白居易　憶江南　詩詞世界　碇豊長の詩詞：漢詩

　　
白居易
憶江南

三 BaiJuyi BaiLetian　Bai Juyi Bai Letian　baijuyi bailetian　bai juyi bai letian

江南憶，
其次憶呉宮。
呉酒一杯春竹葉，
呉娃雙舞醉芙蓉。
早晩復相逢。

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憶江南

江南の　憶ひ，
其の次に　　憶ふは　呉宮。
呉酒　一杯　　春竹葉，
呉娃　双び舞ふ　　醉芙蓉。
早晩　　復た　相ひ逢はん。

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◎　私感註釈

※白居易：中唐の詩人。７７２年（大暦七年）～８４６年（會昌六年）。字は楽天。号は香山居士。官は武宗の時、刑部尚書に至る。平易通俗の詩風といわれるが、詩歌史上、積極的な活動を展開する。晩年仏教に帰依する。

※憶江南：詞牌の一。詳しくは下記の「構成について」を参照。劉禹錫と唱和したときの一連の作其三になる。　其一「江南好，風景舊曾諳。日出江花紅勝火，春來江水綠如藍。能不憶江南！」

。其二「江南憶，最憶是杭州。山寺月中尋桂子，郡亭枕上看潮頭。何日更重游。」

の続き。

※江南憶：江南の地を回想する。　*白居易は杭州の刺史に任命されていたことがある。その時を回想している。

※其次憶呉宮：杭州に次いでは、蘇州を思い出す。　・其次：その次には。杭州の思い出「江南憶，最憶是杭州。山寺月中尋桂子，郡亭枕上看潮頭。何日更重游。」

に次いでは、の意。　・呉宮：春秋の呉宮。館娃宮：〔くゎんあ（い）きゅう；Guan3wa2gong1●○○〕呉王夫差が西施を住まわせた宮殿。蘇州の西、硯石山（霊巌山）上に築かれた。呉の宮殿があった蘇州を指している。白居易は蘇州刺史も任じられている。なお、春秋の呉宮と三国の呉宮とは異なる。（三国の呉の孫権は建業（金陵、建、建康、南京）に都を置いた）。

※呉酒一杯春竹葉：呉の酒一杯は春の竹葉（のように）緑色をして。　・呉酒一杯：呉の酒。　・春竹葉：竹葉：酒の名。杜甫に「竹葉於人既無分」がある。白居易に「瓮頭竹葉經春熟」がある。蛇足になるが、現在も『竹葉青』という名の美しいお酒がある。

※呉娃雙舞醉芙蓉：呉の国の美女が、二人揃って艶やかに舞っていた。　・呉娃：呉の国の美女。　・娃：〔あい（あ）；wa2○〕美人。美しい。本来は美女の名前。転じて、呉の美女。　・双舞：二人で舞う。　・醉芙蓉：美人のあでやか艶やかな（舞い）姿の形容。　・芙蓉：蓮、フソウ、であるが、詞では美女を指す。現在、『酔芙蓉』というフヨウの一品種があるという。色が白からピンクに変わっていくという。

※早晩復相逢：またいつか、逢うこともあろう。　・早晩：いつか。おそかれ早かれ。ここは前者の意。　・復相逢：再び会う。

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◎　構成について

　単調。二十七字（これは単調。別体三種あり）（望江南、謝秋娘、夢江南ともいう）　平韻　一韻到底。韻式は「ＡＡＡ」。韻脚は「宮蓉逢」で、第一部平声。

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