ミステリ&SF感想vol.163 |
2008.07.22 |
『放浪探偵と七つの殺人』 『時砂の王』 『爆発的 七つの箱の死』 『道化の死』 『バラバの方を』 |
放浪探偵と七つの殺人 歌野晶午 | |
1999年発表 (講談社ノベルス) | ネタバレ感想 |
[紹介と感想]
2008.06.11再読了 [歌野晶午] |
時砂の王 小川一水 | |
2007年発表 (ハヤカワ文庫JA904) | ネタバレ感想 |
[紹介] [感想] |
爆発的 七つの箱の死 鳥飼否宇 | |
2008年発表 (双葉社) | ネタバレ感想 |
[紹介と感想] 題名は、巻頭に掲げられた岡本太郎氏の名言
“芸術は爆発だ!”から。というわけで本書は、『痙攣的 モンド氏の逆説』と同様に(*1)前衛的な現代芸術を題材にした、異色の連作ミステリとなっています。 主役となるのは、大物実業家の私設美術館に集められた、人格・作品ともに奇矯な芸術家たち。常人の理解を超える創作の方向性もさることながら、妥協をまったく許さない徹底したこだわりが、“狂気”と紙一重の危うさを強く感じさせます。 ミステリとしては、トリックやロジックよりも、常軌を逸した創作活動に絡んだ奇抜な状況や、事件の背景に横たわる歪んだ心理に重点が置かれている印象で、残念ながら(とりわけ連作としての“締め”に関して)『痙攣的 モンド氏の逆説』のような強烈な破壊力には欠けていますが、まずまず面白い作品にはなっていると思います。 なお、“七つの箱の死”という副題は、参考文献にも挙げられているカーター・ディクスン『五つの箱の死』にちなんだものですが、内容の関連はほとんど(まったく?)なく、事前にそちらを読んでおく必要はないかと思われます。 ところで、各エピソードの題名(副題)(*2)や人名などには例によって趣向が凝らされているようなので、ぜひ識者の方に元ネタをまとめていただきたいところです。
*1: “ひぐらし・もんど”や“あいだ・あきら”といった人名からして、『痙攣的 モンド氏の逆説』を思い起こさせずにはいられないものです。
*2: 各エピソードの題名は順にローリング・ストーンズ、プロコル・ハルム、キャラヴァン、特定できず、クローム、ジミ・ヘンドリックス、キング・クリムゾンだと思われますが、副題は微妙にもじってあるようで、3番目のPink Floyd『Wish You Were Here』、6番目のDeep Purple『Machine Head』、そして最後のCarter Dickson『Death in Five Boxes』くらいしかわかりません。 2008.06.20読了 [鳥飼否宇] | |
【関連】 『本格的 死人と狂人たち』 『痙攣的 モンド氏の逆説』 『逆説的 十三人の申し分なき重罪人』 / その他〈綾鹿市シリーズ〉 |
道化の死 Off with His Head ナイオ・マーシュ | |
1956年発表 (清野 泉訳 世界探偵小説全集41) | ネタバレ感想 |
[紹介] [感想]
*1: (現時点で)邦訳されている長編では、『殺人者登場』(『殺人鬼登場』)・『ヴィンテージ・マーダー』・『死の序曲』・『ヴァルカン劇場の夜』。
*2: 小池啓介氏による解説では “マーシュは登場人物の役割分担が非常にうまい”(375頁)とされていますが、本書ではそれがやや勝ちすぎて、登場人物たちが“役柄を演じさせられている”という印象も受けます。 2008.06.26読了 [ナイオ・マーシュ] |
バラバの方を 飛鳥部勝則 | |
2002年発表 (トクマ・ノベルズ・入手困難) | ネタバレ感想 |
[紹介] [感想] |
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