けられます。
  1. 上流ブルジョワ
  2.  (法律家・実業家・特権商人など)
  3. 中級ブルジョワ
  4.  (地方商人・産業家など)
  5. 下層ブルジョワ
  6.  (商店主・手工業親方など)
  7. サン・キュロット
  8.  (職人・徒弟・労働者など)

農民(2000万人)--特権階級所有の農地を耕し、もちろん政治に参加できず、重税を課されていました。やはり大きく4つに分かれます。
  1. 大地主
  2. 大借地農
  3. 自営農民
  4. 折半小作農・雇農 (農婦の貧しい生活の模様はこちら→)


階級制度の崩れ
第三身分に向けられた寓意画
第三身分に向けられた寓意画

貴族は、自分達の利益につながるようなことばかりしたがり、一方地方では、上流・中流ブルジョワジーが力を付け始めました。しかし、現行の体制ではいくら事業を拡大しても、税金を取られるばかりで面白くありません。自分達の利益を窃取されたくない彼らは、旧体制を変えたいと思い始めたのです。 右の画像をクリックすると詳しい説明があります

大農民もそうです。彼らは自分達の小作人から搾り取った利益をもっと手元に残しておきたかったので、制度を変えたいと思いました。

下層ブルジョアや労働者、自営農民・貧農・小作人は重税で生活そのものを圧迫されていました。彼らがもっと豊かな生活(せめて働いた分くらいの収入を得たい)を切望するのは当然のことでしょう。

革命は間近に迫っています。

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